ガールズ&パンツァー~RED FLAG~   作:弐式水戦

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 皆さん、明けましておめでとうございます!
 今年もまた1年、よろしくお願い致します!


第156話~シリアス(?)なお話です!~

 紅夜が、蓮斗と1対1で試合をする約束を取り付けてから一夜が明けた。

 何時ものように、ベッドに潜り込んで自分を抱き枕にしている黒姫を叩き起こし、綾の部屋で寝ているユリアと七花を起こして朝食を済ませる。

 

「それでコマンダー、昨日の件だけど」

 

 朝食を済ませ、台所で食器を洗っている紅夜に、ユリアが声を掛けた。

 

「ん?」

「昨日の話には出なかったけど、試合する場所ってどうするの?大洗の子達と初めて試合した場所にするの?」

 

 その問いに、紅夜は首を横に振った。

 

「いや、この学園艦の船尾辺りにしようと思ってるんだよ。彼処、人気が無いどころか家も建ってない更地だからな。1対1で試合するには十分だろ」

「へぇ、それはそれで、何か面白くねぇなぁ。遮蔽物が無いなんてさ」

 

 ソファーにどっかりと腰掛けた七花が、つまらなさそうに言った。

 

「まぁ、別に彼処に決めた訳じゃないからさ、大洗の連中と戦った時の場所になるかもしれんし………それは、彼奴にも聞かないとな」

 

 そんな会話をしている内に、紅夜は洗い物を終える。

 その後、支度を済ませ、大洗女子学園へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「“1対1で試合をする”?」」」

 

 大洗女子学園に着くと、紅夜は既に来ていたライトニングの3人に話していたのだが、あまりにも唐突な話に、3人は目を丸くしていた。

 

「試合をするって、こりゃまた急な話だな。宴会の時に、アンツィオと試合するって話をしてから直ぐにコレか」

「そう言うなよ達哉。それに今回の相手は、かなりの強者だぜ?」

「ほう?」

 

 何処と無くヤレヤレ感を出しながら言う達哉だったが、『強者』と言う言葉にピクリと反応する。どうやら、話に食いついてきたようだ。

 

「あの紅夜がそんな事を言うとはな………んで?相手は何てチームで、どんな戦車を使ってくるんだ?」

 

 興味津々と言った様子で、達哉が訊ねる。

 

「順に答えると、先ず、チームは《白虎隊(ホワイトタイガー)》で、使用戦車はティーガーⅠだ」

「おほぉ~っ!」

 

 紅夜が言うと、達哉は歓声を上げた。ティーガーは、達哉の好きな戦車だったのだ。

 

「成る程、それは楽しめそうだな……………だが、白虎隊なんてチームは今まで聞いた事もねぇし、戦った記憶もねぇ………そのチームって、何時出来たんだ?大体、お前そのチームの隊長と、何時どうやって出会ったんだよ」

 

 怪訝そうな表情を浮かべて、勘助が訊ねた。彼の質問は尤もだ。

 現役時代なら、同好会トーナメントの割り振りで相手チームの隊長は分かる。だが、トーナメントや練習試合で白虎隊と戦った事は、当然ながら1度も無いのだ。

 

「ああ、実はな………」

 

 そう話を切り出し、紅夜は蓮斗と初めて会った時の事を話した。

 

 

 

 

 

 

 

「……とまぁ、こう言う訳なのさ」

「「「………………」」」

 

 紅夜が話を終えると、3人は唖然としていた。

 

「そ、そりゃ本当なのか?今の話からすると、相手チームの隊長は“男”って事になるんだが…………」

「ああ、そうだ。蓮斗は男だ。名前の通りにな」

「「「………………」」」

『『『『『『『『………………』』』』』』』』

 

 何の違和感も見せずに言う紅夜だが、ライトニングの3人と、何時の間にか話を聞いていたレイガンやスモーキー、そしてみほ達大洗チームの面々が、口をポカンと開けていた。

 

「………どうした?」

『『『『『『『『『『“どうした”じゃねぇぇぇぇえええええっ!!!』』』』』』』』』』

 

 首を傾げる紅夜に、事情を知っている付喪神3人組以外からの盛大なツッコミが炸裂したのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 それから達哉達に詳しい説明を要求された紅夜は、蓮斗や白虎隊の事を洗いざらい喋る羽目になった。

 

 白虎隊が、半世紀以上前に出来たチームである事や、その隊長である蓮斗が、試合中に起こった事故で死んだ事。付喪神が、黒姫やユリア、七花の3人だけではないと言う事。

 そして何よりも衝撃的だったのが、紅夜の話から分かった事実--レッド・フラッグが、史上初の男女混合チームではなかったと言う事実--だ。

 それは、達哉達に大きな衝撃を与えており、現に今、達哉達は完全に沈黙している。

 

「…………とまぁ、こんな感じだな」

 

 先程と同じ調子で言い、紅夜は話を終わらせた。やはり彼等より遥か前から事実を知っていただけあって、彼は話している間、一切の戸惑いを見せていなかった。

 まるで、丸暗記した文章を読んでいるかのようにスラスラと話していたのだ。

 

「あ、あははは……こりゃ、たまげたね………まさか、こんな非現実的な事が、普通に起こっていたなんて……」

 

 紅夜が話を終えると、杏がそんな感想を溢す。何時ものように干し芋を持っている手がガクガクと震えているのを見る限り、彼女も酷く動揺しているようだ。

 麻子は、『死んだ筈の存在がこの世に存在している』と言うオカルトチックな話題に心底怯え、達哉に抱きついている。

 他の面子も、あまりにも非現実的な話題について、どのようにコメントしたら良いのか分からないと言った様子だ。

 

「ま、まぁ、取り敢えず、そう言う奴と試合する約束を取りつけたって事なんだよ」

 

 この微妙な空気を何とか変えようとして、紅夜は今までの話題を纏めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、練習出来るような雰囲気ではなくなってしまったのもあり、その日は自由行動となった。

 メンバー達は、紅夜から告げられたとんでもない事実を、中々受け入れられずにいる。

 此処で蓮斗本人が来たら未だ良かっただろうにと、紅夜はIS-2のエンジン部分に腰掛けて溜め息をついた。

 

「よぉ、紅夜。隣座っても良いか?」

 

 そんな時、達哉が紅夜に話し掛けてきた。

 

「おう、良いぜ」

 

 紅夜から許可が出るや否や、達哉はIS-2のエンジン部分に飛び乗ると、紅夜の隣に腰を下ろした。

 

「「………………」」

 

 それから暫くの間、両者の間に沈黙が流れるが、達哉がそれを破った。

 

「どうやら俺等の知らない間に、スッゲー事が起こってたんだな」

「ああ………」

 

 達哉の呟きに、紅夜が短く答える。

 

「………ククッ」

「………?」

 

 そんな時だった。達哉が突然、小さく笑い出したのだ。

 

「んだよ達哉?いきなり笑い出して…………気でも狂ったか?」

 

 怪訝そうな表情を浮かべて、紅夜がそう言った。

 

「クククッ…………いやいや、別に気が狂った訳じゃねぇよ。ただ………」

「『ただ』………何だ?」

「ただ…………面白いって思ってさ」

 

 達哉がそう答えると、紅夜は首を傾げた。

 

「何だ、達哉。お前あの事全部受け入れられたのか?」

「いや、そう言う訳じゃねぇ。未だ受け入れられてない部分もあるさ。付喪神の事については、もう既に黒姫達に会ってるんだから、彼奴等の他に居ても驚きはしねぇが………流石に、半世紀以上前に死んだ筈の人間が今も生きてるってなりゃ………なぁ」

「………………」

 

 そう言う達哉の言葉を、紅夜はただ黙って聞いていた。

 

「俺、思ったんだけどさ……………現役時代、IS-2が試合中にトラブらなかったのは、黒姫のお陰なんじゃないかな…………ホラ、ゲームとかではありがちな、“何ちゃらの加護”的な感じでさ」

 

 達哉の意見には、紅夜も思うところがあった。

 彼が言ったように、IS-2は現役時代、試合中に達哉の無茶な操縦による足回りの故障やエンジントラブルを起こした事が、1度も無かったのだ。

 それらは全て、黒姫によるものではないかと達哉は見ているのだろう。

 

「黒姫に限った事じゃねぇ。パンターならユリア、イージーエイトなら七花みてぇに………俺等は、付喪神に助けられてたんだろうな」

 

 紅夜が、話を纏めるかのように言った。達哉もその意見に賛成なのか、相槌を打っている。

 

「…………蓮斗と試合する前に、レッド・フラッグの戦車を全部洗うか?今までの労いを兼ねてさ」

「そりゃ良いな」

 

 そう言って、2人は笑みを溢した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、蓮斗って人とは何時やるんだ?」

「知らね、それは向こう次第だ。連絡先知らねぇし」

「そっか、向こう次第かぁ~………………って、オイ!?」

 

 最後の最後でこのような空気になるのも、お馴染みの展開と言ったところだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つー訳で、蓮斗と試合する前に、1回、戦車を洗ってやろうと思うんだ」

 

 帰宅して、黒姫達がソファーに腰掛けて寛いでいるところへ、椅子に座った紅夜はそう言った。

 

「………?洗車なら、自動車部の奴等が常にやってくれるから要らなくないか?」

 

 七花はそう言うが、紅夜は首を横に振った。

 

「確かにそうだけどさ………俺、思った事があるんだよ」

「「「…………?」」」

 

 紅夜が、いつになく真面目な表情で言う。

 

「大洗チームに加わってからは、整備とか洗車とかは、七花の言う通り、自動車部の人達が全部やってくれてる………でもさ、長年一緒に戦ってきた相棒達を、こうも簡単に、他人に全部任せてしまうのってどうなんだって、思うようになってな………それに現役時代もそうだったが、お前等には無茶させてばかりだからな。その労いも兼ねて…………って、感じなんだ」

「「「………………」」」

 

 紅夜の話を、3人はただ黙って聞いていた。

 

「だから、先ずは…………」

 

 そう言いかけると、紅夜は不意に立ち上がって3人の前に立つと、彼女等一人一人に、軽いキスを贈った。

 

「「「っ!?」」」

 

 突然の事に顔を真っ赤にする3人だが、紅夜は構わず言った。

 

「今までありがとう……そして、これからも………よろしくな」

「「「…………」」」

 

 その言葉に暫く沈黙する3人だが、互いに顔を見合わせて微笑み合うと、紅夜の方へと向き直った。

 

「「「此方こそ!ご主人様(コマンダー)(紅夜)♪」」」

 

 それからは、また何時もの賑やかさを取り戻すのであった。




 久々の投稿です。

 たまには、こんなシリアス的な話も入れた方が良さそうだと思ったのでやってみました。


 最近、『小説家になろう』の作品を見るのが面白くなってきたこの頃です。

 既に書籍化した作品を購入していたり、オリジナル作品を考えていたり……( ̄▽ ̄)


 これだからネット小説は止められないのです!( ・`д・´)キリッ
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