一言で言うと、今回はスッゲー短いです。
一応、加筆はする予定ではいます。
第40話~2回戦です!~
さて、紅夜と静馬によるラブコメ的な出来事があってから数日経ち、遂に2回戦の日を迎えた。
アンツィオ高校の使用戦車は、3日前に偵察に行った優香里の活躍により、CV33カルロベローチェ、セモヴェンテ、そして、アンチョビがメンバーに紹介し損ねた秘密兵器--P-40重戦車--である事が分かり、それ以降は、Ⅳ号をP-40、八九式をCV33、セモベンテは、今回も不参加であるレイガンのパンターや、スモーキーのシャーマン・イージーエイトとすると言った、仮想敵での模擬戦での特訓を主としていた。
とは言え、アンツィオ高校で出されるであろう戦車の中では唯一、回転式砲塔を持つP-40以外の戦車は皆、カルロベローチェかセモヴェンテの2種類のみ。おまけに、カルロベローチェの武装は機関銃2挺。セモヴェンテの場合は、短砲身の75mm砲を持つが、自走砲であるが故に無砲塔戦車なのだ。
機動力は良いにしても、攻撃力や防護力には若干の難がある。
因にだが、偵察に行った優香里が撮影したビデオでは、アンツィオ高校の生徒や、鉄板ナポリタンの出店を出していた陽気な少女--ペパロニ--が、優香里の様子を怪しむ事なく、アンツィオ高校の金銭事情が良くない事や、アンツィオ高校に新型の重戦車が入った事をあっさりと喋り、おまけにコロッセオでは、生徒達に堂々と戦車を見せつけ、P-40の砲塔の上に乗ったアンチョビが、大洗に勝つと高らかに宣言し、その場でドゥーチェコールが始まっており、アンツィオ高校の生徒達の陽気さが表れていた。
また、そのビデオを見終わった後、紅夜が『何故連れていってくれなかったんだ』と駄々をこね始めたのだが、それは達哉と勘助によって鎮圧され、その後も暫く落ち込んでいたのは余談である。
「それじゃあ紅夜、頑張ってね」
「期待してるわよ、紅夜!」
「ああ、任せろ」
エールを送る静馬と雅に、紅夜は笑って言う。他のメンバーも、達哉や勘助、翔にエールを送っていた。
そして、ライトニング以外のチームメイトが観客席に向かい、各自待機と、桃の指示が出された瞬間、1台のジープが近づいてくる。
金髪の少女が運転する横で腕を組んで立ち乗りしている、ドリルタイプのツインテールが特徴的な少女--アンチョビ--が目立っていた。
「たのもー!」
アンチョビが高らかに言うと、杏が前に出た。
「よーっすチョビ子、相変わらず元気だねぇ~」
そう言い、干し芋を頬張りながら杏が歩いていくと、その真ん前でジープが停まり、停車する際の勢いで、ボンネットを足蹴にして降りたアンチョビは、不満げな表情を浮かべた。
「チョビ子と呼ぶな、アンチョビと呼べ!」
「それは失礼……………それで、何か用か、安斎?」
「コラ其所!だからアンチョビと呼べって言ってるだろ!と言うか、ついさっき言ったばかりだぞ!」
杏に便乗したのか、名字で呼ぶ桃に、アンチョビは不満げな表情のまま文句を言ったが、直ぐに表情を直して言った。
「私はアンツィオ高校戦車道チーム、総師(ドゥーチェ)アンチョビだ!そちらの隊長は誰だ!?」
ビシィッ!と言う擬音語が付かんばかりに指を指しながらアンチョビが言うと、桃はみほを呼び寄せた。
「西住、相手校の隊長、安斎からの挨拶だ」
「は、はい!」
「だからアンチョビと呼べって言ってるのに……………」
アンチョビと呼べと何度も言ったのにも関わらずにスルーされ、軽く落ち込むアンチョビを、取り敢えずと無視した桃に呼ばれたみほは返事を返し、アンチョビの前に出る。
「ほほぅ……………お前が大洗の隊長か……………」
「はい。西住みほです」
みほはそう言ってお辞儀をする。アンチョビも返すと、みほを下から上まで見て言った。
「ふむ、確かに西住流の雰囲気を僅かならがに感じるな……………だが、私の学校は、相手が西住流だろうが島田流であろうが、絶対に負けない……………じゃなかった、勝つ!」
強がりなのか、それとも否定的な事を言いたくないのか、ほぼ同じ意味として受け取れる言葉なのにも関わらず、態々『負けない』から『勝つ』に言い直したアンチョビは、そのまま笑顔で右手を差し出した。
「今日は正々堂々と勝負だ。良い試合にしよう」
「は、はい!」
そう言ったアンチョビから求められた握手を、みほは快く受ける。
その後、アンチョビは大洗の陣営を見回していた。
「それで、最近噂になってる、あの男女混合チームのリーダーは何処なんだ?試合が始まる前に挨拶しておきたいんだが……………」
「ああ、紅夜君が確か……………あ、居た!」
アンチョビが紅夜に挨拶したいと言い出すと、みほは陣営を見回し、IS-2の前に立っている紅夜を見つけ、紅夜を呼び寄せた。
「紅夜くーん!ちょっと良い!?」
「おー?」
みほに呼ばれた紅夜は、IS-2の元を一旦離れ、みほの元へと歩いてきた。
「どったの西住さん?」
「アンチョビさんが、紅夜君に挨拶したいって」
そう言うと、みほはあんこうチームの元へと戻っていった。
因みに、漸く『アンチョビ』と呼ばれた事が嬉しいのか、アンチョビは嬉しさで軽く涙目になっていた。
「おー!お前がかの有名な《RED FLAG》のリーダーか、会えて嬉しいよ!あ、申し遅れたが、私はアンツィオ高校戦チーム総師(ドゥーチェ)、アンチョビだ」
紅夜が前に出るや否や、アンチョビは涙を振り払い、嬉しそうに言いながら紅夜に近づき、握手を求める。
「ああ、どうもアンチョビさん。俺はレッド・フラッグ隊長、長門紅夜です」
そう言って、紅夜は求められた握手に応じ、差し出されたアンチョビの手を取る。
「お前のチームの事は、昔からよく知っている。私が頻繁に買う雑誌にも、何度も載っていたからな。卒業していった先輩達の間でも、お前のチームはかなり有名だぞ?」
「それはそれは、嬉しい限りですな」
そう答える紅夜に、アンチョビは何かを思ったのか、表情を真顔に変えて言った。
「それにしても、黒森峰との試合から暫くの間は全く雑誌に載らなかったし、おまけに知らない間に、レッド・フラッグの引退説まで流れる始末だったが……………何かあったのか?」
「え?あぁ……………それはまあ……ちょっとばかり、つーか………色々、ありましてね……………」
「そうか。まあ何にせよ、こうして戦えるのは嬉しいよ」
「そう言っていただけるのは光栄ですなぁ」
そうして、再び表情を笑顔に戻したアンチョビと紅夜は、楽しそうに話す。
「「「……………」」」
その様子を、みほ、華、優香里の3人は、複雑そうな表情で見ていた。
「なぁ武部さんや、あの3人はどうしたんだ?もしかして、アレか?」
それを遠巻きに見ていた達哉は、近くに居た沙織に声を掛ける。
「うん。あの様子は間違いなく……………」
「「ジェラシーだな(だね)!」」
声を揃えて言うと、達哉はニヤニヤしながら、親しげに話す紅夜とアンチョビ、そして、それを複雑そうな眼差しで見るみほ達を交互に見た。
「いやぁ~、この前のサンダースや、まだ俺等が現役時代だった頃の黒森峰やプラウダや知波単のみならず、ここまでになるとは……………彼奴、何時か誰かに背中刺されるかもしれねえな」
「それと、聖グロリアーナからも、何か手紙来てたよね~……………って、長門君ってそんなにモテるの?」
達哉が呟いた事に、沙織は過剰なまでに反応していた。
「まあな。まぁ、きっかけはどうあれ、結構相手チームからは好かれるぜ?何だかんだで、彼奴は陽気だし、親しみやすいんだろうしな。それに、誰かの危機を見て直ぐ様動くのは彼奴だからな」
「……………なのに、肝心の本人は……………」
「あぁ、まさか、連中が自分に好意を寄せてるなんて事は微塵とも思ってねえな。せめて、『良き好敵手』或いは『戦車道仲間』としか思ってねえよ……………ったく、彼奴の鈍感ぶりときたら筋金入りだな、惚れた奴は苦労するだろうよ」
そう言って、達哉は笑いながら、翔や勘助の元へと歩いていった。
「辻堂君だって、人の事言えないよ……………」
翔や勘助と談笑している達哉の背中を見ながら、沙織はそう呟くのであった。
「……………それで、ペパロニなんて毎回雑誌を買っていたからな~。私が挨拶に行く時だって、付いていくとか言い出したんだぞ?私達が乗ってきた車は2人乗りだから、彼奴をあの場に残すのに苦労したよ……………」
「それはそれは……お疲れ様ですね………」
「ああ、全くだ。それでだが……………おっと、残念ながら、もう時間だからおいとましよう。まぁ、試合後にまた来るから、その時には、ペパロニの話し相手でもなってやってくれ」
そう言って、アンチョビは既に金髪の少女が乗っているジープに乗ろうとしたが、何かを思い出したのか、紅夜の方に向き直って言った。
「お前の戦車が強力でも、勝つのは我々だと、此処で宣言させてもらおう!では大洗戦車道チームの諸君、また試合後に会おう!」
そうして、今度こそ2人を乗せたジープは、アンツィオの陣営へと戻っていった。
実は、アンチョビがみほや紅夜に話し掛けている最中、アンチョビが乗ってきたジープを運転していた金髪の女子生徒と、大洗女子学園戦車道チーム、カバさんチームの1人、カエサル
とが友人関係にあり、互いに再会を喜び合っていたと言うのを、余談ながら付け加えさせていただこう。
そして、最後の打ち合わせの後、全員が戦車に乗り込んで指定の場所へと移動、待機し……………
《試合、開始!》
アナウンスと共に、2回戦が始まるのであった。
12月2日、加筆しました。