ガールズ&パンツァー~RED FLAG~   作:弐式水戦

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皆さん、明けましておめでとうございます。久々に前書き書いてみた弐式水戦です。
新年1発目の投稿、漸く出来ました。

それでは、張り切っていきましょう!


第44話~爆走劇の行く末です!~

「P-40が単独になりました。この間に決着を着けます!」

 

着々と相手戦車を撃破し、勝利へと王手をかけつつある大洗チームは、アンチョビの乗るP-40を守れる戦車が居ない隙に、撃破する事を決める。

 

その間にも、アンチョビが発動した《分度器作戦》を実行するため、ペパロニのカルロベローチェや、ウサギさんチームと交戦していた2輌のセモヴェンテは、全速力で凹凸の激しい道を爆走し、アンチョビの元へと急行していた。

スタントカーの如く走り抜けるカルロベローチェを、アヒルさんチームの八九式が追い、坂道をかけ上る2輌のセモヴェンテをウサギさんチームのM3が追っている。

 

「向こうが合流する前に、2輌共やっつけるよ!」

「了解、やっと撃てる!」

 

M3の車長である梓がメンバーに指示を出すと、主砲砲手のあゆみが、漸く自分も主砲を撃てる事に喜びの声を溢し、すかさず主砲と副砲を撃つが、2発共、セモヴェンテの直ぐ近くの地面に着弾するばかりで、命中には至らない。

 

「あーもう!」

「なんで当たらないのよ~?」

命中しないことに、砲手の2人がもどかしそうに言う。

それから、走りながら撃つよりも停車して撃つ方を選んだ梓の指示で、桂里奈はM3を停める。

 

「綾、取り敢えず1発撃って!」

「あいよ!」

 

そうして、綾は坂道を上るセモヴェンテの内、左の1輌目掛けて発砲するが、それもまた外れる。

 

「右に1メートル、上に50センチ修正してから撃って」

「はいよ……………えー、右1メートル、上50センチ……………良し、おりゃ!」

 

梓の指示通りに修正を終えた綾は、再び発砲する。

すると、砲弾は見事に命中し、セモヴェンテはエンジン部分から火を噴いて引っくり返り、そのまま白旗が飛び出す。

 

「もう1輌……………って、もう逃げちゃった!」

「大丈夫。追ってまた撃てば良いから、冷静になって」

「梓、西住隊長みたい~」

「それは後で。桂里奈、追い掛けて!」

「あいーっ!」

 

梓の指示で、桂里奈はM3を急発進させ、取り逃がしたセモヴェンテを追い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、殴り合いのような一騎討ちを続けている、カバさんチームのⅢ突と、金髪の女子生徒を乗せたセモヴェンテの対決も、決着の兆しが見え始めていた。

 

「次で決着着けるよ!正面で撃ち合った直後に!」

「後ろに回り込んで!後は私と向こうの装填の早さ次第」

 

親友であり、同じ装填手である2人も、この次のぶつかり合いで決着を着ける事を決めた。

そして、双方の操縦手も、どちらともなくアクセルペダルを踏み込み、互いに突っ込んでいった。

そして、両者共に車体をぶつけてスライドし、互いの主砲の照準が安定し、獲物を捉えた瞬間、両チームの砲手が引き金を引き、その次の瞬間には、爆発と黒煙が巻き起こった。

そして数秒後、白旗が飛び出す音が2つ、同時に聞こえた。

 

 

 

 

 

 

そして視点を移し、護衛の戦車を失って、現在は天涯孤独になっていたアンチョビを乗せるP-40は……………

 

 

 

「待ち伏せらしきⅣ号とIS-2の姿が見当たりません!総師、如何なさいますか?」

 

見つけた大洗のフラッグ車、38tを追い、逆転勝利を狙っていた。

 

「アンブッシュかと思ったが、考えすぎかな……………良いか、彼奴等に見せ付けてやれ!アンツィオは弱くない……じゃなかった、強いと言う事を!」

 

そう叫びながら、アンチョビはP-40の砲塔を38tへと向ける。

 

「目指せ、悲願のベスト4!って、それでもない!優勝だぁーッ!」

 

そうして引き金を引き、38tへと攻撃を仕掛ける。

すかさず、38tの砲手である桃が反撃するが、砲弾は当たらず、明後日の方向へと飛んでいくだけだった。

 

「外れ~」

「たまには当ててよ桃ちゃん」

「桃ちゃん言うな!それから今は挑発中だから当てなくても良いんだ!」

 

桃の外しッぷりに、柚子は落胆したような声で言うが、桃が反論する。

 

「まぁ、河嶋の言う事も一理あるんだけどね~。んで西住ちゃん、そっちはどうなの?」

 

2人の口論を他人面で見ながら呟くと、杏はみほへと通信を入れた。

 

「ライトニングチームと向かっており、間も無く到着します。誘導の方は宜しくお願いします」

『ほいほーい』

 

杏は適当な調子で返事を返し、交信を終える。

 

『んで、止めはどっちがやるんだ?距離的に、お前のチームでもやれると思うが…………』

 

杏との通信を終えるや否や、今度は横に並ぶIS-2の車長、紅夜からの通信が入った。

 

「念のため、両方撃ちます」

『了解、しかし容赦ねぇな~。さっき俺等、カルロベローチェ吹っ飛ばしちまったばっかなんだけどさぁ、そのままP-40も吹っ飛ばしそうだぜ』

 

苦笑いしながら言う紅夜に、みほはからかうような視線を向けて言い返した。

 

「紅夜君程でもないけどね」

『何だよそりゃあ?』

 

そう返し、紅夜は軽く笑った。

そうしている内に、2チームは目的地へと到着し、決着に備えて配置を決め、用意を済ませた。

 

 

 

 

 

「よーし、追い詰めたぞ!」

 

その瞬間、38tと、誘導に乗っかってきたアンチョビのP-40が目的地に到着し、アンチョビはすかさず発砲するが、おしくも外れる。

 

「クソっ、外れた!装填急……げ………や、ヤバイかも…………」

 

38tから放たれた砲弾がP-40の上を掠めて飛んでいき、それにうっかり目を取られて視線を上に向けたアンチョビは、崖の上からⅣ号とIS-2が、自分達の戦車に砲口を向けている事に気づき、その表情が固まる。

 

『総師、遅れてすみませっ、痛ぁ!?』

 

その時、運良くウサギさんチームから逃げてきたセモヴェンテが崖の上から現れるが、其所からガラガラと音を立てながら、派手に落下して地面に叩きつけられる。

 

「この馬鹿、無茶するな!怪我したらどうするんだ!」

 

そう叫び、アンチョビは操縦手に指示を出してセモヴェンテの盾にさせるが、それも叶わず、落下してきたセモヴェンテは動く事無く、ウサギさんチームからの砲撃を受けて撃破される。

 

「アンチョビ姉さーん!来ましたぜー!」

 

その直後、ペパロニのカルロベローチェが到着するが、今度は追ってきていたアヒルさんチームの八九式の砲撃をエンジン部分に喰らい、そのまま吹き飛ばされ、車体のあちこちを派手に地面に打ち付けながら飛んでいき、最終的には撃破されたセモヴェンテにぶつかって止まる。

 

「クソっ!これでも喰らえ!」

 

アンチョビは、最後の望みをかけて引き金を引くが、その望みが天に届く事はなく砲弾は外れ、代わりにⅣ号とIS-2からの砲撃を受け、撃破される結果となった。

 

《アンツィオ高校フラッグ車、P-40の行動不能を確認!よって、大洗女子学園の勝利!》

 

「Gotcha!」

 

自分達の勝利を告げるアナウンスを聞いた紅夜は、右手を強く握りしめてガッツポーズを取る。

その様子を、みほは微笑ましそうな顔で見ており、それに気づいた紅夜はみほの方を向き、右手の親指を立てて微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、試合開始前の待機場所へと移動し、大洗チームは其々の頑張りを労っていた。

その場には、試合には参加しなかったレイガンやスモーキーのメンバーも居り、大洗チームのメンバーやライトニングのメンバーに労いの言葉を掛けている。

 

「にしても、今回は祖父さんの暴れっぷりは見れなかったな」

 

IS-2の砲身に座る紅夜に、大河が話し掛けた。

 

「まぁな。場所が場所だったからっつーか、相手が相手だったからっつーか」

「でもまあ、敵の親玉さんの近くに居たCVド派手にブッ飛ばしたのには笑ったな。やっぱ祖父さんには及ばねえや」

「素直に褒めろよ大河」

 

そんな話をしていると、今度は静馬がやって来た。

 

「これが新聞に載るとしたら、《男性チーム、今回は大した出番無し》……………って感じかしらね?」

「一応ホントの事だが、それは言わないお約束だろうが、静馬」

 

からかうように言う静馬に、紅夜の代わりに大河が返した。

そして、大河は静馬が、紅夜とアンチョビが親しげに話しているのを見て嫉妬していたと言いかけて静馬に首を絞められ、それを見ていた紅夜が笑っていると……………

 

「おーい、紅夜ー!」

「ん?」

 

不意に、紅夜を呼ぶ声が聞こえた。

その声に紅夜が振り向くと、ペパロニを連れたアンチョビが、手を振りながら近づいてきた。

 

「よお、アンチョビさん。お疲れッス」

 

紅夜はそう言って、右手を軽く上げて会釈する。

 

「ああ。此方こそ、良い勝負をさせてもらった。まあ結局、お前の戦車にもやられてしまったな」

 

アンチョビはそう言って、IS-2に近寄った。

 

「ああ、忘れていたが」

 

何かを思い出したかのように言うと、アンチョビはペパロニを呼び寄せた。

 

「コイツがペパロニ。カルロベローチェの車長だ」

「よッス、長門のダンナ!」

 

アンチョビに紹介されたペパロニは、陽気に言った。

 

「おう、よろしくなペパロニ」

 

試合後でも元気一杯なペパロニに、紅夜は笑みを浮かべた。

 

「おろ?なあダンナ、もしかしてこの2人は……………」

 

ペパロニは大河と静馬に気づき、紅夜の方を向く。

 

「ああ、俺の同好会チームの副隊長をしてる須藤静馬と、その補佐である篝火大河だ」

「マジで!?スゲー!レッド・フラッグの小編成チームのリーダー勢揃いじゃねえか!サインくれ!」

「ああ!?ペパロニ姉さんズルいッスよ!」

ペパロニの大声が他のメンバーにも聞こえたのか、作業中だった他のメンバーが紅夜達の元へと殺到する。

 

「おい落ち着けお前等!」

 

口ではそう言うものの、紅夜は現役時代の事を思い出し、その表情には微笑を浮かべていた。

 

「ああ、それでだが紅夜」

 

そんな中、アンチョビが紅夜に声を掛けた。

 

「ん?」

「これから、皆で食事にするんだ。どうせだからお前達も来れば良い。お前の同好会チームのメンバー全員もな!」

 

その言葉に、静馬と大河は互いに顔を見合わせた。

 

「あの、私達は試合に参加していませんが……………?」

 

おずおずと言うが、アンチョビは知った事かとばかりに首を横に振った。

 

「そんなものは関係無い。この場に居る者全員で、其々の健闘を労うんだ!さあ行くぞ!宴会の始まりだ!」

 

アンチョビはそう言って、自分の背後へと腕を広げる。その先には、何台ものテーブルや椅子が並べられ、そのテーブルの上には豪勢な料理が所狭しとばかりに並んでいた。

 

「スッゲー……」

 

その様子を見た紅夜が、唖然としながら呟く。そうしている内に、彼等3人はアンチョビとペパロニに連れられて、既にアンツィオ高校の生徒や、彼女らと打ち解けたレッド・フラッグのメンバーや、大洗の生徒達が座るテーブルへと案内された。

 

「我がアンツィオ高校は、食事においてはどんなローンも惜しまないのさ!」

「そうみたいッスね………こんなにも豪華な料理見せられたら、誰だってそう思うでしょうよ」

 

案内されている最中、自慢気にアンツィオ高校の事を語るアンチョビに、紅夜達は笑って返事を返していた。

 

「でも、そのやる気が少しは、戦車道の方へと向けられたら良いんだけどな…………まぁ、それは追々やれば良い!先ずは宴会だ!皆揃ったか!?」

『『『『『『はーーい!!』』』』』』

 

アンチョビが呼び掛けると、その場に居る全員から返事が返される。

そうしてペパロニが自分の席へと戻っていき、アンチョビは静馬と大河を向かいの席に座らせ、自分はみほの隣に腰を下ろす。

そして、アンチョビを挟む形で、紅夜も腰を下ろした。

 

「では、せーのっ!」

『『『『『『いただきまーす!』』』』』』

 

そして、アンチョビの点呼と共に、賑やかな食事会が始まった。

 

 

 

 

 

「タカちゃんも、装填手だったんだね」

「ああ。やっぱり最後は、装填の早さが勝負を決めたな」

 

その頃、激闘の末に引き分けた2人の装填手は、盛り上がっている傍らで話していた。

 

「それじゃ、今回の勝負は、2人共装填の早さは互角だったって事だね」

「まぁ、そうなるのかな……」

 

そう言い合って、どちらともなく笑い出した。

 

「また、試合しようね。タカちゃん」

 

そう言って、金髪の女子生徒は右手を差し出す。カエサルはその手を握り返してから言った。

 

「タカちゃんじゃないよ」

「え?」

 

突然の事に、金髪の女子生徒は戸惑いを見せるが、カエサルは気にせず言った。

 

「私は、カエサルだ!」

 

そう言って、カエサルは首に巻き付けている赤いスカーフを翻し、宴会の場へと戻っていった。

 

「そうだね……………なら、私はカルパッチョで♪」

 

そう言って、金髪の女子生徒--カルパッチョ--は、カエサルを真似て自分の長い金髪を翻した。

 

 

 

 

 

 

「おーいダンナ!何か芸とか見せてくれよー!大道芸とかさぁ!」

 

その頃、宴会の場では、ペパロニが紅夜に注文を付けていた。

 

「おおっ!そりゃ良いや!」

「ダンナぁ!此処は1発決めてくださいッス!」

 

それは他の生徒にも飛び火し、紅夜に声を掛ける。

 

「あ~あ、全く彼奴等は直ぐ調子に乗るんだから……」

 

それを見ながら、アンチョビは溜め息をついた。

 

「構わねえッスよアンチョビさん」

 

そう言って、紅夜は立ち上がって言った。

 

「こ、紅夜君?」

 

急に立ち上がった紅夜に、みほが驚いたような表情を浮かべる。

 

「そんじゃ、ギターとかベースとかドラムとかを用意せよ!」

『『『『『『Si!!』』』』』』

 

その指示を受けた数人の生徒が飛び出していき、舞台にギター等の楽器を用意していく。

 

「やれやれ、彼奴やる気だな?」

「まあ、良いじゃねえか。久し振りに」

「ああ、勘助の言う通りだぜ」

 

その様子を見た達哉と翔、そして勘助は、紅夜の意図を悟ったのか、席を立って舞台へと移動を始めた。

 

 

 

 

 

 

「そんじゃ、行くぜお前等ァァアアッ!!」

『『『『『『イェーイ!!』』』』』』

 

数分後には、舞台上にライトニングのメンバーが揃い、各自が楽器を用意している。

バンドなら、紅夜はドラム演奏を得意としているが、今回の曲ではエレキギターを持っていた。

配置は、ドラムに勘助、ベースに翔、そして、エレキギターに紅夜と達哉だ。

 

「それじゃ行くぜェェ!」

 

その声を皮切りに、勘助のドラムを前奏に、ライトニングの演奏が始まり、宴会の場は盛り上がりを見せていた。

その宴会の場には、アンツィオ高校、大洗女子学園、そしてRED FLAGの3チーム全員の笑顔が溢れていた。

 

 

 

 

 

 

 

「オオー、紅夜君達ってバンドとかも出来たんだねぇ……」

少し離れた位置では、杏、桃、柚子の生徒会メンバーが遠巻きに、紅夜達の演奏を見ていた。

 

「彼等男子陣が、ウチの学校の生徒じゃないのが非常に惜しいところですね」

「ああ……………」

 

紅夜レッド・フラッグの男性メンバーが大洗の生徒じゃない事について、柚子は残念そうに言う。

 

「まぁ、ウチは女子校だからねぇ~。共学化も面白そうだけど、ちょっとそれは無理っぽいかな~」

 

杏は、何時も頬張っている干し芋の代わりにパスタを口に入れようとしながら言った。

 

「どちらにせよ、優勝までは彼等に頑張ってもらうしかないねぇ………利用するみたいで嫌だけど、それもやむ無し……だもんねぇ」

 

そう言って、大盛り上がりの宴会の場を、生徒会メンバー3人だけが、複雑そうな面持ちで見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

余談だが、そのどんちゃん騒ぎは試合会場貸し出し時間終了の知らせが来るまで止まらず、知らせが来てから、一同は時間が残されていない事に気づき、3チームのメンバー全員、大急ぎで撤収する事になったのだが、それは本当に余談である。

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