ガールズ&パンツァー~RED FLAG~   作:弐式水戦

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第76話~決着後のお話です!~

《試合終了!大洗女子学園の勝利!》

 

『『『『『『『『ワァァァァァアアアアアアアッ!!!』』』』』』』』

 

アナウンスが流れると同時に、観客席では歓声と拍手喝采が上がる。

その場に居た大河達スモーキーの面々は唖然としていたが、状況が飲み込めると安堵の溜め息をつき、その表情に笑みを浮かべていた。

 

「それにしても、勝ったんだなぁ彼奴等」

 

しみじみとした雰囲気を醸し出しながら、大河は横に居た深雪に声を掛ける。

 

「ええ、そうね………………それもそうだけど、まさか土壇場で紅夜達ライトニングの大暴れが見られるなんて思わなかったわ。こうやって、観客目線で彼等の暴れっぷりを見ると、つくづく滅茶苦茶な連中だと思えてしまうわ」

 

そう答え、御幸は苦笑を浮かべた。

普段の静馬のように落ち着いた性格で、紅夜のように思い切った行動をする事が滅多に無い彼女から言えば、紅夜の戦術はそこまで言わしめる程に強烈なのだろう。

 

「それにしても、達哉や雅の操縦スキルも中々のものよね………………今度教えてもらおうかな」

「運転スキルは高いに越したモンはないからその方が良さそうだが、達哉や雅のような暴走族に加わるのだけは止めてくれよ?彼奴等の運転だけでも恐ェのに、そんな運転する奴がまた増えたら堪ったモンじゃない」

 

雅の操縦技術に感銘を受けた千早がそう呟くが、そこへ新羅からのツッコミが入り、千早は苦笑を浮かべる。

千早は操縦手の中では一番の常識人だ。そんな彼女が達哉達側に取り込まれたら、最早操縦手のストッパー役は居なくなったも同然だろう。

 

「それもそうだが、労いの一言ぐらいは掛けてやろうぜ」

 

そう言いながら、煌牙はスマホを取り出して紅夜達にメッセージを送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、カチューシャ率いる本隊と、それを蹂躙していた紅夜達は………………

 

「………………俺等、勝ったのか?」

「そう、みたいだな…………」

 

未だに信じられないと言わんばかりの表情を浮かべている紅夜と翔が、IS-2のハッチから上半身を乗り出して前方を見ていた。

 

「つーか待てよ。それじゃあ、あの黒煙は誰のなんだ?」

 

車内に居た勘助はそう言うと、前方を指差す。彼が指差したその方向には、確かに黒煙が上がっていた。

紅夜は車内に戻ると、直ぐ様静馬達に通信を繋げた。

 

「此方、レッド1《Lightning》だ。レッド2《Ray Gun》、応答しろ」

 

そうインカムに向かって呼び掛けると、少しの間を空けて返事が返された。

 

『此方、レイガン』

 

返事が返ってきた事に安堵の溜め息をつき、紅夜は話し掛けた。

 

「取り敢えずはお疲れ様。良く頑張ったな」

『ありがとう、そっちもお疲れ様』

「ところで、そっちで黒煙が上がってるみたいだが、誰のだ?アヒルさんか?」

『ご免なさい、私達よ。蛇行した時、敵の砲弾が地面に着弾するタイミングと、運悪く重なってしまったのよ』

「マジか………………被害状況はどうだ?戻れるか?」

 

紅夜の問いには、溜め息混じりの返事が返された。

 

『残念だけど、もう走れないわ。走行車輪が吹き飛ばされたの。おまけに白旗まで出る始末よ』

「それはそれは…………」

 

その応答に、紅夜は苦笑を浮かべた。勘助から渡された双眼鏡で見ると、確かに白旗が上がり、左側の走行車輪が吹き飛ばされて立ち往生しているパンターの姿があった。

 

「此方からも確認出来たよ…………まぁ、なんだ。雅を叱ってやるな、偶々運が悪かっただけさ。拾いに行くから、其所で待ってろ」

『ええ、ありがとう』

「良いって良いって。んじゃ、交信終わり」

 

そう言って、紅夜は通信を切ってインカムを戻した。

 

「達哉、前進だ。レイガンの連中を拾いに行くぞ」

「あいよ、任せろ」

 

そう答えると、達哉はギアをいれてアクセルを踏み、IS-2をゆっくりと発進させ、プラウダ本隊から離れていく。

 

「あっ、ちょっと!」

 

それに気づいたノンナが引き留めようと声を掛けるが、IS-2のエンジン音で掻き消されてしまった。

 

「………………」

 

段々と遠ざかっていくIS-2を、T-34のキューボラから見ていたカチューシャは、未だ信じられないと言わんばかりの表情を浮かべて唖然としていた。

だが、数百メートル程遠ざかった所で動きを止め、レイガンのメンバーをIS-2の車体後部に乗せ、アヒルさんチームと合流して、共にパンターから遠ざかっていくレッド・フラッグのメンバーが談笑しているのを見ると、頭に浮かび上がってきた、信じられなかった事が現実味を帯びてきた。

 

--自分達は、大洗に負けたのだ--と………………

 

「………クッ!………うぅ………」

 

その事実を知ると悔しさがこみ上げ、カチューシャは目尻に涙を浮かべる。

 

「どうぞ………」

 

その時、何時の間にかIS-2から乗り移ってきたノンナが、ハンカチを差し出す。

 

「な、泣いてないわよ!」

 

そう言って強がりながら、カチューシャは差し出されたハンカチで鼻をかむ。

 

「それにしても、こっ酷くやられたわね………………」

 

そう言って、カチューシャは後ろを見やった。

共に振り返ったノンナも、ただ無言で頷く。

彼女等の視線の先には、クラーラが乗っていたT-34と、自分達の戦車の3輌を除いた全車両が白旗を上げていた。

その光景は、正に台風の後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇー、廃村ではそんな事があったのか」

「まぁ何にせよ、良くやってくれたよ」

 

大洗の集合場所に戻った一行は、試合後の挨拶を終え、今回の試合の事で盛り上がりを見せていた。

達哉と紅夜が、みほ達あんこうとエルヴィン達カバさんチームを褒め、その両チームのメンバーは嬉しそうにしていた。

その後、当然ながら、ウサギさんチームやカモさんチームのメンバーも労っていたのだが、達哉がカモさんチームのメンバーに労いの言葉を掛けると、みどり子の顔が真っ赤に染まり、それを面白がった達哉がみどり子を弄ろうとして翔に拳骨を喰らわされて何処へと引き摺られていったのは余談である。

 

「今回の試合も、西住ちゃんと紅夜君の活躍あってのものだね。ありがとう」

 

杏がそう言うと、続いて桃も頭を下げる。

 

「フラッグ車を撃破したのは西住さん達なんだ。俺はプラウダの連中に殴り込みしただけだよ」

「謙遜しちゃって~」

笑みを浮かべながら言う紅夜を杏がからかっていると、其所へ、肩車をしているからか、1つに合わさったように見える2つの人影と、独立した1つの人影が近づいてきた。

 

「せっかく包囲網の一部を緩くして、そこに引き付けてぶっ叩くつもりだったのに、まさか正面突破されるとは思わなかったわ」

 

カチューシャとノンナ、そしてクラーラだった。

 

「あ、やべっ!」

 

紅夜はそんな声を上げると、目にも留まらぬ速さでIS-2の元へと走っていき、そのまま砲塔の上に一気に飛び乗ると、キューボラを開けて車内に飛び込んだ。

それに気づいていないカチューシャは、そのまま言葉を続けた。

 

「それに、あんな怪物を放り込むなんて、滅茶苦茶な事考えるわよね、アンタも」

「……怪物?」

 

カチューシャの言葉の意味が分からず、みほは首を傾げる。

 

「ホラ、彼奴よ、赤髪の彼奴!IS-2の車長よ!」

「えっと………………もしかして、紅夜君ですか?彼は緑髪で、赤髪じゃないですよ?それに、紅夜君達には何の指示も出していませんから、多分独断行動かと………………」

 

カチューシャが紅夜の事を言っているのだと気づいたみほだが、紅夜の髪が赤ではなく緑である事を話す。

 

「嘘でしょ?さっきの彼奴は確かに赤色だったのに………てか、独断って………まぁ、良いわ。そんな事言うために来たんじゃないし」

 

そう言って、カチューシャは咳払いを1つしてから話を切り出した。

 

「えっと、その………………と、兎に角!今回の試合はアンタ達の勝ちよ!それは認めるわ」

「いいえ、私達が勝てたのは運が良かったからです。もし、飛び出した瞬間に一斉攻撃を受けていたら、やられてました」

「それはどうかしらね」

「え?」

 

みほが言い終えた直後に口を開いたカチューシャに、みほは唖然とする。

 

「もしかしたら、えっと………………ああもう!兎に角アンタ達、中々のモノよ………………言っとくけど、悔しくなんてないんだからね!」

 

完全なツンデレ台詞に、大洗のメンバーは唖然とした表情を浮かべる。

 

「ノンナ!」

「はい………………」

 

それを余所に、カチューシャはノンナの肩車から降りてみほの前に立つと、無言で右手を差し出した。

 

「あっ………………」

 

その行動に、一瞬戸惑いを見せたみほだが、やがてその表情に笑みを浮かべて右手を取り、握手を交わした。

 

「決勝戦、私たちも見に行くわ。カチューシャをガッカリさせないでよね?優勝しなかったら、許さないんだから」

「!はいっ!」

 

その激励に、みほはしっかりとした返事を返した。

 

「あ、あの………………」

 

其所へ、ノンナとクラーラがおずおずと話に入ってきた。

彼女等の手には、2着のダウンジャケットと、金属製の除雪用大型シャベルが握られていた。

 

「あの………長門紅夜さんは何処に………………?」

「ああ、紅夜君なら其所に………………って、アレ?」

 

話に熱中していたからか、カチューシャが話し掛けてくる前から紅夜が居なくなっていた事に漸く気づいたみほは、辺りをキョロキョロ見回していた。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃーっ、何とか逃げ切れた~」

 

その頃、スタコラサッサで逃げてきた紅夜はIS-2の車内に飛び込むと、車長席に座って黄昏ていた。

IS-2の車内には、先程まで散々暴れ回っていたからか、未だ落ち着かないと言わんばかりに、キンキンと小さな音が木霊していた。

 

「………………お疲れさん、相棒。学園艦に戻ってきたら、ご褒美やるよ………………決勝戦でも頼むぜ?」

『………………うん♪』

「ッ!?」

 

突然聞こえた返事に、紅夜は驚いて車内を見回すが、その声の主は現れなかった。

だが、紅夜はそれに恐がる事無く、逆に微笑んで言った。

 

「それと、前からちょくちょく話し掛けてきたお前にも、ちゃんと会いたいモンだな」

『………時期が来たら、きっと貴方の前に現れるから…………それまで』

「へいへい、それじゃお休みな」

 

紅夜がそう言うと、車内に木霊した声が聞こえなくなった。

それにフッと、軽く笑みを浮かべた直後、スマホが着信を知らせた。電話を掛けてきたのは静馬だった。

「おう、何だ?」

『紅夜、貴方今何処に居るの?プラウダの副隊長さんが会いたがってるから、さっさと出てきなさい』

「………………何か妙に刺々しくねぇか?」

『自分の胸に聞いてみなさい。それじゃあね!』

「あ、おい!?………………彼奴、一方的に話して一方的に切りやがった」

 

紅夜そう呟くと、IS-2のキューボラを開いて外に出ると、砲塔から飛び降りて大洗のメンバーの元に近づいていった。

 

「はいよ、お呼びかね?」

 

紅夜がそう言うと、ノンナとクラーラが前に出てきた。

 

「……ん?お前さん等とは確か……どっかで会った、よな?」

 

紅夜は見覚えがあるとばかりの表情を浮かべるが思い出せずに頭を捻らせていた。

 

「ええ………2年前、プラウダの学園艦で」

 

クラーラが言うと、紅夜はハッとした表情を浮かべた。

 

「あーあー思い出した!お前等あの時絡まれてた奴等か!いやぁ~、久し振りだな!あれからどうよ?元気だったか?」

 

彼女等の正体を知った紅夜は、陽気に話し掛けていく。

ノンナとクラーラは頬を赤くしながらも、紅夜が自分達を覚えていた事への嬉しさで、笑みを浮かべながら答えていた。

 

「それでなのですが、これを………………」

 

そう言うと、ノンナは先ず、綺麗に折り畳まれた2着のダウンジャケットを差し出した。

 

「お前さん、態々残して、しかも持ってきてくれたのか?」

 

紅夜の問いに、ノンナは恥ずかしそうに頷いた後、顔を俯けた。

 

「何か悪い事しちまったなぁ~。もう会えるとは思ってなかったし、若干小さくなってたから、お前等にあげたつもりだったんだよ、コレ」

「え?」

 

そんな紅夜の言葉に、ノンナは俯けていた顔を上げた。

 

「ふーむ………………どうせだし、コレはお前等にやるよ」

「「ッ!?」」

 

その言葉に、2人は驚愕で目を見開いた。

 

「持ってきてもらったのにコレ言うのもあれだけどさ………………まぁ、良い試合させてもらった礼的なヤツだよ、うん」

 

何処か説得しているような雰囲気で言う紅夜に、2人は笑みを浮かべた。

すると、今度はクラーラが前に出てきた。

 

「それとですが、コレ………………忘れ物です」

「ん?………………ッ!?お、お前………ッ!コレは………!」

 

差し出されたのは、金属製の除雪用大型シャベルだった。

 

「あれから学園艦のあちこちを探したのですが、結局会えず………………私とノンナで保管していたんです」

「んで、試合で俺等が出るから、持ってきてくれた………………って事か」

「ええ………………会えて良かったです」

 

そう言って微笑むと、クラーラは紅夜に、そのシャベルを手渡した。

「あー、えと、その………………」

「?何でしょう?」

 

急に口ごもった紅夜に、クラーラとノンナは首を傾げた。

 

「えっと、だな………………」

 

そう言うと、紅夜はスマホを取り出して何かを検索すると、辿々しいロシア語で言った。

 

「スパシィーバ」

「「………………」」

 

そう言われた2人は、互いに顔を見合わせると、微笑んでから紅夜に向き直った。

 

「「Пожалуйста(どういたしまして)♪」」

「………………ッ!」

 

言葉が通じた事に、紅夜は一層の笑顔を浮かべた。

 

「スッゲー!言葉通じた~!Whoo-hoo!!」

 

子供のように跳ね回る紅夜を、ノンナとクラーラの2人は微笑ましそうに見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時間は過ぎていき、学園艦に戻る時間になったのだが………………

 

「私は、ちょっとばかりやる事があるから、先に失礼するわ。じゃあね、ピロシキ~」

 

そう言って、何故かカチューシャは先に帰り、ノンナとクラーラは、紅夜と向かい合って立っていた。

 

「……これ、どういう状況…………?」

 

場の状況が飲み込めない紅夜は、ただ呆然と辺りを見回していた。

ノンナとクラーラの2人は、顔を赤くしながら立っている。すると、ノンナは意を決したように歩き出すと、ポケットからスマホを取り出して紅夜に話し掛けた。

 

「あの、良かったら………アドレス、交換しませんか………?せっかく会えたんですから」

「ん?………………おう、良いぜ。やるか………………お前さんも」

「ッ!Да!」

 

紅夜はそう答えると、後ろに居たクラーラにも声をかけ、2人とアドレス交換をする。

 

「んじゃ、暇な時に連絡してこい」

「「Да!」」

 

紅夜が言うと、2人は嬉しそうに返事を返してプラウダの学園艦に向かおうとするが、突然戻ってきた。

 

「どったの?忘れ物でm………ッ!?」

 

その二の句が放たれる事は無かった。

紅夜は、両肩に軽く負荷が掛かったのを感じたが、その次の瞬間、両方の頬にしっとりした柔らかいものが触れるのを感じた。

驚いて目を動かし、両サイドを交互に見ると、其所には頬を赤く染めながら、紅夜の頬にキスをしている2人の姿があった。

2人は唇を離すと、笑顔を浮かべて言った。

 

「До свидания♪」

 

そう言って微笑みかけると、2人は顔を真っ赤にしたままプラウダの学園艦に乗り込んでいった。

 

「………………まぁ、別れの挨拶ってヤツか。ロシアでもやるんだな」

 

紅夜は相変わらずの鈍感ぶりで勝手に解釈すると、自分も大洗の学園艦に乗ろうとするが………………

 

「お兄ちゃん………ッ!」

「ん?」

 

聞き覚えのある声に呼び止められた。

振り向くと、数ヵ月ぶりのサイドアップの髪型の少女が駆け寄ってきた。愛里寿だった。

 

「よぉ、愛里寿ちゃんじゃねえか!試合見に来てくれてたのか!」

 

紅夜が声をかけると愛里寿は嬉しそうに微笑み、頷いた。

 

「うん。お兄ちゃん達が出てるから、お母様も連れてきた」

 

そう言うと、前方から、千代が息を切らして走ってきた。

 

「愛里寿!勝手に離れないでって言ったじゃない!」

「あう………ゴメンナサイ………」

 

その光景に、紅夜は苦笑を浮かべるが、千代は直ぐ様、視線を紅夜に向けた。

 

「貴方が、長門紅夜君よね?」

「あ、はい」

 

そう答えると、千代は微笑んで言った。

 

「愛里寿の母、島田千代です。先日は、家の娘がお世話になりました」

「いえいえ、別に良いんですよ。あの時は別に大した用事もありませんでしたからね」

 

頭を下げた千代に、紅夜は微笑みながら返した。

 

「貴方に会ってから、この子が『大洗の試合を見に行きたい』って聞かなくて」

「マジですか………………」

 

紅夜が嬉しそうな笑みを浮かべる傍らで、愛里寿は恥ずかしそうに、紅夜の右腰に抱きついていた。

 

「あら、あの人見知りなこの子がこんなにも懐くなんてね………………」

 

そう言いながら、千代は箱の菓子を差し出した。

 

「コレ、つまらないものだけど、差し入れよ」

「オオーッ、これはどうも」

 

そうしていると、愛里寿がアドレス交換を頼んできて、紅夜は快く応じた。

 

「お兄ちゃん、今度は家に来て。いっぱいお話………………しよ?」

「あいよ、その時にな!」

 

そう返事を返した瞬間、大洗学園艦の出港間近を知らせるアナウンスが響いた。

 

「やべっ!あれに乗り遅れたら大変だ!そんじゃまた!お菓子どうもでした~!」

 

紅夜はそう言いながら学園艦に乗り込んでいき、愛里寿は大洗学園艦が出港すると、学園艦の上に立つ紅夜の姿が見えなくなるまで、ずっと手を振っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「行かなくて良かったの?」

 

その頃、観客席を後にしたまほとしほは、そんな会話を交わしていた。

 

「ええ。連絡先なら聞いていますから」

 

そう返し、まほは紅夜のアドレスを登録した際に自動で登録されたラインにメッセージを送った。

 

「………………あの子には、あの子のやり方があるのね」

 

しみじみしたような声で言うと、しほはまほの方へと振り向いて言った。

 

「決勝戦では、貴女の西住流を見せてあげなさい」

「ええ」

「それから、射止めるなら早めにね」

「はい………………って、お母様!?」

 

そんな会話があったのも、余談として付け加えさせていただこう。

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