ガールズ&パンツァー~RED FLAG~   作:弐式水戦

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第11章~戻ってきた学園生活の日常と、決勝戦に向けて~
第77話~其々の日常です! ~


波乱に満ちたプラウダ高校との準決勝は、見事、大洗女子学園の勝利で幕を閉じた。

勝利の嬉しさを噛み締めながらも、少しずつ近づいてくる決勝戦に向けて練習……………かと思いきや、大洗女子学園で行われるらしい《とある行事》のため、暫くの間、レッド・フラッグの男子陣には休暇が与えられた。

 

だが、大洗での戦車道の練習に参加する事を除けば大してやる事が無い男子陣からすれば、かなり退屈になるのだ。

紅夜も例外ではなく、自宅で暇をもて余していた。

リビングにてソファーにどっかりと腰掛けた紅夜は、やがてソファーで横になり、ニュース番組をどうでも良さそうに眺めていた。

 

「あ~、暇だなぁ~………………戦車帰ってくるのは明日だから、元々の格納庫に持ってって車内で寝るなんて事は出来ねえし」

 

ソファーで寝転ぶ体勢を変えながらも、紅夜は数分毎に暇だ暇だと呟いていた。

そうして過ごすこと1時間、突然インターホンが鳴った。

 

「ん?誰だ?」

 

気だるげにソファーから起き上がると、紅夜はモニターへと近づいた。

ボタンを押して応答する。

 

「はい、どちら様ですか?」

『おお、紅夜か?俺だよ、蓮斗』

 

なんと、来客は蓮斗だったのだ。

 

「蓮斗か………………あいよ、直ぐ行くから待ってろ」

 

そう言って通話を切ると、紅夜は玄関へと向かっていき、ドアを開ける。

ドアを開けた先には、家の前の門の直ぐ前に、何時ものようにパンツァージャケットに身を包んだ黒髪蒼目の青年--八雲 蓮斗--が立っていた。

 

「ウィ~ッス!元気してたかガキンチョ!」

「お前そんなキャラだったか?」

 

妙にハイテンションな蓮斗に、紅夜は戸惑いを見せながらも家にあげるのであった。

 

 

 

 

 

 

「まぁホレ、コーラでも飲めや」

 

リビングに連れてきた紅夜は蓮斗を椅子に座らせ、コーラを注いだコップを持ってくると、テーブルの上に置いた。

「悪いなぁ、喉カラッカラだったから助かるぜ」

 

そう言うと、蓮斗はコップを片手に持ってグビグビと飲み始める。

 

「プハァーッ!美味ェ~~!」

「お前、居酒屋のオッサンみてェだな」

 

豪快な声を上げる蓮斗に、紅夜は苦笑を浮かべながら言った。

 

「これでも俺ァ70歳ぐらいはいってんだぜ?年寄りは労りやがれ!」

「お前見た目は俺と殆ど変わらねえだろォが!」

 

酔っ払った年寄りのような事を言い出す蓮斗に、紅夜は堪らずツッコミを入れた。

 

「はぁ………………んで?俺に何か用か?」

「あー、別に大した用事はねェんだがよ………………お前、今って暇か?」

「ん?そりゃ暇だぜ?戦車道はお休みだからやる事無いし」

 

そう言うと、紅夜は退屈そうに頬杖をつき、溜め息をついた。

 

「大洗の学校って、よくよく考えたら女子校だもんなぁ~。つーか今考えたら、お前等レッド・フラッグの男子陣って、そんな学校にほぼ毎日出入りしてたんだな」

「あー、言われてみりゃ、確かにそうだわなぁ………………」

どうでも良さそうに返事を返すと、紅夜は椅子から立ち上がってソファーに移ると、そのまま飛び込むようにして寝転ぶ。

それを見ていた蓮斗は、付けっぱなしになっていたテレビへと視線を移す。

テレビの画面には、最近オープンしたと言う新しいアウトレットモールのコマーシャルが流れていた。

それを見た蓮斗は何かを思いついたような表情を浮かべると、コップに残っていたコーラを飲み干して手を打ち鳴らした。

 

「そうだ、アウトレットモールに行こう!」

「………………はぁ?」

 

突拍子も無い蓮斗の発言に、紅夜は間の抜けた声を出して振り向いた。

だが、1度やると言い出した蓮斗はもう止まらない。

 

「良し、そうと決まれば早速行くぞ!紅夜、30秒で支度しな!」

「え?オイちょっと待て、行くっつったってどうやって行くんだよ?少なくともアウトレットなんてモン、この学園艦にはねえぞ?本土なら別だが」

 

紅夜はそう言うが、それで諦めるような蓮斗ではなかった。

 

「じゃあ本土に行けば良いだけの話だ。つー訳で早く支度しろ」

 

最早何を言っても無駄である。紅夜は諦めると、先程まで着ていたジャージから、普段のパンツァージャケットに着替えてきた。

 

「お前、やっぱそのパンツァージャケット好きだなぁ」

「蓮斗よォ、それを言うならお前だって、毎回パンツァージャケット着てるじゃねぇかよ」

「おっと、それもそうだな」

 

そんな会話を交わしつつ、2人は家を出て歩き出した。

 

「それで蓮斗よ、どうやって本土のアウトレットに行こうってんだ?今日は連絡船も来ねえし、ましてや泳いで行くとか、艦載ヘリ飛ばしてもらうのとかは論外だぜ?」

「そりゃそうだ。俺は泳ごうが水上を走ろうが別に平気だが、紅夜の場合は持たねぇだろ」

 

何を今更な事をと言わんばかりの表情で、蓮斗はそう言った。だが、ならば尚更、如何にして本土のアウトレットに行くのだと、紅夜の疑問は募るばかりだ。

 

「なぁ蓮斗よ、どうやってアウトレットに行くってんだ?」

 

紅夜がそう訊ねると、先に立って歩いていた蓮斗は立ち止まると、紅夜の元へと歩いてきた。

 

「それは簡単、瞬間移動すれば良いだけの事さ」

「………………はあ?瞬間移動?何言ってんのお前?そんな人間離れした事出来る訳ねェだろ」

「お前なぁ………………プラウダ高校との準決勝で、怒鳴り声だけで観客席まで届くような突風巻き起こしたり、廃教会のレンガ造りの壁に素手で大穴空けたりしたのは何処のどいつだ?お前でそんな事が出来るなら、俺に瞬間移動なんてチョチョイのチョイだっての。んな訳で、ちょっと失礼」

 

遠回しに紅夜も人間離れしているとだけ言うと、蓮斗は紅夜の左の肩に手を添えた。

 

「それでは、さっきのアウトレットのある場所に、ワープ!」

「ちょっと待てコラ!お前何時の間にそんなわz………………」

 

其処から、紅夜の視界は目映い光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の大洗女子学園では、とある行事の話で盛り上がっていた。

そう、体育祭が近づいてきているのである。

 

この学校では、ちょうど秋に差し掛かっているこの時期に体育祭をするようになっているのだ。

 

「では、先ずは100メートル走に出る人~」

 

静馬達レイガンのメンバーや優花里が在席している2年C組でも、体育祭の話で持ちきりになっていた。

クラス委員の生徒が前に出て、黒板に競技種目や参加人数等を書き込んでいる。

 

「(ふむ、100メートル走に二人三脚に玉入れ、綱引きに500メートルリレー、綱引きに騎馬戦に借り物競争か………………体育祭の王道種目ね。他にも棒引きに大縄跳び、パン食い競争、部活及び必修選択科目別1000メートルリレー………あら、その内の幾つかは地域住民自由参加の種目にもなっているのね。下手をすれば、紅夜が私達の対戦相手になったりするのかしら?そうなれば最後、大洗の女子が全滅してしまうわね。おまけに、紅夜に惚れたりする子が出てこなければ良いんだけど………って、ん?ちょっと待って、1000メートルとか滅茶苦茶な種目考えたの誰?速攻で取っ捕まえて窓から投げ捨ててやりたいわ。まぁ、落ちてからどうなろうが、知ったこっちゃないけどね………………)」

 

落ち着き払った雰囲気のまま机に頬杖をついていながらも、静馬は物騒極まりない事を考える。

因にだが、その種目を考え付いた、常に干し芋を頬張っているK.A.氏は、『突然、死神が獲物を私に定めたような気がした』と語っていたらしいが、それは余談である。

 

そうして時間は流れていき、静馬は借り物競争と雅とペアを組んでの二人三脚に出る事が決まり、他のレイガンのメンバーも、足の速さが売りである雅が100メートル走に立候補したりと、出場する種目を決めていくのであった。

 

「(あ、何か眠くなってきたわ………………まあ良いわよね?今は授業じゃないし、私が出るのは2つだけに決めたし………ちょっと………ぐらい、は………………ンフフッ、紅夜ぁ~………)」

 

黒板の前に群がり、どの種目に出ようかと盛り上がったり、はたまた参加人数がオーバーした種目ではじゃんけん大会が開かれているのをどうでも良さそうに眺めている最中に睡魔に襲われた静馬は、やがて、ゆっくりと瞼を閉じ、想い人との夢の世界へと旅立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……ふわぁ…………あら、何時の間にか寝ていたのね、私」

 

抑えられた欠伸と共に目が覚めた静馬は、教室を見回していた。

寝ぼけ眼で視界がはっきりしていないが、教室が賑やかなのを聞く限りでは、休み時間に入っているようだった。

 

「(さて、皆は何を選んだのかしらね………………)」

 

そう思いながら、静馬は黒板へと近づいていった。

 

「(ふーん、雅は100メートル走にパン食い競争………………あの子らしいわね。和美は騎馬戦と棒引き、紀子は借り物競争とパン食い競争………………あの子、ちょっとでも楽しようとしてるわね?まあ何れを選ぶのもあの子の自由だから別に良いけど………………それで、亜子は100メートル走に500メートルリレーか………………あの子、意外と足が速かったりするのよね………………ん?)」

 

黒板を一通り見終わった静馬は席に戻ろうとしたが、其所で足を止め、再度黒板へと向き直った。

 

「………………」

 

そして、数秒間の黒板の文字とのにらめっこを経て………………

 

「何なのよコレはァァァァァァアアアアアアアッ!!!?」

『『『『『『『『『『『ッ!!?』』』』』』』』』』』

突然絶叫した静馬に、その場に居た生徒全員の視線が突き刺さるが、静馬はそんな事に構わなかった。

 

「ちょっとクラス委員!何処に居るの!?」

 

普段の落ち着き払った雰囲気は何処へやら、鬼気迫る勢いで静馬が声を張り上げると、委員長らしき眼鏡の女子生徒が歩み出てきた。

 

「あの………………何かありましたか………………?」

「あったも何も、ありまくりよ!なんで私が1000メートルリレーに出る事になってるの!?黒板に書いた覚えなんてこれっぽっちも無いわよ!?どうなってるのか説明して!」

 

そう叫びながら、静馬はその女子生徒の肩を掴んで激しく揺さぶった。

 

「えっと、その………………須藤さんが起きる前、生徒会長さんが教室に入ってきて、『須藤ちゃん含むレイガンのメンバーは部活及び必修選択科目別1000メートルリレーに参加してもらうから名前書いといて』って………………」

「オノレェェェェェェェエエエエエエエッ!!!あんの大馬鹿ツインテールのドチビめェェェェェェェエエエエエエエッ!!!!こう言う時にはちゃっかり利用しやがったわねェェェェェェェエエエエエエエッ!!!!!」

 

その大声で、教室全ての窓ガラスにヒビが入ったのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに付け加えるが、その日の昼休み、何処からともなく取り出した大型バールや金属製の大型シャベルを両手に持って振り回しながら、静馬が杏を追い回している姿が校舎中で目撃されたとか違うとか………………

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