ガールズ&パンツァー~RED FLAG~   作:弐式水戦

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第4話~ちょっとしたお話です!~

ある日の昼休み、静馬はレイガンのメンバーと学食で昼食を摂っていた。

午前で選択科目の紙を提出し終えたこの日は、戦車道を選んだ生徒も選ばなかった生徒も関係なく、戦車道の事を話題にしていた。

 

やれ男子にモテたいと言う者、やれ単位が欲しいと言う者、はたまた廃部した部活を復活させようとする者………………戦車道を選んだ理由は、様々なものであった。

 

「皆、戦車道の話で躍起になってるわね………特に、男子にモテたいとか言ってる辺りの子が」

「ええ。でも戦車道やったからって、本当にモテる訳ないでしょうに」

「まあ、単位と食券、それから遅刻見逃し200日っていうのは魅力的だけどね」

 

戦車道の授業を待ち遠しそうに話している1年生の女子生徒達を横目に見ながら、静馬がどうでも良さそうにコメントすると、紀子と亜子が苦笑いしながら言う。

 

その時、突然生徒の呼び出しの放送が入った。

 

『普通Ⅰ科、2年A組西住 みほ、2年A組西住 みほ、至急生徒会室まで来ること。以上』

 

「あら、何があったのかしらね」

 

クラスメイトなのであろう2人の女子生徒達と生徒会室へと向かうみほを見ながら、静馬は呟いた。

 

「さあね……………多分、戦車道やれとか言われたけど拒否して別のにしたから、生徒会の人達が怒って呼び出したんじゃない?」

「亜子、そんな現実にありそうな事を言うのは止めてちょうだい。まあ、亜子の予想がもし本当だとすれば………………世の中って、理不尽ね………」

 

亜子の予想がやけに有り得そうなものだったのか、静馬は世界の理不尽さを嘆くように呟く。

残りの2人も頷くと、昼食の残りを平らげ、教室へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

「ああ、西住さん?そういや今日、放送で呼ばれてたわね。この前生徒会の方々がやって来て、『戦車道やれ』とか言ってたから、多分それを拒否して、呼ばれたんじゃないかしらね?あの人、黒森峰で戦車道やってたらしいし」

「その仮説なら、昼休みにも出たわよ。矢鱈と現実で起こりそうな内容だったから、それ以上考えるのは止めたわ。下手に考えすぎると、憂鬱になるだけだもの。私達とは関係無いんだけどね」

 

放課後、A組に居る深雪を訪ねた静馬は、世間話をしつつ、西住みほについての話を聞いていた。

 

黒森峰出身にして、西住家の長女で戦車道MVPにも選ばれたことのある、西住 まほの妹。

さらに家系から、1年生の時点で副隊長になったとも言われている。

 

家系で副隊長になったとは言え、実力的には副隊長という座に相応しい程に優秀で、普段教室で見せているドジッ娘ぶりとはうって変わって、試合となれば、地形を瞬時に読み取って有利な場所を見つけ出したり、マニュアルに囚われず、その場の情況に臨機応変に対応できるともいう。

黒森峰についてそれなりに調べていた深雪から、様々な情報を聞いた静馬は、余談のように聞かされる黒森峰の歴史や、みほについての事を聞いては、驚きや感嘆の感情を含んだ声を上げていた。

戦車道全国大会では、9連覇していたと聞いた時には、それはそれは驚いたそうな。

 

だが、昨年の戦車道全国大会では、とある事件で優勝を逃し、みほはまるで、黒森峰や戦車道から逃げるように、この学校に転校してきた。

 

だが、この学校で戦車道が復活し、生徒会から戦車道の履修を迫られた際には、あたかも余命3日を宣告され、世の中に絶望する患者のように、目は光を失って歩き方もおぼつかなくなり、午後の授業でも途中から抜け、沙織や華に連れられて保健室行きとなり、それから終学活まで、教室には戻ってこなかったというのだ。

 

因みに、沙織や華も帰ってこなかったが、深雪は彼女等が仮病を使って、みほに寄り添っていたという事には気づいていたらしい。

 

「成る程ね………………それで、結局彼女はどうしたの?」

「ああ、戦車道を選んだと思うわよ?一緒に帰ってきた武部沙織(たけべ さおり)さんと五十鈴 華(いすず はな)さんとの話からして、それっぽかったし」

「そう……………彼女も頑張るわね………」

 

何かしらの理由があって、戦車道が無かったこの学校まで態々転校してきたというのに、生徒会から戦車道の履修を迫られ、授業を抜ける程のショックを受けたのにも関わらず、再びやろうとするみほに、静馬は感心していた。

 

「なんなら、今からでも戦車道に乗り換える?特典が凄いわよ?」

「止めておくわ。レッド・フラッグのメンバー全員が揃って初めて、戦車道をやる気になったんだもの。それに、今のところは誰にも私達の正体はバレていないようだから、この際何時までもつか、試してみたいじゃない?」

 

まるで子供のように言う静馬に、深雪は溜め息をつきながら言った。

 

「貴女って、基本的に落ち着いてるけど、時折子供みたいな事を言い出すわよね」

「それが高校生ってヤツなのよ」

 

そんな会話を交わしつつも、彼女等は教室を出て、家路についた。

 

 

余談だが、その日の下校中の事。

 

静馬はここ数日、下校中に紅夜と会うことが多かったため、今日も会えると期待していたのだが、今日は会わなかったため少し残念そうにして、それをイジった深雪に顔を真っ赤にした静馬が、何処からともなくハリセンを持ち出して制裁を加えたらしいのだが、それを紅夜が知ることは……………

 

 

 

「ぶえっくし!…………誰か俺の噂してんのかねぇ…………それとも風邪かねぇ?」

 

 

 

 

恐らく、永遠にないだろう。

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