夢が突如、背中に受けた謎の攻撃。その一撃は四葉の訓練を施され、兵器として完成しつつある夢の意識を狩り取った。
――ほんの一瞬だけ。
決定的致命傷を負ったのは明白であった。普通であればこのままなすすべなく、地面に崩れ落ちて絶命したであろう。
しかし。夢は普通でなかった。
ダンッ! と、夢は震脚でも行うかのような勢いで足を地面に叩きつける。その行為は前のめりに倒れることの防止以上に、新たな敵へと接近する為の行為であった。
後ろに飛びそのまま再び魔法で加速を始める夢。顔は僅かに左を向いており、目の端で黒いローブを深々と被った敵の姿を捉える。
「ぜってー逃がさない」
口内で小さく呟いた夢は、襲撃者の近くまで飛ぶと、左手で裏拳を放つ。
「っ!!」
夢が戦闘不能にならなかったことがショックだったのだろう、一瞬遅れて顔をガードした襲撃者は、重い拳の威力を殺しきれず後方に飛ぶ。
「無駄無駄無駄ぁ!」
夢は裏拳を放った勢いで、空中にある体を無理やり反転させ、地面を蹴り襲撃者を追撃する。
「しまっ!?」
空中に倒れている襲撃者は体を動かすこと叶わず、自らの頭部を夢に掴まれることを回避できなかった。
「『
夢は一瞬だけ笑った襲撃者の顔を見ることはなかった。
***
「あー、骨が折れたぁ」
「それは肉体的にか? 精神的にか?」
「精神的に」
同じ黒ローブを羽織った男達は、とある空家でおちあった。
片方はボロボロとなったローブを羽織っているが、目立った外傷はない。
「それにしてもこちら側の『呪術者』がやられたのはかなりの痛手だな、流石に相手を軽視し過ぎたな」
「軽視していたのは呪術者である奴だけだ。俺達はかなり綿密に、あの気楽にことを進める馬鹿に合わせて作っていたんだぞ……それなのにあいつは最後の最後であんな勝手な行動にでやがって」
吐き捨てるように愚痴を零す黒ローブの男。
「まあいいじゃないか。ギリギリであってもあちら側の……こちらの情報網では最も危険視されていた呪術者を殺せたんだ。目的は果たした」
「それでも弱体化は否めないな……しばらくの間は、あの呪術者を殺したことの背に隠れる羽目になりそうだがな」
すっかり疲れた様子でソファーに腰を下ろす男。
「お前がもしもやられた場合は俺が責任もってあの呪術者の居場所を突き止めて本部に持ち帰らないといけなかったからな」
「呪術者を特定できたのはこちら側に呪術者がいたおかげだからな。今あの呪術者の顔を知って生き残ってるのは俺とお前だけか」
「そうだな、待機してる人間はまだ知らないだろうし。よし、さっさと戻ろう。仲間が来る可能性もなくはないしな」
「そうだな……ああ、一つ言い忘れていた」
ボロボロの黒ローブの男は、袖に隠していた拳銃型特化CADを取りだすと、ソファーに座っている男に銃口を向ける。
「……何のじょうだ」
「あの人には逆らわない方がいい」
男の返事を聞かず、引き金を引く。
何の音もなく、ソファーに座る男の首が跳ね飛ばされた。
「
仲間を殺害した男は、自らの口で銃身を咥えると、迷いなく引き金を引いた。
***
「あ、別に銃じゃないんだから咥えさせる必要もなかったなぁ」
司波家――夕食をとっている最中の夢はボソッと呟いた。
「どうされたんですかお姉様?」
深雪が首を傾げ尋ねてくる。可愛らしく唇に指を当てて考え事をする夢を見て、達也は気付いた。
「夢。相手はどこだった?」
「大亜連合。安心して、相手は全滅させといたよ」
「お姉様!? お怪我は!?」
取り乱す深雪を、手と表情で落ちつかせ夢は微笑む。
「達也の魔法をコピーさせて貰ってたからね。怪我なんてないよ」
「そこまでの相手だったってことか?」
「いいや、ちょっと不意を突かれただけ。ていうか最初の相手が呪術師だったからね。そのせいだよ」
「そうか……」
達也は安心したように目を閉じた。
「何にせよお前は戦力を削る。という一点に置いては最も狙われやすい立ち位置にいる人間だ。注意しろよ」
「あいあいさー!」
さまになっている敬礼を決めると、司波家の食卓に小さな明るい笑いが生まれた。
今までの自分の上げてきたものを見ると文章ひどいですね…。
時間ができたら少し修正しようかなとか思ってます。