ソードアート・アライブ   作:wasu

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レッシブさんの指示を聞くとみんなは一斉に首に攻撃するために足を攻撃をして体勢を崩したり、腹に攻撃をして確実にダメージを稼ぐ人もいた。
そうしてなんとか一人の死者も出さずにゲージを2本にまで減らした。

「グオオオォォーーー!!!」

デュラハンが叫ぶと部屋の後方にいた馬の目が光りこちらに向かってゆっくりと動き始めた。
その歩いてくる様はみんなの視線を釘づけにするほど勇ましかった。

分からない方は前話をご覧ください。
それでは楽しんで 第八章謎の少女 をご覧ください。



第八章 謎の少女

部屋の向こう側からあの大きな馬がズシン、ズシンと地面が揺れるような音を出しながら進んでくる。

そして俺とみんなの近くにいた黒騎士がこちらに向かって歩いてきている馬に向かって歩き始めた。

みんなはその異様な光景をただただ見ているだけだった。

その中でただ一人、レッシブさんだけが状況を把握できた。

(そ、そうだ今のうちに全員の回復と軍隊の配列を組み直すか)

 

「おい!今黒騎士が馬に向かっているうちに全員回復するんだ!それとあいつが馬に乗って攻撃してくる場合の陣形になれ!」

 

『お、おう!』

 

最初みんなはレッシブさんの大きな声で言われた命令に少しビビったがその命令で状況を把握できた。

すぐに行動したため全員の回復が完了し、陣形が完成した。

その陣形とは防御力が特化している人たちを三班に分け前線に置きあいつの攻撃を受ける。

防御組の手が空いている人はその人を回復させ少しでも生き残らせる。

そしてあいつが防御組に集中している時に攻撃に特化した人たちの攻撃組が隙を狙って攻撃を仕掛ける。

 

そう、この陣形はレッシブさんが過去に仲間を亡くしその思いからつくられた陣形だった。

この陣形は今回が二回目で一回目の時は第六層のボス戦で使われた。

しかしその時はレッシブさんや他の人の行動ミスで死者が20人に上った。

だが今回はその時とは違う。

俺がこの武器をゲットし、相手の弱点を見つけレッシブさんの完璧な命令、この上ないような好条件が揃った今しかないとレッシブさんは思ったのだろう。

デュラハンもこちらに馬の顔を向け突っ込んでくるような姿勢をとりしばらくたって動きが止まった。

こちらはその様子を窺いながら腰を曲げ低い姿勢でゆっくりと進む。

 

ガコッ

 

と固まった石像が何百年ぶりと動くような鈍い音が鳴りデュラハンを乗せるあの大きな馬の目が赤黒く光った。

 

「全員注意しろ、来るぞ」

 

レッシブさんが言った瞬間に大きな鳴き声をして馬が突っ込んできた。

それに続けてデュラハンも威嚇をするように雄叫びをあげた。

 

「グオオオォォオオォーーー!!!」

 

速いっ!

あの大きな体格でこんなに速く動けるのはこのゲームでこいつだけだろう。

 

「き、消えた!」

 

俺の班の左前にいる班の片手剣使いのどこにでもいそうな普通の男性が声を出した。

俺はその班の男性を見た後デュラハンがいたとこを見ると確かにそこにはあいつはいなかった。

本当に消えた。

どこに行ったかは分からない。

ただこの部屋にいることだけは分かる。

 

もうあいつが消えてから15秒が経つ。

さすがにみんな何かしらの疑問が出てくる。

「まだ攻撃は来ないのか」と。

すると俺の二つ前にいる男性が覗き込むようにゆっくりと立ち上がる。

と、その時俺の目には紅に染まった真っ赤な血が立ち上がった男性の頭、腹、右足から吹き出た。

 

「う、あ・・・・・・・」

 

声に出ないほどの速さと痛み。

そしてあの攻撃力。

俺よりも少し防御力は劣っているがそれでも一撃であの世行きだ。

その光景にみんなは口と目を大きく開け驚いたほどではすまないような顔をした。

この数秒が何十分と感じた。

辺りがシンと静まりかえる。

するとその血だらけになった男性は光となって消えた。

つまり死んだのである。

またこの陣形で死者が出た。

 

「くっ!・・・・・・全員立つな!立ったら死ぬぞ!」

 

俺の隣にいたレッシブさんが大声で言う。

しかしその言葉に俺のパートナーである十香が光となって消えた男性のほうに走って行った。

 

「お、おい!大丈夫か!?」

 

「え?ちょ、十香!!何してんだ!」

 

レッシブさんが立つなというのに走って行った十香を俺は追いかけてデュラハンに斬られる前に戻ろうと思っていた。

ホントにあいつは誰にでも迷惑をかける。

困ったもんだ。

おっと急げ急げあの攻撃を喰らったら死んでしまう。

 

「な、何をしているシドー!離さんか!あいつを助けに行かねばっ・・・・・・・・」

 

俺は十香の腹を両腕でガシッと掴んでそのまま持ちあげレッシブさんのところまで運んで行った。

 

「あの人は死んだ!デュラハンに殺されたんだよ!」

 

「んなっ!・・・・・・・」

 

俺は十香に少々キツイことを言ったが真実を言っただけなんだが相当つらかったらしい。

 

――――――グシャッ!

 

俺の後ろで何やら気持ちの悪い音がした。

また誰かが殺されたのかそれともデュラハンの足音なのか。

ただ分かるのはみんなが俺と十香を見て先ほどと同じような顔をしていた。

俺は十香をそのまま俺の班の後ろまで運んだ。

 

「なっ!シドー、どうしたのだその傷は!!」

 

俺は最初十香が何を言っているのか分からなかった。

十香は俺の背中を見ていた。

それどころかなぜみんなが俺を見ているのが分からなかった。

 

「十香何言ってんだ?俺はどこも怪我してないけど・・・・・・痛っえぇ!!」

 

俺の背中に電気が走ったような痛みがきた。

これまでに感じたことのない痛みだ。

こんなのを防御組の人たちは喰らっていたと思うと相当キツかったのが分かる。

とんでもなく痛い。

 

「君が負傷してしまうとあいつにこれ以上のダメージが与えられない・・・・・・・」

 

レッシブさんがそっと言う。

それに続き他の人たちも頭を下げる。

 

『確かにそうだ・・・・・さっきあんなにダメージを与えていたのにこれじゃな・・・・・・・』

『回復してまた攻撃を仕掛けようにも敵が見えないし・・・・・・・いつ斬られるかわからないのに突っ込んでいくのは自殺行為に等しい・・・・・・・』

『このままだんだん殺されていくのかな・・・・・・・』

 

俺のせいで軍の士気を下げてしまった。

レッシブさんに合わせる顔がない。

・・・・・・・・・・・・ん?

回復液を塗って回復すればこの傷は治せるんじゃないか?

背中だから誰かにつけてもらわないと・・・・・・・そうだ十香に塗ってもらおう。

 

「十香俺の背中に回復液を塗ってくれないか?」

 

「う、うむ分かったぞ・・・・・・・だが塗ってどうするのだ?その傷ではすぐに動くのも難しいと思うが」

 

十香の言葉にレッシブさんが頭をあげ俺の顔を見る。

 

「そうだ、塗ってもすぐに動けるわけではない・・・・・・むしろ無理に動こうとしたら傷が悪化してしまう」

 

「それでも・・・・・・・俺がやらなきゃ誰がやるんですか!」

 

キレてしまった。

今まで俺の体のことや他にもいろいろと心配してくれたレッシブさんにキレてしまった。

確かにすぐに動けば傷をさらに悪化させて下手をすれば動けなくなってしまう。

なぜなら背中に傷を負っていて脊髄まで傷が広がれば動かなくなってしまうからだ。

 

「一つだけ案がある」

 

レッシブさんが口を開ける。

一つだけ案がある、という言葉にみんな下がっていた頭を上げた。

そしてみんなレッシブさんの顔をジッと見た。

 

「そ・・・・・・・その案とはなんですか?」

 

俺はその案が気になったのでレッシブさんに問う。

 

「それは君以外の俺たち全員があいつの気をそらして時間を稼ぐその隙に動けるようになった君があいつの弱点である首を攻撃するんだ、一撃で死ななければ何回も攻撃するんだ、それともう一つ君に言っておきたいことがある」

 

言いたいことって何だろう?

もしかして「死ぬな」とか「生きてここを出よう」みたいなカッコイイ言葉か?

期待が高まる。

 

「あの馬も攻撃対象だからデュラハンを倒したらすぐにあいつを倒さないと振り落とされてしまうからな気をつけろよ」

 

「へ?・・・・・・あ、はいありがとうございます」

 

アドバイスでした!

何を期待していたのかな!?

・・・・・・・・気を取り戻してっと、それじゃあしますか。

ん?あの高さを一人で登って首まで行くのは無理があるな。

登っている最中に攻撃か振り落とされるかわからないがどちらもいい予感はしない。

レッシブさんは指揮で忙しいだろうし、エギルさんとクレインさんは攻撃組だし、残るは・・・・・・・・十香のみ。

 

「レッシブさん、僕一人ではあの高さを登れないのでパートナーの十香を手伝いとして連れて行っていいですか?」

 

俺はレッシブさんの顔を見て言った。

レッシブさんは俺の瞳をしっかり見てまるで俺を信じているような顔でゆっくりとうなずいた。

 

「十香、行こう」

 

「うむ!」

 

俺は十香の瞳を見た後レッシブさんの瞳を見て合図を送った。

だが軍の士気は一向に上がらずみんな協力してくれなさそうだ。

 

「おい、お前ら何故下を向く・・・・・・下を向いていても何も始まらない・・・・・それにこれまでに死んでいった奴らにこんなだらしない格好を見せられるのか?」

 

『そ、それは・・・・・そうですけど時間を稼いでいる間殺されたら元も子もないじゃないですか・・・・・・・』

『俺もそんな負け戦はしたくねぇ』

 

レッシブさんが必死に説得をするが誰も応じてくれない。

それも無理はないだろう。

目の前で仲間が一人殺されたのだから。

今までに何度も仲間が殺されてきたが今回のように目の前でズタズタにされ血が吹き飛んだ光景はさすがに応えたんだろう。

血が吹き飛ぶのはこの世界で何度も見たが誰もその「生温かさ」と乾くと「べたべた」した感じが経験をしたことがなくて駄目だったんだろう。

俺もあの感じは嫌だ。

体験したことないけど・・・・・・

 

「あぁ俺も負け戦はしたくない・・・・・・だから俺はお前らを死なせない、負け戦はしない、俺が保証する」

 

レッシブさんはさらに説得を続ける。

すると右の班にいた《ビーター》キリトが口を開く。

 

「それにまだ俺とアスナがいる」

 

・・・・・・・・・・・・

沈黙の時間が続く。

 

「キリト君!私まで火傷したじゃないの!」

 

アスナがキリトの後ろから叫ぶ。

その声はこのフロアに響いた。

 

「なんだよ火傷って・・・・・・」

 

その声が聞こえた瞬間にふふっと笑いの声が聞こえてくる。

 

『ま、まぁそうだな、確かにあんたらもいるさけ死にはせんな』

 

関西弁の男が陽気に喋る。

この会話がきっかけでだんだんと士気が上がっていく。

 

「確かにそうだ、こっちにはビーターがいるんだ、みんなやってみないか」

 

『おおおー!!!』

 

こうしてキリトとアスナの会話のおかげで完全に士気が上がった。

みんなやる気が出た。

 

「よし!それじゃあ作戦を言う、まず相手がどこにいるかわからないため一つの班になって行動する、そして盾を持っている奴と防御力が高く体力も高い奴はあいつの攻撃を受けてもらう、攻撃はキリト君とアスナくん、それと・・・・・・」

 

レッシブさんはいきづまり俺のほうに顔を向ける。

多分まだ俺と十香の名前を知らないのだろう。

 

「あ、士道ですそれとこっちは十香です」

 

「む?なんだシドー、何か言ったか?」

 

「い、いやなんでもない」

 

「そうか・・・・・・」

 

十香となんでもない会話が流れる。

 

「あ、ありがとう・・・・・・その二人とこの士道君と十香くんが攻撃だ、攻撃組は防御組を防御組は攻撃組を信じろ・・・・・・行くぞ!!」

 

『おお!!』

 

みんな立ち上がりフロアの中心へと走った。

身につけている鎧の音がうるさいほど鳴る。

俺と十香は右側、キリトとアスナは左側だ。

もちろん相手が現れるまで盾を持っている人の後ろで待つ。

するとあいつは一人ひとり殺すのは無理だと判断したのかはわからないがフロアの奥で姿を現した。

 

『ッ!!』

 

全員身を構える。

あいつから現れるなんて思ってなかった。

 

「全員突撃ー!!」

 

レッシブさんは先ほどとは違う指示を出した。

だがみんな彼が瞬時に判断したと思った。

 

『お、おおおー!!!』

 

的を防御組にさせるため防御組の人たちだけデュラハンに向かって突っ込む。

そして俺はアスナの顔を見て準備が完了した合図を送る。

キリトとアスナは馬の脚を斬って体勢を崩し相手が一時的に攻撃できないようにする。

そして俺と十香が体勢が崩れたのを見計らって相手の首まで十香に肩車をしてデュラハンによじ登る。

これでこのボスは攻略できる。

これは俺とキリトとアスナと十香で考えた作戦なんだがそう上手くいくのか不安だ。

 

「グオオォォォオオーー!!!」

 

その時デュラハンの声が聞こえた。

その声は普段と少し違っていた。

そう、あいつがきれいに横に倒れている。

 

「早っ!!」

 

「おお!それでは行くぞシドー!」

 

早い、さすが指揮がレッシブさんのことだけはある。

おそらく一点に集中して攻撃をさせたんだろう。

そっちのほうがダメージを一気に与えられる。

俺はまたアスナのほうに向き攻撃の合図を送る。

 

「よし、十香行くか」

 

「うむ!」

 

全力で走る。

だがただ走るだけではない。

左側にいるアスナとキリトにタイミングを合わせなければいけない。

左を見て少しずつ調整しながら走る。

あと6メートル。

この距離になるとデュラハンの大きさが分かる。

倒れているせいでもあるが思っていたのと違って案外小さい。

これなら一人でも登れそうだ。

 

「アスナ!君は腹を斬るんだ、そして僕がスイッチする!」

 

左側ではもう攻撃が始まっている。

俺も早く攻撃に入らなければいけない。

 

「十香は下でアスナ達と攻撃をしてくれ、俺はこいつの首を斬ってとどめをさす、こいつが起き上がりそうなら脚を斬るんだ」

 

「うむ、分かったぞ!」

 

ガキッン!ドスッ!グシャッ!パキィン!

 

さまざまな攻撃音が聞こえる。

金属を斬った時の音や皮膚を斬った時の音などいろいろな音が聞こえる。

俺はあいつの体力がゲージ一本になるまで攻撃をチャージして待つ。

そして次の瞬間こいつのゲージが一本になった。

 

「ッ!!」

 

「いけぇ!!シドー!!」

 

「いっけぇ!」

 

「士道君今よ!」

 

『『きめてくれぇ!!!』』

 

全員が声を上げる。

声が枯れるほどに叫ぶ。

俺の剣はその全員分の思いが詰まっている。

一撃で仕留める。

その一心で俺の剣をデュラハンの首に向けた。

 

「くらええええぇぇぇ!!!!!!」

 

俺の剣はデュラハンの首に刺さった。

それも刃の部分全部が刺さっている。

その刃は大きな馬の背骨までいっている。

こいつらは何も言わない。

即死だ。

ゲージ一本をこの一撃で減らした。

それよりも凄いのはこのゲーム始まって以来の「死者1名」という記録だ。

デュラハンと馬は「パアァン」と光の粒となった。

フロアの奥にある扉には「ゲームクリア」と書かれている。

 

 

         『『『ッやったぞーーーー!!!!!』』』

 

 

みんなそう言って味方同士とハグをしたり肩を組んだり、踊っている奴もいた。

そんな中十香は一人だけ先ほどまでデュラハンがいたところを凝視している。

 

「何してんだ十香、みんなこっちで楽しく・・・・・・・やっ・・・・・・てる」

 

十香が目をやるそこには一人の少女の姿があった。

ウサギの耳の飾りが付いたフードを被った、蒼い髪の色の少女だ。

歳は12、3歳ほどだろうか。

ぶかぶかの大きなコードに、変な材質でできたインナーを着ている。

そして左手にはウサギの人形(パペット)を装着していた。

多分これは夢ではない。

 

「シ、シドーこれは・・・・・・」

 

「う、うん・・・・・・なんだろう」

 

するとその女の子は眼をゆっくりと開け口を動かす。

 

「・・・・・・あ・・・・・・なたは・・・・・・」

 

「俺は五河士道、君は?」

 

「わ・・・・・・たし・・・・・・は」

 

ぎこちない言動と口調。

怖がっているのか生まれたての赤ちゃんのようにまだ言葉をあまり話せないのかは分からないがなんだか守ってあげたくなる。

すると左手にある人形(パペット)がゴソゴソと動く。

 

「ん?なんだいお兄さんたち?この「四糸乃」と「よしのん」に何か用?」

 

不思議な光景だった。

本人が「四糸乃」なのか「よしのん」なのかわからない。

だが本人がパペットを操って腹話術をしているのは分かった。

まるで感情が別々のように話している。

俺の人生の中ではこの上ないような不思議な光景が目の前に流れていた。




こんにちは。
お久しぶりです、wasuです。

今回は大作となってしまいました。
どうでしたでしょうか?
楽しい話になっているなら幸いです。

投稿遅くなってすいません。
予定の日から5日ほど遅れてしまいました。
申し訳ありません。

小説を二つも書くとなると時間がかかってしまい遅れてしまいます。
もう少し早く投稿するようにします。

それでは次回 「第九章 氷結傀儡」 です。
お楽しみに!
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