本人が「四糸乃」なのか「よしのん」なのかわからない。
だが本人がパペットを操って腹話術をしているのは分かった。
まるで感情が別々のように話している。
俺の人生の中ではこの上ないような不思議な光景が目の前に流れていた。
分からない方は前話をご覧ください。
それでは楽しんで 第九章氷結傀儡 をご覧ください。
「ごめん、腹話術じゃなくてそのまま話してくれると嬉しいんだけど・・・・・・・」
俺がその一言を放ったとたん蒼髪の少女と
そしてまた眼を開けると恐い表情を浮かべ厳つい眼差しを送ってくる。
するとパペットが俺の顔にじわじわと近づいてくる。
『腹話術?なんのことかな士道君?君の言っている意味が分かんないんだけどな?』
怖い!
怖すぎるだろ!
何かしらのスイッチに触れたみたいだ。
えっととりあえず腹話術のことで怒ってるから何か言い訳をしないと。
「そうだよな、「四糸乃」は「四糸乃」、「よしのん」は「よしのん」だよな!あはははは・・・・・・・」
『やっと分かってくれた?士道君は面白いねーいいよそういうの』
あーよかったー。
どうにか機嫌は戻せたようだ。
でも未だにどっちが「四糸乃」なのかわからない。
そんな思いが俺の頭の中を駆け巡る。
うーん思いきって言ってみようか。
「四糸乃ってどっちのほうかな、教えてほしいんだけどいいかな?」
『四糸乃はこっちだよー、んでよしのんはこっち』
パペットは蒼髪の少女に向かって四糸乃という。
そして次に自分を指差してよしのんという。
なるほど、やっと分かった。
「ありがとうよしのん教えてくれて、えっと俺たち今から第九層に行くけど四糸乃とよしのんも来る?」
「あ・・・・・・えっと・・・・・・お願い・・・・・・します」
『四糸乃がそういうならよしのんもいいよー』
俺は四糸乃という少女と共にゲームクリアを目指すことになった。
そして俺は気がついた。
十香のことを無視していたことを・・・・・・
恐る恐る振り返ると「むー」と口を膨らませて可愛らしく怒っていた。
「あぁすまん十香、紹介するよこっちが四糸乃でこっちがよしのんだ、これから一緒に行動することになった」
「うむ・・・・・・その、十香だよろしくな四糸乃という者」
「よろしく・・・・・・お願い・・・・・・します」
『よろしくねー十香ちゃん』
俺は十香に新しく仲間になった四糸乃とよしのんを紹介した。
十香と四糸乃は握手をした。
よしのんも握手されている手に乗っかって握手みたいなのをした。
四糸乃とよしのんはおそらく”記憶”がないのだろう。
だが二人とも(四糸乃とよしのん)十香が女の子ということもあって話しやすそうだ。
しかしこの状況は未だに受け入れられない。
本当に二人は人間なのか。
服は変な材質でできてそうだし、よしのんは腹話術ではない、つまりよしのんは自分の意思で喋っているということになる。
分からん!
もう誰か助けてください!
俺は頭をワシャワシャした。
「シドー、何をしておるのだ?」
「ん、いやなんでもない」
「む、そうか・・・・・・」
十香はさっきからなんだか不機嫌だな。
やっぱり無視したのが効いているのかな。
どうしたら仲良くなれるのか。
思い出せ!
俺の頭に叩き込まれた殿町の台詞を!
あ!あれなんてどうかな?
「十香・・・・・その後で
俺は十香の耳元で呟く。
十香は最初「ひゃっ」って驚いたがそのあと冷静に俺の声を聞いた。
十香は俺の言っている意味が分かったのか分かってないのかわからないが顔が全部赤くなっている。
トマト並みに赤い。
今にも頭が爆発しそうだ。
「ううううむ!いいとも!是非話をしようじゃないか!・・・・・・」
言葉がガタガタである。
この言葉から後は何を言っているのかわからなかった。
十香は必死に何かを喋っていたが俺は後ろの盛り上がっている集団を見ていた。
すると俺の腰をツンツンと指で突いてくる感触があった。
四糸乃だ。
「どうした四糸乃?何か食べるか?」
「・・・・・・・・・・・・」
俺はメニューからパンを取り出し四糸乃に渡した。
四糸乃は何も言わずがぶがぶとパンにくらいついた。
お腹が減っていたのだろう。
すごい勢いだ。
あっという間にパンがなくなった。
「士道さん・・・・・・これから・・・・・・どうする・・・・・・んですか?」
「うーんとりあえず第九層へ行って宿で一回物事を整理してボス攻略のためにレベル上げかな、もちろんその時には四糸乃とよしのんもよろしく」
「はい・・・・・・わかり・・・・・・ました、お願い・・・・・・します」
その言葉を聞いて安心した。
「レッシブさん、僕たち先に第九層行っていますね」
俺はレッシブさんのところに駆け寄って挨拶をする。
とても楽しそうだった。
流石に今回のボス攻略戦はキツかったようだ。
でも死者は1名。
奇跡的な結果だ。
そんな記録を生み出したこの人たちとボス攻略が出来て嬉しい。
「ああ分かった、先に行っとってもいいぞ」
「ありがとうございます、おーい十香行くぞ、それと四糸乃も」
俺は楽しんでいる集団の中にいた十香を呼び後ろにいた四糸乃と一緒に十香を迎えに行った。
そして三人で第九層への扉を越えた。
2ヶ月が経った――――――――――――
「そこだ十香!いけえぇぇ!!」
「はあぁぁっ!!」
あれから2ヶ月、今俺たちのいる層は第16層。
この層の主な街の名は”オリスト”
ここには『グリセ』という女性の墓がある。
この墓はNPCのものではなくこの世界で亡くなった人の墓である。
グリセさんが所属していたギルドは《紅蒼騎士団》
同じギルドの所属する
使用武器は長剣で、その腕はレイピア使いのアスナと一位二位を争うほどの腕だ。
グリセさんの現実世界の名前は「良美」。
たまたま倒したモンスターから敏捷力を上げるA級レア指輪をドロップした為、売ることになり、第15層の街にいったが帰ってこなかった。
そう殺されたのである。
暗殺ギルド《ブラッドホース》によって・・・・・・・
ギルドは第14層で創れる。
そもそもギルドというのはギルドマスター(GM)を中心にした固定メンバーによる集まりの事をいう。
ゲームにより異なるが、ギルド専用チャット・メール・掲示板といったコミュニティーツールが使えたり、ギルド同士の戦闘イベント(死にはしない)に参加することが出来るものもある。
主な活動内容としては、ギルドメンバー同士で狩りを行うギルドハンティングやギルド同士の戦闘イベント(死にはしない)の参加が挙げられる。
だがそんな中でレッドギルドが存在する。
レッドギルドというのはゲームオーバーが現実の死となるこのSAOにおいてあたり前のようにPK(プレイヤーキル)を行う快楽を求めて殺人をする集団のこと。
次から次へと新しい手口を開発してそれの実験の為に多くのプレイヤーを目的無く殺害していき、多くのSAOプレイヤーを震え上がらせた。
カーソルはオレンジであるが他のオレンジギルドとは違い、目的を殺人そのものとするために区別されレッドギルドと呼称される。
そんな奴らがこのゲーム内をうろつきまわっているため誰がいつ殺されるか分からない。
その対策でソロで動くのは危険なので3~5人のグループで動くようにと指示されている。
俺たちは十香と四糸乃とよしのんと俺の三人(プラス一匹?)がいる。
しかし俺が今気になっているのはあのソロプレイヤーキリトとアスナが気になる。
どんなに強いあの二人でも暗殺ギルドの連中5~6人をまともに相手をすれば命はないと思う。
そんな気持ちが毎日ある。
今日もその気持ちを抱えながら明日を迎えることになるとがいつまで続くんだろう。
俺は暗くなってきたので十香と四糸乃を呼び今日も宿で一泊。
「十香、もう遅いから四糸乃と先に寝ててくれ」
「うむ!分かったぞ!」
「はい・・・・・・」
四糸乃と出会ってもう2ヶ月・・・・・・・・・・・・
四糸乃の言葉はだんだんと速く言えるようになり人見知りもなおりつつある。
だがあの不思議な素材でできた服やインナーのことはなんて言われるか分からないから聞いてない。
ここ最近ギルドに入りたいという願望がある。
もちろん普通に親しくできるギルドに入りたい。
例えばクラインさんが立ちあげた『風林火山』とか現在SAO最強と称されるギルド、『血盟騎士団』とかいいな。
他にもレッシブさんの『紅蒼騎士団』でもいいと思うけどグリセさんが亡くなったことがきっかけに続々とギルドのメンバーが抜けていっている。
そんなときに俺たちが入っていっても迷惑なだけ・・・・・・・・・
「ふぁ・・・・・・眠い・・・・・・俺も寝るか・・・・・・・」
考え事をしていたら眠くなった。
アイテムの整理はここまでにしておこう。
俺は十香と四糸乃の部屋の隣にある部屋で寝た。
翌日――――――
俺は朝いつもより早めに起きた。
その理由は今日の朝最新版のギルド掲示板が建てられるからだ。
その掲示板は一つではなく3つほどある。
それは暗殺ギルドや上位ギルド、出来たてギルドなどのギルド全てが載るからだ。
だから俺は月に一回更新される掲示板が今日更新されるとのことなので見ることにした。
十香と四糸乃達を置いていくのは少し心配だがちょっと見てくるだけだから大丈夫だろう。
「よし、じゃあ行ってくるか」
俺は念の為わずかなお金とアイテムを持って出た。
目の前には石でできた長い道が繋がっておりその向こうに掲示板が出されている。
人がぞろぞろと左のほうへ走っていく。
掲示板のところを見てみると人が溢れかえっている。
「うわっ多いなー、大丈夫かな?」
俺は急いで掲示板のほうへ行く。
掲示板に着いた直後は何もなかったがその後から人がたくさん来た。
俺は体中を押され掲示板が見れずに少しイライラしてきた。
「はぁはぁ・・・・・・ちょっまっ・・・・・・多いわ!」
心の中に秘めていたことがぽろっと出てしまった。
すぐに周りを見る。
だがたくさんの人がいてその人たちほとんどが声を出していたのであまり聞こえてなかったらしい。
良かったーと心の中で安心した。
ここの掲示板は上位ギルドの掲示板なので一旦離れて新米ギルドを見ることにした。
新米ギルドの中に一つ気になるものがあった。
そのギルドの名前は『シルバードレーフ』というギルド。
新米というよりどちらかといえば中位ギルドだ。
レベルアップが目的でボス攻略が目的ではない。
そのため危険なことが少なく人数も30人入れるのにこのギルドが出来てから一週間ほどで23人も入っている。
よほど人気なのかもしれない。
俺はここにしようと決め掲示板に張り付けてある申請書をとりそのまま宿へ向かった。
「急いで十香達にも知らせないとな」
早歩きで宿に向かっている途中に右にある小さな裏道に何か人影が見えたので戻ってみてみる。
するとそこには信じられない光景が広がっていた。
一人の女性が拳銃を男性に向けている。
周りには他の人と思われる血が壁や地面に飛び散っていた。
女性がこちらに気づいたのかフラッとこっちを見た。
「あらあら見られてしまいましたわね、『ボス』からは見られてはいけないと言われていたのですけど見られてしまうとは思いもしませんでしたわ」
不気味に笑っている女性はこちらを見て呟いた。
顔には返り血が付いている。
(こちらから見て)左目は紅のように赤く右目は暗黒色の髪で隠れている。
服は四糸乃同様何か不思議な素材でできてそうな黒と赤に光るドレスだ。
「あ、あぁ・・・・・・・・」
俺は声も出なかった。
それもそうだ、俺は目の前に広がっている光景は暗殺ギルドがプレイヤーを殺そうとしているとこを見てしまったんだから・・・・・・・・
しかしこの女性のことは知っていた。
暗殺ギルド《ブラッドホース》の三大幹部の一人である・・・・・・・・
「お、お前は『不死身』であり、
「あらあら、私をご存じで?情報というものは恐ろしいですわね、ええ、ええ恐ろしいですわねぇ怖いですわねぇこの私でもゾクッとしてしまいますわ」
独特な口調、そしてなりよりも『不死身』というのがこいつの特徴である。
こいつが不死身でとんでもなく強い原因は未だに分かってない。
いろいろと考えていたので俺はそこにずっと何もせずに立っていた。
「何を考えていますの?私を殺すのは無理ですわよ?だって死なないんですもの」
「き、君はどうして人を殺したがる?何が面白いんだ?」
ふっと声が出たがそんなことは気にしなかった。
むしろ彼女のことについて知りたかった。
「どうして?ですの?そう、ですわね話せば少々長くなってしますのでまたいつの日かお会いしましょう、
「え・・・・・・・・・・」
あいつは奇妙なことを言いながら地面に溶け込んでいった。
どうやって溶け込んだのかは分からない、それどころか何故俺の名前をあいつが知っているのかが分からなかった。
俺はそんな複雑な思いのまま十香達が待つ宿へ戻り時の精霊と逢ったことを四糸乃と話しをした。
「なぁ四糸乃、今そこの裏路地でお前がこの前言ってた時の精霊・時崎狂三に逢った」
「ッ!!・・・・・本当・・・・・ですか!?」
四糸乃の眼が大きく開き俺の顔を見る。
「あぁ本当だ」
俺はソファに座っている四糸乃の隣に座る。
「士道さん・・・・・・気をつけてください・・・・・・あの精霊は・・・・・・無償に人を殺したくなるんです・・・・・・」
「あぁ分かってる」
四糸乃から忠告を聞くと俺は立ち上がり後ろにあったテーブルに右手に持っていたギルド申請書を置き椅子に座った。
そして四糸乃の忠告を心に刻み込んだ。
「四糸乃、もう遅いから寝たほうがいいぞ」
「はい・・・・・・お休みです・・・・・・士道さん」
『お休み~士道君~』
珍しくよしのんが喋る。
四糸乃とよしのんはなにか喋りながら寝室のほうへ向かって行った。
「うーん、俺も寝るか」
俺はメニューを開き着替えて絨毯が敷いてある床に横たわる。
俺もやっぱり寝室で寝たいがもう十香と四糸乃が寝ているのでそんな中に入って寝るのはただの変態がする行為なので俺はいつもこのふかふかな床で夜を過ごしている。
暗殺ギルドの時崎狂三や他のプレイヤーはギルドの団長が「こいつを殺れ」と命令するまでプレイヤーキルをしない。
それにあいつらは夜は活動をしないため宿は安全である。
翌日――――――
俺は今この層にある草原で十香達と一緒にレベ上げをしている。
このレベ上げは単なるレベ上げではない。
ギルドに入っても他の人たちに迷惑をかけないようにレベ上げをしている。
「もう少し上だ十香!四糸乃がスイッチしやすいように相手の体勢を崩して隙をつくるんだ」
「うむ、やってみよう」
そういうと俺の指示より完璧なほどに相手に隙をつくり四糸乃がスイッチしやすい体勢にしてくれた。
「いいぞ十香、四糸乃今だ!」
「はい・・・・・・・・
「うおっ!」
俺もこの
相変わらず凄い威力だ。
あの超防御力を誇るアイアンゴーレムでさえもたったの一撃で瀕死状態である。
だがこの技を使えば四糸乃本人も疲労状態になる。
今の技を見るのは2回目だからあまり驚かないが一回目の時は状況がわからなかった・・・・・・・
第十二層オルド草原にて――――――
俺は今この第十二層でモンスター狩りをしている。
相手は超攻撃力を誇りなおかつ二度倒さないといけない厄介な相手だ。
そいつの名前は「イスル」というモンスターだ。
見た目はドラクエに出てくるスライムの紫バージョンみたいな感じ。
「十香来るぞ!左に避けて後ろから攻撃、四糸乃はその隙になんでもいいからとりあえず攻撃で相手をひるませるんだ」
「なんでも・・・・・ですか・・・・・一つしかないですけど・・・・・・・いいですか?」
「まぁなんでもいいよ、攻撃系なら弱くても気にしなくていいから」
「分かりました・・・・・・・」
そう言っていると十香がそのチャンスをつくってくれた。
俺はそっと四糸乃のほうを向いた。
四糸乃は地面に座り込み下を向いていた。
俺は自信がなくなったのか四糸乃を励まそうと言葉をかけようとしたがふっと四糸乃の右手がゆっくりと上がり静かな声で言い放った。
「
皆さんこんにちは、wasuです。
お久しぶりです。
この話もとうとう合計11話になってしまいました!
意外と長かったと思います。
この話でデ・ア・ラ(略)の精霊がもう二人も出てしまいました。
ここまでくるともうオリジナルのような感覚です。
これからもよろしくお願いします!
それでは次回 「第十章 シルバードレーフ入団!」 です、お楽しみに