ソードアート・アライブ   作:wasu

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四糸乃は地面に座り込み下を向いていた。
俺は自信がなくなったのか四糸乃を励まそうと言葉をかけようとしたがふっと四糸乃の右手がゆっくりと上がり静かな声で言い放った。

               「氷結傀儡(ザドキエル)

分からない方は前話をご覧ください。
それでは楽しんで 第十章シルバードレーフ入団! をご覧ください。


第十章 シルバードレーフ入団!

               「氷結傀儡(ザドキエル)

 

四糸乃がそう言いながら挙げていた右手を広げて地面に叩きつける。

次の瞬間――――――

足元が冷えてきた。

地面からは水蒸気?湯気?煙り?よくわからないが白い煙のようなものが地面からゆら~っと湧きでてくる。

その煙が出てからすぐだろうか地面から勢いよく氷が出てきて円形状に広がった。

 

「うわっ!」

 

「おおー!」

 

俺は驚き十香は感激した。

俺、十香、四糸乃の足場は凍ってない。

そして俺は気づいた。

地面から氷が出てきたのではない、地面自体が凍っていることに。

周りは半径約10メートルほど凍っている。

そして一番驚いたのは四糸乃の後ろにいるある物体。

その物体とはよしのんのことである。

あの可愛らしい人形だったよしのんは四糸乃の右で巨大化(ビッキング)していた。

潤んでいた目が赤く光っている。

口には大きくどんなものでも噛み砕きそうな鋭い歯がたくさんある。

手も大きく爪が剥き出しになっている。

だが俺が一番気になったのは足である。

よしのんは手を入れて遊ぶ人形、つまり足の部分は無いはず。

しかし俺の考えを否定するかのように巨大化したよしのんには人間をも踏み潰せそうな大きな足があった。

その足の前から氷が突き出ていた。

その氷は四糸乃の前方にいた『イスル』に向かっていた。

先ほどまでは俺らを殺そうとしていたのに今のイスルはよしのんの攻撃(氷結傀儡(ザドキエル))によって凍結されていた。

イスルのHPゲージを見ると残りHPが0だった。

そう、イスルは死んだのである。

それも形を残したまんま。

普通相手か味方、どちらも死んでしまうと光となって消えていくが凍結しているイスルは消えない。

俺は確信した。

 

            これが「氷結傀儡(ザドキエル)」なのだと。

 

「四糸乃これって・・・・・・・?」

 

「おおぉーそうだぞ、四糸乃一体これはなんなのだ?」

 

俺と十香は四糸乃のほうに振り向く。

しかし動いて氷に触れれば俺たちも凍結されるかもしれないため顔だけ動かす。

四糸乃は右手と左手を太ももに置いて顔を上げる。

 

「話せば・・・・・・・長く・・・・・・なります」

 

そういうと周りの氷が溶けた。

凍結されていたイスルは氷が溶けたと同時に光となって消えていった。

イスルが消えると四糸乃は語り始めた。

 

 

―――――――――

 

 

その後四糸乃の話を聞いて分かったことがある。

四糸乃について。

 

 

四糸乃はこのゲーム世界に存在する精霊(スピリット)の一人。

年齢は人間で言う14歳ほどだとのこと。

見た目は見ての通りだが人間の少女の姿をしている。

身長は俺の見た感じ140cm。

蒼の髪と蒼玉の瞳を持っていて、左手にはコミカルなデザインのウサギのパペットをはめている。

極めて大人しい性格で、相手(モンスター)に攻撃されても一切反撃せず常に逃げ回っているため、大体は俺と十香がとどめを刺している。

とどめというより攻撃から防御まで全部なんだが・・・・・・

四糸乃の話によると実は二重人格で、本来の人格である四糸乃と、パペットを付けた時にだけ現れるおしゃべりで冗談好きの“よしのん”の2つの人格が存在する。

どうやら四糸乃自信も二重人格ということは分かってるらしい。

 

本来の人格である四糸乃は、人前ではしゃべることすらままならないほど臆病な性格。

しかし同時に、モンスターを傷つけることを何よりも嫌っており、自分を殺そうとする相手(モンスター)の攻撃に耐えるため、彼女らを傷つけないために自分の理想とする人格“よしのん”を生み出した。

そのため、“よしのん”が表面化している間は本来の人格である四糸乃は意図的に心を閉ざした状態にあり、俺も気づけなかった。

パニックに陥って街中を氷漬けにしてしまうこともあるらしく、(実際第10層の街ベスターという雪が降っている街で一度迷子になり泣いてしまった、その時に街の一部が氷漬けになったという事件が発生した、当時はこの街ならありえるだろうということで無かったことになった)なるべく一緒にいるとこになった。

 

士道と十香に触れて前向きな性格になったためか、“よしのん”が現れている時でも“四糸乃”としての人格も現れるようになり、2人で会話するといったことも出来るようになったと四糸乃は言う。

四糸乃自体は非常に優しく健気な性格。

知識も年相応。

彼女にとって俺は、優しくて良きお兄さん的な認識をしているみたい。

 

服は緑色をベースとした模様の付いたレインコートのようなもの(水を弾いている)で、ピンクのボタンと縫い目のついた大きなうさ耳付きフードと服の下部から垂れ下がったピンクのリボンの付いた白い尻尾のようなものがあり、足には白いリボンの付いた緑色の長靴を履いている。

氷結傀儡(ザドキエル)を使用した時のよしのんは全長3メートルもある巨大なウサギの人形。

名の通り冷気を操る力を持ち、口から超低温のブレスを吐き出す。

その冷気は、弾丸や砲弾はモンスターを凍らせてしまう。

無数の氷の弾丸を飛ばしたり、防壁にしたりすることも可能だとのこと。

四糸乃自身は水を自在に操る能力を持ち、水を弾丸のように飛ばして攻撃することが出来る。

他には巨大な氷結傀儡(ザドキエル)を解き、鎧のように纏って冷気を集束させる凍鎧(シリョン)という技も持っていると言う。

 

雪山や降雪時などの雪がある状況下では雪を操ることが可能。

“よしのん”が外れるなどして精神状態が不安定になると精霊の力が逆流し、どんなものも氷漬けにしてしまう。

 

 

「という・・・・・・こと・・・・・・なんです・・・・・・」

 

「なるほど、そういうことだったのか」

 

十香はこういう難しいことは分からないから途中から向こうで遊んでいる。

俺は四糸乃の話をしっかり聞いてあげた。

だが俺もこの話についていけなかった。

俺の頭の中を四糸乃の話が駆け巡る。

駆け巡るというより整理していると言った方がいいがいいかもしれない・・・・・・

 

「えっと、つまり四糸乃は現実世界に存在しているプレイヤーじゃなくてこのゲームのNPC(ノンプレイヤーキャラクター)ってことか?」

 

NPCっていうのはゲームマスター(この世界では茅場晃彦)の構築した世界を成り立たせる要素の一つであり、プレイヤーに対し「ゲームの進行」「イベント発生」「バランス調整」を行い、プレイヤーをゲームマスターの作ったストーリーにうまく誘導するための存在である。

言葉の定義からすれば、プレイヤーが操作しないキャラクターは全てNPCとなっている。

多くのRPGゲームでは、店の主人・普通の村人・モンスターなどの敵キャラクター、ありとあらゆるものがNPCの範疇に含まれている。

 

「違います!・・・・・NPC(ノンプレイヤーキャラクター)じゃなくて・・・・・この世界の・・・・・七大精霊です!」

 

あの穏やかな四糸乃にきつく怒られた。

それほどNPCといわれるのが嫌なんだろう。

だがその中で俺は『七大精霊』という言葉に興味を示した。

精霊というのは四大精霊、水の大精霊《ウンディーネ》、地の大精霊《グノーム》、火の大精霊《サラマンダー》、風の大精霊《シルフ》、の四体で構成されているはずなんだが・・・・・・どうして七大精霊なのか気になる。

 

「七大精霊?四大精霊じゃないのか?」

 

『もうー士道君たら、そのお年頃でも分からないのー?』

 

お?気づけば巨大化していたよしのんが元に戻っている。

おそらく俺が四糸乃の話を頭の中で整理していた時だろう。

あの可愛いよしのんの言葉が俺の心に刺さる。

もしかして俺の心が闇に染まっている時代も把握済みなのか!?

いやこのゲームの精霊というんだから知っているわけないか。

冷静に考えれば分かる話である。

 

「わかんねぇよ」

 

『うっそーん、中学生の頃「腐食した世界に捧ぐエチュード」っていうポエム書いてたじゃなーい?』

 

「そ、それはっ!!!」

 

俺はわかりやすく動揺する。

なぜなら「腐食した世界に捧ぐエチュード」というのは俺が中二のとき漫画の影響で自宅の二階で深夜こっそり書いてやつだからだ。

何故、よしのんはそのことを知っているんだ!

 

『精霊は何でもお見通しなんだよー』

 

「NOOOOOOO!!!!!」

 

俺の顔がムンクの叫び状態となる。

漂白剤で白くしたような顔色。

真っ青どころじゃなく真っ白状態。

そしてムンクの叫びのままフリーズ。

そしてしばらく時間が経ち俺は再起動する。

 

「待て、本題に入ろう」

 

『そうだねー、えっと七代精霊ていうのは・・・・・・』

 

「七大精霊という・・・・・・のは・・・・・・」

 

よしのんが言いかけた時四糸乃が割って入ってくる。

どうしても言いたかったようだ。

何故かは分からんが・・・・・

 

「続けていいよ、四糸乃」

 

「はい・・・・・・七大精霊というのはまず精霊の原点でもある大精霊《鳶一折紙(とびいちおりがみ)》が四大精霊を生み出しました・・・・・・そしてのそ四大精霊が七大精霊である 影の精霊:《七罪(なつみ)》 音の精霊:《誘宵美九(いざよいみく)》 光と闇の精霊:《本条二亜(ほんじょうにあ)》 時の精霊:《時崎狂三(ときさきくるみ)》 炎の精霊:《琴里(ことり)》 風の精霊:《八舞耶倶矢(やまいかぐや)八舞夕弦(やまいゆづる)》 水の精霊:《四糸乃》 の七人が生み出されました」

 

驚いた。

あの臆病な四糸乃がペラペラと七大精霊の名前を告げる。

四糸乃が告げた名前の中に俺の妹である琴里の名があった。

 

「四糸乃・・・・・・今『琴里』って言わなかったか?」

 

「はい・・・・・・琴里は炎の精霊です・・・・・・」

 

俺は確認のためもう一度四糸乃に聞いたが答えは変わらなかった。

琴里が精霊・・・・・・つまり俺の妹が精霊・・・・・・

信じられない。

というより信じたくない。

・・・・・・そういえばここはSAOの世界。

現実世界の琴里は俺の妹、四糸乃の言っている琴里というのはこの世界を創った茅場晶彦が勝手に想像してつけた名前かもしれない。

 

「なぁ四糸乃、その炎の精霊にはどうやって会える?」

 

「それは・・・・・・分かりません」

 

「そうか」

 

どうやら同じ精霊である四糸乃も知らないらしい。

確か四糸乃は第八層のデュラハンから出てきた、ということは琴里という精霊もどこかの層のボスから出てくるということか?

まぁ考えるのは宿に行ってからにしよう。

 

「話してたら時間経っちまったな、四糸乃もう夕方だしそろそろ帰るか」

 

「はい」

 

「おーい十香もう帰るぞー」

 

「うむ!」

 

 

―――――――――

 

 

「ふぅ、やっと倒せた」

 

「やったなシドー!」

 

過去のことを思い出してたらアイアンゴーレムを倒していた。

四糸乃は今氷結傀儡(ザドキエル)をしたために疲労状態となっている。

戦闘もできないので休ませている。

だが四糸乃は氷の精霊なので回復は早い。

少し休んだだけで力は全回復する。

 

「おーい、四糸乃もう大丈夫か?」

 

「はい・・・・・・」

 

「じゃ次行くか」

 

この近くはアイアンゴーレムがたくさん湧くから経験値稼ぎにはうってつけだ。

しかもまだ昼前だからいっぱい狩れる。

 

 

―――――――――夕方

 

 

「十香、四糸乃もう帰るか?夜の間も一応できるけど相手のステータスが上がるし危険だからやめとくか?」

 

今まで夜の間も活動するということはなかったが一回一回帰るのもしんどくなってきた。

それに今日はなんだか調子がいい。

 

「だがシドー、経験値というものも上がるのだろう?」

 

「え?まぁそうだが・・・・・・」

 

十香がこれほどまでに経験値を欲しがるのはなかった。

だから今日は夜の間もことになった。

そして夜の間も休むことなくアイアンゴーレムを必死に倒し続けた。

相手のステータスが上がっているということもあって何度かHPゲージが赤色になったりして危なかったがそんなときは四糸乃の氷結傀儡で免れていた。

 

俺のステータス

 LV30

STR 300

VIT 310

DEX 298

AGI 306

INT 308

HIS 255

LUK 70

 

命中率がそこまで上がってないがこんなもんだろう。

 

十香のステータス

 LV31

STR 310

VIT 309

DEX 300

AGI 301

INT 297

HIS 260

LUK 61

 

運と知能が低いのが少し致命的だけど他のところは俺より高いから案外普通のステータスだ。

四糸乃はというと氷の精霊だからレベルやステータスという概念はない。

もう夜が明けそうだが宿に戻り十香たちにギルドの話をした。

そして話していると明日を迎えた。

だが二人とも眠そうなので寝ることにした。

 

―――――――――翌日

 

俺は食事を作るためにメニューを開く。

だがそこにはすごいアイテムが混ざっていた。

 

「ん?なんだこれ、『ファントムクォーツ』ってなんだ?」

 

ファントムクォーツというのに目を惹かれたので少しだけこのアイテムの解説を見ることにした。

 

ファントムクォーツ、別名『幻影水晶』と称されるこの石は16層から18層に出てくるアイアンゴーレムのS級レアアイテム。

料理には使用できないが武器錬金として使用するには大変お薦めする。

何が凄いのかといえばこのアイテムを使用すればその武器は100%の確率で最高位ランクの武器となり中盤層の戦いは余裕になるという。

ドロップ率は極めて低くアイアンゴーレム1,000体倒しても出るか出ないかの確率。

そんなすごいアイテムが俺のアイテムメニューに入っている。

 

「おお!スゲェ物手に入れちまった!」

 

寝室からドタドタと足音を鳴らしながら走ってくる十香。

俺の声に反応したらしい。

 

「どうしたのだシドー!何かあったのか!?」

 

「い、いいやぁなんでもないそれより飯にしようぜ」

 

「そ、そうか・・・・・・うむ!そうだな!」

 

何故言い直したのかは分からないがとりあえず簡単な即席料理を作った。

作り終わると皿に盛りテーブルに広げる。

広げ終わったら四糸乃を呼びに行く。

そして俺は十香と四糸乃たちより早く食事を終わらせた。

 

「じゃあ先にこのギルド申請書やってくるから、ちゃんと飯食うんだぞ!」

 

「おおー!いってらっしゃいだー!」

 

俺はこのギルド申請書をシルバードレーフのホームに行きメンバーの一人に渡した。

 

「君もここに入るのか?」

 

「はい!俺のほかにもあと二人居ますが入れますか?」

 

「ああ問題ないよ、じゃ団長に出してくるから君はその二人をここに連れてきてくれるか?」

 

「分かりました!」

 

俺は十香と四糸乃を呼びに宿へ戻った。

そしてまたシルバードレーフのホームへ行くと団長が迎えてくれた。

 

「これからよろしく頼む」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「うむ!よくわからんがよろしくだ!」

 

俺と十香は団長に挨拶をしたが四糸乃は人見知りなのか俺の後ろに隠れて小さな声で挨拶した。

俺は団長に礼をした。

そしてこの瞬間俺は『シルバードレーフ』に入団したことを実感した。

 

 




お久しぶりです。
とりあえず新作でも書こうかなと思い始めたwasuです。
新作と言ってもまだ設定創りの段階なんですが・・・

まぁ今回の話は『第十章 シルバードレーフに入団!』ということで少し題名が変わってしまいました。
申し訳ありません。
なるべく題名どおりに書こうとしたんですが文字数が多すぎたのでこのような結果になってしまいました。

それではまた次回の小説の後書きで逢いましょう。

次回 『刻々帝(ザフキエル)』です お楽しみに!
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