己に迫る地面を飛び越える。
波状に変化した地面は、今度は鋭い形状に変化し真上にいる僕に突っ込んできた。それを難なく空中で体を回転させ回避する。そんなデタラメな行動に、相手は「へっ?」と目を点にさせた。その一瞬を逃さず、都合良く伸びっぱなしの地面を疾走し相手の元へ。その一連の動作に相手が気づき体重を後ろに傾けた時にはもう遅い。僕はそのまま大きく足を振り上げた。
「はいっ、そこまで!」
瞬間。あたり一帯に音声が響き渡り、相手の少年が尻餅をつき僕はスタッと地面に着地した。
今の相手の技は動力形の【ディメント】。
【ディメント】の初歩であるその技はもう慣れっこだった。
「やっぱ叶うわけねぇよ…」
溜息をつく対戦相手だった同級生に僕はにしっと笑った。
「いつでもお待ちしておりますっ」
ここは超能力者を育てる施設【ディメント養成所】。生まれてからの間にディメントを宿していると確定すると送られる施設だ。と言っても強制ではない。自ら夢を持ち、願うことで入ることを許される。そしてその夢というのは、この世界の中心ともいける派閥と言う組織に進出する事。それが認められるのは【ディメンター】である僕達の中から選ばれし上位者のみとされるのだ。
「まっ、僕には興味ないけどね」
親のいない僕は、赤ん坊の頃からこの施設にいた。望むとか望まないとか関係なく、僕はここにいる。
そうして僕はそのまま出口へ足を向けた。
「待ちなさいサク君!」
「ギクッ」
途端に名前を呼ばれ肩を揺らす。そうしてぎこちなく振り返ると、案の定そこには仁王立のニールさんが僕を睨みつけていた。澄んだ瞳はエメラルドに輝き、長い髪はわずかに癖のあるブラウンだ。しっかりと黒のスーツを着たその姿であってもカッチリとした雰囲気を感じさせない。僕達を育成する役員の一人である彼女は、その容姿もだが親しみやすい性格であるために評判である。そんな妙齢の彼女は怒っているご様子だった…。
「ど、どうしましたかニールさん…?」
「どうしたもないわよ!またキミはディメントを使わずにっ!私正直キミのディメント見たことないよ!?」
「す、すみません…」
実技があるときには毎回あるこのお説教。いつものやり取りに他の者達には苦笑いをする者、溜息をつく者と様々だった。
「これまでうまくいっていたとしても、いつかは危ない目にあうかもしれないんだからね!」
そう言うとニールさんは「ふんっ」と踵を返し行ってしまった。
嵐が過ぎ去って行った後、今回は短めな方だったお説教に溜息をつき。僕は再び歩き始める。
事実、何のディメントも使わないという僕のスタイルは限界があるだろう。使えば避けられた傷の数は一つや二つではない。
そんな僕は周りから【レックレス】と呼ばれているらしい…。
【レックレス】、無謀者。
あまりにも散々な呼び名に最初こそ落ち込んだものの、今ではもう慣れっこだ。
「おい、【レックレス】」
「えっ?」
早々に呼び名を呼ばれ振り返る。そして次にはそこに立っていた人物に目を見開いた。
なぜならその人物は、この施設で知らぬ者はいないほどの実力を持つ第一級ディメンターであるザリュウスさんだったからだ。何でも今度には派閥への進出も決まっているらしい。その顔は戦士にふさわしく凜とし、黒髪は短く尖っている。ゆうに一九〇を超えるその姿は、それだけでも迫力があった。僕のような細っこい体とは大違いである。
周りの人達もザリュウスさんと僕という見たことのない組み合わせにコソコソと会話をする。
まさかの相手に呆然としていると、ザリュウスさんは口を開いた。
「お前の噂は聞いている。上層部も気になり始めたらしいな」
「へっ?」
淡々と話す内容に全くついていけないでいると、それに気がついたザリュウスさんは「知らないのか?」と、その逞しい腕を組んだ。
「今度の実技では、お前が俺の相手になるのだそうだ」
その一言に場が一気に静まり返る。発した言葉の意味に十秒ほど気付けなかった僕は…。
「えぇええええええええっ!?」
あらん限りに目を見開き、大絶叫してしまうのだった。
* * *
「ニールさああああああん!!」
「わぁっ!何事!?」
通常ニールさんの働き場となっているロビーへ僕は全速力で訪れた。
ゼェゼェと荒い息を立てる僕に驚くニールさんは「と、とりあえず場所移そうか」と言い、隣の人に一旦抜けると伝えた後、僕とともに奥の面談室まで足を向けた。
僕が何故ここまでニールさんと近しい関係かというと、ここにいるディメンター全員には担当のアドバイザーがそれぞれ派遣される。そして僕のアドバイザーがニールさんであるというわけだ。
そんな僕にいつも苦労しているであろうニールさんは「おほんっ」と咳払いしてから俯向く僕を見つめた。
「それでどうしたの?そんなに取り乱して」
その質問と同時に、僕はガバッと顔を上げた。
「今度の実技の相手がザリュウスさんだって本当なんですか!?」
その瞬間にいつかのように場が静まり返る。それを破ったのは、ニールさんの吹き出す音だった。
「サク君も面白いことを言うねぇ。キミのランクで第一級ディメンターのザリュウス君と実技なんてするわけないじゃない」
そうして笑うニールさんに、僕は顔を真っ赤にして立ち上がった。
「嘘じゃないですって!」
「ほう?ではそんなこと誰から聞いたのかな?君はすぐに人の言葉を信じちゃうからねぇ」
「ザリュウスさんです!」
「……え?」
少しむくれながら言った僕の言葉に一瞬にして固まるニールさん。嘘でしょ?という顔をしているが、そのまま真っ直ぐに見つめていると。ガバッとニールさんは立ち上がり「ちょっと待ってて!」と言って出て行ってしまった。そしてすぐ後にこちらにまでわずかに聞こえるほどの大絶叫が響き渡るのは時間の問題だった。
* * *
「一体何を考えているの上層部は…っ。こんな無茶な事があっていいはずがないのに…!」
ブツブツと言いながら座る僕の前を行ったり来たりするニールさんは、今は僕よりも余裕がないようだった。
「あ、あのニールさん…」
そのおかげでパニックが治り、今度はニールさんの様子に汗を流しながら上を見上げ、おそるおそる言うのと同時に、バッとニールさんがこちらに振り返った。それに僕はビクッと肩を揺らす。そんな僕に気づき「あ、ごめん…」と我に返ったニールさんは反対のソファーの腰掛けた。
「…あれから何度も抗議しに行って、もちろんこれからもするつもりだけど、実技は明日。あの頭の固い上の人達が取り消すとは考えにくいわ…。ごめんね、サク君…何の役にも立てずに…」
「そ、そんなこと…っ!いつも迷惑かけてるのは僕の方だしっ今もこうしてっ、だから…その…っ」
俯くニールさんにとっさに立ち上がる。言いたいことがうまく言えずに、ただアタフタする僕にニールさんは微笑んだ。
「座って、サク君」
「は、はい…」
静かにそう告げられ僕はそれに従うと、ニールさんは立ち上がり、僕の隣に座った。そしてスッと僕の手を両手で包み込む。
「サク君。君には無事でいてほしい。これは私の本当の気持ちだよ」
包み込んだ僕の手を自らの胸に押し当て、優しくこちらを見つめるその姿に顔が赤くなる。恥ずかしさと申し訳なさに視線を落とすと、もう一度名前を呼ばれる。温かい手が頬に添えられ上を見ると、真っ直ぐにこちらを向くニールさんは口を開いた。
「今持つ、君の力を精一杯出しなさい。一日の間にザリュウス君の情報を伝えられるだけ私は伝える」
「…っ」
その言葉に自然と腹がくくれた気がした。
何にせよ当たって砕けろだ。いい経験が出来ると思えばいいんだし。
そう割り切り出したと同時に、ある疑問が浮かんできた。
「あのニールさん、何でそんなにも張り詰めたような言い方をするんですか?」
実技と言っても、先ほどのようにそんな大怪我を負うほどのものではない。現在の能力を確かめるものでしかないのだから。
そうして首をかしげる僕をキョトンと見つめた後、はあぁ…と項垂れたニールさんはピンと人差し指を立てズイッと顔を近づける。
「いいサク君っ、今度の実技は第一級ディメンターとの実技。それがどういう意味だかわかるっ?」
「第一級……って、もしかして…」
「そう、ランクが上がるごとにメニューもハードになっていくもの。つまりザリュウス君ぐらいのランクになると実技は『どちらかが戦闘不能になるまで』ということが原則となるっ」
「つ、つまり…」
「どちらかは、または両方がただじゃすまないってことよ」
あ、終わった…。
瞬間に僕はそう悟ったのだった。
* * *
六時。
いつもと変わらないこの時刻は、今になってはちょうどに目が醒めるようになっていた。
同室であるメンバーもそれぞれが起き出す中、僕はいち早く着替えをし、顔を洗う。
冷たい水が気持ちよく、次第に目が冴えてゆく。タオルで顔を拭き前を向くと鏡に映るのは、赤髪の僕だ。
この髪の毛のせいで散々苦労してきたことを振り払い、パンっと頬を叩く。向こうで「おーいサクー」と呼ぶ同室の友達の声が聞こえ「今いくよ」と鏡から目を離した。
「お、来たわね」
前方から、自分の担当である少年がその珍しい赤髪をピョコピョコ揺らしながら走って来る。
未だに15という若さで戦う彼には複雑な気持ちになってしまう。体もしっかりしているとは言えない細さのサク君は、自身より先に来ていた私に頭を下げた。
「すみませんっ、待ちましたかっ?」
「ううん、そんなことないよ。昨日教えたことは忘れてない?」
「は、はい。すごいスパルタだったので…」
昨日一日付の付け焼き刃で、ザリュウス君の情報を猛勉強したことを思い出してか、サク君は苦い顔をする。
そんな彼は無視しパンッと両手を合わせ口を開いた。
「さっ、急ぎましょう」
早くに実技をやることが決定したことにより、あまり時間がない。私の言葉に頷くサク君と一緒に、私達は今回実技が行われる闘技場へと向かった。
* * *
「あの、ニールさん。これは一体…」
「まー仕方がないことね」
訪れた闘技場には、たくさんの人、人、人…。
第一級ディメンターが行う実技は派手だとは聞いていたが、相手が僕でもここまで来るものなのか…?
一層加速する心臓を押さえつけながら、ダラダラと汗をかいていると、ポンっと隣から頭に手を乗せられる。
そうしたニールさんを見ると、大きく頷かれた。
『今持つ、君の力を精一杯出しなさい』
昨日の言葉が蘇る。
僕は大きく深呼吸し、バクンバクンと鳴り止まない心臓を無視してニールさんに頷き返した。
「行ってきます」
「頑張って」
一言ずつ言葉を交わし、僕は中へと足を踏み出した。
「来たのか」
「できれば来たくなかったんですけどね…」
「上層部からの指示は絶対だからな」
先に来ていたザリュウスさんは振り返らず、自らの大剣を整備していた。その迫力に、自然と唾を飲む。
僕のメインの武器は【片手長剣】。
今も腰の鞘に収められるそれは、僕のデータを分析し、最もあった武器。ニールさんがプレゼントしてくれたものである。僕の髪とは対照的に白という、珍しい色合いの剣だ。
「そろそろ時間だ」
そう言って立ち上がったザリュウスさんは、そのまま歩き出す。僕もそれに続いて歩き出した。
「お、出てきたぞ。ザリュウスだ」
「後ろから来るのは…ん?誰だ?」
「あ、俺知ってる。【レックレス】だ」
「赤髪なんて珍しいなー」
登場した二人、主にサクに関して周りがざわめき出す。
そんな声は無視して、ニールは両手を組み祈りながら見つめていた。
当の本人は何度も大きな深呼吸をし、目が泳ぎに泳ぎまくっている。はぁ…、大丈夫かな〜?と頼りない少年にニールは項垂れた。
この実技では、武器の使用が許可されるが、それによって致命傷を与えることはしてはいけない。致命傷と言っても、体を貫かれるというぐらいのレベルの大怪我のことではあるのだが…。
今まで剣を交えての実技はなかった僕に対して、ザリュウスさんは経験豊富だろう。慣れた手つきで抜剣し、その大剣を軽々と前に添えた。僕も急いで辿々しく抜剣する。
剣を使った訓練は経験済みだが、やはり手が震える。
真っ白になりそうになる頭を振り払い、集中しようと頑張る。
闘技場に集まった多くの人が、このことを企てた上層部の面々がシンと静まり返る中、一斉に剣を構える二人に視線を向ける。
ゴォーンゴォーンと
ついに始まりの合図である鐘が鳴らされた。
瞬間相手はトンっと地を蹴ったかと思うと。
目の前に現れていた。
「ーっ!?」
とっさに地を蹴りつけ後方へ飛ぶと、さっきいた場所へ大剣がブンッと横殴りに振り払われた。
瞬間に立ち上がる砂煙り。高速の水平切りはとてつもない威力を見せた。
「ーいっ!?」
その破壊力に僕は顔を引きつらせる。
これがランク上位者、第一級ディメンター。
次元が、違う…。
デメントを使っていないというのに悟ってしまうこの実力差。そしてもし回避していなかったらと思った時の恐怖。
しかしそんなことを考える暇もなく、第二の攻撃が真上から迫る。
唯一通用するスピードを使って、受け止められないと判断し、避ける。
精一杯目を凝らし、続いて降り注ぐように迫る攻撃をなんとか回避する。
しかし剣の攻撃に加えられる武術を防ぎきれず食らってしまう。
一撃一撃が早く、重い。
なんとか大剣を受け流したと同時に、腹を思いっきり蹴り飛ばされた。
「ーかは…っ!」
瞬間呼吸が詰まる。
ものすごい衝撃と共に、僕は何メートルも飛ばされた。
「目に見えてんじゃねぇか、この試合」
「なんか気の毒になー」
地面に転がるサクに避難の声が浴びせられる。
そんな中祈り続けるニールは絶望など微塵も感じていない。
サク君。君はまだ知らない。
自分の真の強さを。
ディメンターとしての戦い方を。
この戦いの中でそれを見つけて。
きっと上層部がこの試合を持ち込んだのはそのため。
そう、彼らは気づいている。
彼の力をー。
「ゲホッゲホッ」
溝を思いっきり蹴られ、地面をのたまう。
焼き付けるような痛み、そして詰まる呼吸。
その場で僕は、只々喘ぐことしかできない。
昨日勉強した情報によれば。ザリュウスさんはデメントの力だけではなく。体術、剣技も鍛え抜かれているらしい。
やはり、使わなければ勝てない。己の”力”を。
別に絶対ディメントを使いたくないというわけではないのだ。
そう、”あのディメント以外ならば”。
霞む視界の向こうから向かってくる相手に剣を構える。
そして一度深呼吸し、前を見据えた。
「ーっ!」
表情が変わった少年にザリュウスは僅かに目を見開いた。
自らの前にいる者の表情は、これまで経験してきた戦いで数回だが見てきた顔。
恐怖でも、絶望でもない。
本気で倒しにかかってくるという表情。
何かを仕掛けてくると悟ったザリュウスは、力強く踏み込み、飛び出した。
突っ込んでくる相手に向かって、こちらも疾走する。
そしてそれと同時に、その口を開いた。
「【フレイムウィンド】!」
瞬間僕の剣に炎が宿る。己の髪と同じく真紅に輝くその炎は風を纏い、吹き荒れる。
僕の属性は基本的にこれだ。
大体がものを動かす力、『動力』が基本なのに対し、僕のディメントは炎、水、雷、地、風と言ったものを生み出し、操るという力。
しかし実戦となると得意、言ってしまえば使えるのは火と風。その二つを組み合わせた技の一つがこれである。
炎の剣を構える僕と向き合うザリュウスさんは僅かに目を見開き、笑った。
「なんだ、使えるのではないか、ディメントを」
癖となっている自分の戦い方のせいで、気づけば全く使っていなかったらしいディメント。
その光景に【レックレス】と言う二つ名を知っている主に同期の面々は、目の前の光景にざわついていた。
そんな音を吹き飛ばすかのように、前に突っ込む。
炎とともに纏った風によってスピードがさらに加速する。
一瞬で詰めた間合い。
左腰までグッとためていたサーベルの名は【ウルスラグナ】。純白の剣は今は真紅に染まり、ゴウッと音を立てているその剣を、僕は振り抜いた。
ザリュウスさんはその攻撃を迎え撃った。
あたり一帯に凄まじい衝撃が轟く。
その光景に全員の目が釘付けとなった。
動きの止まる数瞬の間にザリュウスさんの大剣が目に入った。
自分の攻撃を受け止める相手の剣は先程と変わっていた。
形状は変わっていないが、その色は銀ではなく鉛色、いや黒に近い。
昨日のうちに知ったザリュウスさんのディメントは、物質を強化する、硬化する能力だ。
こちらも一般的な分野から抜けた力。
第一級ディメンターともなると、基本的な動力ディメントをさらに応用し、個人に合う力を習得するようになる。
言い返せば応用できるようになればランクが上がるのだ。
派閥で戦う者達ともなると、皆それぞれ扱う能力が違うのだとか。
一瞬巡った思考をかき消すように同時に弾かれる。
すぐに降り注ぐ攻撃に、今度は避けず迎え撃つ。
再び大きく弾くと同時に、僕は空中で剣を真下に振り抜いた。
噴きだされる風をまとった炎。
その炎に顔を照らされながら、ザリュウスは今は漆黒と化した大剣を再び振り払う。
爆発する炎。辺りが眩しく輝いた。
そして瞬間。
「はぁああああっ!!」
「ーっ!?」
先ほどの場所には存在しなかったサクがザリュウスに向けて、本命の攻撃を食らわせた。
初めにされたものと同じ、水平切り。
しかもただの攻撃ではなく炎を纏ったその攻撃は、その衝撃によって爆発した。
炎と風が広範囲に広がる。
連続で起きた爆発に周りからは見ることがほとんどできない戦いを、一部の者だけが眺めていた。
立ち込める煙、その煙が徐々に薄れていく中、立っていたのは一人だった。
「嘘、だろ…」
誰かが呆然と呟く。
一撃、たったの一撃だ。
その一撃で明らかにランクの違う相手、第一級ディメンターが、倒れていた。
ピクリとも動く様子がない。
絶対的な破壊力。そして速度。
その前に立つサクは右手に握るサーベルから炎の突風を消した。
静まり返る闘技場。誰もが想像しなかった結末。
目に映るのは地面に倒れ伏す第一級ディメンター、そしてそれを見下ろす【レックレス】。
大きく肩を揺らし呼吸する彼に視線が集まる。少年は大幅な無理をしたおかげで体力を相当消費していた。初めこそ己の剣を杖のようにし体を支えていたが、やがて意識が途切れ、その場に倒れこんだ。瞬間に一人の女性は駆け出す。
そんな中、大半は驚愕に固まるが、ある者は楽しそうに、面白そうに、その少年を見つめていた。
「サク・ティネル…か」
そしてその人物は、そう言い目を細めるのだった。