ディメント   作:もやしメンタル

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第9話《ライバル》

「さぁさぁ改めて!君の隊長となるアマリアだ!これからよろしく頼むぜっ、サク君!」

「はいっ、宜しくお願いします!」

風車小屋の中で、僕とアマリアは改めて派閥の隊長、眷属という関係となった。

いつかのように手を差し出してくるアマリアに、僕はその手を握る。そして同時に笑みがこぼれた。

「じゃあまずは、派閥のこの現状をなんとかしないといけませんね」

眷属の数は勿論、お金だって危ない状況だ。僕がそう言うと、アマリアは俯いてしまった。

「……すまないね。こんな私だと入ってくれる子も、バイトも見つからないんだよ」

「す、すみませんっ、僕はそんなつもりで言ったんじゃなくて!その…っ」

「ああ、わかってるさ。君は優しいからね」

落ち込むアマリアに僕がアタフタしていると、クスッと笑ったアマリアは、立ち上がった。

「や、優しいなんて…って、うん?入ってくれる子って…。僕、強制的に入れられたような…」

そんな中頭をかしげるサクを無視し、アマリアは背を伸ばした。

「さーて。それじゃあ頑張って人集めもしないとなー。いつまでも君に頑張ってお金を稼いでもらうわけにもいかないし。まぁでも、私はもう少しサクと二人きりでもいいけど…」

「?、何か言いました?…というか、アマリアは無理しないほうが…、それは僕がやっておきますよ」

「ダメだダメだっ、いつまでも君に頼ってはいられないよっ!」

街でのあの扱いを知っている僕は提案するが、顔をブンブンと振りアマリアに否定される。「でも…」と眉を下げるが、「いいんだ!」と押し切られてしまった。

「……あの、アマリア」

「うん?」

少し経ってから、僕はずっと考えていたことがあった。

「その、今回勝てたのは、セフィアさんのおかげというか…。なので、僕…」

「やめておいたほうがいいよ」

「…えっ?」

話の途中でキッパリと言ったアマリアに、僕は素っ頓狂な声を出した。腕を組み、瞳を閉じたアマリアは、再度口を開いた。

「言っておくが、今回君があの派閥のセフィア・カルヴァートに手伝ってもらえたのは奇跡さ。最強派閥の幹部である彼女は、到底私達みたいな貧乏派閥となんて無縁だ。せいぜい相手のアジトに行っても追い返されるのがおちだよ」

「そ、そうなんですか…?」

「ああ」

その話を聞き、サクはがっくりと項垂れる。アジトが無理なら外で会うしかないが、この大都市で巡り会うことは相当難しいだろう。ズーンと落ち込むサクに「そんなにカルヴァートがいいのかっ」と顔をしかめたアマリアはそっぽを向いてしまった。

「私は出かけてくるよっ、せいぜい君はカルヴァートでも何でも探せばいいさっ」

そう言い捨てたアマリアは、プンプンと怒りながら出て行ってしまった。そんなアマリアに僕は首を傾げ、自らも壁外へと行くため立ち上がった。

 

* * *

 

「…て、何してるんだろう、僕」

自分の行動に溜息をつく。僕は今、セフィアさんと今まで稽古をつけてきた多くの光り輝く結晶が連なる秘密の場所にいた。いるはずがないのに立ち寄って、我ながら馬鹿馬鹿しいと、再び洞窟へと足を向けた。こんなとこで運よく出会えるわけ…

「あ」

「……あ」

出会えた…

金色の髪が三つ編みに結ばれ、輝く。可愛らしく美しい少女は、僕同様目を見開いていた。

沈黙が続く。

「え、えっと…。ど、どうしたんですか…?」

その空気に耐え切れず、僕はおずおずと口を開いた。その言葉に、感情の乏しいながら僕と同様に戸惑いを滲ませるセフィアさんは口を開いた。

「なんとなく。君に会える気がして…」

「僕と、ですか…?」

「…うん」

まさかの言葉に顔がボンッと音がしそうなほどに赤面する。そんな僕を見て、セフィアさんも顔をわずかに赤らめてしまった。

「その、頑張ったねって、言いたくて…」

「あ…。そ、そう言うことなら僕もお礼が言いたくて…っ」

ガバッと頭を下げたサクに驚いたセフィアは、やがて、クスッと微笑んだ。それに対して頭に?を浮かべるサクに彼女は微笑んだ。

「本当に、頑張ったね」

「ーっ!」

目を見開く。何にも耐えられない感情が体を突き抜けた。なんだこれ、嬉しいのに、苦しい…。

 

「ちょーーっとまったーーっっ!!」

 

「「えっ?」」

瞬間

「うわぁっ!?」

「ーっ!?」

砂煙を巻き上げながら、ものすごい速度で何かが突っ込んできた。立ち上る砂煙に僕とセフィアさんは目を見開く。僕たちの目の前で急停止した人物は、ゼェゼェ息を荒げながら、立っている。そしてその姿が露わになってきた。

金色に輝いたポニーテール。僕と同じほどの身長。透き通る肌。そして、サファイアの瞳。

そこに立つのはどこか見覚えのある。美しい、そして可憐な少女だった。服装は胸に鎧をつけた軽装で、黒と黄緑を組み合わせたシャツを着、下は白のスカートを履いている。腰には杖を携えているので魔導師だということはわかった。未だに息を荒げる彼女は俯いていた顔をガバッと上げ、セフィアを見つめた。

「いなくなったと思って何してるかと思えば!どういうことですかお姉ちゃん!?」

「お、お姉ちゃん!?」

まくしたてる少女の言葉に仰け反る。セフィアさんは汗を流し、何も言えない様子だ。そして謎の少女は、今まで目を合わさなかった僕をキッと睨みつけてきた。それにビクッと怯えてしまう。

「あなた!お姉ちゃんに何かようですか!?」

「い、いや僕は、その…っ」

ずいずいと迫ってくる少女に後ずさる。眦を釣り上げながら、なおも彼女は口を開く。

「同じ派閥でもないのに何ですか!何なんですか!お姉ちゃんは高貴な方なんです!美しく!強く!まさに女神のような方なんです!それをどこの誰とも知れないあなたのような人が!私だってもっとお近づきになりたいのにぃい!!」

「ご、ごめんなさいぃぃっ!?」

ものすごい迫力でまくしたてられる言葉に、僕は訳も分からず涙目で謝ることしかできない。セフィアさんも、只々オドオドしながら僕たちを見つめていた。

まだ怒りが収まらない様子だったが口を閉じた少女は、セフィアさんの手を掴むと歩き出した。

「行きますよっお姉ちゃん!」

「え、でも…」

「行くの!」

「う、うん…。さよなら…」

「あ、はい。さようなら…」

反論ができないセフィアさんは、形の整った眉毛を下げ、僕を見つめながら手を振ってきた。それに僕は呆然と振り返した。立ち去る寸前、バッと振り返った少女に再度怯える。そんな僕に向けてビシッと指をさした彼女は叫んだ。

「負けませんから!」

「えっ?」

「それじゃっ!」

「……」

一気に静まるあたりに、まるで嵐が通り過ぎたかのような気持ちを味わった。

「妹さん…だよね?」

ポツリと呟く声が周りに響く。初めから最後まで鳴り止まない心臓の音だけが感じられた。

「何に負けないんだろう…?」

最後にそう呟き、僕も改めて洞窟に歩いて行った。

 

* * *

 

「ーっ!またステイタスが上がった…」

「本当ですか!」

「ああ、合計で五十オーバーだ」

上に跨ったアマリアは、信じられないという驚愕の混じった声を漏らす。その言葉に僕は声を上げた。

「こんなに上がったの初めてですよ!」

「どうなってるんだ…?」

その細い顎に指を添え、アマリアは首を傾げた。

「普通なら上昇スピードは、ステイタスが高くなるほどに低下するはずだが逆に上がっているようだ」

「ステイタスが、上がるごとに…?」

「うーん…。サク。もう一度見せてくれるかい?」

「あ、はい」

再度サクの背中にアマリアが指を沿わせた瞬間、背中から模様、文字が浮かび上がってくる。その文字を読んでだアマリアは、再び唸った。

「うーん。それらしい力は見えないようだけど…」

「…あの、そんなに早いんですか?上昇スピード」

そんなアマリアの反応に振り返ったサクは尋ねる。それに頷いたアマリアは、険しい表情で答える。

「五十オーバーなんて普通ありえないんだよ。普通だったらせいぜい十がいいところだ」

「そ、それって五倍ってことですか!?」

「そうなるね」

背中から離れたアマリアは少しの間俯いていたが。やがて顔を上げ、サクを見つめた。

「仕方ない。【マテリアル】で聞きに行ってくれないか?と言ってもあまり広まらないように、あのアドバイザーにだけ聞きに行ってくれ」

「わかりました」

アマリアの言葉に頷いたサクは、立ち上がり外へと足を向けた。

 

* * *

 

「ご、五十オーバー!?」

僕の話を聞き終えたニールさんは絶叫する。そんな彼女と相対して座る僕が身を乗り出し指を口を当てると、「ご、ごめん」と我に帰った彼女は謝罪をした。

「…やっぱり心当たりは…」

「ないわね…。きっと前代未聞だわ」

「ぜ…っ!?」

その発言に固まる。そんな僕の前で汗をながすニールさんは、再度口を開いた。

「…とりあえず。このことは誰にもばれないようにしなきゃならなさそうね」

「わ、わかりました」

「サク君」

「はい?」

「ばれないように気おつけてよ」

「…は、はい」

嘘の下手くそな僕に念を押すニールさん。その言葉に僕はぎこちなく頷いた。

「じゃあもう帰ったほうがいいよ。もう外暗いだろうから」

呆然とする僕の前で立ち上がったニールさんの言葉に僕は頷く。立ち上がり頭を下げた後、そのまま【マテリアル】を出た。一人となったニールは「大丈夫かなー?」と頬に手を当てながら呟くのだった。

 

* * *

 

暗くなってしまった道を歩く。

表通りには人がごった返しているものの、僕の歩く裏道は人一人いなかった。道の端の灯りとなっている宝玉が頼りなく光り、時にはチカチカと点滅していた。それにどうしても薄気味悪さを感じてしまう僕は、足早にその場を去ろうとした、直後。

「サク・ティネルだな」

「…えっ?」

低い男性の声が響き渡った。全く気配に気づいていなかった僕は目を見開く。そんな中一つの影が、物陰から現れた。ローブ姿の男性は、かなりの長身だ。だがそれだけしかわからないくらいに何もかもが隠されている。この暗闇も相まって不気味さを醸し出す姿に僕はわずかに後ずさった。

「サク・ティネルだな」

「…っ!」

もう一度、名前を問われる。なんで僕の名前を知っているのか、一体誰なのか、疑問は尽きない中僕は恐る恐る頷いた。それを確認したと同時に男性は一歩踏み出した。

「ならば共にきてもらおう」

「…えっ!?」

またしても急な展開に仰天する。一歩、また一歩と近づいてくる男性。僕はほとんど頭がついていかないが逃げないといけないことはわかる。しかしなぜだか体が動かない。初めて味わう感覚が体を突き抜ける。頭は逃げろ逃げろと言っているのに足が、体が動かない。汗が頬を伝う中男性はどんどん迫ってー

「おい、何してる」

「「ーっ!?」」

瞬間、新たに別の声が道に響き渡った。その声に僕とローブの男性は顔を向ける。

そこにいたのは青年だった。短い髪は黒く。顔は凛々しい。がたいは細めだが鍛えられているとわかる。五M程離れた場所から見ているにも関わらず全く気がつかなかった。それはローブの男性も同じらしい。

僕たちの状況から何かを悟った青年は、ローブの男性に向けて鋭い視線を送った。

「悪いがお引取り願おうか」

「……」

数秒視線を交わしていた二人だったが、すぐにローブの男性が踵を返し、消えていった。

一気に汗が噴き出る。やっとこさ心臓がバクバクとなり始めた。そんな僕の前にやってきた青年はローブの男性が去って行った方向を眺め、溜息をついた。

「ったくなんなんだ気味悪りぃ。大丈夫か?アンタ」

「あ、はい…。大丈夫です…」

「…何があったんだ?」

力のない声で返すと青年は静かに尋ねてきた。それに少し考え込み、かぶりを振る。

「それが、わからなくて」

「心当たりなし、か」

その後数秒沈黙が続いたが、それを破ったのは青年だった。

「アンタ派閥の眷属か?」

「あ、はい。一応」

「立場は?」

「…ふ、副隊長、かな?」

「副隊長!?てことはディメンターか!スゲー!」

「そ、そんなことはっ」

テンションが高い相手に若干おどおどとしている中、バッと僕の前に手が差し出された。

「俺はルーカス・アルバネルだ。アンタは?」

「さ、サク・ティネルです」

その手を握りながら僕は答え、先程とは雰囲気が変わり明るくなった相手に尋ねる。

「えっと、アルバネルさんは派閥に?」

「いやーそれが全く見つからないんだわー」

「ということはディメンターではないんですか」

「ああ、ていうかディメンターであるほうが珍しいんじゃねぇのか」

「あはは、そうですよね。……今、『見つからない』って言いましたよね?」

「おお、どこもお断りされるんだよ。せっかく挨拶がてらカエルの丸焼き持ってきてやったのに」

「かっ!?そ、それが理由だと思いますよ…」

「えっ?カエルが?」

「ま、まぁそれは置いといて。アルバネルさん、派閥を探してるんだったら僕のところの派閥に来ませんかっ?眷属募集中なんですっ」

「おお!いいのかっ?いやー助かった!」

か、勧誘成功…。

なんだかとてもアッサリと入ってしまったアルバネルさんに汗をかき、このまま来てくれるというわけなので僕たちは同行していった。

 

* * *

 

「もうっ!何なんですかあの人〜っ!」

「ど、どうしたのマヤ?なんかいつもと感じが違くない?」

「何でもありません!」

最強派閥と言われる【ラミス派】のホームでは、朝出会った赤髪の少年に未だカンカンの人物がいた。

ルシアが苦笑いで尋ねたマヤと呼ばれる少女は、そっぽを向いた。

「いやー何だか騒がしいな、何事だ?」

そんな時姿を現したのは長い黒髪を一つにまとめ、下は袴を、上は包帯を胸に巻いただけの格好をした女性がその大きな胸を揺らしながら入ってきた。

「それがねー聞いてよ隊長。マヤが機嫌悪いの!」

「べつに悪くありませんから!」

「ほう。まーこういう時はそっとしておいてやれ。反抗期か何かじゃろ」

「子供扱いしないでください!」

ニヤニヤとふざける隊長達。マヤは顔を赤くして出て行った。

本当になんなのよ!お姉ちゃんとあんな親しげに…っ、自分の立場をわきまえないで図々しいにもほどがある!

キーッと歯を食いしばりながら、マヤ・カルヴァートは苛立ちを隠せずにいるのだった。

「おー、マヤ。もう寝るところか?」

「あ、ジンラスさん」

そんな時、背後から声が聞こえた。その声に振りかえると、そこにはジンラスと呼ばれた男性がいた。

口調通りの老人だが、その体はバリバリの眷属だ。口元を髭がおおい、体は大きくがっしりとしている。派閥の中でもトップクラスの実力を持つこの派閥の古株は、マヤの様子を見てニヤついた。

「なんじゃ、あのマヤが怒るとは珍しいのぅ」

「お、怒っているわけでは…っ」

何回目かの言い訳を口にしていると、不意に頭によぎることがあった。

「あの、お姉ちゃんどこかわかりますか?」

「ああ、セフィアか。また外で稽古でもしとるんじゃないのか」

「稽古、か…。またあの人は…」

溜息混じりにそう呟くと、ジンラスに頭を下げてから裏庭へと向かった。

ここのホームは、最強派閥と言われるだけあって規模も大きい。その中でも姉は裏庭で稽古をすることが日課だ。

裏庭と言っても室内にあり、それもかなりの広さだ。ゆうに三十Mはあるだろう庭のドアを開けると、案の定、彼女はいた。

己と同じサファイアの瞳。そして輝く金髪。その三つ編みが動くごとになびいた。滴る汗さえも美しい彼女に、姉を敬愛しているマヤは、見惚れてしまっていた。

一通り稽古を終えたセフィアは、持ってきていたタオルで顔を拭く。そしてそのまま横に向けた顔はマヤを捉えた。セフィアは少し驚くが、見入っていたマヤは動かない。いつも稽古のしすぎと怒られているので、今回も同様に叱られると思ったセフィアは、オズオズというように切り出した。

「どうしたの?」

「……」

「マヤ?」

反応がないことに小首を傾げる。すると固まっていたマヤは、「はっ!」と正気に戻った。

「どうしたの?」

「えっ!?いや、なんでもないです!そ、そんなことよりお姉ちゃん!また稽古してっ、暇さえあればやるのは体に良くありませんよ!」

「ご、ごめん…」

ションボリと落ち込むセフィアに、マヤは心を傷めるがこれもお姉ちゃんのためと思って心を鬼にする。そして再度浮かんだのはあの赤髪の少年の姿だった。今も落ち込んでいる姉にマヤは切り出してみる。

「そういえば、あの人誰なんですか?森であっていましたが」

「え…」

途端固まる姉。そんな姿にマヤは目を細めた。

「言えないんですか?」

「……」

「親しげでしたが?」

「……」

こういうことには全く頭の回らない姉に溜息をつき、「嘘下手なんですから」と呟いたあと、再び姉に向き合った。

「まぁ、お姉ちゃんが言いたくないんなら問い詰めたりはしません。ただ…」

そこまで言ったマヤは一度口を閉ざしてから言った。

「あの人、ランクFですよね」

この前の【アラゲメント】で出ていた彼は、今では街中が知っている人物だろう。もちろんランクも【マテリアル】に行けばすぐに分かることだ。派閥は眷属のランクを報告する決まりになっている。

「確かに自分よりランクの上である人物に勝利したことは認めます。ですが、彼とお姉ちゃんは立場が違う。なのになぜそんなに彼に?」

嫉妬しているという理由ではあるが、ただ純粋に気になった。他となるべく接しない姉がここまでする理由が。

マヤが尋ねた言葉に考え込んでいたセフィアは、同じサファイアの瞳を向けてきた。

「サクには、頑張ってほしいって思うの」

「サク…?」

小首を傾げたが、すぐにあの人の名前だと気付き、いったいどれほどの仲なのか再度気になったが無理やりかき消す。そして姉の言った言葉に再び口を開いた。

「頑張って欲しいって、違う派閥なのにですか?」

「うん」

「なんで…?」

わけがわからなくなるマヤに、セフィアはまた考え込んだが答えは見つからないようだ。長いことそうしているセフィアに溜息をつき、「もういいです」と伝えてから、マヤは庭をあとにするのだった。

最近姉の様子が少し変わった気がしていた。なんだかどこか楽しそうな、そんな様子に。まさか姉の言っていたサクというあの人が関わっているのだろうか…。などとうんうん悩むが結局わからず諦める。上を見上げ、今度は邪悪なオーラを放ち始める。

「他派閥のくせにぃ〜っ!」

マヤの頭の中では楽しそうに手をつなぎスキップしていくサクとセフィアの姿が浮かんでいた。

「絶対に負けないっ!!」

そんな妄想を打ち消し、ニヤニヤと笑うサクの顔めがけ指をさし、大声を放つ。そんなマヤの様子にその場にいた何人かの眷属達はギョッとするのだった。

そうしてサクは知らないうちに、マヤのライバルとなるのだった。

 

 

 

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