クレヨンしんちゃん&ジョジョの奇妙な冒険 ハリケーンを呼ぶ 綱玉の示す路(ロード)   作:パタ百ハイ

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五限目の後の休み時間


「瀬上君、稲庭さん何の用だったの?」

「食後の運動に付き合わされた」




追跡するはマイ・フレンド その①

 

 移動教室の六限目の授業が終わり、俺と優太は自分達のクラスに戻る為に教室棟の階段を上っていた(他のクラスメイト達は既に戻っていて、俺達が最後)。

 二階に到達し、更に上ろうと一段目に足を乗せると、優太は立ち止まって非常階段と繋がってる方へと目を向けていた。

 

「優太、何してるんだ? 早く戻らないと怒られるぞ?」

「いや、除夜……あれ」

 

 優太は設置されている消火器の下にある「ノート」に指差した。

 

「ノートだな」

「ノートだね」

「拾おう」

 

 落とし物を拾うのは普通の事だ。それにノートとかは大抵名前やクラスが書かれているから、すぐに届けられる。

 ……甘かった。これには全体に色とりどりの星やら鐘やらのシールが貼られているだけで、名前もクラスも、使う教科も書かれていなかった。書き忘れと思って、不本意ながら中を見る事にする。開いてすぐに指どころか体の動きを止めた。

 

「どうしたの?」

「いや……」

「悪いけど、ちょっとトイレ行ってくるね」

「行ってこい」

 

 優太を見送ると指を再び動かす。ページを捲る度に、俺の顔はどんどん引きつっていくのが分かった。

 最初の方は今放映されている特撮や魔法少女もののアニメ等合計10作品以上の世界観が半ページで収まる程かなり簡略に、しかも分かり易く纏められており、残りの半分を制作スタッフで埋まっていた。

 中盤からは主要登場人物が各半ページ毎に胸から上が描かれていて、空きスペースにプロフィールや担当声優、裏設定等が書かれている。

 

「もしもし」

 

 後ろから声を掛けられたので振り向く。そこには口元まで伸ばした前髪で顔を隠し、後ろ髪は腰まで伸ばした、首に直接スカーフを巻き、制服全体に茨の蔓の刺繍をした女子生徒がいた。

 

「それ、悪いけど見せてくれない?」

「あなたのですか?」

「多分そう思うわ」

 

 渡さない理由が無いので渡した。彼女はシールだらけの表紙から何ページか捲ると、ノートを閉じて俺達を見た。

 

「あなた……これを何処で?」

「つまりあなたの?」

「ええ……それより、これを何処で?」

「ここに落ちてました……」

「読んでいたようだけど……」

「名前が書かれてなかったので読んで何か手がかりがあればと……」

「ホント? それ」

 

 何か髪の毛ごしの視線に凄まじいプレッシャーを感じる。よっぽど他人に見られたくなかったのか?

 

「ほ……本当です」

「……ならいいわ」

「あら」

 

 凄まじいプレッシャーが一瞬で無くなり、少しずっこけかけた。その時優太も戻ってきて、俺達は教室に戻ろうと――

 

「振り向かなくていいからこれに答えて。私のノートを見たのは瀬上君だけ?」

「はい、俺だけです」

「そう……拾ってくれてありがとう。それじゃあ」

 

 する前にこんなやり取りがあったが、後は一度も足を止める事無く教室に戻る事が出来た。

 

 

 

 

 HRも終わって、放課後。どこにも所属していない俺は早々に帰宅する。優太の奴は今日は近くのドラッグストアで冷凍食品が安いからそっちに行ったので俺一人。

 

「帰ったら琢磨と稲庭の事、しんのすけに話さないとな……」

 

 本当に今日は濃密な一日だったよ。こんなに濃かったのは人生で……結構あるな。中学の「あの日」以来……

 

 そんな事を思いつつ、途中の歩道橋の階段を中段まで上ると、右手首を『砕けると思う程の握力』で握られ、そのまますぐ『後ろに引っ張られた』。

 バランスを崩した俺はそのまま後ろに転倒、その際目に入ったのは、緑色を基調とした体色、両腕の付け根から手首までと下顎が紫色の装甲で被われ、胸部から腰には青いサラシのような布が巻き付けられ、首にはバイクのランプのような飾りのある女性的な体つきの『スタンド』。それを視認すると同時に俺も『プラネット・ルビー』を出して手摺を掴んだ。

 その『スタンド』は手摺を掴んでいる手に自分の腕を伸ばした。強引に外す気のようだ。

 

 だから俺は、「外される前に自分で手離した」。

 

 当然俺の体は落下が始まる。そしてすかさず『プラネット・ルビー』の能力発動、瞬間移動でコイツの後ろに回った。

 

「ゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラァ!」

 

 敵スタンドが何か反応を見せる前にラッシュを叩き込む。スタンドは吹っ飛んで階段を転がり落ち、そして消えた。

 これなら本体は少しずつしか動けない筈。見つけ出して持ってる情報を吐き出させてやると意気込み10分。

 

 それっぽい怪我をした奴は見つからなかった。

 

 パワーからして遠隔操作とは思えないので、『プラネット・ルビー』の射程と同じ距離と推定して、通り道から人が隠れられる物陰がある場所とかを捜したが、全然だった。

 

「もしかして、まだ殴り足りなかったか……?」

 

 本体が並外れて頑丈で、殴られた後急いで「スタンド」引っ込めて逃げたとか……

 俺だけだと思ってた『スタンド使い』が他にも世界中に多くいた事を考えれば、別に有り得なくはないな。

 

「これじゃスタンドを「殴り飛ばす」んじゃなくて『殴った後捕まえ』とけば良かった……」

 

 そんな事を呟きながら歩道橋を渡って歩道を渡りきった。

 この時、隅に投げ捨てられた空き缶を見つけ、危ないから拾いに行こうと足を止めると、目の前に植木鉢が落ちてきた。それが砕ける音と同時に、俺は顔を見上げる。

 今の俺の横にあるマンションの7階のベランダで、あのスタンドは見下ろしていた。前に差し出されているその手には『植木鉢』が握られていて、俺と目が合うとそれを合図のように手離す。

 我に返ると同時に通っている車を『軸』にし瞬間移動。俺のさっきまでいた場所に植木鉢は落下し地面に激突、砕け散った。

 

(何か……『変だな』……)

 

 俺は助かった安堵感より、上手く表現出来ないが、あのスタンドの行動に何か「違和感」を感じた。

 

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