クレヨンしんちゃん&ジョジョの奇妙な冒険 ハリケーンを呼ぶ 綱玉の示す路(ロード)   作:パタ百ハイ

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追跡するはマイ・フレンド その③

 

『もしもし須藤です』

「琢磨か? 俺だ、除夜だ! 聞きたい事がある!」

 

 孤児院を出た俺は、割と広くて電線とかが無い広場まで行き、そこの芝生の中心辺りに直接座り込んで琢磨に電話を掛けた。

 道中、あのスタンドは姿を現さなかった。「走ってる車を動かすかも」とか、「歩道を歩く人をぶつけるかも」とか、色々気を払ったが杞憂に終わった。良かった事は良かったんだが、お陰でここに着いた途端に凄い疲れが一気に来た。

 せめて疲れが取れるまで襲わないでくれと思いながら、琢磨に今俺を付け狙う『スタンド』の事を話した。

 

「という訳なんだ! 何なのか分からない! こっちから幾ら攻撃してもピンピンしてるし、執念深さが半端じゃない! まるで『俺を殺す為』だけに動いてるみたいなんだ! どんなタイプの『スタンド』なんだ? 本体近くにいないから近距離パワー型じゃないし、遠隔操作にしてはパワーが強過ぎる!」

 

『『遠隔自動操縦』――君を襲っているスタンドは、十中八九それです』

 

「『遠隔自動操縦』?」

『少しおさらいしましょう。『スタンド』は大きく分けて『近距離パワー型』と『遠隔操作型』があります。その違いは?』

「本体から離れられる距離。俺の『プラネット・ルビー』みたいな『近距離パワー型』は本体からあまり距離を置けない代わり相当の力を発揮する。『遠隔操作型』はその逆、本体から距離を置ける代わり力は弱い」

『その通り、これは『スタンド』の力と射程距離が反比例の関係にあるからです。勿論例外もありますが』

「その『例外』が『遠隔自動操縦』なのか?」

『「当たらずといえど遠からず」ですかね。『遠隔自動操縦型』もスタンドのパワー分類に入っていますし……』

「それ、なるだけ簡略して解説頼む」

『分かりました。『遠隔自動操縦型』は、「ほぼ無限の射程距離を持ち、尚且つパワフルな動きが出来る」んです』

「は?」

 

 ちょっと待て。それさっき言った事無視してんじゃねーか。

 

『理由は、一度放てば本体の制御から離れ、目的を遂げるか本体が死ぬか自分から解除するまで追跡を止めないからです。追跡中は本体から離れているのでスタンドにどれだけ攻撃を叩き込んでもせいぜい一旦中断するだけで特定条件を満たせばすぐ追跡を再開します』

 

 だから『自動追跡型』とも呼ばれます――と琢磨は言う。

 そういう事か。それなら、あいつに感じた『違和感』も納得だ。

 そしてあいつの対処法も分かった。一応確認を取ろう。

 

「琢磨、『遠隔自動操縦』のスタンドは「本体の制御から離れる」って事は、「本体はスタンドを操作する事が出来ない」のか?」

『ええ、そしてスタンドの周囲の状況の確認も当然出来ません。このタイプは、「自分の身を守る事」に向いてないんです。逆探知されて追い込まれたら無防備なんですよ』

「やっぱりか……で、逆探知の手段は?」

『除夜君を追跡しているのは間違い無く「特定の標的を追える」奴ですね。でしたらその前に本体と何等かの形で接触した筈です。今日何かありました?』

「朝お前に喧嘩売られて遅刻、昼休みクラスの委員長に喧嘩吹っ掛けられ五限目の授業に遅れた」

『意外と根に持つんですね……何時からそのスタンドに襲われているのですか?』

「下校途中から」

『それなら少なくとも放課後……またはその前後ですね……その時間帯に何かありましたか? 出来れば普段起こらない事で』

 

 すぐに思い付いた。六限目の授業が終わって教室に戻る途中、ノートを拾ってそれを先輩の女に返した。

 十中八九あの女が本体だ。あの女の所に行って解除させないとな。

 

『ある……みたいですね』

「ああ、今から『本体』捜しをする。ありがとな!」

 

 電話を切って学校の電話番号をプッシュする。

 

 番号を押して指先が通話ボタンに触った直後、後ろから飛んできた「野球ボール」が俺の右頬を掠ってバウンドした。

 

「一体何なんだよさっきの!」

「分かんねーよ俺が聞きてえよ!」

 

 グローブ片手の二人の子供が、俺のもとへ寄ってきた。このボールの持ち主だろう。

 

「はい。君達のだろ」

「すみませんでした」

「いや、いいよ。当たらなかったし」

「あ……あの……苦しい嘘に聞こえると思うんですけど、ボールがそっちに飛んでいったのは、僕が投げた直後に『ボールが宙に止まってそっちへと飛んでいったから』なんです」

「本当なんです!」

 

 話を聞いて俺はまだまだ奴の事を甘く考えていたのを痛感させられた。

 充分な程用心していたが、あいつに対してはどれだけしても足りないって訳か。

 

「信じる……君達に一切の非は無い。気にするな……だからこの事は誰にも言うな。分かったな!」

 

 そう言うと俺は再び自転車に乗り込み、ペダルを漕いだ。

 ロボットのように目的を遂げるまで何処までも追跡する……

 広場を出て少し走ると、広場の隣にある消防署から梯子車が出て来て先を塞いできた。

 妙だ。サイレンは勿論、エンジン音すら聞こえない。その答えは車体の後ろを見てすぐ分かった。あの『スタンド』が、車を押していた。

 スピードを結構出していて距離的にブレーキは間に合わない。なので体を傾けて急カーブし、歩道を出た。

 

 同時に、あのスタンドが更に車体を押し出した。結果、『左側の車線』が塞がってしまった。目的が分かったが、俺は『対向車線』に入ってしまった。しかも眼前には大型車が走っている。

 

「この程度なら……俺にとって何の問題にもならないな!」

 

 ペダルを力一杯踏んで、走ってくる車に向かって突き進む。見る余裕は無いけど、運転手はさぞ驚いているだろう。自転車が自分に迷いなく突っ込んでくるからな。俺があっちの立場でも驚くと思う。

 だが、事故は起きない。

 接触する寸前で横の梯子車を『軸』にして、梯子車のおかげでがら空きになってる車線へと移動。

 ……心臓に悪いから、これっきりにしよう。

 そう誓い、あの運転手に心の中で謝罪しながら歩道に戻った。

 

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