クレヨンしんちゃん&ジョジョの奇妙な冒険 ハリケーンを呼ぶ 綱玉の示す路(ロード)   作:パタ百ハイ

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平穏な日曜参観に訪れた刺客、その脅威が幼稚園を襲う!


しんのすけの日曜参観 その②

 

 降り続ける雨の感触を掌で直接感じながら、既にぬかるんでいる地面の感触を長靴越しで感じながら、男は思う。

 激しい雨だと。

 そう、これなら――

 

「僕の『ストゥーピッド・ライク・ディス』の力を、遺憾なく発揮させられる……」

 

 背後から己の『スタンド』を発現させ、足を動かす。

 

 

 

 

 日曜参観は大抵午前中には終え、大抵月曜日が代休になる。この日曜参観も例外ではない。

 終わる予定の時刻まで後一時間程。雨の降るペースは落ちるどころか激しくなる一方。

 もしかしたら帰る頃にも降っているかもな。そんな事を憂鬱気味に考えながら外見ていると、しんのすけが寄ってきた。何か不満なのか、膨れっ面で。

 何かリスみたいでかわいいと不謹慎ながら思ってしまった。

 

「除夜のお兄さん」

「何だ?」

「お兄さんは今日何しに幼稚園に来たの?」

「日曜参観でひろしさんの代理で」

「じゃあどうして途中からずっとお外眺めてたの? お兄さんはお外見るのが趣味なの?」

「ちげぇよ。何時雨がやむのか気になったんだよ。俺、雨に当たるの好きじゃないから」

「除夜のお兄さん、晴れの日が嫌いじゃなかったっけ?」

「それは体質の関係上。雨は濡れたら冷えるし強いと見えづらくなるし」

「難儀だね除夜のお兄さん……まだ傘をさせば大丈夫だと思うけど……持ってきてたよね?」

「ああ。天気予報と星占いは見るようにしてる」

「オラも天気予報は必ず見てるぞ。キャスターのおねいさん美人し」

「それがメインだろお前の場合」

 

 何てこいつらしい理由だ。

 異性に興味を持つのは年齢問わず普通の事だからそれについては何も思わないが、だったらもう少し早く起きてやれよ。みさえさん朝はいつもお前のせいで苦労しているんだぞ。

 毎日のように幼稚園バス乗り遅れていて先生の間で賭の対象にされた事があったとトオル達からさっき聞いたが……つまりそれ程寝坊で遅刻しているんだろう……?

 

「どうしたの?」

「お前が産まれてからひろしさん達は退屈する間も無いんだろうなと思っただけだ……」

「何か照れますな〜」

「ほめ言葉として取ってくれ……?」

 

 ふと外を見たら、茶色いレインコートを着込んだ何者かが立っていた。この教室に体が向けられているからひまわり組の誰かの家族かと思ったが、すぐにその考えを打ち消した。雨でよく見えなかったが、そいつの後ろに『スタンド』が立っていたからだ。つまりあいつに用事があるのは俺だ。

 雨が嫌いだとか言ってられない。もしあいつが他人を巻き添えにするのを厭わない性格なら、ここにいたらしんのすけ達も巻き添えを食らう。だから外に出る為にガラス戸を開こうとした。が……

 

「開かない……?」

「え? 鍵かかってないよ?」

「分かってるよ! でも開かないんだ?」

「あれ? 何か寒くなってない?」

 

 一人の園児がそう言うと、周りも口々に「寒い」と言い出した。確かに、急に肌寒くなってきた。

 今は四月だからまだ日によって寒い事は寒い。だが、今日は暖かった。雨が降れば気温は変化するが、これは「し過ぎ」だ。

 もしかしてと思い、顔を下に向ける。言葉が出なくなった。

 

 戸の外側の桟は、『凍り付いていた』。これじゃ戸は開かない訳だ。

 

 桟だけでなく、雨も『ガラス戸に当たる度に凍り付いていて』、屋根にも『氷柱』が垂れ下がっている。

 

「除夜のお兄さん、これって……」

「スタンド攻撃だ。間違い無くやってるのは外にいるあいつだ」

 

 俺達以外もこの現象に気付き始めている。早く対処しないとパニックになる。

『プラネット・ルビー』を発現してガラス戸をぶち破った。

 

「これからこの現象が終わるまでここから一歩も出るな! 他の組にもそう連絡しろ!」

「え? ちょっ……」

「説明してる暇はない! 絶対に外に出るな! 出たら命の保証はしないからな!」

 

 矢継ぎ早に忠告して飛び出した。

 

 

「どうする?」

「どうするって……」

「従った方が、いいと思う」

「うん、そうして」

「おいしんのすけ! 何処行くんだよ!」

「オラも行く!」

「何言い出すのよ! さっき言われた事聞いてなかったの?」

「大丈夫! これが何なのか分かってるから!」

 

 

『スタンド』を発現させて兎も角突っ込む。

 今頭にあるのは、単純に「あいつに近付いて思いっ切り殴って気絶させる事」。顔にかかって視界がブレて距離感は掴めないが、いる方角は分かるから問題無い。最悪ぶつかってもすぐさまそこに拳を叩き込めばいい。そんな意気込みだった。

 

「づ……ッ」

 

 足が突然『動かなくなった』。正味で足下が『固定されてしまった』。上半身が前のめりになるが、咄嗟に『プラネット・ルビー』で支えた。

 足が『冷たい』、いや、『痛い』。

 見下ろすと、予想通り両足の、足首より下が『凍結』していた。こんな事なら長靴履いてくるべきだった。帰る頃には晴れると思って運動靴履いてきたのは失敗だった。

 

「危なかった……いきなり飛び出してくるなんて思ってなかった……後数秒認識が遅れていたら……あんたの足に触れた水を凍らせるようにするのが後少し遅れていたら……」

 

『生身』だと失敗か……なら、『スタンド』だ!

 お前は十分俺のスタンドの射程に入っている! 『プラネット・ルビー』のスピードは自信がある。能力で対応したという事はお前のスタンドは戦闘に向いたスペックは無い。

 飛び出した『プラネット・ルビー』はすぐに奴のすぐ前まで接近し殴りかかった。

 

 奴との間からあいつのスタンドが出て来て、それに『プラネット・ルビー』は投げ飛ばされた。リンクしている俺の身体も同様に宙に投げ出された。

 スタンドの操作も間に合わず、地面に落下。背中を強く打ち、更に能力で背中と地面を凍結させられた。

 身動きが取れなくなった俺を、そいつは見下ろす。傍に自分のスタンド――皮膚は緑色で関節部はロボットアームのようなそれが剥き出しになり、頭にバッファローのような角の生えた人型の像――を立たせているのは、万が一俺が攻撃してきた際の防衛策といった所か。

 

「何か僕に聞きたい事とか……ある?」

 

 それでもこいつは余裕と顔に書いてあるかのような笑顔をしている。

 動こうとしたが、大部分が凍り付いてしまったようで殆ど磔状態だ。『プラネット・ルビー』も同様で、今打てる手は無い。

 だったら、こいつの隙が確かにある内に情報を引き出してやろう。

 

「僕の名前は塩屋(しおや)常陸(ひたち)。スタンドは『ストゥーピッド・ライク・ディズ』。7月20日生まれの十三歳。春日部第二中学校に在籍中の二年生。O型。両親と二人の姉と父方の祖母。好きなアーティストはジミ・ヘンドリックス」

「お前何で質問求めておいて聞いてない事勝手にペラペラ喋ってんだ!」

「聞かれると思ったから前もって言っておこうかなと」

「勝手に話を進めるな! 今から質問するからそれまで何も喋るないいな!」

「はい……」

 

 若干引きながら弱々しく返事した。

 怒鳴ったら息切れしたので深呼吸した後、質問を始めた。

 

「その能力……どんな経緯で得たんだ?」

「二週間前に『矢』に射抜かれて」

「ここに来たのは『矢』の所持者の命令か?」

「命令じゃなくて依頼された。『あんたを襲え、生死は問わない』って。五十万円で。因みに成功報酬一千五百万円」

 

 琢磨から聞いていたより額は上だな……撃退したから金額を上げたのか?

 そんな事を思っていると、塩屋の方から質問が飛んできた。

 

「あんた……何でこんな事尋ねるんだ?」

「俺にとって一番の敵の情報を少しでも知りたいと思うのは当たり前だろ?」

「そうだけど……それは僕を倒した後に聞いてもいい質問で今する質問は……僕の能力とか?」

 

 一考するまでもない。そんな事聞くつもりは全く無かったよ。

 どうせ聞かれても教えるつもりは無いだろ。それに大体の見当はついてる。

 こいつの能力は……

 

「あんたの企ては分からないけど……考える余裕なくしてあげる」

「ぐがぁっ!」

 

 俺にかかる雨粒が急激に熱くなった。

 感覚的にはたとえると真冬、冷えていた体で熱い風呂に飛び込んだ時に似ているが、これは『熱湯』で、さっきまで凍り付いていたからそれとは比べようもない程に「痛い」。

 

「除夜のお兄さん!」

 

 ついさっきまで聞いていた声が俺を呼んだのでそっちに視点を向けると、案の定そこには声の主であるしんのすけがいた。長靴を履いて傘もさしてる。塩屋の奴もそこに顔を向けている。

 

「仲間か……可能性として聞いていたけど……その為の時間稼ぎだった訳だ……」

 

 違うよ。こいつの登場は想定外だ。

 だがこいつはしんのすけの存在を認知した。下手したらこいつはしんのすけを攻撃する。

 

(そうは……させるか……)

 

 身体を動かす。皮肉な事に現在進行で浴びている熱湯のおかげで、俺の拘束は解けている。

 二本の足で体を立たせ、『プラネット・ルビー』を発現――

 

「立ち上がっただけでなく『スタンド』を出すか……驚愕通り越して尊敬するしかないな最早……だけど」

 

 したと同時、奴は俺を両手で『押した』。

 

「それを受けてあげる程、僕に情はないよ」

 

 倒れる俺の身体。その背後から熱い『湯気』が突然発生し、ブクブクとお湯が煮えたぎる『音』が耳に入り。

 それに反応、対処をする間もなく、熱湯の水溜まりに背中から無防備で突っ込んだ。

 

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