クレヨンしんちゃん&ジョジョの奇妙な冒険 ハリケーンを呼ぶ 綱玉の示す路(ロード)   作:パタ百ハイ

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この物語の主人公、登場です。


瀬上除夜は普通の人 その①

 

 埼玉県立星陵(せいりょう)高等学校。それが、俺の通っている学校の名前だ。

 時間は放課後。だから校門からは、部活動とか補習とか、残る用事の無い生徒が次々と学校から去っていく。

 ある者は歩いて、ある者は自転車に乗って、ある者は友達とお喋りをしながら。

 本当に何処にでも見られる、ありきたりな光景。

 俺はそのありきたりな光景を、校門に背もたれ眺めている。

 

 俺の名前は瀬上除夜(せがみ じょや)。今年度この学校に入学して間もない、成り立ての、極々普通の高校生。

 まあ、天然の金髪に180を越える長身、それで欧米系の顔立ちから初見の人は外人に間違われるが、れっきとした日本国籍を持つ日本人だ。こんな容姿なのは多分、先祖に欧米人がいて、その血が色濃く現れたんだろうと思う。

 勉強は、中学の頃は一学年百人の中で二十番内にはギリギリ食い込めていたからそれなりに出来る方だと思う。

 運動は球技が苦手で中学は陸上部に所属していたから、そっちが得意分野。

 後、家事も結構得意。家でよく家事やってたし、掛け持ちで料理部にも入ってたし。

 ついでに言うとキノコや山菜の類にも同年代と比較すれば詳しいと自負している。

 人付き合いは悪くはないけど良い方とは言い難いと思う。親友と呼べるのは保育園からの幼馴染一人、後友人も中学時代に複数、高校はまだ入ったばかりでそこからのはまだいない。

 補導歴とか、そう言ったものはなく、将来像も特に無い。

 まあこんな具合に、容姿とか今は言わないけど『他数点』以外は、性格的にも能力的にも良くも悪くも意識しない限り目立たないごく普通の人間と思う。

 

 閑話休題。

 

 俺はこの通り下校する生徒を眺めているが、趣味でやってるんじゃなく、同じくこの学校に進学した親友を待っている間暇だったから。けれど十分も経てば疎らになってきたし、特に楽しめなかったので、折り畳み傘と図書室で借りた『火の鳥』を鞄から取り出して――

 

「とりゃー!」

「痛!」

 

 頭に軽いチョップが叩き込まれた。

 

 反射的に掛け声のした方へと向くと、学校指定の制服を一切の乱れなく着た、薄目のブラウンのショートカットの、それなりにルックスの良い女子がいた。

 その女は腕を下ろすと俺に土まみれの手で指差した。

 

「瀬上君! 外で、それも立ちながら本を読んじゃダメでしょ!」

「最初に口でそれを言え!」

 

 頭に付いた土を払いのけながら反論した。

 こいつの名前は宝来瑪瑙(たからぎ めのう)。俺のクラスメイトでさっき言った中学時代からの腐れ縁の友人、そして一年ながら生徒会役員の会計職を務めている強者でもある。

 お節介焼きと評していい程面倒見が良くて、中学時代から俺達、特に俺を気にかけてくれるいい奴だ。まあこの通り少し口やかましい所あるけど。

 

「……確かに、特に邪魔にならない場所とは言え学校の出入口で傘開いて本読もうとしたのは悪かった。だけどいきなり暴力ってのもどうだと思うんだが」

「それはあたしが悪いわね。けど痛くない筈よ? 手加減したし」

「はいはいすいませんね反応がオーバーで……それよりお前、仕事いいのか? 今生徒会は花壇の手入れやってるんだろ?」

「もう終わった。後は用具の片付けだけって時に君を見掛けたからちょっとお願いして抜けてきたの」

「あっそ……ならいいけどな」

「おーい除夜ー」

「おっ来たか……」

 

 短い茶髪に中性的な顔立ちをした、俺の頭1つ低い、お洒落に赤いチョーカーを首につけた男が俺のもとにやってきた。

 こいつが俺の待っていた相手であり、さっき言った親友の沢登優太(さわと ゆうた)。宝来と同じく俺のクラスメイト。成績はいつも学年首席をキープしていて、家もかなりの金持ちだが、それを鼻にかけないいい奴。

 

「何で忘れ物取りに行くのにこんなに時間がかかったんだ?」

「ごめん、日直の仕事で」

「お前の当番は明後日の筈だろ?」

「どうせ押し付けられたんでしょ……」

「えへへへ、よく分かったね」

 

 性格は少し気弱で自己主張が苦手。それにどこか間が抜けている。

 

「でも俺待ってたの二十分以上だぞ? 机並べて窓閉めて電気消して日誌書いて出すでそこまでかかるか?」

「ついでに黒板汚れてたから拭いたり教室掃除したりしていたから」

 

 後、限度を知らない。事細かな配慮が出来るから周りからの信頼は厚いけど、俺からすれば目を離せない。

 それ聞いて俺と宝来は同時に溜息を吐いた。

 

「沢登君、そこまでする必要なんかないの。ちゃんと清掃時間があるんだから」

「でもどうしても気になって……」

「それに日直の仕事も他の人が当番なら断っていいの! 少しは自分の意志を言いなさい!」

「だからそれが苦手なんだって……」

「まあいい。帰るぞ。さっさと帰らないと義母さんウルサいからな」

「うん」

「宝来もどうだ? 一緒に帰らないか?」

「ううん、遠慮しとく。今から見回りだから。それじゃ、またね」

「おう、またな」

「さよならー」

 

 宝来と別れ、帰路についた。

 

 

 

 

 二人を見送った後、外の水道に寄って、袖を噛んで捲り上げて手を洗う。

 右腕の二の腕、手首と肘の中間の位置に、何か小さい刃物を刺したような、深い傷が1つあった。

 

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