クレヨンしんちゃん&ジョジョの奇妙な冒険 ハリケーンを呼ぶ 綱玉の示す路(ロード)   作:パタ百ハイ

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ミスター・ブライトサイド その②

 

 逢坂の『スタンド』は俺同様に人型のそれ。

 藍色を基調とした体色、自身の頭部一つ分の長さの首に、喉には能面のような顔が埋め込まれている。膝には大きめの鱗がびっしりと覆われており、手は常人の二倍近くある長さと普通の倍多い関節を持つ指に、その指と指の間には第三関節までの水掻き、肩甲骨の位置には一対の背鰭があり、頭部はサメ。特徴だらけのスタンドだった。

 俺は体を立たせるさっきは瞬間移動をしようとしたのに出来なかった。間違い無く奴の能力によるものだ。

 立ち上がった途端、足から痛みを感じる。足を上げると、巻き込んで壊れた椅子の破片が刺さっていた。スリッパが脱げていて靴下しか履いてないから、踏んだらこうなるのは当たり前か。

 殴り飛ばされた時にすっぽ抜けたかと思ったが、スリッパは『椅子に座っていた時の位置と変わってなかった』。何等かの『能力』で固定されたのは分かった。

 能力を推理しようとすると、スリッパを観察しているのを見破られ、逢坂は口角を上げた。

 

「どんな能力か分析しているのか……」

 

 そう頭を悩ませる必要は無いよ――と言って、逢坂の『スタンド』は、先程本体が彫っていた石の破片を拾い集る。

 

「僕の『ミスター・ブライトサイド』は、隠そうとするのが馬鹿馬鹿しく思える程とてもシンプルな能力なのだから」

 

『ミスター・ブライトサイド』は指を動かす。石の破片は粘土のように『変形』する。それの形が整えられ、中型のナイフが完成した。

 それを本体に手渡すと、今度は自分が彫っていたのとは別の石をこね始めた。させじと俺は接近するが、奴の手の動きのが早かった。

『ミスター・ブライトサイド』は作った『刺又』を突き、俺を捕まえようとする。『プラネット・ルビー』で先端に触って払う。

 成功したがかなり強引だったので腕にかなりの負担を感じる。それに気を取られ、『プラネット・ルビー』へとナイフを振り下ろしている逢坂への対応が遅れてしまった。

 自分のスタンドを体の中に戻す。フィードバックで右腕の付け根近くを結構深く切られた。物体がスタンドを傷付けた事に驚いたが、あのナイフは『ミスター・ブライトサイド』の「能力」で作られた物。それを用いての攻撃は「能力攻撃」になる訳か。

 一旦引っ込めたのは正解だった。もし「スタンドに物体での攻撃は通用しない」って高を括って何もしなかったら、最悪右腕を失う所だった。

 そして最初の攻撃の時何故瞬間移動が出来なかったのか。よく分かった。

 

「会話している隙にスリッパの底と床をこね合わせたのか……」

「その通り。作業中気付かれないか、足を動かさないかハラハラしていたけど、君が会話に意識を向けていたおかげで助かった。君集中力あるね」

 

 皮肉なのが丸分かりなので嬉しくない。

 今度は刺又の石突で突いてきた。当たる前に『プラネット・ルビー』の掌で受けるが、そのまま押されて体が宙に浮く。着地の際足を滑らせかけたが、何とか倒れずには済んだ。

 やはりパワーはあちらが相当上だ。スピードは勝っているがこの障害物だらけの空間じゃ直撃しないようにするのが精一杯だ。

 だから俺はある選択を取った。

 

「ゴラァ!」

 

 現在地が窓際だったので、窓ガラスを破壊してそこから外に出る。俺が外に出ればあいつは俺を追って外に出て来るだろう。「今回は諦める」という選択を取る可能性はあるが、俺に本体も能力も明かしている以上はかなり低い。俺が同じ立場だったら取らない。

 

 そこまで考えていると、裾が引っ張られる。まあ、敵がこっちに合わせてくれる訳は無いよな。

 壁にはソフトボール程の『穴』が空いていて、そこから『ミスター・ブライトサイド』の手が伸びていた。

 このまま戦闘を続ける事は出来なくもないが、不用意にそれを外で行ってしまえば誰かが目撃する可能性が増える。俺もだが奴にもそれは不都合だろう。だから美術室に戻ると、逢坂は意外そうな顔をした。

 

「わざわざ戻って来るの? 美術室(ここ)は君にとって不利だから外に出たんでしょう?」

「引き止めたのはあんただろ!」

「まあね。提案があるから引き止めたんだ」

「提案?」

「君を逃がしたくはないけど、『能力』で修理出来るとはいえ僕もこれ以上ここの備品や材料を破壊したり変形させたりするのは避けたい。だから屋上に行こう。放課後にわざわざ屋上まで足を運ぶ人はそういないでしょ?」

 

 こっちの返事も聞かず割れたガラス窓から外に出た。そこから顔を出すと、あいつは壁をヤモリのようによじ登っている。あれは多分能力の応用だろう。腕を伸ばす度に指先が引っ掛かる程度の穴を作っているといった所か。まあ、それらしき物が見当たらないのは、登った途端に元に戻してるんだろう。

 奴を追うべく美術室を出て、非常階段へ向かった。

 

 

 

 

 屋上の扉を前にした俺は『プラネット・ルビー』を発現し、ノックしてみる。

 直後、ガラス越しに人影が出て来た。ご丁寧に座って待っていたという事か。そしてすぐに扉に穴が空いてそこから腕が伸びてきた。

 捕まる前に扉を思いっ切り蹴り飛ばす。逢坂はそれに巻き込まれ、一緒に吹っ飛ばされるが、大したダメージにはなってないらしく、平然と立ち上がってきた。

 

「意外と容赦ないんだな……」

「それで負けるか降参するかしてくれればしてやるよ」

「じゃあ無理だね。なるだけ早く終わらせるか」

 

 逢坂は扉の加工を始めた。

 




スタンド名の元ネタはザ・キラーズの楽曲。

次回、決着です!
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