クレヨンしんちゃん&ジョジョの奇妙な冒険 ハリケーンを呼ぶ 綱玉の示す路(ロード)   作:パタ百ハイ

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お久しぶりです。二年半以上ぶりに投稿します。


アイアン・バタフライとサード・アイ・ブラインド その①

「お前……刀になれたんだな」

『『道具型』ならな。それより敵に集中しろ』

 

 そう言われてしんのすけは己の手にある刃渡り60センチ程の、柄と鍔が緑色の刀握り直した。

 

「あの女を敵と見なしたって事は……僕の味方になってくれるって事? どうして?」

「『困ってる人を見たら助けましょう』って、教わらなかった?」

 

 困惑気味のロンディネが口にした疑問を、しんのすけはそう当たり前のように答えた。

 

「使い所……違うような……」

 

 より困惑してどうにかツッコミを口に出せた。女性は溜め息を吐く。

 

「ねえ君。今立派な事を言ったけどさ……君がその子の側に着くって事は、私が困る事になるって分かってる?」

「だから?」

「決まってるじゃん。私を助けると思って帰ってくれない?」

「何言ってんの? このお兄さんはおねいさんが絡んできたから困ってるんでしょ? 帰るのはおねいさんでしょ?」

 

 それを聞いて鋏を構える。

 

「引いてくれないって事ね……取り敢えず自己紹介しておこうか。私の名前は杉江(すぎえ)実鈴(みすず)。スタンドは『アイアン・バタフライ』。四ヶ月前に『矢』で射られた事で発現した能力よ」

「やっぱり『矢』が関わっていたか……僕を狙うのは西高須(にしたかす)の指示か?」

「多分違うと思う」

 

 言ってきたのはしんのすけだった。

 

「だってあの人除夜のお兄さんの事知ってた。『矢』を持ってる人の狙いは除夜のお兄さんだし」

 

 どうやらこの春日部という街は思っていたよりややこしい事なっているみたいだ。そう思いながらロンディネはしんのすけから五歩後ろに下がった。その行為に『ハリケーン』は激しく反応した。

 

『おい待て! 何でそこで退いてるんだ!』

「ちゃんとした理由がある。それよりあいつに集中して!」

 

 杉江は突きを放つ。それに対してしんのすけは、刀を横に振るった。

 互いの得物の切っ先がぶつかり、その衝撃で突きの軌道が反れる。杉江は一歩踏み込んで勢い任せに鋏を振るう。しんのすけはその軌道に刀を挟む事で防ぐ。

 鋏から衝撃が伝わった次の瞬間、後ろに跳んでしんのすけから距離を取る。

 

「やるわね……」

「どうだ! オラの『ハリケー……ぶりぶりざえもん』はそんな大きいだけのハサミなんかに負けないぞ!」

『おいコラ! 何故途中で間違った呼称に言い直す!』

「そうね。幼稚園児相手だし、少し痛い目にあわせる程度にしておくつもりだったけど、そんな甘い考えが通用しないのが分かった」

「じゃあロンディネお兄さんの事諦めてくれる?」

「何言ってるの? 私は「自分の認識が甘かった」と言ってるだけで「あんたに勝てない」なんて一言たりとも言ってないわよ」

 

 そう言って『アイアン・バタフライ』を引っ込めると、右手で拳を作って殴りかかってきた。

 

「!」

 

 ロンディネは口を開く。杉江が何を企てているのかを理解し、それをしんのすけに伝える為に。

 

「しんのすけ! その女の手にはーー「来るか! 最初に言っておくけど、オラに生半可な拳骨は通用しない! 何故なら、いつも母ちゃんに頭に降り下ろされているから快晴は既についているから!」

「うおぉぉおいッ!」

 

 自身の忠告を被せた上でのバカな発言に、ロンディネは思わず奇声をあげた。

 何故攻撃箇所を頭と限定するのか、それを言うなら『耐性』だろとか、それは今言うセリフなのか……はもう突っ込まない。それ自慢になってないだろとか、頭に浮かんだ内どれを先に口に出せばいいのかちょっとだけ考えたが全部すぐに取り消し、しんのすけ目掛けて飛び込んで抱え込む。

 二人の頭上に『何か』が通過し、それに切られたロンディネの髪が数本宙を舞う。二人はそれを目にすると同時に顔を上げた。

 

『な……何だ? あれは!』

 

 杉江が手にしている、『刃が外側に向いている鋏』を目にして、『ハリケーン』は叫ぶ。明らかに『鋏』という枠から完全に外れていると言っても過言でない変形を遂げているそれに、しんのすけとロンディネの二人も目を見開いた。

 彼等のその反応を見て、彼女はつまらなさそうに溜め息を吐いた。

 

「あのさ……私の『アイアン・バタフライ』はただの大きな鋏じゃない。スタンドなんだよ? 何か『能力』があるって考えられないの?」

 

 鋏を開くと刃の部分が反転し、外側の刃が内側に向いた。そして再度引っ込める。その後、両手を合わせてどちらも拳を握る。

 

「助けてくれてありがとロンディネお兄さん……ところで、その『左目』……」

「僕のスタンドだよ。それよりあいつのスタンド……」

 

 ロンディネの左目は、中央に顕微鏡の対物レンズらしきものが三つ、正三角形を描く形でくっついている、黒い眼帯で覆われていた。

 当然杉江もそれに気付いている。そしてどうして今出してきたのかを考える。単なる「出し惜しみ」……は考えづらい。能力自体は戦闘向けでなく、使い方も限定されているからか……。

 

「……考える暇は与えてくれないか」

 

 しんのすけが飛び出してきた。ロンディネは止めているので、多分彼が「自分が何かをしようとしている」のが分かって、しんのすけは何かをされる前に自分を叩こうと動いたんだろう。

 判断自体は間違ってはいない。だが……。

 

「『何か』が分かってない内に行動するなら、『何をしようとしている』のかは少しは考えて動くべきじゃない?」

 

 刺突音の直後に金属音が鳴り響く。音源はどちらも『アイアン・バタフライ』で、それは『中心軸を外して二つに分けられていた』。片方を地面に刺し、もう片方を両手で持ってしんのすけの攻撃を防いだのだ。

 そして刃は高速回転し、弾かれる『ハリケーン』。その瞬間強く握ったので手離す事は無かったが、その隙に杉江は片方を右手で持ってから引っ込め、もう片方を左手で抜いて斬りかかってきた。

 しんのすけはそれを紙一重で避ける。彼女はもう片方も引っ込める。そして大股で一歩踏み込み、右腕を伸ばす。同時、ロンディネが動いた。

 右手から鋏が飛び出てきて、その切っ先はしんのすけの体に触れ、突き破った。 





大鋏のスタンド『アイアン・バタフライ』。元ネタはアメリカのサイケデリック・ロックグループから。
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