クレヨンしんちゃん&ジョジョの奇妙な冒険 ハリケーンを呼ぶ 綱玉の示す路(ロード) 作:パタ百ハイ
学校から帰るとしんのすけから連絡が入ったので、いつものメンバーで焼き鳥デスペラードに集合。人を紹介したいとの事で何かと思えば、しんのすけが連れてきてたのは、俺達より少し年下の、外国人の少年だった。
「カルデローニ君……で良かったよね?」
「ロンディネでいいです」
「そう呼ばせてもらうね。四ヶ月程前からヨーロッパ各所で広がっている新しいタイプの麻薬の売人の大元がいるだろうこの春日部にそいつを捜しに来た……大まかに纏めるとそうだよね」
ロンディネはコクりと頷いた。
何故春日部にそいつがいる事が分かったのかは、所属する組織(『パッショーネ』というが、イタリアのギャング団と言うのは流石に驚いた)のボスを中心とした徹底的な捜査の末に突き止めた為らしい。
「それにしても……あるんだな。組織で『スタンド使い』を認知しているところ」
「SPW財団の事、話しませんでしたっけ?」
「お前の話で知ってるだけで構成員に会った訳じゃない」
「確かに、知識で知ってるのと実際に会うのとは違いますね……それにしても……そっち方面は詳しくはないですが、随分とお若いんですね」
「僕の世代より下は流石に少ないけどいない訳ではないし、少し上、十代後半の構成員は結構いるので僕が特別若い訳ではないです。ボスだって二十歳にも満たない若造だし」
「……話からするとそれなりの規模と力があるんだろ? そんな組織のボスが十代は流石に若過ぎないか?」
「口外しない事を条件に話してくれたけど、先代のボスを倒して簒奪したと」
「ボスを倒した? 何があったーー」
しんのすけの口を塞いだ。『その時』何かしら言えない争いがあったのは間違いない。その場の好奇心でいらん災難に遭いたくない。
「しんのすけ。僕がこれを言ったのは僕を知ってもらう為に必要だと思ったから。話す必要がない事は話さない。解った?」
俺の行動の意図を察してくれたようだった。しんのすけが納得したのを見計らい、琢磨が質問をする。
「君がギャングに入ったのは、君がスタンド使いになった理由と関係ありますよね? 宜しければ説明お願いできますか?」
「構いません」
カルピスソーダを飲みながら説明してくれた。
以前のボスはある幹部に『矢』を託していて、その幹部のスタンド能力は簡単に言えば『条件を満たした者を無差別に射抜く』能力で、組織の手足となるスタンド使いを増やす為にその能力を『入団試験』に組み込んでいた。そしてロンディネは『試験』に巻き込まれ、スタンド能力を覚醒させた。
現ボスが就任して打ち出した組織の活動の一つにこの様に巻き添えの形でスタンド使いになってしまった人達の捜索、保護もあり、ロンディネも集められた一人らしい。
「スタンド使いの組織の所属は絶対なのですか?」
「いや、組織に属しているスタンド使い、もしくは外部から呼んだ指導者の教導である程度の能力制御が出来るようになって、尚且つ危険思想の持ち主とかでない限りは普通の生活を送れます。もっとも、定期的な現状報告はしないといけませんが」
それは尤もだ。力の制御が出来たからと放逐して結果知らない内に敵になったら堪ったもんじゃない。
「つまり、お兄さんは危ない人だから組織は放っておけないって事?」
ちょっとしんのすけ? 説明聞いてれば確かにそんな解釈は出来なくはないけど、それは失礼過ぎないか? ロンディネも苦笑いしてるし。
「いや、自分の意思でパッショーネに入ったんだ。ボスに乗せられた気もしなくはないけど」
どんなやり取りがあったんだろう?
「
皮(塩)を両手で何本も持って口一杯頬張りながら訊ねる稲庭。こいつが今食ってるのは大皿で17枚目だ。
「それは勿論……パッショーネを僕が手に入れる為!」
乗っ取り宣言? 異国の他人とは言え堂々と口走って大丈夫なのか?
「ご心配なく。入団決めた際ボスに『いずれこの組織は戴く』と言ったんで」
ボス公認?
「それ……ボスから何も言われなかったんですか?」
「『君が成長し周りが僕より君が相応しいと思われるようになればそうなるだろう。その時は身を引く。但し、それまででもそれ以降でも組織を良くない方向に持っていこうとするのなら僕は全力で君を潰すからそれは肝に命じておいてくれ』と」
「どんなボスだよ」
「個人的な感想だけど……『得体の知れない人』。パッと見大した事無さそうで気を抜いたら軽く見てしまいそうなんだけれど、実際はとんでもなく恐ろしくて、相対するとしたら相当の心構えをしてないといけない……そんな人です」
よくは解らなかったが、俺とそう変わらない年でギャング団乗っ取ってボスやってる人間だし、多少ぶっ飛んだ印象懐いてもそんな変じゃないか。
取り敢えず、話の軌道修正はこの辺でしておこう。
「君が来た理由……そいつはどんな奴なんだ?」
「『
「そいつが『スタンド使い』なのか?」
「その可能性が高いと踏んでます」
その理由を説明された。奴が流している麻薬は、成分で見るなら砂糖や澱粉、蕎麦粉や蜂蜜と言ったありふれたものその物であり、こいつの能力もあって能力で作られた麻薬だと解った。判明し調査したところ既にヨーロッパ中に拡がっていて、物が物だけにルートの特定が容易くとも流れ込むのを止める事が出来ないという。
「今の所分かっているのはどんな品でもどんな量でも輸送の際は『冷蔵』されている事だけど、そんなの食料品運ぶのにおかしい事じゃない。判別手段も現状確実なのは僕の能力だけで、僕も当たり前ながら身体一つの生身の人間だから四六時中動き回る事なんか出来ない」
「確実な手段である君を敢えてここに送り込んだ事で君のボスがどれだけ本気か解りました。それで……君以外で何人か来ている、または来る予定が?」
「僕の任務は西高須を捜す事。勘づかれて逃げられた場合を考えてこの任務は僕一人に任されました。奴を発見した場合すぐに連絡を入れて、それから奴を抹殺する為の人員が送られる手筈になってます」
「その人員は今日本に来てないのか? 西高須が唐突に、それこそ店出てすぐに発見したとしてもすく近くーー少なくとも春日部近郊にいないと逃げられるんじゃないのか?」
思った事を訊いてみた。極端な事を言ってる自覚はあるが、低いだけで有り得る可能性だ。それをこいつのボスが考慮してないとは思えない。
「僕は奴を発見してそれで終わりじゃない。奴の拠点とかそう言ったのも調べるよう言われています」
「ああ分かった。これは俺の考慮不足だ。そういうの調べて送られた人員にそれ伝えるって事ね」
「はい。因みにその連絡は一回限り。理由は僕が単身送られて来たのと同じ理由です」
「仮に……何処かで失敗したらどうなる?」
「ボスの事だし失敗した場合の予備プランはあるでしょう。僕は高確率で始末されるでしょうね。『命懸けで遂行しろ』と言われたし……ボス自身がそこまで考えてなくとも誰かがそう言い出すかも……僕、乗っ取り宣言したから一部の人達からよく思われてないから」
『抹殺』だの『始末』だの物騒な単語が口から平然と出てきている辺り、『世界』が異なる事を嫌でも理解させられる。だがここまでは『俺が気になった事』で『俺の知りたい事』じゃない。そこに踏み込む。
「西高須のスタンド能力ーー奴がスタンド使いである事が前提だがーーその覚醒は、『弓と矢』が関わってる……と、見ていいんだよな?」
間違いないだろう。生まれながらなら奴が扱う麻薬の特性から組織が摘発された事には首を傾げる。生まれついてのスタンド使いでも俺みたいに物心ついた時から使える奴がいれば、何かしらの切っ掛けで目覚める奴がいるのは琢磨から聞いてる。気になったのは『四ヶ月前』という時期だ。これは俺達の知っている俺を狙ってる奴がスタンド使いを生み出している時期の中だ。潜伏場所も春日部なら無関係とは思えない。案の定パッショーネも同じ理由で『弓と矢』の関与を疑ってるという事だった。
当然というべきかロンディネは俺達と『弓と矢』の関係について聞いてきたので、俺達の情報を提供した。
「そいつと西高須は、少なくとも連絡は取り合ってる……僕が来てからすぐに『スタンド使い』を出してきた点からして間違いない」
「事前に知っていた可能性は?」
「僕が送られる事が決まったのは二日前。日本にずっといる奴が動くには早過ぎる」
「となると奴は海外の敵対組織、少なくともパッショーネの自分への動きをある程度把握出来るだけの情報網はあるか……伊達に警察から逃げつつ麻薬売買をやってない……」
「でもさ、これってどっちかを捕まえればどっちかに近付ける可能性があるって事だよね? ねえ除夜のお兄さん、ロンディネお兄さんのお手伝いしてあげようよ。いいでしょ?」
しんのすけの言っている事は一理ある。こいつの能力はかなり役立つし、地元民の俺達なら奴の情報を集めるのも比較的容易いだろう。互いに利はある。だが……
「俺個人としてはヤクザやギャングとの関わりは御免被りたい。ましてや貸し借りなんて……」
「え? そんな理由で?」
十分過ぎると思うんだが……。
「えっと……なら、協力は『ロンディネ君個人』にするのであって、『パッショーネ』は関係無い……という形は出来ないでしょうか? もっとも、パッショーネが『矢』をどう扱うか、それ次第になりますが……何か言われてましたか?」
「最優先は西高須で『矢』の事は不確実だったのもあって何も聞いてません。それと、その案は呑めます。任務遂行の手段について大事にしない限りは僕の判断でいいと言われてます。定期報告も貴方達の事を言わなければいい訳だし……」
「大丈夫なのですか?」
「『最優先は西高須』。初めからそう聞かされてるし、貴方達との協力の条件と言えば後でバレたとしても問題はそこまで無いでしょう」
『『矢』を認知している組織にその事黙ってる時点で大問題な気がするけどな』
「話に口を挟むなクソ猪。黙って焼き鳥食ってろ」
こいつ、『ハリケーン』に随分キツいな。
今日の所は互いの連絡先を交換して終わりになった。帰ろうとしたらななこさんが友人の
八時近くになって時間的にまずいと思い、しんのすけを引っ張って送り届ける事にする。憧れの人との時間を中断された事で、あからさまに不機嫌になっていた。
「悪い事したとは思ってるよ。だがこれ以上は俺も補導されかねんからな」
「じゃあ除夜のお兄さんだけ帰ればいいじゃない」
「そうしたいのは山々だが、そうしたらお前五歳だからななこさん達がお前送らないといけなくなるだろ。お前的にはいいだろうが、ななこさん達がそう思わなくとも余計な手間をかけさせる事になるからな」
しんのすけは渋々だが納得してくれたみたいだ。俺も明日学校だし、早く帰らないとな。手を繋いで少し速足で帰ろうとすると、正面から何かが飛んできた。このままだとぶつかるので『プラネット・ルビー』でキャッチする。
キャッチしたのは、『蝙蝠』だった。だが、普通の蝙蝠じゃない。体毛は明るい茶色で、蛾のような頭部にロボットのような翼。何より、よく見ると体が『透けている』。つまりーー
「『スタンド』か……しんのすけ、『ハリケーン』を出せ! スタンド使いが襲ってきた!」
「あんま感心せんな。スタンド出てきたら自分狙っとるて決めつけんの」
後ろから声をかけられた。いたのはセミロングの髪を三つに束ね、何処かの学校の制服だろう紺色のブレザー服に迷彩柄のネクタイをつけ、灰色のスカーフを首に巻いた、しんのすけより少し年上ーー恐らく小学校低学年程の年代の少女。
そして、その少女の周りには同じ姿の蝙蝠が数多く飛び回ってる。
「それより、ウチのスタンド返してくれへん? 瀬上さん」
「応じる事は出来ないな。スタンドを人に向けて飛ばして敵意がないと言えるのか? 第一俺とお前は初対面だ。俺の名前をさらっと口にして警戒するなは無理があるだろ。一応聞いておく。何の為に俺達の前に現れた?」
「ご察しの通り、あんたを倒しに」
それを聞いて俺は手に握ってる『スタンド』を握り潰した。
ちょっとした裏設定。
ロンディネ君の指導をしたのはミスタで、今でも仲良いです。休みの日に一緒にレストラン行ったりとか。ピストルズとも仲は良いですが、時々おやつを盗られます。とは言え、ピストルズは彼の『目』からどう逃れられるか、そのスリルを楽しんでいて、見付けた場合彼等の昼食を半分戴きます(笑)
次回は間をおかず送られた刺客との戦いが始まります。では、次も宜しくお願いします。