クレヨンしんちゃん&ジョジョの奇妙な冒険 ハリケーンを呼ぶ 綱玉の示す路(ロード)   作:パタ百ハイ

33 / 47
久々に更新です。


藤方莓花(スウィートハート) その①

「杉江さんが病院に搬送された……という事は、彼女は負けたのか……」

『向こうも本気なんだろうね……春日部(ここ)に来た調査員がどう動くか……仮に瀬上除夜と組まれたら?』

「……かなり厄介だけど、彼がギャングに積極的に協力するとは思えない。『パッショーネ』もあんたが目的だろうし、調査員については敢えて放置する事にするよ。藪を悪戯につついて大きな毒蛇が出てくるのは避けたいし」

『それは同感。出てくるのは毒蛇じゃなくて龍かも知れないが……僕も暫く静観する事にしておくよ。という訳で連絡はお互い暫くしないようにしよう。『依頼』は他のスタンド使いに回してくれ』

「最初からそのつもりだよ。既に新しい刺客は送り込んでる。目覚めてまだ三日だけど、かなりの有望株だ」

『動き早いね。それじゃまた』

 

 電話が切れたのを確認して、受話器を置く。通話相手である西高須章雄から『パッショーネ』が調査員を送り込んできた事を聞いた時は流石に驚いた。出してきた刺客と接触して組織が動いてないのを先程伝えられたのを聞いて、あくまで最優先は彼であって『矢』は二の次だと言うのは確信が持てた。

 だが、安心は出来ない。『矢』を用い、「スタンド使い」を生み出している自分が放置出来る存在じゃない事が解らない訳じゃない。

 

「変に怯えて活動を止めるのは寧ろ駄目だな……『選択肢』を増やすのにより力を入れた方がいいか……」

 

『弓と矢』を握って外に出る。更なる『スタンド使い』を生み出す為に。

 

 

 

 

「ちょ……あんた血も涙もないんか? 人のスタンド握り潰すって、ウチが物言わぬ奇怪なオブジェになるかもとか思わへんの?」

 

 そうならないのは解ってるだろ。白々しい。一匹潰した程度じゃ何のダメージも無いか。

 

「ま、解っとったからそうしたんやろうけど……何人も戦ったのは聞いとったし、ウチが把握しとる程度の法則はとうに理解済みか……」

「お前がどれだけスタンドを理解してるかなんて知るか」

「せやな。興味も無いやろうし、そんな時間も無いしな。はよう帰らんとウチママに叱られるから……さっさと終わらせるで」

 

 20匹程の蝙蝠が五メートル程の高さまで飛んだ。

 

「ま、死なんといて」

 

 脳が揺さぶられたかのような感覚に襲われ、立っていられなくなり、膝をついた。血がポタポタ滴り落ちてる。しんのすけはうずくまっていて、鼻血を流してるから、これは鼻血だな。

 

「先に謝る」

 

『プラネット・ルビー』でしんのすけの腕を掴んで、思いっきりあいつに向かってぶん投げる。あいつがしんのすけを避けるとしんのすけを『軸』にして瞬間移動、飛んでくるしんのすけをキャッチした。

 

「何すんの除夜のお兄さん! 寿命が百年も縮んだじゃん!」

「そんなに縮んで大丈夫か……どうやらあいつの能力の影響は抜けたみたいだな。調子はどうだ?」

「頭クラクラしてるだけ……」

「俺もだ。二手に分かれよう。相手は複数で一体計算の『群生型』で、距離を置いての攻撃が出来るんならそっちの方がいい」

「正解。ウチがあんたでもそう思うわ。そうはさせんけどな」

 

 取り囲むように蝙蝠が俺達の周囲を飛び交っている。

 

「一か八か突破試みる? ウチのスタンド、『この状態』やと脆いし、本体のウチまで突っ込んで一発入れれば勝てるで?」

 

 誰がそんな見え透いた『誘い』に……

 

「じゃそうする! 変身! オラ、参上!」

「しんのすけ待て!」

 

『ハリケーン』を纏ったしんのすけは俺の制止を聞かず必殺の飛び蹴りを放つ。あいつは笑いながら三歩大股で横に歩いた。

 

「んな大雑把な攻撃素直に当たってくれると思ったん?」

「思ってない! そして予想通り!」

 

 しんのすけのキックは地面に着弾。爆音が鳴り響き、衝撃であいつは吹っ飛んだ。

 感心している場合じゃない。蝙蝠は消えてないから意識はしっかりあるみたいだな。しんのすけももうこの場を離れてるし、俺も離れよう。

 

 

「痛つつ……ああ来るとは思わんかった……お蔭で逃げられもうたし……逃がさんけどな」

 

 

 

「逃がしてはくれないか……」

 

 蝙蝠が何十匹と辺りを飛び回ってる。しかも後から次々とやって来てる。しんのすけの方も同じだろう。

 ある程度纏まった数を潰せばダメージは与えられる。ここにいる全部を叩き落とせば、流石にダメージは来るだろう。懸念はコイツらの攻撃だ。俺だけじゃなくしんのすけも攻撃されてたから多分『面』の攻撃、俺の能力との相性……

 

「ぐッ……」

 

 またあの攻撃だ。しかもさっきより強い。

 相性だの考えてる場合じゃない。このままだと脳が壊れそうだ。

 足に力を入れて立ち上がり、蝙蝠が飛んでる高さまで三角飛び、散ろうとするが遅い。

 

「ゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラァッ」

 

 群の端にいた奴等には逃げられ、他にも何匹か仕留め損ねたがそれでも多くを潰す事が出来た。生き残りが集まってまた同じ攻撃を繰り出してきたが、威力は最初の攻撃にも及ばない。あの攻撃は匹数の多さが威力に繋がってるようだ。

 逃げる事も選択肢に入れるべきかも知れない。どちらにせよしんのすけと合流しないといけない。あいつが何処にいるかは解らないが、どうにかなると今は楽観視する事にした。別方向からも蝙蝠が出てきた以上は動くしか無い。蝙蝠がいない道へと足を動かす。繰り返してると四方から来るようになって、数が少ない方へとーー。

 

「あれ? 除夜のお兄さん?」

 

 前からしんのすけが出てきた。勿論蝙蝠も周りに飛んでる。

 

「怪我はあるか?」

「全然。こいつら追ってくるだけで攻撃して来なかったぞ」

「俺は一度だけで後は無い……つまり、俺達ここまで誘導されたみたいだな」

「二人共薄情やな……夜中に一人外にいるか弱い女の子ほっぽいて自分等だけお家に帰ろうとするなんて……最近この街騒々しいの、越してきたばっかのウチでも知っとるのに地元民のあんた等が知らん訳無いやん。欠片も心配してくれへんの?」

 

 白々しい事を言いながら姿を現した。

 

「人に攻撃する為にスタンド飛び回す奴をか弱いとは思わないしそんな危機感あるんならさっさと帰ればいいだろ」

「逃げられて仲間にウチの事知らされたら面倒やん」

「越してきたばかりなのに随分ここら辺の道詳しいんだな。わざわざ事前に調べてたのか?」

「それはちょい能力を応用しただけ。四日前に引っ越してきたばっかでまだお家と学校の往復しか満足に出来へんよ。あんた等のとこ来るのにも随分苦労したしな」

「つまり、お友達いないの?」

 

 このしんのすけの発言にあいつはずっこけた。気持ちは分かる。

 

「おるわぎょーさん! 何でそんな質問が出てくんねん!」

「だって、お友達のお家に呼ばれた事もお友達とどっか遊びに行った事もなくて行かないといけない学校しか行ってないんじゃ……」

「まだ越してきたばっかなんやけどウチ……取り敢えず名乗っとくわ。ウチは藤方(ふじかた)苺花(まいか)、数えで七歳。スタンドは『スウィートハート』。宜しゅうな」

「オラ、野原しんのすけ五歳! 苺花ちゃんと違ってお友達いるぞ!」

「せやから友達おる言うとるやろ!」

「こいつの言う事いちいち反応しない方がいいぞ」




スタンド名の元ネタはボブ・ディランの楽曲から。『にじファン』時代と少し名前変えたのは、曲名勘違いしていたのを昨日気付いたからです(笑)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。