クレヨンしんちゃん&ジョジョの奇妙な冒険 ハリケーンを呼ぶ 綱玉の示す路(ロード)   作:パタ百ハイ

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その出会いは、何をもたらすか?


瀬上除夜は普通の人 その③

 

 俺に今十五年の人生でトップに余裕で入る事を聞いてきたのは、『幼児』だった。

 黒髪の坊主頭に下膨れの顔に太い眉をした、先程すれ違ったあの親子の子供の方。多分トラックが木に衝突する音が聞こえてこっちに戻ってきたんだろう。そして親がいないのはこの子は走ってここに来たんだろう。

 どうするべきか迷った。こっちとしては今すぐにでも色々聞きたいが、じっとしていたら人が集まってくる。そしてこれはそんな場所で話していい内容じゃない。

 なので、後で別の場所で待ち合わせる事にし、一旦帰宅した。

 

 

 

 

 一旦帰宅した後、義母さんに適当にそれっぽい事言って外出許可を貰い、待ち合わせ場所に向かった。

 道中にはさっきの公園もあったので一瞥したが、やはり人が集まっている。それも大半が野次馬だ。この光景をテレビとかで見てると時折思うが、他にやる事が無いのだろうか。

 それともあれか。『人は好奇心に勝てない』というやつなのだろうか。

 まあそれなら少しだけ共感する。俺が生まれつき持っているこの『能力』の事を、俺は何も知らない。何で俺はこんな能力を持っているのか、どうして俺以外こんな能力を持った奴がいないのか、何も知らない。

『プラネット・ルビー』も他人に見えないし、能力も大した事のないものだったんで口外しなかったし人前で使うのは自粛していたのでバレなかった。あってもなくても便利にも不便にも思わなかったので特に調べたりしなかった。他人が持っていなくて見えてもいないから自分一人の問題だと自己完結していた。

 だから、生まれて初めて俺の『プラネット・ルビー』が見える奴がいた事知った時から、そいつがどんな奴なのか、かなり楽しみなのだ。

 そんな事を思っていると何時の間にか待ち合わせ場所に来ていた。あいつ――野原しんのすけだけでなく、一緒にいた母親らしき人も一緒だ。そして妹らしき前髪がカールした、同じく下膨れの赤ん坊が彼女に背負われている。

 出来れば二人きりのが好ましかったが、日は大分沈んでいて薄暗くなっているこの時間に、今日まで会った事のない人間が会う約束を取り付けたから自分の子供が単身そこに赴くなんて認める訳ないだろう。ましてや今春日部は他の所と比べて物騒になってきているんだし。

 

「ほっほーい、お兄さんまた会ったね」

「約束したから来たんだ。当然だ」

 

「しんちゃん、会う約束をしたっていうのこの人?」

「うん、死海で心中して箱根で駆け落ちする約束したの」

「どこの世界に会ったばかりの人間、それも幼稚園児と駆け落ちや心中の約束を交わす高校生がいるんだよ?」

 

 しかも「心中して駆け落ち」って矛盾してるよね? 逆ならまだ分かるけどさ。

 後何で箱根なんだよ。いつの新婚旅行だ。それに駆け落ち先が国内で心中先が国外って、統一しろ。

 

「すみませんこの子しょっちゅうこんなおバカな事言うんです。いちいち気にしないで下さい」

「いえ、別に……」

「ところで心中って何? 模型とかに使われる?」

「それは真鍮だ!」

 

 これ以上こいつに主導権を握られていると時間を無駄に費やして本題に入れぬまま夜になりかねないので、再確認の為『プラネット・ルビー』を出して指を指した。

 

「これ……見えてるんだよな? ボケは要らん、首を動かして答えろ、イエスなら首を縦に、ノーなら横に振る。それだけでいい。それ以外はするな」

 

 自分で何言ってるんだと思うが、念を押してないと不安だったので言ったのは正しいと思った。

 しんのすけはやはり首を縦に振った。みさえさん(さっきのやり取りの後自己紹介した)は見るからに俺達が何をやっているのか分からなさそうだ。当然だろう。俺があの立場だったら同じリアクションをまず間違い無く取る。

 

「母ちゃん、どうしたの?」

 

 但ししんのすけは理解出来なかったようだ。

 

「こっちが聞きたいわよ。あんた達何やってるの?」

「母ちゃん何言ってるの? ここにあのお兄さんの体から出て来た『何か』がいるじゃない」

「どこに?」

「母ちゃんの目は抜け穴か!」

「……『節穴』って、言いたいのか?」

 

 反射的に小声で突っ込む俺。しんのすけは「そうともいう」と答えた。

 

「もう、ひま」

「たや?」

「ひまはあれ見えるよね?」

 

『プラネット・ルビー』に指差すしんのすけ。ひまわりちゃんは首を縦に振る。みさえさんは先程と同じ反応。

 俺も驚いている。今までいなかった『プラネット・ルビー』が見える人間。それが今日突然二人も出会えた事に。

 

「すみませんみさえさん。突然で申し訳ありませんが、宜しければ本日泊めて貰って構わないでしょうか?」

「え? どうして? まさかオラのカラダを? イヤー!」

「えっと、どうして?」

「お宅の息子さんともう少し親密になりたいというか、何というか……無理なら断って構いませんが」

「う〜ん……まあいいわ。着替えとか大丈夫?」

「一日なら手ぶらでも大丈夫です。それに今日は宿題ないし。明日の学校は早く家に戻って荷物取れば間に合うかと」

 

 変な事をほざくしんのすけを無視する俺達。泊まる事をしんのすけに伝えるとこいつは「ケチな母ちゃんが見ず知らずの人のいきなり泊まるの許すなんて、明日の夜はオーロラが見れるね」なんて言ってみさえさんにグリグリされた。

 一応家にそれを伝えると、義母さんから着替え取りに来いと呼ばれ、一旦家に戻った。

 一時帰宅する途中、『明日また会う』という選択肢があった事を気付き、興奮して冷静さを無くしていた事に気付いた。

 

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