傭兵上がりの高校生   作:小林輝昭

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皆さんお待たせしました。更新が遅れて申し訳ありません。
新刊を読んで「もう一条くんストーカーやん」と思ったのは私だけでしょうか笑

更新再開します。
ではどうぞ。


NO.4

 部活連本部。

 「〜〜以上が剣道部の新観演武に剣術部が乱入した事件の顛末です」

 壬生紗耶香と桐原武明の口論から二人の私闘を経て、乱闘未遂に至る経緯を桐原を取り押さえた達也が語り終えた。その前には三人の男女。

「それにしても、司波。お前は魔法を消したらしいじゃないか。早速役に立っているみたいだな」

摩利が満面の笑みを浮かべていた。自分がスカウトした生徒が活躍したのが嬉しいだろうか、皮肉ではなく本気で嬉しそうだ。

向かって右に生徒会長、七草真由美。中央には風紀委員長、渡辺摩利。

そして、もう一人。左に座っている三年生の男子生徒。部活連会頭、十文字克人。苗字に『十』を冠する数字付き(ナンバーズ)の名門、十文字家の総領。

存在感が桁外れに濃厚な人物だった。

流石に真由美、摩利と並んで第一高校三巨頭に数えられる人物だ。傭兵生活を送ってきた謙吾ですら気を抜けば気後れしてしまう威圧感をともなっている。並の生徒ならば目も合わせられないだろう。

「それで、取り押さえた桐原はどうした?」

「桐原先輩は鎖骨が折れていましたので、保険委員に引き渡しました。とはいえ、魔法で直ぐに治癒可能な程度の怪我でしたが。保健室で非を認めておられたので、それ以上の措置は必要ないと判断しました」

「ふむ・・・いいだろう。訴追は、摘発した者の判断に委ねられているのだからな。中津、今の司波の説明を聞いておかしな点もしくは補足事項はあるか?」

摩利が謙吾に話を振る。

「いえ何もありません」

その言葉に摩利は頷いた。

「聞いての通りだ。十文字。風紀委員会としては、今回の件を懲罰委員会に持ち込むつもりはない」

「寛大な決定に感謝する。

高周波ブレードなどという殺傷性の高い魔法をあんな場所で使ったのだ。怪我人が出ずとも、本来なら停学処分もやむを得ないところ。それは本人も分かっているだろう。

今回のことを教訓とするよう、言い聞かせておく」

「頼んだぞ」

克人が軽く頭を下げ、摩利が頷く。

「では、これで終わりとする。司波は帰っていいが中津は風紀委員会本部へ来い」

「えっ、何かありましたか?」

謙吾が戸惑いながら聞くと

「とりあえず来い」

と、悪い笑みを浮かべて答えた。

謙吾が達也に目を向けると達也は「分からない」と首を横に振った。

行くだけ行ってみるか、と謙吾は考え摩利と共に風紀委員会本部へ向かった。真由美も後ろから二人についていった。

 

 

風紀委員会本部には、三人の男女がいた。謙吾と摩利と真由美だ。それぞれが応接用のソファに座っている。

「呼び出してすまない。聞きたい事がある。司波がどうやって魔法を消したかわかるか?」

嘘は言わせない、と言わんばかりの口調で謙吾に聞いてきた。言外に、「お前なら分かっているんだろう」と告げている。謙吾としても、達也はあんなに大勢の中で使ったのだから秘匿する気はないと考え話した。

「司波から直接聞いたわけではないので推測でよろしければ」

「ああ、それで構わない」

「あれは、おそらくキャスト・ジャミングによる魔法式の無効化です」

「エッ、領域干渉や情報強化でもなく?」

真由美が意外そうに聞いてきた。

「そうです。最初は、生徒会長のように考えましたが周りの生徒に乗り物酔いの症状がでていましたので違うと判断しました」

「では、司波はどのようにキャスト・ジャミングを使ったのだ?アンティナイトでも使ったのか?」

「いえ使ってないと思います。CADを二つ同時に使用していたのでそれが関係あるかと」

謙吾の言葉に、摩利も真由美も困惑顔だ。一般的にキャスト・ジャミングはアンティナイトにサイオンを流すことでしか事実上は無理だと考えられている。

そもそも、キャスト・ジャミングは魔法式が事象に付随するエイドスに働きかけるのを妨害する魔法の一種だ。

魔法師本人の意識がキャスト・ジャミング用のノイズを構成しようとしても、無意識下では本能的にそれを拒否してしまう。それ故に、理論上は可能でも実行は困難とされている。

もし、謙吾の推測が当たっているとするならば魔法師の根底を覆しかねない。アンティナイトなどという高価な物を使わずとも魔法師を無力化できるからだ。

「そうなのかぁ。達也くんってやっぱり凄かったのね。二つのCADの同時操作はかなり難易度が高いのに。魔法力と持っている力がアンバランスね」

真由美が思案顔で呟く。

「奴には、聞きたいことが山程あるだが今は置いておこう。司波の件については了解した。最後に聞きたいことがある。何故、お前はあそこにいたんだ?」

摩利がニヤニヤしながら聞いてくる。真由美も面白い物を見つけたかのような顔をしている。

「え〜と・・・それはですね。なんと言いますか、自分の持ち場は厄介ごとがなかったので、大変であろう場所に行った次第です」

謙吾が四苦八苦しているのが面白いのか、二人とも笑いを堪えている。明らかに苦し紛れの言い訳だと分かっているがそう言うしかない。謙吾自身もサボっていたことはバレていると考えているが自分で認める訳にもいかない。

「なるほど。事情はわかった。サボっていたなら注意だけで済まそうと思っていたが。

そうだなぁ、そんなにやる気があるならこれから夏期休暇まで毎日頑張って貰おう」

摩利は、イタズラが成功したような顔をしており、真由美は口に手を当てているが笑い声は抑えきれていない。

「流石にそれは・・・」

謙吾としては、否定したかったがそれを言うとまた蒸し返される可能性があるので言えない。どうしようもないジレンマに謙吾は打つ手はない。

謙吾の表情に満足したのか摩利は

「まぁ、夏期休暇までは冗談だ」

と言った。謙吾が良かった、と思ったのもつかの間

「だが、一ヶ月間やってもらうぞ。そして、風紀委員会本部には毎日来てもらう。まぁ、その時仕事を与えるかもしれないがやる気のあるお前なら大丈夫だろ?」

「そうね。謙吾くんならできるわよね?」

真由美も便乗し始めた。あざとく上目遣いで聞いてくる。初心な男子だと勘違いする表情だ。これで、様々な男を弄んでいるのだろう。被害者は、既に生徒会にもいる。本人は、そうは思っていないだろが・・・

こうなると手がつけられないのは昼休みで経験済みなので謙吾は抵抗を諦めた。

「・・・わかりました。頑張ります・・」

摩利と真由美は満面の笑みで頷いた。

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「おはようございます。中津くん、昨日はどうしたの?お兄様も気にしてらしたの」

次の日、学校へ行くと深雪が話しかけてきた。深雪の後ろには女子生徒二人がいる。二人は、校門で達也達と謙吾のクラスの生徒が揉めた時にもいた。北山 雫と光井 ほのかだ。優秀な成績を修めている。

「あ〜昨日のことな。俺が風紀委員なことは知ってるよな?」

「もちろん」

「えっ、風紀委員だったんですか!じゃあ、司波くんと同じなんですよね⁉︎」

その話題にほのかがすごい勢いで食いついてきた。

「あぁ、そうだけど。光井さん食いついてくるね。達也の事が気になる?」

謙吾はからかうつもりで言ったのだがほのかは真っ赤になってしまった。

「い、いや、そんなつもりじゃなくて

えっ、エッ、だ、だから達也さんじゃなくて....」

ほのかは、テンパリすぎて何が言いたいのかわからなくなっている。謙吾は、この年齢でこんな初々しい反応ができるほのかが新鮮だった。

深雪は、困惑している顔をしているが若干曇っている。謙吾には、どうしてそんな顔をしているのか分からなかったが、つついてとんでもない物が出てきたら面倒なので触れなかった。

謙吾と深雪が、ほのかを持て余している中雫がフォローに入る。

「ごめんなさい、中津くん。ほのかは昔からそういう類いの冗談を上手く返せないから。ほのかの事はしばらくそっとしといて大丈夫」

確かに謙吾は冗談でいったが、ほのかの反応を見る限り強ち間違いでもない気がするが人の恋路にとやかく言うつもりはないので、ほのかにこれ以上突っ込まなかった。

「そ、そうなのか。話を戻すが、達也の活躍現場に俺もいたんだが、本当は俺の割り当ての場所じゃなかったからどうしていたんだと聞かれてな。まぁ、簡単に言うとサボってたのがバレたんだ」

俺の言葉に深雪は、まぁと口を押さえ雫は、あ〜あという顔をしている。未だにほのかは回復していない。

「そうだったのですね。教えていただいてありがとうございます。中津くんもしっかり仕事してくださいね」

深雪は、そう言って席に座った。

雫とほのかも、じゃあと言って席についた。

その後、直ぐに授業が始まった。




どうでしたか?

文中の用語に関しては、皆さんが理解しているものとしています。
分からないのであればネットで調べるか原作を読んでください。アニメでは、かなりカットされているはずですので理解するのは難しいかと。


では、皆さんお体にはお気をつけて。
それでは次回もお楽しみに。
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