連載開始した大和との小説も二章へと突入です。
第一戦隊に配属されることになった大和。
世界のビックセブンと謳われた長門、陸奥との出会い。
そして、この第一戦隊にもある命令が下るのであった。
「失礼しました。」
提督からの配属を受け長門と共に執務室を後にした。入る時の緊張はなんだったのだろうか。思ってた以上にすんなり話が終わった。
「大和これからの予定はどうなっている⁇」
第一戦隊の旗艦である長門に声をかけられた。
確かこの後は演習もなくフリーだったなと自分の予定を思い返した大和は
「いえ、今日は午前の演習で終わりです。」
と丁寧に答えておいた。なんか話かけにくいオーラが全身から滲み出ているなと感じていた。と言うかちょっとお堅い人なのだろうという印象を持った。
この人って果たして笑うのかななんてことも思ったがさすがにそんなことはないだろう。
「そうか、なら第一戦隊の宿舎に案内したい。今日はほとんど非番のやつらも多いから、大和を紹介しようと思ってな。」
「宿舎ですか?」
純粋な疑問だった。
「あぁ…知らないのか。各部隊専用の宿舎があってな、そこでみんな寝泊りしたり、作戦会議したりしているんだ。」
今までとりあえずという形で来客用の部屋で寝泊りしていた大和からしてみれば驚くのも当然であった。あの綺麗な部屋から移動するのかと少し残念な気持ちになったが。
「そうだったんですか…」
ここにきてまたひとつ疑問が解決したなと思った。
そして、まずは旗艦であるこの長門とコミュニケーションを取らないといけないなと感じた大和は宿舎に向かう途中無言なのも気まずいのでひとつ疑問をぶつけてみた。
「第一戦隊ってどれくらいの艦娘がいるうんですか⁇」
「編成は大和を加えて戦艦3重巡2駆逐艦4軽空母1だな、だれがいるかはまぁ、着いてからのお楽しみだな。」
と悪戯気味の笑みを向けられた。この人のこんな表情をするのかと少し驚きを感じつつ
「では、それは宿舎に着くまで楽しみにしていますね。そういえば、長門さんは前世の記憶はご存知ですか⁇」
と続けて質問をぶつけてみた。純粋い長門という女性の前世に興味を持ったのもある。
「私は八八艦隊計画の一番艦として就役した。当時は最大の41㎝主砲を装備していたんだ。二番艦の陸奥と一緒に世界のビックセブンと呼ばれていたんだ。一応大和、お前が就役するまでは連合艦隊の旗艦も務めていたのだぞ。」
と少し誇らしげに教えてくれた。そんな話を聞きながら大和が驚いたのは長門の前世ではなく提督の前ではあんなにも無愛想だった長門がこんなにも表情豊かに話すものなのかということだった。もちろん、本人には内緒にしているが。
「では、自分が沈んだこと覚えていますか⁇」
長門が少し顔を顰めたのを見て唐突過ぎたかなと思ったがどこか寂しそうに
「大和は自分が沈んだ時のこと覚えているいるのか⁇」
と逆に質問されてしまった。あの夢のことだろうと思い返しながら
「私が沈んだ時はたくさんの敵航空機に囲まれていました。僚艦たちが次々と沈んでいく中私も大量の命中を喰らい…覚えてるのはそこだけです。ほかにどこに出撃したのかなどという記憶は私にはありません。」
自分の前世と思わしき夢を見たのはそれだけだった。夢に出てくるのかなと思っていたがあれ以来それに関する夢は一切見ていなかった。それを聞いた長門はさらに寂しそうな表情で
「そうか…私が沈んだ時はあまり覚えていない。ただ、とてつもなく大きな光に包まれていた、それだけしか記憶にないんだ。」
光とは一体なんだろうと思った。少なくとも私のように敵機による攻撃によって沈んだのではないということだけは察しがついたが、それが水爆と呼ばれるものだということは大和には勿論長門にも分からなかった。
余談としてここで書かせて頂くが長門は大和の予想通り戦闘によって沈んだわけではないのである。
「オペレーションクロスロード」
そう呼ばれた水爆実験の標的艦として矢矧と同型である阿賀野型軽巡4番艦の酒匂と共に参加した。そんな長門だが爆心地から近い位置に置かれていたにも関わらず2回にも及ぶ実験の爆風に耐えたのである。2度目に至っては全身に機雷などを巻かれた状態でだ。それ程世界のビックセブンの性能を敵国に知らしめたと言っても過言ではないだろう。そして、最後は誰にもみとられることなくひっそりと海中にその身を沈めていった。まるで、武士道をその身で体現するかのように。
さて、話がそれたのでもとに戻そう。
そこからいろいろな話をしていたふたりだが無事第一戦隊の宿舎へと到着した。
「あら~長門帰ったの⁇」
長門と同じような恰好をした女性が長門を見ると嬉しそうに近寄ってきた。
「あら~新入りさんかしら⁇」
長門に抱き着きながら斜め後ろに立っていた大和に目を向けた。
「初めまして、本日付けで第一戦隊に配属されました戦艦大和です。至らない点も多いですがよろしくお願いします。」
提督や長門と違い話しやすいなと感じ緊張せず自己紹介できた。
「長門型戦艦の二番艦の陸奥よ、よろしくね、大和。」
軽くウインクしながらにこやかに言われた。話しやすいと感じたのもこのような性格をしているからだろうと思ったが、気になったのはその名前である。
「陸奥…ってことはあなたも世界のビックセブンだったんですか⁇」
そう聞くと少し驚いた表情で
「あら、私のこと知ってるの~⁇ちょっと嬉しいわね~」
ニコニコしながら近づいてきたので、少し身の危険を直感的に感じて後ずさりしつつ
「いえ、長門さんから教えて頂いたので。」
「そうだぞ、陸奥。私が教えたのだ。いきなり新人に詰め寄るな、戸惑っているだろ。」
「え~いいじゃない。」
だだこねるような仕草をしながらも私から距離を取った。
「それより宿舎に案内するぞ、みんな作戦室に集めてくれ。」
「わかったわ。全くお堅い長門さんですね~。」
顎に人差し指を当ててつつ悪戯じみた笑顔を長門に向けて宿舎の方へ向かった。
「ったく…大和大丈夫か⁇あんな性格だから深くは考えないでくれ。」
困った表情で言ったが個人的にはそこまで嫌な印象を持たなかった為
「いえ、問題ありません。」
と答えておいた。今まで提督や金剛、長門といったなんかどう接したらいいかわからないような艦娘と会うことが多かったのか陸奥のように接しやすいのは初めてのように思う。食堂でも第六駆逐隊はむしろ可愛がるの部類に入ってしまうのだが。
ひとまず、長門にはこの宿舎の作戦室に案内されていた。
そこにはえんじ色のスカートに青系のリボンを付けた四人、少し濃い目の水色でとても胸の強調された二人、巫女さんに近い恰好の子と先ほどの陸奥が部屋で待っていた。
部屋の上座に位置するところに移動して長門は
「本日付けで新たに戦艦大和を加えて計10隻で任務をこなすことになった。最近着任したばかりで知らないことの方が多いだろうがみんなこれから部隊を担っていくメンツだ、仲良くしてやってくれ。」
形式じみた紹介を受け視線が私の方に集まった。ちょっとこういう空気苦手だなと感じつつも黙っているわけにもいかないので
「戦艦大和です、これからよろしくお願いします。」
と深々とお辞儀をしておいた。ここで本当にうまくやっていけるのかどうかすら不安に感じたがそれも杞憂に終わった。
「新人さんなのね~私は重巡愛宕よ、よろしくね~。」
「同じく重巡姉の高雄よ、よろしくね。」
「駆逐艦夕雲ですわ。」
「駆逐艦巻雲です、よろしくお願いします。」
「駆逐艦長波さまだぜぇ、よろしくなー!!」
「あたいは駆逐艦朝霜だ、これから頼むぜぇ!!」
「基本この部隊の制空権を担います、軽空母瑞鳳です。」
多種多様の自己紹介を受けた。どれも個性的でここに入ってきたときにかなり緊張していた自分があほらしくなった。それだけとてもここの雰囲気は明るいものだと言えた。
まだ、第一歩を踏み出したばかりなのだ、そんなに悩まなくてもいいだろうと気分が軽くなった。
それから陸奥に寝室へと案内され荷物を簡単に整理していたら晩飯と言う名の歓迎会になった。ここで改めてここのメンバーと会話した。それぞれどのような前世があるのかという真面目な話から始まったがいつしかお酒が入ったのか歓迎会というより一種の飲み会のようなハイテンションな会となっていた。
ちなみにだが、大和の最後の出撃のメンバーにいた駆逐艦朝霜とは大和が気が付くのはまだ先の話である。
大和が第一戦隊に配属されて10日近くが経過した。特におもだった出撃はなく基本は模擬戦、演習などをこなす日々が続いた。大和もここの雰囲気のおかげかすぐに溶け込めたのであった。そんな第一戦隊にも提督から遂に出撃の命令が出るのであった。
作戦室には第一戦隊の全員が揃っていた。
もうすっかり第一戦隊の一員としてキリッとした表情をした大和の姿がそこにあった。
それもそのはずここに配属されるまで大和はひとりだった。ひとりで演習等をこなしひとりでご飯を食べていた。それがいきなりここに来て部隊のメンツとほぼ毎日寝食を共にすれば変わるものだろう。つくづく、環境というものは人をガラリと変えてしまう。
「みんな揃ったな、先ほど提督より出撃の命令が出た。おおまかな作戦内容は第一航空戦隊と協力して敵拠点を叩くことだ。この拠点を制圧することが私たちの任務だ。」
長門が言っている拠点。これは鎮守府の悩みの種でもあった。ここを拠点に深海棲艦が出撃してくる為、幾度も遠征艦隊が襲撃されるという事件が発生していた。
そのために立案された作戦だそうだ。ここを抑えれば、襲撃されることなく遠征部隊の行き来が出来、更に別方面にも展開が可能になるとのことだった。
遠征部隊が襲撃の話は勿論大和も耳にしていた。食堂であった第六駆逐隊も襲撃の為傷ついて帰ってきているところを目撃していた。初出撃もそうだがそのようなこともあったせいかいつもよりかなり大和は気合が入っていた。
「出撃は一三〇〇、作戦行動は一四〇〇の予定だ、各自奮闘するように!!」
「はっ!」
大まかな作戦の説明の後、力強い長門の言葉で作戦会議はお開きとなった。
部屋を出ていく大和にいきなり陸奥が抱き着いてきた。
「あら~大和、ちょっと緊張してない~⁇」
いきなり過ぎたのもあったが、実際気合と緊張のあった大和はひぃと可愛らしい悲鳴を上げた。大和のそんな反応に陸奥はにやにやしながら
「そんなにはりきらなくてもいいのよ~少し肩の力抜きなさい~」
と言っていつもの悪戯じみた微笑みを向けて前にいる長門のもとに小走りで向かったのであった。
確かに少し力が入っていたかなとクスリと笑いするために港へと向かった。
一三〇〇
第一戦隊計10隻は敵拠点へと出撃したのであった。
既に第一航空戦隊赤城、加賀の正規空母二隻を中心とする部隊が先行していた。これは敵機動部隊との接触を予想してのことである。あくまで大和たちは基地攻撃が主な任務であるためこれは仕方がないことである。こちらには空母は瑞鳳のみ。これでは敵空母の攻撃には耐えられない。そこは素直に一航戦に任せるのである。
長門を先頭に単縦陣で進む艦隊だが、一際大和の装備は目立つものであった。
それもそのはずである、世界最大ともいえる船体、装備は46㎝砲三門を背負ったその体はビックセブンと謳われた二隻は比べものにならないほどの威厳と威圧があった。
着任して日が浅くともそこは前世の影響が色濃く出ているのであろう。
ブーン。
快調なエンジン音とともに瑞鳳から偵察として放たれていた九九式艦上爆撃機が返ってきた。
「周囲に敵はいません、ほとんど一航戦に向かっているのでしょう。」
瑞鳳の報告を受け長門は満足そうにうなずき
「よし、全員全速前進、瑞鳳はこのまま索敵を怠るな!」
と強く言うと速度あげた。それに合わせて残りのメンバーの速度を上げてそれに続くのであった。
作戦開始時刻は刻一刻と近づいていくのだった。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
次回は遂に大和の初めての作戦になります。
戦闘の描写をどのように描いていこうか、と不安もありますが楽しみにしていただけると嬉しいと思います。
感想等もお待ちしておりますので、気軽にいただけると幸いです。
それでは次回もお楽しみに。