Charlotte ~時を超える想い~   作:ナナシの新人

19 / 65
生徒会活動日誌は全て奈緒(なお)の視点となります。



生徒会活動日誌 2

 生徒会活動日記~。

 さて、今日も記録をつけていきましょう。

 

 宮瀬(みやせ)さんに手料理を振る舞った翌日、学園へ登校すると教室の外まで聞こえる声で高城(たかじょう)が泣きながら叫んでいました。どうやら、宮瀬(みやせ)さんから功労賞として『How-Low-Hello』のライブチケットを貰ったのが原因。

 しっかし「私は初めて能力者であることを神に感謝します」と高らかに叫ぶとは......ひくなっ! 他に感謝することはないんでしょーか、まったく。

 

 そのあと乙坂(おとさか)さんが、昨日の歩未(あゆみ)ちゃんの件で謝りの言葉を述べてきました。

 あたしは、自分が連れ回したので謝られる事はないと伝えると「違いますよ」と一緒に行動していた宮瀬(みやせ)さんが訂正しました。何と言いますか、律儀ですね。

 そして、このやり取りを聞いた乙坂(おとさか)さんは謝るのではなく、お礼を言ってくれました。素直に言われると少しこそばゆい感じですね。

 

 午前の授業が終わって、昼休み。カメラのメンテナンスをしながら切りのいいところでお弁当を食べようと思っていたところ、宮瀬(みやせ)さんがやってきました。一緒に学食へ行こうと誘われたのですが、お弁当を持っていたのでお断りしました。

 ......けど、なんで誘ったんすかね?

 さて、考えていても仕方がないので時間を進めて放課後。

 生徒会室で、いつものように熊耳(くまがみ)を待っていましたが、どうやらこの日は来そうにないので解散にしました。乙坂(おとさか)さんと高城(たかじょう)は、やることもないとのことですぐに帰宅。遅れてやってきた宮瀬(みやせ)さんは、来週から復帰する英語教師――仲村(なかむら)先生との引き継ぎ資料の制作作業が残っていたようです。教鞭を受け持つというのは大変なんすね。

 ですが、来週から戻っちゃうのかー。留学経験者の授業は分かりやすかったんで少し残念な気もありますが、調査の方に専念してもらえるので利点と考えましょう。

 

 そんなわけであたしは、通常の生徒会の仕事を片付けることにしました。宮瀬(みやせ)さんは自分の作業が残っているにも関わらず、あたしの手伝いを申し出ました。

『あなたも自分の仕事があるっしょ』と言うと、少し間をおいて『......そうですね』と、彼は自分の作業に戻りました。

 あの自己犠牲の精神はどこからくるんすかねー? ストレス溜めてそうです。

 彼は、二時間ほどが経過すると、生徒会室に戻ってきました。

 あたしは生徒会の仕事を終えて能力者の手掛かりを探して雑誌を読んでいましたが、彼の方はまだ掛かるようです。先に帰ることを告げると、ビニール袋を渡されました。袋の中は、学食のカレーだそうです。噂には聞いてますけど、学食のカレーって美味しいんすかね? 帰ってからさっそくいただくことにしました、と、ちょうど温め終わりました。

「うっま!」と、思わず声が出てしまった。なんすか、これ!? しかも牛タン乗ってるっすよ! 牛タンっ! いやー、ホント美味しいなー。

 しかし、お陰でいい口実が出来ました。明日はお礼と称してお弁当を作って行こうと思います。今度こそ、本当の能力を聞き出してみせます。

 

           *  *  *

 

 翌日、登校すると乙坂(おとさか)さんが机に突っ伏していました。悪いものでも食べでしょうか?

 そして勝負の昼休み、あたしは宮瀬(みやせ)さんに声をかけました。作ってきたお弁当を渡すと不思議そうな顔をしていましたが、昨日のカレーのお礼だと言うと納得したようです。

 なんか周りが騒がしかったっすけど、なんすかねー?

 生徒会室でお弁当を食べながら能力者の可能性がある記事に目を通してもらいました。あたしと同意見とのこと。あとお弁当もおいしいと言ってくれました。

 お弁当を食べ終えて、どう話しを切り出すか考えながら音楽を聴いていると、何を聴いているのかと訊かれました。

『ZHIEND』というバンドだと答え、イヤフォンを彼に渡しました。実際聴いた彼も『ZHIEND』の良さを理解してくれたようです。やっぱ、わかる人にはわかるんだよなー!

 

 しかし、ここから話しは思ってもみない方向へと進んでいきました。

 兄が好きだったバンドと話すと......兄のことを訊かれました。

 特に隠すことでもないので、早退して会いに行くことに。

 病室に入ると、また鎮静剤が切れていました。

 ナースコールを押し、駆けつけた医者と看護師が鎮静剤を打つ見慣れた光景。しばらくして落ち着きを取り戻した兄の近くに座って、話けましたが、やはり気づいてもらえません。

 あたしは花瓶を持って、病室を出ました。

 水をかえて病室に戻ると宮瀬(みやせ)さんはあたしが座っていた席に座っていました。あたしに気がつくとすぐに立ち上がり席を開けてくれましたが。何か、兄に話しかけてくれていたのかも知れません。

 その彼にお願いして、兄を車椅子に乗せて病院近くの岬へ出かけました。夕陽に反射して、空も海もオレンジ色に染まっていてすっごく綺麗なんです。でも、やっぱり興味は示してくれませんでした。

 兄との面会を終えて帰りのバスの中、悪気が無いのはわかってるのですが同情はされたくなかったんです。語気を強めたあたしの言葉に対し、彼は『俺はそんな出来た人間じゃない』と答えました。

 あたしはその答えに感情を剥き出しにしてしまって。彼はそのことには一切触れず『自分にも責任がある』と自責の念に駆られているような感じの声色で言っていましたが、どういう意味か聞いても答えてくれません。

 沈黙が続き、電車に乗り換えて最寄りの駅に着き降りようとすると腕を掴まれました。離してほしいと告げても離してくれず、どうすればいいのか困惑していると「話しをしたい」と、神妙な面持ちで言われて......彼の自宅で話すことになりました。理想とは違う形でしたが、今聞かないと次はない、そう直感的に察知し、帰りが遅くなることも視野に入れ、夕食と着替えを購入するために一度彼と分かれ買い物に出かけました。

 彼の自宅に着き玄関に入ると、以前は感じなかった香水の匂いがしました。しかもこれ、知ってる匂いです。いったい、どういうことっすかね? なんか、ムカつくっす......って何で憤ってるんでしょーか。ま、後々使えそうな弱みを握ったのでヨシとしておきます。

 

 初めて会ったときと同じ様にテーブルを挟んで向かい合い、話しが始まりました。まさかまさか、彼は兄を知っているとのことです。それも、生きる意味を教えてもらったと言われた時は驚きました、本当に。

 その後、兄との思い出話、本当の能力、彼が歩んできた壮絶な過去、渡米の理由等を教えてくれました。プライバシーに関わるのでここでは残せませんが、衝撃的な内容でした。もしあたしが彼の能力を持っていたら、数回で心が折れていたかもしれません。

 

 話が終わる頃には午前を回っていました。彼はタクシーを呼ぶこと、ホテルを手配することを提案しましたが、あたしは彼の家に泊めてほしいと伝えました。

 もちろん拒否されるとわかっていたのでこう言いました。『他の女は泊められてもあたしは泊められないっすかー?』と。普段から冷静沈着で同級生とは思えない落ち着きを持つ彼が、明らかに動揺しました。

 間違いありません、あの反応はクロです。平然を装っていましたが、握った弱みとどめを刺してやりました。

 と言うことで、夕食の仕度。話しを聞いていた時は集中していたので気になりませんでしたが、気が緩んだ途端にお昼から食べてなかった分一気にきました。お腹鳴らなかったですよね? しっかし、キッチンひっろ! しかも、柳刃包丁とかまであるんすけど、いったいどんな本格的な料理作るんですかね。

 料理が出来たんで声をかけようと思ったら、リビングにいませんでした。少し探すと、テラスにいました。どうやら、風に当たってたみたいです。

 声を掛け、振り向いた彼の目からひと筋の涙が......大丈夫ですか? と訊くと『風に当たりすぎただけです』と言っていましたが......。

 さて、次です。テーブルの料理を見て驚いた様子でした。一口食べて『おいしい()()』って、それ、あたしの口マネっす。

 食べ終え、前と同じように二人で洗いものをしました。やっぱり分担してやると効率いいっすね。手際もいいですし。テンポよく片付きました。

 片付けが終わり、あたしは先にお風呂をいただきました。

 キッチンも広ければ、これまたお風呂も広かったです。シャワーだけでしたが、あの湯舟は脚を伸ばせますね。ソファーで目を閉じていました。眠っているのか、考え事をしているのか、わからなかったので声をかけましたが......どうやら後者だったみたいですね。

 彼がお風呂に向かうと、あたしは彼がいたテラスへ向かいました。

 季節は初夏なのに少し肌寒い風が身体の火照りをとってくれて気持ちがいいです。ふと、空を見上げると星は見えませんでした。

 『風邪ひきますよ?』と声をかけられ、何を見てるのか? と訊かれたので星を見ていると答えました。彼が隣に来て一緒に夜空をみました。

 

 本当は来る前にホテルとってたんです。でも今はあの人を一人にしちゃいけないそんな気がしたんです。

 

 朝、ノックの音で目が覚めた。

 どうぞ、言うと宮瀬(みやせ)さんが寝室に入ってきました。1時間後に出るということで一緒に出ることにしました。

 部屋を出る前に、宮瀬(みやせ)が近づいてきて......あたしの後ろにある目薬のケースを手に取りました。ケースにはドライアイの文字が......。

 

 夜中の涙の原因はそれですか......心配して損しました。............。はい、次行きまーす。

 

 

 星ノ海学園に向かう電車の中で、初めて訪ねた時のことを聞かれました。

 宮瀬(みやせ)さんの言うように作戦を立てて行動する方ですが、彼の場合はタワー内の警備も防犯カメラも多いですし、能力を使ってもすぐにバレますからやっかいでした。

 

 続いて、何故転校させる方法を選んだか訊かれましたが、言ったように"予知"と"略奪"を阻害した理由が主。まあ後は、なんとなく後悔してしまうような、そんな気がしたんです。そう、あの機会を逃してしまったら霧のように消えてしまう、そんな気がして――さて、次です。

 

           * * *

 

 放課後、生徒会の仕事をしていましたが熊耳(くまがみ)は現れなかったので解散にしました。

 いつもどおり乙坂(おとさか)さんと高城(たかじょう)は帰宅。黒羽(くろばね)さんはお土産を宮瀬(みやせ)さんに渡すために残りました。

 家に帰ってからいただきましたが、あのお菓子おいしかったなー、どこの銘菓なんすかね。今度聞いて、取り寄せてみようかな。

 

 その後生徒会室へやって来た宮瀬(みやせ)さんに、黒羽(くろばね)さんはお土産を渡すと、すぐに仕事に出掛けていきました。現役の人気アイドルって大変なんすね。

 

 書類に目を通していると一昨日と同じように宮瀬(みやせ)さんは手伝いを申し出てきました。

 最初は断りましたが結局手伝ってもらう結果に。

 予算案を渡したらすぐに片付けてくれました。彼の本業上、数字に強いとは思っていましたけど......早いっすねっ!

 

 その後は書類を提出して併設マンションまで話ながら帰ることになりました。

 

 今日の記録は、ここで終わりにします。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。