Charlotte ~時を超える想い~   作:ナナシの新人

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生徒会活動日誌 3

 生徒会活動日誌~。

 さて、今日も記録をつけますかー。

 

 黒羽(くろばね)さんのライブ当日、電撃の能力者の企みを阻止するため招待者チケットでライブ会場に潜入しました。

 想像以上の熱狂ぶりに若干戸惑いつつも、能力者に注意を払っていると、高城(たかじょう)がそれらしき人物を発見しました。

 

 その人物は、あたしと目が合った瞬間鉄製の仕切りに握り、能力を発動させ、ステージ上の黒羽(くろばね)さんの真上の照明機材を落下させました。

 炎上するステージを、ただただ見つめることしか出来なかったあたしを正気に戻してくれたのは、宮瀬(みやせ)さん。

 彼女は無事。その言葉に、はっとしました。そう、妹の危機をあの人が放っておくわけがありません。能力者の確保を優先し、ライブ会場を飛び出しました。

 通路で追う途中、宮瀬(みやせ)さんが一気にスピードを上げて能力者との距離を詰めた。その時、能力者が壁に手をやった。宮瀬(みやせ)さんも同じように手を振れる。何も起きずに動揺する能力者は、高城(たかじょう)が体当たりをまともに喰らいその場に倒れ込みました。

 その後能力者を引き渡し、ライブ会場へ戻るとトイレから出てきた宮瀬(みやせ)さんとばったり会いました。なんだか左手を隠しているような気がして、ブレークタイムを挟んで再開されたライブ中も注意見ていると、やはり左手を庇っているみたいようでした。

 ライブ後さりげなく、あたしたちの元を離れた宮瀬(みやせ)さんを待ち、戻ってきたところを駅へ向かって一緒に歩く。途中でドラッグストアにたちより火傷の治療薬を買って、近くの公園で手当てをしました。

 いつから気づいていたのか訊かれて、ライブ再開後すぐにと答えたんですが。これじゃあまるでライブ中ずーっと見ていたいみたいじゃないっすか。あれ、そういえば最近――。

 ん。まあ失言には、気づいていないようでしたのでよしとしておきましょう。

           * * *

 

 翌日、あたしは、とある駅前の公園に来ていた。その理由は昨夜した約束。任務中に火傷を負った宮瀬(みやせ)さんを組織が運営する病院まで案内するためです。

 電車の時間もあって待ち合わせの三十分くらい早くついてしまったため、ちょうど日陰になっているベンチで座って待つことにしました。

 公園には、同い年くらいの友だち同士で楽しそうにおしゃべりしていたり、ランニングをする人、犬を連れて散歩に来ている人、他にも大勢の人たちが居て。その中には、家族連れも多く見受けられた。

 噴水の近くではしゃぐ、小さな子どもを見守る両親。幸せそうな家族の休日。あたしには、縁遠い家族形がそこにありました。

 ――あたしもいつか、結婚とか......いえ、それはないですね。

 ふと顔を横へ向けると、彼が居ました。待ち合わせの時間までまだ15分以上あるのに。目線の先には、あの家族。どこか寂しそうな目に見えた、そんな気がしました。

「おはよーございまーす」と、声をかけるとちょっと驚いた表情(かお)をしたあと「おはようございます。早いですね」と穏やかに微笑みかけてくれる。

 ――この笑顔が、なんとなく安心するのはどうしてなんでしょう。もう誰も信用しないと誓ったハズなのに。

 さて、気を取り直して続きです。

 病院へ行った帰り、案内のお礼として駅近くのカフェでお昼をごちそうしてもらいました。

 大通りに面したテラス席で話をしていると、見覚えのある女子があたしたちに声をかけてきました。黒羽(くろばね)さんです。この近くに買い物に来ていたそうで、二人でいたあたしたちがデートしていたと勘違いされました。

 デートではないと言ったんですが、なにやら釈然としないご様子。でも本当に、デートじゃないですし。

 その後、三人でお店を見て回ることになりました。今後来るやもしれない能力者対策のための準備です。ドラッグストアやホームセンター、黒羽(くろばね)さんも買い物をすると言うカジュアルショップ。そして最後に、下着の専門店に行きました。

 ここで、あの事件が起こりました......。

 そうあれは、ブラを見ていた時のことです。

 目移りしているのか、なかなか決まらない黒羽(くろばね)さんに「迷ってるんですかー?」と声をかけたら「あ、いえ、えっと、合うサイズがなくて......」と苦笑いを浮かべていました。

 ......なんすか、それ? 当て付けっすかっ? なんて贅沢悩み......。

 何でも、アイドルになる前は自然豊かな田舎育ちだそうで、新鮮な野菜をたくさん食べていたそう。今でも、毎日必ず食べているそうです。

 あたしは、この時決意しました。これからは野菜もしっかり食べよう、と。

 

           * * *

 

 翌日の昼休み、“ZHIEND(ジエンド)”を聴きならがカメラを弄っていると四人の女子生徒があたしの机を囲んできました。

 ――まあ、ままあることなので慣れてますけど。

 

 その中の一人に腕を掴まれ、校舎裏へ連行されました。

 しっかし、リンチイコール校舎裏って......べたっすよね~。捻りがないって言うか、なんと言うか。

 なんてこと考えていると、思い切り壁に押し付けられ、右拳が顔をめがけて飛んできました。抵抗するのも面倒なんで殴られるつもりだったんですけど。当たる直前で宮瀬(みやせ)さんが、拳を受け止めてくれました。

 あなたは、漫画の主人公っすか。

 その後言い合いになり、宮瀬(みやせ)さんは殴られました。どうやらわざと避けなかったようです。それを見て女子生徒は怯んだのか、取り巻きを連れて戻っていき。なぜ庇ったのか訊ねると 彼は「守るためです」と恥ずかしげもなく。

 きっと、彼の恩人である友利(ともり)一希(かずき)の妹だから、という意味なんですよね。

 教室に戻ろうとすると熊耳(くまがみ)から連絡がありました。生徒会室で熊耳(くまがみ)から、見つかったのが“空中浮遊"の能力者であることを聞き、すぐに準備に張り込む準備に掛かりました。

 いや~雑誌で目つけてたんっすよねー、さすがだな、あたしっ!

 

 山の中でテントを張り終わり。森を進んだ先で夜景を眺めていると乙坂(おとさか)さんがやって来ました。何を聴いてるのか聞かれたので、兄が好きだった『ZHIEND(ジエンド)』であることを伝えました。

 その時少し、表情が強ばった気がしましたが気のせいでしょうか。聴かせて欲しいと言われたのでプレーヤーを貸すと聞き入っていた様子です。感想を聞くと『広い場所に一人で立ってる様な不思議な感覚』と反ってきました。

 やっぱり『ZHIEND(ジエンド)』の良さはわかる人にはわかるんっすよね! あと、気に入った様でしたのでプレーヤーごとあげました。

 

 乙坂(おとさか)さんがテントに戻り、入れ換わる様に宮瀬(みやせ)さんがやって来て一緒に前は見れなかった星空を見ました。そして戻り際に差し入れでケーキを買ってきてくれたことを教えてくれましたっ!

 いや~、気がきくっすね! 醤油とかタレとかばかりだったんで甘いものが欲しかったんすよー!

 

           * * *

 

 翌日の夜。

 宮瀬(みやせ)さんから、一度アメリカに戻る事を告げられました。アメリカには能力者に関するデータがあるとのことです。

 そんな顔しないでくれと言われましたが......どんな表情をしていたんでしょうか? 自分ではよくわからないっす。

 翌日、空中浮遊の能力者に乙坂(おとさか)さんの能力で乗り移り、その後説得することに成功。今後は、能力を使わない事を約束してくれました。ようやく一件落着です。

 下山したあと、疲れと汗を流すため近くのスーパー銭湯へ行きました。この時、黒羽(くろばね)さんの体をあらためて見ましたけど、お腹とか引き締まっててちゃんと努力してるんだなって、ちょっと尊敬しました。胸は、ほんとデカかったっすけど......。

 

           * * *

 

 最寄り駅についたあとみんなと別れ、あたしは宮瀬(みやせ)さんの自宅へ行き、荷造りの手伝いをして、ご飯を食べて空港に見送りにいきました。去り際に自宅の鍵を預かって欲しいと言われ預かる事になりました。

 

 約束、守ってくれるまでしっかり預かります。

 

 

           * * *

 

 

 翌日の昼休み、高城(たかじょう)宮瀬(みやせ)さんが居ないことを疑問に思っていたので、アメリカに行ったことを伝えると三人とも驚いていました。黒羽(くろばね)さんがあたしをじっと見つめて、「いえいえ、なんでもありませんよ~」とニコニコ顔で言ってきましたが、あれはいったいなんだったんでしょう?

 

 その後、熊耳(くまがみ)が現れて能力者の情報を残して行きました。能力は“崩壊"。嫌な感じがしてなりません。場所が併設のマンションだったため、おそらく欠席しているのだろうと口にしたら、乙坂(おとさか)さんが明らかに動揺しました。問いただすと歩未(あゆみ)ちゃんが熱を出して欠席しているとのことです。

 

 ――やはり兄弟は発症しやすいんでしょうかね?

 宮瀬(みやせ)さんが、アメリカから戻って来たら聞いてみますか。

 

 お見舞いがてら探りに行くことして、歩未(あゆみ)ちゃんから悪夢を見ると言う話を聞きました。崩壊の手がかりになるかもしれないので、乙坂(おとさか)さんに聞き出すようにお願いしました。思い過ごしならいいのですけど。

 もし、あなたが居たら、どう対処したでしょうか。

 にしても。食べ終わった後の食器を流しに放置って......お前、何型だっ!? 普段からこんな感じなんすかねっ! 歩未(あゆみ)ちゃんの苦労が目に浮かびます。

 

           * * *

 

 熱が下がった歩未(あゆみ)ちゃんは、自分の判断で3時間目から登校してしまったようです。嫌な予感がして、すぐに併設の中学校に向かいましたが。結果は、最悪な結末になってしまいました......校舎の崩壊に巻き込まれ、歩未(あゆみ)ちゃんが亡くなってしまいました......。

 ――あたしの判断が不適切だったんです。すぐに歩未ちゃんを安全な場所に保護していれば、こんなことに......。

 気がついたら、宮瀬(みやせ)さんに電話を掛けていました。崩落での出来事を話すと、今日中に帰るから待っていてくださいと。十数時間後スマホが鳴り、空港に着いたと連絡がありました。まさか、本当に帰ってきてくれるなんて。

 彼の自宅で落ち合うことを決め、あたしは急いで向かいました。

 無事に再会するできたあたしは、張っていた気が抜けてしまって......。

 そんなあたしに「大丈夫、後は任せてください」と、穏やかな声で力強く言ってくれました。

 あたしは何もできなかったのに。なんであなたは、そんなに優しい言葉をかけてくれるんですか......?

 

 併設マンションに向かう途中、アメリカから持ってきた資料を見せてくれました。そこには彼が長い時をかけて探していた『時を操る能力』“時空移動(タイムリープ)"の能力者の情報が書かれていました。たしかにこれなら、歩未(あゆみ)ちゃんを救うことができるかもしれません。

 しかし、そのためには......。「強要はしない、乙坂(おとさか)次第だ」と言っていましたが......。今の乙坂(おとさか)さんに答えは出せるのでしょうか?

 部屋の前に着き、予め借りた鍵で中に入ると、まるで抜け殻のような乙坂(おとさか)さんが電気の消えた部屋の壁に寄りかかって座っていました。歩未(あゆみ)ちゃんを助ける手段を話し、外に出るました。彼が答えを出すまで見守ろうと思います。

 

 今日の記録は、これで終わりにします。

 

 

 

 

 

 

 

 今日、わかったことがあります。いえ、今までは無意識に考えないようにしていたのかも知れません。

 だって、こんなことあり得ないって思ってました。あたしは、もう誰も信じないって心に決めて......。

 

 でも......それは想像よりもずっと......う~ん......。ああーっ!! まとまんないっ! ここ取り直しっすっ!!

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