東亰ザナドゥ ~蘇りし骸殻者ルドガー~   作:ロナード

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ロナードです。暫くの間、作品を書けなかった事も有ってのリハビリに近い感じですが、この作品をメインに更新していきます。


東亰ザナドゥにTOX2のルドガーを登場させた作品を書きました。更新は遅いかもしれませんが、よろしくお願いします。


第1話 東亰に蘇りし審判を超えし者

俺の名前はルドガー・ウィル・クルスニク。俺はカナンの地にて、自分の命と引き換えに俺の大切な相棒である少女エルを救う為に俺は時歪の因子化(タイムファクターか)を進め自ら消滅する道を選択をした。俺が完全に消滅する前にエルは俺に約束をした。嫌いだったトマトは食べられる様に頑張るし、それに二度と約束を破らない嘘つきにはならないという約束だ。エルの面倒は俺の仲間達が見てくれる様だし、俺は安心してエルに証の歌を聞かせながら消滅した・・・筈だった。

 

 

「こ、ここは、一体?何故、俺は生きているんだ・・・」

 

カナンの地で消滅した筈の俺は何故か知らないが、見知らない木々が生い茂った場所にいた。服装もカナンの地で戦っていた時のと同じだ。何故、俺はまだ生きているんだ?

その疑問に答える為なのか、俺の目の前に光と共にカナンの地にいる筈の精霊オリジンが姿を現した。

 

「やあ。ルドガー・ウィル・クルスニク。また会えたね」

「ああ、そうだな。で、オリジン。何故、カナンの地で消滅した筈の俺が未だにこうして生きているんだ?答えろ、オリジン!まさかここは、俺が時歪の因子化した事で出来てしまった分史世界なのか!?」

 

もし、この世界が俺が時歪の因子化して作り上げた分史世界だとすれば、俺が生きている理由として一番有力だ。だが、オリジンは俺の考えていた予想とは違った事を話した。

 

「違うよルドガー。ここは分史世界では無いし、リーゼ・マクシアでもエレンピオスでも無い全く別次元の世界にある国、日本の東亰と呼ばれる都市にある杜宮という地域の一角だよ」

「べ、別次元の世界だと・・・一体、どういう事だ!?」

「今から、何故君がこうして別次元の世界にいるのか、その理由を話すよ」

「そうか、分かった。話してくれ、オリジン」

 

俺はオリジンの話を聞く事にして近くに有った大きな石を椅子がわりにして座り話を聞く。

 

「ここはもう一度言うけれど、君が住んでた世界とはかけ離れた世界でエレンピオスやリーゼ・マクシア。それに分史世界でも無い別次元の世界だ。まずは、何故君が生きているのかを話すよ。ルドガー、君は時歪の因子化が深刻なレベルまで達したエルを救う為、エルより先に時歪の因子化する事で自分の命と引き換えにエルを救った。そして、君は本来なら消滅した後に時歪の因子化となり分史世界を作る筈だった。でも、君が全ての分史世界の消滅を願った事とエルを救う為に自ら時歪の因子化する事でエルを含めた時歪の因子化の進行状況をリセットした事が君自身にも影響を及ぼし、君は時歪の因子化する事は無くなったし、浄化される事も当然無くなった訳だ。その二つの偶然が呼び起こした奇跡とでも言えばイイのかな。

その奇跡が起きた事で君は本来なら消滅する筈だった魂は、こうして別次元の世界であるこの場所にたどり着いた訳だ。」

 

「そうだったのか・・・だが、何で俺はこうして生きているんだ。俺の肉体は完全に消滅しただろ」

「確かに君の肉体はカナンの地で消滅した。それなのに、どうして君がこうして肉体も有る状態で生きているかと言うと、その肉体はこの世界にいる君や僕がいた世界で言う精霊に近い存在と言えばイイのかな?後、もう少し詳しく言うなら、僕と同等の力を持つ存在が与えたものだよ。」

「この世界にいるオリジンと同等の力を持つ存在が与えた肉体だと!?」

 

オリジンの話が本当なら、今の俺の肉体はこの世界にいる人智を越えたオリジンと同等レベルの存在から与えられたという事になる。そんな話、俄に信じがたいが、信じるしかないんだろうな。とりあえず、オリジンからもう少し詳しい話を聞く必要が有るな。

 

「驚くのも無理は無いよね。僕も正直、『彼女』を見た時は驚いたよ・・・クロノスの様に時間を止める事も出来るからね」

「クロノスと同じ力まで持っているのか!?」

「いや、流石にクロノスと違って時間を巻き戻したりは出来ないらしいよ。僕は君が目覚める前に『彼女』と話をしていたんだけど、『彼女』はどうやら、君と僕がいた世界の事を知っていたみたいなんだ。『彼女』は君が自らの選択で自身の命と引き換えに一人の少女を救った事に称賛を贈りたいという事で君の魂をこの世界に呼び込んだ上に新たな肉体を与えたという事らしい」

 

『彼女』か。オリジンが言うその『彼女』こそがオリジンと同等の力を持つ存在なんだろう。その『彼女』と呼ばれている存在がどの様な姿なのか気になるが、今はオリジンの話をもう少しだけ聞こう。

 

「『彼女』は君に新たな肉体を与えたけれど、僕は『彼女』から君の新たな肉体についての注意点も聞いた。」

「この肉体の注意点?どういう訳だ」

「実はその肉体は『彼女』曰く即席で作った肉体に魂を入れただけの仮初めのモノらしい。その為、君の新たな肉体にはタイムリミットが有るんだ。その肉体は長くても半年しかもたないらしい。それにその肉体は寿命が尽きると同時に跡形も無く消滅するらしい。」

 

この肉体のタイムリミットが長くて半年、それに普通の死に方は出来ないか。別に構わない。本当なら、エルを救った時に消滅していた命だったんだからな。今さら、普通の死に方は出来ないと言われても不思議と怖くは無いな。

 

「どうやら、君は肉体のタイムリミットを聞いても余り驚かない様だね。流石は審判を超えし者というところかな。僕が『彼女』から聞いた君の蘇った事についての詳しい話はこんなところかな」

「そうか。それで、その『彼女』と呼んでいる存在は今どこにいるんだ?」

「残念だけど、『彼女』は話を終えた後に姿を消したんだ。僕はこの世界については詳しくないからね。『彼女』の現在の居場所は僕にも解らない。」

 

オリジンが『彼女』と呼んでいる存在はオリジンに俺の肉体のタイムリミットの事を話した後に姿を消したのか。どういう奴なのか気になっていたんだけど、オリジンでもこの世界については詳しくないみたいだし仕方ないか。それにオリジンにはまだ話す事が有るらしいので、再び話を聞く。

 

「君が蘇った理由は話したし、次の話をするよ。『彼女』は君に新たな肉体を与えた他にも、この世界で生きていく為に必要な最低限の知識を君に与えたらしい。例えば、文字の読み書きや言語の意味や使い方を理解できる、この世界での生活に欠かせない物の扱い方とかだね。」

 

『彼女』と呼ばれる存在は俺にこの世界で生きていく為に必要な最低限の知識まで与えてくれたのか。結構、サービスしてくれたんだな。肉体のタイムリミットを考えての配慮かもしれないが、それでも嬉しいモノだ。何故なら、この世界の文字や言葉を理解する為に勉強をする必要が無いからな。別に勉強するのが嫌という訳では無いが、面倒だしな。とにかく、嬉しいサービスだな。

とりあえず、本当に文字を読めるのか確かめる為に近くに有った看板に近付き、書かれた内容を呼んでみる。

 

「何々・・・『杜宮記念公園』へえ、ここは公園だったのか。下の文は『この先、立ち入り禁止!』って、ここ公園の中とはいえ入っちゃ行けない場所じゃないか!?」

「確かにそうみたいだけど、僕と話せる場所はここしか無いよ。」

「ま、まあ仕方ないよな。話せる場所がここしか無いもんな」

 

俺はオリジンから話の続きを聞く為にオリジンの近くに戻り、再び大きな石の上に座り話の続きを聞く。

 

「今ので君自身が一番わかったと思うけど、『彼女』は君に最低限の知識を与えた。ここまではいいね?」

「ああ、実際に読めたしな。十分に信じられる話だな」

「じゃあ、次の話に進むよ。ルドガー、君のズボンのポケットに入っている物を取り出してほしい。」

 

俺のズボンのポケットから?そういえば、俺のズボンのポケットに何か俺が知らない感触の物が入っているな。前の世界で俺がポケットに入れていたのはせいぜい、ハンカチにポケットティッシュ、それと小さなビニールに入ったトマトケチャップの三つだな。何故、トマトケチャップを持っていたかと言うと、お守り代わりと思って持っていれば兄さんに会えそうな気がしたからだ。まあ、戦いのダメージでトマトケチャップの袋が破けてが俺のズボンを赤く染まった事が有ったな。その時はジュードに脚から大量の出血をしていると思われて、余計な心配をさせてしまった事が有ったな・・・

それと連絡手段であるGHSと財布の様な貴重品は俺の腰に着けたポーチに入れているからな。

変な話を思い出している場合じゃないな。とにかく、俺はオリジンの言う通りにズボンのポケットから俺が知らない四角い何かの装置を取り出した。

 

「何だ、コレ?色とかは俺が持っていたGHSにそっくりだな」

「そのはずだよ。それはこの世界でのGHSと言える物だからね。その端末はサイフォンという物らしい。サイフォンはGHSと同じように電話を掛けたり、メールを送信して連絡を取り合える道具だよ。」

「サイフォンねえ。こんな薄い板の様な装置で連絡を取り合えるとは不思議に思えるな。」

「GHSを使っていた君からすると、サイフォンは不思議に思えるみたいだね。でも、そのサイフォンの扱い方も『彼女』が与えた知識のお陰でと分かるよね?」

「ああ。初めて手にした物なのに不思議と使い方が分かるな」

 

俺はサイフォンの下に有るボタンと思われるモノを押して、サイフォンを起動させる。画面には日付が3月30日と表示されている。サイフォンは指で画面に触れる事で表示される項目に指を触れる事で様々な機能が扱える様だ。GHSと比べれば、扱い易さは格段にサイフォンの方が上だな。それよりも連絡手段であるサイフォンをポケットに入れたのは『彼女』と呼ばれる存在かと思うんだが、俺としては連絡手段である物はポケットに入れたくない。落としそうで怖いからな。

俺はサイフォンをポーチに入れた後にオリジンから話の続きを聞く事にした。

 

「次が最後の話になるかな。ルドガー、君のポーチには時計が入っているよね?」

「ああ。入っているな。俺の時計に兄さんの形見である時計もな」

 

オリジンに言われた様に俺はポーチから俺が持っている金色の懐中時計と兄さんの形見である銀色の懐中時計の二つを取り出した。兄さんの時計は二度と動く事は無いだろうが、兄さんの形見である時計が有って俺はホッとしている。兄さんの形見である時計を無くす事だけはどうしても避けたかったしな。時計の事を話すと言う事はおそらく、骸殻についての話だろう。

 

「ルドガー。おそらく、すでに察していると思うけど、僕が最後に話す事はこの世界で骸殻を使った場合についてだ。この世界では骸殻を使っても時歪の因子化はする事は無い。『彼女』によると、この世界は僕や君がいた時とは違いマナや精霊というモノが無いというのが一番の理由だね。その為か骸殻を使った時の本来のルールが適用されないらしい。」

「つまり、それはこの世界では骸殻を使っても時歪の因子化を気にせず、骸殻を使いたいだけ使えるという事か?」

「確かに時歪の因子化を気にしなくてよくはなった。でも、この世界でのデメリットが生まれてしまった。この世界では骸殻を使っても時歪の因子化はしないけれど、その代わりにルドガー。君の寿命が減っていくという仕組みだ。骸殻の長時間の使用や段階が高い程、減っていく寿命も多くなるらしい。この世界で骸殻を使う事が有るのかは僕には分からないけれど、もし使うなら本当に必要な時にだけした方がイイと思うよ」

 

この世界では骸殻を使っても時歪の因子化はしないが、その代わりに寿命が減っていくのか。あまり、前の世界とは変わらないデメリットにも思えるけどな。まあ、この世界は正直言うと平和そうだし、魔物もいない様だし戦う事が無さそうだから大丈夫だろう。

この世界での骸殻の説明でオリジンの話は最後らしいが、一応気になるので聞きたい事を聞く事にした。

 

「オリジン。一つ聞きたいんだが、俺の持っていた武器は一体どこにいったんだ?」

「『彼女』の話だと、この世界では魔物と呼べる存在は現実にはいないみたいだし、それに君が今いる場所はこの世界では日本と呼ばれている国で、日本は他の国と比べると平和らしいし、それに日本は銃刀法という法律が有るみたいでね、銃や刀剣を持っていたら逮捕されるという理由も有って『彼女』は君を甦らせる時に君が使っていた武器は『彼女』の意思で普通の人間には認知できない様に違うモノに変えたと僕は聞いた」

「違うモノに変わった?どんなモノになったのか教えてくれないか?」

「すまない。僕も『彼女』からはその事については聞かされてはいないから分からないんだ。だから、君の武器がどのような変化をしたのは知らないんだ・・・」

 

俺の武器が普通の人間には認知できないモノに変わっただと・・・何に変わったかは知らないが、魔物はいない様だし武器が無くても平気だろう。現実にはいないという事が少し気になるが、現実では無い世界で思い当たるのは分史世界だけだな。この世界では骸殻を使っても時歪の因子化はしないと聞いたし、分史世界の存在は無い筈だしな・・・気になるが、オリジンはこの世界については詳しくない様だし無理に捜索する必要も無いな。

 

「そうか。俺の持っていた武器がどうなったのか気になるけど、オリジンでも分からないなら仕方ないよな。とりあえずは俺が今までいた世界とは違う世界に『彼女』と呼ばれる存在の手で甦った事やこの世界で骸殻を使うと時歪の因子化はしないが、その代わりに寿命が減っていくという事がわかったし、それにこの世界で生きていく為に必要な最低限の知識も有るし大丈夫だろう。オリジン、長い話をさせてすまないな」

「いや、礼を言われる程の事じゃないよ。そろそろかな・・・僕は『彼女』の力で一時的にこの世界に干渉できていたんだけれど、もうそれも限界の様だ。それじゃあ、ルドガー。この世界で君が肉体のタイムリミットまでどのような生き方をするかは分からないけれど、僕としては君には戦いとは無縁の生活を送ってほしい。それが僕の唯一の願いだね。例え、違う世界でも君の仲間とエルとの思い出は消えたりしない。その思い出を糧にこの世界で頑張って生きてほしい。ルドガー、君の選択が仲間とエルの未来への架け橋となった。それだけは覚えていてほしい。それじゃあ、君の仲間やエルの分も含めて言わせてもらうよ。今度こそ、さようならルドガー・・・」

 

オリジンはそう言うと、光の粒子となり俺の前から姿を消した。俺の選択が仲間とエルの未来への架け橋になったのか。どうやら、皆は俺の事を乗り越えて進んでいるんだな。それなら俺もこの世界で半年というタイムリミット付きだが、新たな人生に前を進んで生きていくとするか!

 

 

 

 

オリジンが姿を消した後、俺は草が生い茂った立ち入り禁止の場所から出て杜宮記念公園の中央に来た。先までは草が生い茂っただけの場所にいたから気がつかなかったが、この公園は大きな池も有って自然豊かで落ち着ける場所だ。だからか、人が多く来るのか売店も有る。俺は売店を見るとお腹が急に鳴り出したので、何か食べる事にした。俺はまず目が先についたクレープ屋の屋台に近付き値段表を見て、初めてこの世界に来て一番重要な問題に気付いた。それは、俺がこの世界での通貨。つまり、お金を持っていない事だった・・・

 

「お客様?どうしました?何か、注文をしないんですか?」

「すみません。また、後で来ます」

 

クレープ屋のお姉さんが俺の顔を伺ってきたので、ひとまず退散する。はあっ、どうしよう・・・この世界で生きていくにもまずは、お金が無いとな。お金が無いと、さすがに暮らしていけないしな。どうにかして、お金を手にいれねばならぬな。

仕方ない、1日や2日は物を口にしなくても多分生きていけるだろうし、ひとまずは働き口を探す事にしよう。そう思った時、俺の耳に天の助けかと思われる有る言葉が届いた。

 

「本日はこの杜宮記念公園にて、スケボーの大会を行います。プロは勿論の事、素人の参加も大歓迎!ルールは簡単。指定されたコースをスケボーで駆けてゴールを目指すだけ!そのタイムが一番短い方が優勝です。優勝した方には賞金一万円と記念トロフィーを授与します!」

 

これは・・・参加するしかないな!スケボーでゴールを目指すだけだろ。簡単じゃないか!スケボーはやった事は無いが、まあ、何とかなるだろ。ってか、何とかしないと明日の我が身が心配だ!絶対に優勝して賞金一万円とそれに、あわよくばトロフィーをどこかに売りさばいて金を手にいれねばな!

 

「ママ。なんか、あのお兄ちゃん。怖い顔をしてるよ・・・」

「ダメよ、見ちゃ・・・あれは、賞金に目が眩んだ哀れな人よ。それにトロフィーも売りさばいてお金を手に入れる事もきっと考えているわ。間違っても、あんな大人になっちゃダメよ!」

「うん。わかった!間違っても、僕はあのお兄ちゃんの様な大人にはならないよ」

 

なんか、通りすがりの親子には俺の顔が金に目が眩んだ哀れな人にしか見えなかった様だ。仕方ないだろ。俺は貧乏を通り越して文字通りの無一文なんですから・・・

 

 

 

俺は心に大ダメージを抱えつつも、スケボーの大会にエントリーした。エントリーシートには名前と何でもいいから、自分の情報を書けばイイらしいので年齢を記入した。それと俺以外の参加者には学生と思われる少年の他には、なんか会話内容から働きもせず親の金で遊んで生活しているニートもいる様だ。俺が言うのもおかしいと思うが、親に迷惑をかけていないで働け!じゃないと、いずれ俺の様に借金を二千万ぐらい抱える事になるぞ・・・なんか、言ってる俺の方が悲しくなってきたな。ああ、自分が情けなくて涙が勝手に出てくるよ・・・

 

「それでは、スケボー大会を開催します。まずは、商店街の八百屋の一人息子。伊吹 遼太!リョウタ君。意気込みをどうぞ!」

「へっ!俺の華麗なるスケボーテクニックで女の子のハートを掴んでやるぜ!」

 

このリョウタという茶髪の少年は女子にモテる為に参加したのか。確かにスケボーって、カッコいいイメージが有るからモテそうだけど・・・

 

「何を言ってるのよ!このバカリョウタ!」

「寝言は寝てから言いなさいよ!」

「おいおい!?少しは応援してくれたってよくないか!」

 

女子からは不評の嵐だった。リョウタって奴は少しでもイイから応援してもらいたかった様だな。仕方ない、俺が女子に代わって心から応援してやる。俺の次にイイ成績を残せる様にな。そんなこんなしている内に、リョウタのタイムアタックが始まったが、リョウタのスケボーの腕前は正直言って良くて凡人だった。しかも、ジャンプして水溜まりを避ける筈がカッコ悪く落ちて失格になった。そんなリョウタをリョウタの友達なのか黒い髪の少年と女性の様な顔立ちの緑の髪の少年とリボンを着けた少女が慰めている様だ。アイツ、最初に大口叩かなければよかったと後悔して泣くな・・・

 

「続きましては、ユウスケ選手です。職業はフリーター。それでは意気込みをどうぞ!」

「そうだなぁ。この大会の為に1ヶ月、ずっとスケボーだけをやってテクニックを磨いたんだ。負ける気がしないな!ってか、そもそも俺は毎日スケボーしかやってないけどな!」

 

最低だな、コイツ・・・絶対にフリーターじゃないだろ、お前!ニートって言うんだよ、お前みたいな奴をな!フリーターっていうのはな、アルバイトとはいえ働いているから言える事なんだよ!俺が大口叩いて言える事じゃないけどね・・・

ユウスケという奴のスケボーの腕前はムカつく事にかなりの腕前だった。スピードは勿論の事にテクニックもかなりのモノだった。働きもしないニートのくせにな・・・

 

「凄い記録が出ました。記録はなんと、36.47秒。大きな記録です!」

「どうだ!これが親の金だけで生きている勝ち組の実力よぉ!」

 

こんな最低な奴が大きな記録を出すとはな・・・絶対に俺が抜いて、奴に一泡吹かせてやる!そうすれば、スケボーへの熱が冷めて就職する気を起こすだろう、多分。

 

「続いての人は時坂 洸ことコウ選手です。杜宮学園の生徒です。意気込みをどうぞ!」

「そうだな。とりあえずはやれるだけやってみるだけだな。」

 

コウか。先ほどのリョウタという少年を慰めていた黒い髪の少年だな。ちょっと近くになったので顔を見ると少しぶっきらぼうに見える顔をしてるな。でも、心の底は困った奴を放っておけない感じにも思える奴だな。そんなコウのタイムアタックが始まるとスケボーを上手く扱い、華麗なテクニックを見せユウスケというニートよりも良い記録を出した。

 

「コウ選手のタイムはなんと、35秒ジャストです!大変素晴らしい記録です!ユウスケ選手を抜いて、今大会で現在最高の記録です!」

「まあ、こんなもんだろ」

 

俺がこの記録を抜く事が出来るのかどうか心配だが、よくやったぞコウ!これで、あのユウスケというニートに一泡吹かせてやれた筈だ。そう思い俺はユウスケの様子を見るが、

 

「へえ。俺の記録を抜いたのか。すげえなアイツ。まあ、俺は単に毎日スケボーをやっているだけで参加したのも気まぐれだし、別にいいか」

 

コイツ・・・スケボーの腕前がコイツより上でもコイツを働かせる気にさせるきっかけにはならない様だな。とにかく、絶対にコイツより先には何かしらの職業に就いてやる。

 

それから、スケボー大会は進んでいき、コウの記録を抜く者は出る事はなくついに俺の出番がきた。

 

「次が最後の方です。ラストを飾るのは・・・えっ?外国人!?いや、失礼しました!最後はルドガー・ウィル・クルスニク。ウィル選手です!」

「ルドガー選手って呼んでくれ!何で、ミドルネームの方で呼ぶんだ!」

「ええと、失礼しました。改めて紹介します。ルドガー選手です!年齢は20歳だそうです。それではルドガー選手。意気込みをどうぞ!」

「そうですね。スケボーは初めてだけど優勝目指して頑張るつもりだ!」

 

俺は自分が初心者で有る事をふまえた意気込みを聞いた司会者は、

 

「どうやら、ルドガー選手は初めてのスケボーだそうです。ですが、ルドガー選手はきっと天性のスケボーの腕前を持っている筈です!絶対に今回のスケボー大会で一番の盛り上がりを見せてくれるでしょう!」

 

何故かハードルを上げやがった。なんか、スケボー大会を見にきた観客達からも期待の眼差しを向かれているし・・・止めて、俺は確かに日本人ではないけれどさ、別にスケボー本場の国出身では無いのよ。俺はこの世界とは別次元の世界であるエレンピオス出身の人だからね。これでリョウタの様に失敗したら軽蔑の眼差しを向かれるんだろうな。まるで、借金二千万ガルドを背負った時の様にね・・・

 

「それでは、ルドガー選手。スタンバイしてください!」

 

もう、やけくそだぁー!当たって砕けろだ!俺はスケボーに片足を乗せ、地面を思い切り蹴り跳ばしてスタートした。

俺はスケボーのコースを物凄いスピードで疾走していき、水溜まりをジャンプして避ける時に華麗に二回転半をした後に着地したり、複数置かれたカラーコーンをスピードを落とさずに蛇行して避けたり、客からのジャンプしてからの縦に一回転という無茶ぶりにも答えたりしながらゴールについた。

 

「ルドガー選手。さすがです!期待通りのニューフェイスでした」

 

期待通りだぁ?他の選手とは違って、俺の時だけハードルを勝手に上げたくせにふざけた事を言うんじゃねえ!これで低い記録が出たりしたら、ただじゃすまないからな!

 

「記録はなんと、34.99秒です!優勝はルドガー選手です!」

 

優勝できたか・・・良かった。紙一重だったけれど、コウの記録を抜く事ができた。これで賞金一万円とトロフィーは俺のモノだな!

 

「それでは、優勝したルドガー選手には賞金一万円と記念トロフィーを授けます。ルドガー選手、前に来て下さい」

「はい!」

 

俺は大きな返事をして司会者の前に行き、賞金一万円とトロフィーを受け取った。これで、数日は食っていける筈だ。

 

「それでは、第1回杜宮スケボー大会を終了します。それでは、皆さんまた次回の大会でお会いしましょう!」

 

こうして、スケボー大会は終わった。

 

 

さてと、これで金は手に入った。という事で今度こそ何か食べるとしよう。そう思った俺が杜宮記念公園に有るカフェに向かおうとした時だった。

 

「いたわよ!あの人がスケボー大会の優勝者であるルドガー様よ!」

「本当だわ!ルドガー様、私達と握手して下さい!」

 

なんか、女子の大群が押し寄せてきた・・・エレンピオスにいた時と違って、モテる様になったのは正直言って嬉しいけどさ、今は異性より食を求めているんだよ、俺は!という事なので、俺は全速力で走って女子の大群から逃れる為に杜宮記念公園を出ていった。その時にリョウタという少年からは、

 

「ルドガーだっけ?あの野郎、スケボー大会で優勝したぐらいで女子にキャーキャー言われやがって!羨ましいぞ!お前なんか、スケボー大会で優勝できなかった場合はただの幸薄そうな奴じゃないか!どんだけ幸薄そうかと言うと、就職しようとしても何回も落ちまくって、やっとの事で就職出来ても痴漢と勘違いされて冤罪をかけられて仕事は当然クビにされた上に、何かしらの理由で借金を二千万ぐらい背負う程だな!」

 

と言われた気がするが、構っていたら女子に捕まるので聞かなかった事にした。ってかお前、俺の過去を見た事が有るのか?それとも、超能力者なの。どちらにしろ、的確過ぎて不気味なんですけど!?そんな事を言っていたリョウタにコウを含めたリョウタの友人は何を言ってるんだという感じの顔をしていたけどな・・・

 

 

 

何とか、杜宮記念公園を脱出した俺はまだ明るい為か一通りは少ないが、繁華街と思われる場所に来た。どうやら、先ほどの女子の大群の追っ手は来てない様だ。俺は全速力で走ったので本当に空腹が限界値に達したので、近くに有ったカフェバー《N》という店に入った。

 

「いらっしゃい。お客様はこの辺りでは見ない顔ですね。」

「ええ。ちょっと、こことは遠い場所から来たんですよ。」

「そうですか。それではお客様。ご注文は何でしょうか?」

 

俺は店主の男性に指定された席に座ってメニューに目を通した。頼む品を決めた俺は注文をする事にした。

 

「彩りタコライスでお願いします」

「ご注文を確認します。彩りタコライスですね?」

「はい」

「それでは、しばらくお待ちを」

 

俺は彩りタコライスを注文した後に、目の前に置かれたお冷やを飲み干したので、コップに新しい水を注いだ。飲み物を頼むのは、もう少しお金が有ったらの話だ。しばらくは水と食い物の確保だけを優先するつもりだ。しばらく待つと、

 

「お待たせしました。彩りタコライスです。」

 

注文した彩りタコライスがきたので口にする。俺は口にしたタコライスを何回も何回もよく噛んで飲み込んだ。しばらくは普段より噛む回数を多めにして空腹を凌ぐ事にしないとな。例え、それが行き過ぎた節約だろうと言われてもな・・・

 

 

 

腹を満たした俺は、これからどうするかを考える事にした。まず、就職しないとな。それに寝床の確保も優先だな。さすがに野宿だけは避けたいしな・・・結構、問題が山積みだが俺はこの東亰の杜宮で半年という期限付きだが、新たな人生を過ごす為に頑張る事にした。




今回は途中からギャグの方が多くなりましたが、楽しめたでしょうか?
次回はルドガーの就職先や住み込み先が決まります。
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