ディアブロ=デス
俺はオプティマスとセンチネルが戦っている橋へ駆ける。常に上に立つのは俺だ。誰でもないこのメガトロンだ。人間の女は俺に、損な役回りと言ったのだ。
だが、そんなのはどうでもいい。特に頭にきた言葉があった。
-誰もあなたに目もくれないわ。センチネルの金魚のフンよ!-
その言葉が俺の目を覚まさせた。ディセプティコンは俺のモノだ。センチネルのではない。戦利品ふぜいが調子こいたことをしたことを後悔させてやる!!
俺が駆け付けた時には、オプティマスの右腕はなくなっていた。
フザケルな! オプティマスは俺の獲物だ! 渡してなるものか!
とどめを刺そうとしたセンチネルに、フュージョンライフルを背中に撃つ。間髪入れずにもう一発。
攻撃の手を緩めない。俺はセンチネルの横腹を掴み橋にぶつける。
「ここは、俺の惑星《ほし》だ! わかったか!?」
再度センチネルを掴んだ俺は愛銃で殴り、右手で脇腹を掴んで引きちぎった。
後は、お前を倒すだけだ。我が宿敵にして、最初で最後の友よ。
痛めつけられたセンチネルはボロボロだった。
「さあ、休戦協定を結ぼう」
ゴミ同然のセンチネルを放り投げた俺は、オプティマスに向き直る。
「俺の望みはトップに返り咲くことだけだ。それにお前も。俺様がいなくては始まるまい? プラァイム」
「決着をつける時だ!」
そうか、そんなに俺が憎いか。オプティマスがフェイスマスクで口元を隠し、落ちていた斧を拾いあげる。
だが反応が一歩遅れた俺は、撃ち漏らした。
「ぐあっ!」
斧が俺のスパークがある辺りに命中した。
右腕の肩関節を殴られあらぬ方向へ曲がり、斧が修復できていない右目ごとめり込んだ。その結果、頚髄ごと頭部を引き出された。
俺様は負けたか。だが、これでいい。俺の死を持ってディセプティコンは滅ぶ。後はお前に任せよう。
オールスパークを失った俺達トランスフォーマーはそこへは還れない。無だ。完全なる無。
さらばだ。オプティマス。後は頼んだ。そして、メガトロンのスパークは闇に沈んだ。
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意識が目覚めていく。自分が何かに全身を浸されている感覚を覚える。
まるで、あの雛達が眠っている卵の中にいる感覚だ。
なんだ・・・俺はどうして生きている・・・。
最初にメガトロンが感じたのはそれだった。
思考を張り巡らせたが心辺りがない。
試しに目を開いたメガトロンは円柱状のガラスケースの中で温かいのかよくわからない液体に包まれていること。
他には、同じ様な空のケースが左右に何か所か間隔を開けて設置されてあること。大きさは大体、幼体が丁度入れる大きさだった。
なんらかの研究所であることも認識した。
ピピピピッ。シュー。
機械音が鳴り響き、中の液体が減っていった。ガラスケースも開いて外へ放り出される間隔で出た。
四つん這いになり、辺りを見回して幾つかのコンピューターが設置されているのを見た。
その時、ふとメガトロンは体に違和感を感じた。
床の冷たさを感じた。おかしい。トランスフォーマーである自分がこの程度で寒いと感じるはずがないと。
ふと、足元を見ると信じられないものが目に入った。人間の足だ。
まさかと思ったメガトロンは、手と体を見た。完全に人間の体だったのだ。
「な、んだ。これ、は!?」
自分の声もうまく発生できない上に、女のような声なのだ。
「な、ぜだ!? お、れは、に、んげ、んに、なっ、て、いる!?」
何故こうなったのかわけがわからずに、ディスプレイにあるコンピューターに目をやる。
そこから情報を得る為に起動させたら、知らない言葉が出現した。
「あ、いえす。だ、いっ、かい、も、んどぐろ、そ。ぶ、りゅんひ、るで・・・おり、む、ら、ち、ふゆ? し、のの、た、ばね、は、かせ」
それはメガトロンの知らない単語。なぜ、俺がこんなところにいるのかを知らければばらばい。
そこで、あるファイルを目にやるとこう書かれていた。
-トランスノイド開発計画-
ファイルを開くとそこに書かれていたのは、人間をトランスフォーマーにするという計画だった。
実験に成功した三人がトランスノイドにされたのだ。
しかし、実験に成功した被験者三人が謎の失踪を遂げる。
そのデータを基に、卵子にトランスミウムを植え付けた完成個体が自分だった。
それを知ったメガトロンは、右腕に嘗て使っていたデスロックピンサーを念じるとそれに右腕が変形した。
「よ、し、じょ、うじょうだ、な。あ、とは、こ、こか、ら、逃げな、け、れば」
後問題なのは自分の発生機関であった。
そんなことを考えていた時だった。
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァンッ!!
扉が突如爆発し、右腕をフュージョンキャノンに変形させるとそこから現れたのは、全身が紫の装甲で覆われた右腕が粒子波動砲に左腕にブレードが取りつけられた鎧のようなものを纏っている。その後ろからは両腕にレドーム状の円盤を両腕に取り付けた紅いバイザーの白い鎧を纏った同じようなのが現れた。
「あれあれ~、なんでこんな所に子供がいるのかなぁ~」
その後ろからは、ウサミミのカチューシャを頭につけた胸元が開いたエプロンドレスの女性が話しかけてきた。
メガトロンは、本能的にこいつは危険だと警告する。しかし、本能に逆らい右腕のフュージョンキャノンを撃とうとするが、銀色の鎧を纏った者に背負い投げされた。
「ぐうっ!!」
叩きつけられた衝撃で、気絶した。
「ありがとねぇ~。音波ちゃん。それと、いいの? 彼は君たちのご主人様かもしれないんだよ」
束は、脇腹に抱えたメガトロンに目を移す。
『大丈夫。この方は、メガトロン様はこの程度では倒れない。行くぞ、ショック・ウェーブ』
紫色の鎧を纏った者・・・ショックウェーブは静かに頷き、肯定の意を示した。
三人はその研究所を後にした。