オラリオの殺し屋   作:金魚が2匹

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短い。はじめの方の文字量は何処に行った!


六話

ヘファイトス・ファミリアの鍛冶場に案内された。ヘファイトス・ファミリアの鍛冶師達はそれぞれ専用の鍛冶場にを持っている。専用の鍛冶場を持っているのは、上に認められた鍛冶師だけだ。それ以外は、いくつかの鍛冶場をローテーションで使っているらしい。

椿さんはついこの間認められたらしく、この鍛冶場をもらった、と言っていた。客を入れるのは初めてだ、と微笑んでいた。そう言われると、なんか、特別な感じがする。私なんかで良かったのか疑問だけど、椿さんのきげんが良かったので、聞かないでおいた。

 

「どうだ?私の鍛冶場は」

 

あちこちに試作品らしい武器が置いてある。この部屋に入ってから、おかしくなりそうだ。グラグラする。そこら辺に置いてある武器でさえも、私を魅了する。全方向から魅了されてるから、気が狂いそうになる。

 

「それで?何を作って欲しいんだ?」

「え?!指定して良いんですか?!」

「当たり前だろ。どうした?鍛冶場に入ってから変だぞ……」

 

引かれていた。冷水を被せられたような気がして、興奮が収まっていった。やめて、そんなに引かないで。

 

「すいません。興奮してしまいました」

「興奮?何にだ?」

「椿さんが作った武器にです」

「おだてるのがうまいな」

「本心です」

 

この短刀のお陰でスキルまで発現したんですから。言いそうになって飲み込んだ。スキルとステータスの事は言うな、ってスーさんから言われいる。

 

「お茶でも出そう」

「ありがとうございます」

 

椿さんは奥に入っていった。

 

椿さんはここで、毎日毎日鉄やモンスターのドロップアイテムと、いい武器や防具を作るために、にらめっこしている。鉄や金属の臭いはあまり好きじゃない。だけど、この雰囲気は好きになれた。

 

 

「で、何を作ればいい?」

 

二人分の湯飲みを持ってきながら尋ねてきた。

 

「匕首をお願いします。匕首でしたらその他の事はお任せします」

 

お茶を一口飲んでから答える。

 

匕首。鍔のない短刀のことだ。どうしても鍔があると、懐に隠しにくい。これじゃあ殺しに向かないということを、最近思っていた。

 

「いいのか?想像と違ったら修正するのに時間がかかるぞ」

「それは大丈夫です。時間はあります。それに、椿さんの腕を信用していますから」

 

私がそう言うと、椿さんはフッと、不敵に笑った。

 

「プレッシャーをかけてきたな」

「本当のことですから」

 

その言葉を聞くと、椿さんの目に闘志が宿った。

 

「じゃあ、一つだけ、こっちからリクエストしてよいか?」

「なんですか?」

「今ここで、素振りをしてくれ」

「素振りですか?」

「ああ。その姿を見て完成形のイメージを決める。重心の位置、刀の具体的な長さ、使う素材なんかもそれを見てあらかた決める、だから、本気でやってくれよ」

「わかりました」

 

言われて刀を抜く。そして振るう。モンスターを倒しからだろうか、いつもより相手を殺すイメージがしやすい。

集中もはじめの頃よりは続くようになっていたから、心地よく振るえた。

 

 

振るいらがら思った。見ただけで、刀の具体的な事を決める。天才だな……。

 

 

 

 

「腕をあげたな」

 

素振りを終えて、椿さんが話しかけてきた。

これぐらいだったら息切れしなくなっていた。

 

「私が刀を使っているところを見たことありました?」

「初めてバベルであったときだ」

「あぁ、そう言えばそうでした」

 

あのときは興奮しすぎて記憶が曖昧だ。

 

「数段うまくなってる。これだけの短期間でどうやったらそこまでうまくなれるのか………」

 

その呟きには苦笑で返すしかなかった。

スーさんが言っていた。この上達の仕方は速すぎる。異常だとも言っていた。やっぱり、このスキルは凄い。

 

「私はな、誰の為にでも武器を作りたい訳じゃない」

 

ふと、椿さんが吐き出すように言った。

 

「……はい?」

「鍛冶師として、一人の職人として、自分が魂を込めて作った武器を使うのは誰でもいいって訳じゃない。贅沢に聞こえるかもしれないが、誰だって職人はそう思ってる」

 

そうも言ってられないのが現状だがな、と付け加えた。

 

「えっと、つまり………」

「お前は私に武器を使って欲しいと思わせたんだ。まだ、この世界に入って一年程度しか経ってないが、そう言う人と出会えたのは幸運だよ」

「……本当に、私で良いんですか?」

 

さっき声に出さなかった質問が今、口から出た。

 

「私より素晴らしい腕の人はたくさんいます」

「そうかも知れんな」

「じゃあだったら………」

 

私は椿さんの武器に釣り合っているのか……。

 

「そう悲観的になるな」

 

顔を見ると、椿さんは微笑んでいた。

 

「私はお前の腕にゾクゾクさせられた。鳥肌が立ったよ。これだ!と直感した」

 

私が椿さんの短刀を見て思ったように、また、椿さんも私の腕を見て同じように思った。

 

「だから、大丈夫だ。逆に、私が聞きたいよ。私の武器はあなたの腕に釣り合っているのか……ってね」

 

二人とも同時に吹き出して笑った。

二人とも同時に同じようなことを思っていた。

 

「運命の出会い、みたいですね」

「そうだな。今私も全く同じことを考えていた」

 

それから少し談笑をした。楽しかった。鍛冶師として、友人として、仲良くなれた。

 

「完成、楽しみにしてます」

「任せておけ。椿・コルブランドの名に懸けて、今打てる最高の一振りを作ろう」

 

ホントに、楽しみだ。

 

「そう言えば、名前はなんと言う?」

 

言われてまだ、自己紹介をしてないことを思い出した。

 

「ハイロ・ネックです」

 

自信を持って言えたのは多分、気のせいじゃない。

 




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