その頃シャンクス達は
---シャンクス side---
ボウン!
「カイ!ルフィ!」
煙幕が視界を塞ぎ、晴れた頃には山賊の姿がなかった
「し、しまった!油断してた!2人が!
どうしようみんな!」
「うろたえんじゃねえ!お頭
みんなで探しゃあすぐ見つかる!」
うっ、そうだよな小さな島だ
逃げるにしてもこの短時間でそう遠くへはいけないだろう
ふうっ
なんとか落ち着いてきた
普段はふざけてるルウだが、こういう時は頼りになる
よし
「何チームかに分けて探しに行ってくれ!
アイツは山賊
アジトに戻ってる可能性もあるから
山側を中心に頼む!」
「「「「「了解!」」」」」
みんな一斉に走っていった
赤ん坊の頃から知ってるカイの事だから尚更か・・・
まぁそれは俺にも言える事だが
山側はみんなに任せて大丈夫だろう
俺はどう動くか
・・・アイツは煙幕を持ち歩くような用意周到なやつだ
普段からこういう事に備えたズル賢いやつなんだろう
ん?・・・ズル賢い・・・?
俺はさっきなんて言った?
『アイツは山賊
アジトに戻ってる可能性もあるから
山側を中心に頼む!』
山賊だから山へ逃げる・・・
・・・逆に海か!?
向こうは任せてある!
俺は海だ!
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「ハァハァハァ・・・」
!・・・ビンゴだ
海に一艘だけ小船が浮いている
乗ってるのはルフィと山賊だ
カイの姿は見えないが途中で置いてきたってのはないだろう
おそらく船に乗せてる筈だ
あのタイプの人間は
人質を目的を果たす道具としか見ない
用済みになったら切り捨てる
このまま黙って見てる暇はない!
近くに船はない
泳いでいくしかないか・・・!
シャンクスは海へ飛び込み小船へと向かっていく
その時シャンクスの目に
山賊から海へ放り投げられるカイが映った
そのカイを救おうとルフィも小船から飛び込む
「くそっ!間に合ってくれ!」
シャンクスは泳ぎを速めるが2人への距離はまだ遠い
バクンッ・・・・・!!
カイ達の後方に、船ごと山賊を飲み込んだ海王類が見えた
山賊だけでは満足できないのか
そのままカイ達へ迫っていく海王類
ダメだ・・・!!
間に合わない!!
「くるなああああああああ!!!」
!!!
これは・・・覇気・・・!
覇王色の覇気か・・・!!
覇気にあてられて海王類は海中へ姿を消していく
「まずい!」
呆気に取られていたシャンクスは急いで2人を抱き上げる
「シャンクスぅぅ」
この短時間で色んな体験をしたルフィはもう泣きべそだ
カイも満身創痍で気を失っていた
「無事でよかったよ2人共・・・」
シャンクスは慰めるようにルフィの頭を撫で
岸へ向かった
---カイ side---
ガバッ
「ルフィッ!」
カイは目を覚ました途端ルフィの名を叫んだ
「あれ?ここ・・・」
起きて視界に入ってきたのはいつのも自分の部屋
部屋は暗くどうやら夜のようだ
「え?・・・どういうこと?・・・」
ガチャ
「あら?目が覚めた?」
「あ、母さん」
洗面器とタオルを手にマキノが部屋に入ってきた
そのままベッドに腰をかける
「気分はどう?まだ痛い?」
「頭がまだ少し痛いけど大丈夫」
「・・・そう」
パシッ
「つっ・・・母さん?・・・」
カイに平手をしたマキノはそのままカイを抱きしめる
「船長さんが助けてくれなかったら
あなたもルフィもきっと死んじゃってた・・・!
船長さんに抱かれたあなたを見て
母さん心臓が引き裂かれそうだった・・・!」
「ごめん・・・・ごめんなさい・・・!母さん・・・!」
「男の子なんだもの
時々ケガをするのはしょうがないわ・・・
でも命に係わるようなあぶない事はやめて」
「うん・・・わかった・・・
母さんに心配かけないように気をつける・・・
あ!そうだ
ルフィはどうしてるの?」
「ふふっルフィなら・・・ほら」
マキノの指差す隣のベッドにグッスリ寝ているルフィがいた
「・・・うーん・・・カイ・・・その肉は俺のだ・・・ぞ・・・」
「「ぷっ」」
あんな事があったのに、寝てるルフィは相変わらずで
2人は思わず拭き出した
「ふふっ・・・母さんはお店に戻るから
ゆっくりしてなさい」
「シャンクスさんは?」
「お店で船員さん達とお酒を飲んでるわ
息子の命の恩人だもの
今日はたっぷりお礼をしないとね」
そう言ってマキノは部屋を出て行く
「やっぱりちゃんとお礼しないと
お店にいるって母さん言ってたよね」
ベッドから体を起こし、カイも店に向かった
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
お店に入るともうドンチャン騒ぎだった
「おっ!英雄様がいらっしゃったぞ!」
「いやー見たかったぜ!お前の活躍!」
「ケガは平気か?無理すんじゃねえぞ?」
みんなから声をかけられどうしていいかわからないカイ
わたわたしていると副船長が見えた
カイは助けてとばかりにそばに駆け寄っていく
「よう英雄様、どうした?」
「副船長までやめてよ!すごい恥ずかしい!」
「フッすまん・・・で、どうした?」
「あ、シャンクスさんはどこにいるの?」
「お頭なら・・・ほら、あそこだ」
ベックマンの指差す先に離れたテーブルに座り一人酒を飲むシャンクスがいた
「シャンクスさん」
「おう、起きたのか、ケガはどうだ?」
「うん、まだちょっと痛いけど大丈夫」
「そうかそれはよかった
まあ掛けろよ」
カイはシャンクスの向かいに腰をかける
「あの、シャンクスさん今日は助けてくれてありがとうございました!」
「ははっそんなに畏まることないだろ?友達なんだ当たり前さ」
「友達・・・?」
「そうさ、お前もルフィも俺の大事な友達だ」
「シャンクスさ・・・」
「で、だ
前から言おうと思ってたんだが
友達の俺としては、お前に『さん』付けで呼んで欲しくないんだ
俺は友達とは対等でいたい
だからルフィみたいに『シャンクス』って呼べよ
なっ?」
「・・・
う、うん
わかったよ、シャンクスさ・・・シャンクス」
ニッと笑うとシャンクスは酒瓶を僕に差し出す
飲めって事みたい
僕、まだ子供なんだけど
でも今日はちょっとお酒を飲んでみたい気分だ
ごめん母さん
今日だけだから許してね
「・・・んくっ!?」
「どうだ?うまいか?」
「・・・ヘンな味・・・それになんかボーっとする・・・」
「ハハッ流石に早かったかな
もうそうだな、10年もすればコイツがうまいと思えるようになるさ」
「ほんとかなー?」
シャンクスは豪快に、カイはチビチビを酒を飲んでいく
「でも本当によかった・・・
今日の事もそうだけど
あの時、無人島でお前を見つけれて・・・
こうやって友達と、こんな風に酒を酌み交わす事も出来るんだからな」
そう言ってシャンクスは僕の頭を撫でる
「・・・ふっ・・・くっ・・・シャン・・・クス・・・」
「おいおい泣くな、男だろ?」
僕が泣き止むまでシャンクスは頭を撫でてくれた
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
夜が明けて、赤髪海賊団が出航の朝
今回の出航でこのフーシャ村にはもう戻ってこないらしい
今度はいつ会えるのかわからない
村人みんなが集まって見送りにきてる
「もうこの村には戻って来ないって本当?」
「ああ、随分長い拠点だったがついにお別れだな
悲しいだろ?」
「うん、悲しいけどもう連れてけなんて言わないよ
自分でなる事にしたんだ海賊は」
「お前なんかが海賊になれるか!」
「なる!!
俺はこの一味にも負けない仲間を集めて!
世界一の財宝を見つけて!
海賊王になってやる!!!」
「ほう・・・俺達を超えるのか・・・
じゃあ・・・この帽子をお前に預ける
俺の大切な帽子だ・・・いつかきっと返しにこい
立派な海賊になってな」
シャンクスはルフィに麦藁帽子をかぶせる
ルフィはもう涙でグシャグシャでシャンクスの顔をまともに見れないみたいだ
「カイ」
?
なんだろう?
「お前には・・・これだ」
シャンクスから渡されたのは、小さな剣の・・・なんだろ?
「お前は男前だからピアスを送ろうと思ってな
耳につけるアクセサリーさ
付けるのはもっと大きくなってからな
・・・お前は大事なものを守る剣のイメージだから
その剣を贈るよ
いつか大きくなって、力をもっとつけて
本物の剣で大切なものを守れ、他の誰でもないお前自身で」
!?
そう言って僕の頭を力強く撫でる
我慢してたのに、涙が止まらなくなった
これじゃ、僕もルフィの事言えないよ
「あり・・・がとう・・・!」
「それじゃ、元気でな!」
片手を振り、船に乗り込んでいくシャンクス
涙でよく見えないけど
その姿を僕は目に焼き付けておこうと思った
「錨を上げろぉ!!」
「帆をはれ!!出発だ!!!」
岸から少しずつ離れていく『レッド・フォース号』
みんなもこっちに手を振ってくれてる
「あいつらは大きくなるぜ」
「ああ、俺もそう思うよ
デカくなった2人と会うのが今から楽しみだ」
ルフィは麦藁帽子を飛ばされないように大事におさえながら
僕は貰ったピアスをぎゅっと握り締めながら
『レッド・フォース号』が見えなくなるまで手を振った
「シャンクス!ありがとう!元気で!」
裏話的な事を言うと
実は四話、五話、今回の六話は
最初、二話で分けて投稿しようかなと思ってましたが
書き進めてるうちに文字数やシーンの区切りで
三話構成になっちゃいました
文字数もバラバラだし、話のバランス取るの難しいです
酒場のシャンクスと酒を飲むシーンはこの小説を考えた時に
最初に思い浮かんだシーンです
恩人であり、友人であり、本文で語っていませんが
父親のような存在と酌み交わす酒
シャンクスとの絆みたいな感じで書きたかったです
うまく皆様にお伝えできてるか不安ですが
この先シャンクスは当分出てこないと思います(多分
もっと出したい気持ちはありますけど
一つの区切りという事で
では次の話でお会いしましょう