---カイ side---
話しかけたまでよかったけど実際なにから聞けばいいのか・・・
それにまだ母さんにも話してないことだし
できれば聞かれたくない
僕が困っているのがわかったのか
ガープさんは場所を変えよう、と外に連れ出してくれた
正直ありがたかった
母さんにはどうするのかちゃんと決めてから話したかったから
ガープさんが先頭になって歩く
後ろからでも迫力あるなぁ
そのまましばらく歩き、牧場横の風車まできたところで
立ち止まった
「ここならどうじゃ?話せそうか?」
「は、はい!ありがとうございます!」
僕は少しずつ自分の気持ちを話した
途中つっかえながらだけど今の正直な気持ちをガープさんに伝えた
「・・・なるほどのぅ
『護る為の力』・・・
確かにお主の言う通り、それには強さが必要じゃな
相手より力が無ければ護るもんも護れんからの」
「ならやっぱり・・・」
「しかしじゃ・・・
お主、それがどういう事かをちゃんと理解しておるか?」
「えっ・・・?」
「護るという事は相手を倒すという事
場合によっては殺す事もあるという事じゃ
そしてそれは自分もそうされる覚悟がなければできん
お主、自分が殺される覚悟はあるか?
それがないのであれば、悪い事は言わん
逃げる事じゃ」
「!?」
母さんやルフィ、大事な人を護りたい・・・それだけ考えてた
相手を殺すなんてこと考えもしなかった
そして、自分が殺されるってことも・・・
「ワシは海軍の海兵じゃ
無論、お主の求める強さを持っておるし
お主を鍛え、その強さを与える事もできる
じゃが・・・
海兵になるという事は
その覚悟を持ってもらわなければならん」
「・・・・・・・」
僕はなにも話せなかった
話したいこと、聞きたいこともある
だけど言葉が出てこない
色んな気持ちが出てきて、ちゃんと考えられない
「強さは後からでも身に付けられるが
覚悟は年をとれば出来るというものじゃない
お主の心の強さで決まる」
「・・・・・・・」
「海兵になるのであれば、求める強さを与えよう
ただし、覚悟ができておればじゃ
お主はまだ幼い、時間は充分にある
よく考える事じゃ、その覚悟を持てるのかどうか・・・
ワシは孫の様子を見にまた島に来る
その時にでもまた話そう
・・・そうじゃ
体は鍛えておいた方がいいぞ?
どの選択をしても損する事はあるまい」
ガープさんはそう言って、お店に歩いていく
僕はその場から動けず、そのまま見送ることしかできなかった
---ガープ side---
大分ショックだったようじゃ
護りたいという一心だけでおったのじゃろう
じゃがワシが話した事は決して大袈裟な事ではない
半端な覚悟、強さはいつか己を殺す
躊躇した分だけ自分の命を危険に晒すんじゃ
ワシとて覚悟のない者を戦場に出し死なせたくはない
「お待たせしました」
「おお、すまんな」
心の強さは誰かに鍛えてもらえる訳ではないからの
こればかりは自らで高めるしかない
願わくばその覚悟を持ち、海軍に志願してくくればええが
それにあやつが海軍に来れば
ルフィにもいい刺激になるに違いない
あわよくば
それでルフィも海兵になりたいと思ってくれれば
御の字なんじゃがな
「ほう・・・!
なかなかの味じゃな」
「ふふっありがとうございます」
「あの子は、お主の息子か?」
「はい、あの子がなにか・・・?
さっきお話されてたようですけど・・・」
「真っ直ぐな子じゃな
それに他者を思いやる優しさもある・・・
いずれ誰もが通る道じゃが
自分がどう進むべきかいろいろ考えておるようじゃ
母親のお主がしっかり支えてやってくれ
時がくればお主に話すじゃろう」
「・・・・・・・」
どうやら母親のほうも思うところがあるようじゃな
これから先はワシが話す訳にはいかん
あやつ本人が語るべき事
次に会えた時
あやつがどんな選択をするのか
今から楽しみじゃわい
---カイ side---
僕はガープさんを見送った後
いつか行った海が見える崖に来ていた
昔からなにか考え事があったりする時は
ここに来るのがクセになってたりする
『護るという事は相手を倒すという事
場合によっては殺す事もあるという事じゃ
そしてそれは自分もそうされる覚悟がなければできん』
ガープさんに付き付けられた言葉
僕にずっと重く圧し掛かってる
相手を殺さなくても護れるんじゃないかな?
そう考え、気持ちを楽にしようとする
・・・そんなわけないよ
ずっと海軍で戦ってきた人が言うんだ
ダメだ考えがループしてる
きっと殺したり殺されたりって考えるのが怖いんだ
そうか、これが覚悟を決めるってこと
ガープさんは言ってた
心の強さは誰かに鍛えてもらえるものじゃないって
シャンクスも言ってたじゃないか
『お前自身の力で大切なものを守れ』
そう、これは僕が自分で決めないといけない覚悟
年は関係ないってガープさんは言ってた
だけど今すぐは無理だよ
でも乗り越えてみせる
それが母さんや大事な人を護るのに必要だっていうなら
きっとその覚悟ってやつを決めてやる
僕は・・・いや、『俺』はそう心に誓った
カイにとってターニングポイントになる話だったので
すごく時間がかかりました
書いては消し、書いてはまた消しの繰り返しで
読み返したらまた修正しそうで怖いですw
カイの一人称を『僕』から『俺』に変更しました
カイなりの覚悟を決め始めたってところでしょうか
また次話でお会いしましょう