私立グリモワール魔法学園~Another story   作:風飛の丘

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独自解釈、独自設定により原作を大切にされている方はご遠慮下さい。主人公はオリ主 不定期投稿
各専門用語については後書きにて補足
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。

いつもより少し長めの文章になっています。
また、グリモアのメインストリートから外れ色々と試して行きたいです。





グリモア 第10話 学園生活3

授業が終わり、今日の放課後はいつもの訓練を休みにして図書館に来ていた。

目的は、バスターカノンの具現化だ。今だ、半分も具現化が出来ない状態で、資料や教本で参考になる物が無いか? 探して見るつもりだった。

 

しかし広い! 街にある図書館の50倍以上はあるのではないかと思ぐらい広かった。本をまとめて借りれる様に簡易の移動車両まである。

 

目当ての物を探しに、魔法学系の場所に行ってみると髪がすごく長く、おさげにしている女の子が重そうな本を何冊も運んでいた。

 

あれ? うちのクラスの子? みたいだけど…… 名前が思い出せない……

あまり活発ではなく、物静かなイメージがあるだけだが……

 

どうやら、本を棚に戻している所みたいだった。

上の棚に本を戻す為、彼女は階段式の踏み台に上がり戻そうとするが、分厚い本が何冊もありバランスを崩して踏み台から落ちてしまう。

 

「危ない!」

 

咄嗟に駆け寄り、落ちて来た彼女を受けとめる。

 

高さがあり、相当の衝撃もあったが無事で良かった……

しかし、受け止めた姿勢がお姫様抱っこの為、彼女の顔が近い! 彼女は受け止めた時の衝撃で、どうやら気を失っているようだ……

 

魔が差してキスでもしようなら、懲罰房行き確定だな。

しかも教室では気がつかなかったけど、改めて見ると可愛い子だな……

 

「う、うーん」

小さな声が聞こえる。どうやら彼女は目を覚ました様だ。

 

まだ、焦点が合ってない様子で彼女は言う。

 

「……王子様?」

 

「え? 私どうして男の人に抱っこされているの?」

「きゃっぁあ!! そこを揉まないで下さい!」

受け止めた時に、手が彼女の胸を掴んでしまったらしい…… 気がつかなかった。

 

「ごめん……」

すぐに謝り胸から手を離し、そっと彼女を降ろしてあげる。

 

彼女は顔を赤らめて、こちらを見ている。

 

「……あ! すみませんでした。私、あそこから落ちて…… 受け止めて頂いてありがとうございます」

彼女は頭を下げて礼をする。

 

「あの…… 勘違いして、す、すみませんでした! 助けてくれてありがとうございます」

 

「こっちこそ、ごめん…… 胸を掴んでしまって…… でもわざとじゃないんだ」

 

「気にしないで下さい! 偶然だったと思いますから…… それに大した胸でもないですし……」

 

彼女は照れながら、落ちた本を拾い始めたので自分も拾うのを手伝う事にした。

全部拾った所で、彼女は思い出した様に自分の名前を告げる。

「私は霧塚萌木です。ここの図書委員してます」

「同じクラスの転校生さん…… 来栖君ですよね?」

彼女の方は名前を知っていたようだ。

 

「うん、来栖銀河です。よろしく」

 

「私、こんなんだからクラスでも目立ってないでしょ? 」といいながら彼女は笑う。

 

名前も知らなかったとは言えず、物静かだよねと誤魔化す。

「来栖さんは今日は何か? お探しでした?」

 

「魔法の具現化についての本を探しに来たんだ」

 

「助けてくれて、何も出来ないのもあれなので、一緒に探します! 図書委員ですし!」

 

俺は頷き、一緒に捜すことにした。

 

確かこの辺に…… と言いながら一生懸命に探してくれる。

「あれ? こんな所に背表紙が立派な本あったかな?」

確かに他の本とは違い、古そうだが高級感のある本が一冊あった。

 

何気に手に取り開いて見ると、急に本から光りがあふれ出て、辺り一面が強い光で包まれる!

 

眩しい、何も見えないぞ!

 

光りが徐々に薄くなって行くにつれ、段々と目も慣れてきた。

 

「え? ここはどこだ!」

さっきまで図書館にいたはずが、今は薄暗い洞窟の中?にいる…… どういうことだ。

 

隣を見ると

「どうして…… こんな……」萌木も驚いている。

 

先程の光りは何だったんだろう? あれが原因なのか?

夢ではないようだが…… 明らかに現実感があり過ぎるし、萌木も居るので夢では無いはず。訳が分からない。

 

「うーん さっきの本、もしかして禁書だったのかも……」萌木は自分の仮説を口にする。

 

詳しく話を聞くと図書館には立ち入り禁止区間があって、正当な手続きを得て初めて読める(禁書)があるらしい。

禁書は解読不可能だったり、呪いの魔法や人に害を為す魔法など様々な物があるらしい。

 

本来はしっかり管理されているのだが、何かの拍子に通常の本に紛れてしまった可能性が高いと萌木は言う。

 

「しかし困ったなぁ~ 取り敢えず出口を探そう」

 

念の為、戦闘服に身を包み奥に進む事にする。

萌木も同じく、戦闘服を身に纏う。

 

その姿は水色のドレス風で、お姫様の様な印象を受ける。

 

そうだ! デバイスは? 確認して見ると電波無し、GPS機能も作動しない。完全にお手上げだった。

 

次いでに、萌木のデータを確認してみる。

15歳 身長154㎝ 体重45㎏ B77 W54 H78 趣味 読書 特技 言語学

本当に図書委員が似合っている少女だった。

 

□□□

洞窟奥

 

洞窟自体は薄明るく、ライトなどは不要で進む事ができた。洞窟は、どんどん下の方へ下がって進んでいる様な気がする。

 

どこまで進めばよいのか…… 戻る訳にも行かないし。

 

その時、前方で何が動いている。酷く不気味な感じを受けた。

霧の魔物? 人型には近いが獣の様に、手足を地面につけて歩いて来る! 顔は能面だが目も口もある。

 

「あ、あれは! ブルイヤール・ドゥです! 魔物の原種と言われていて、恐ろしく強いです」

 

「逃げないと……」

萌木はかなり怯えいる。しかし逃げると言ってもどこへ…… ここで倒すしかない!

 

「ここで迎撃する! 萌木は戦える?」

 

「無理です…… ごめんなさい、動けないです」

どうやら恐怖で上手く動けないようだった。

 

「そこに居て、動かないで!」

 

迎撃する為、グラビティシェルを展開する!

続けて直ぐに撃てるように、バスターカノンも準備する!

ブルイヤールはこちらに気づき、真っ直ぐ向かって来た。

 

先手必勝!

グラビティシェル3個をコントロールして、ブルイヤールに向け放つ! 全弾命中、約3秒の行動停止だ。

 

その隙に、バスターカノンで狙い撃つ! 黒い球体が魔物を空間ごと削り呑み込む。

不気味なヤツだったが倒す事が出来た。

 

「す、すごいです! 一撃でブルイヤールを倒すなんて……」

萌木に誉められて少し照れる。

 

やっと誰かを守れる力を手に入れた。そんな実感を得る事が出来た。

 

「大丈夫? 立てるかな?」

 

「こ、腰が抜けて無理です…… ごめんなさい」

 

まだ、先はあるみたいだから抱っこして運ぶよ。

そういって、萌木をお姫様抱っこして移動開始する。

 

「え? お姫様抱っこ……!」

 

最初は照れて、顔を真っ赤にしていた萌木だったが時間が経つにつれて、色々な話をしてくれた。

絵本が好き、ハッピーエンドな物語が好き、王子様に憧れているなど色々とだ。

 

枝別れた道を進み、何度か行き止まりに当たるが、何とか奥まで来た感じがする。

 

前方から明かりが見えて来る。

 

「もう歩けるので大丈夫です。降ろして下さい」

「重くてすみませんでした…… 平気ですか?」

身体強化されているから平気だし、重くも無いよ! と答える。

 

「注意して、この先、何が出るか分からない」

慎重に進んで行くと家が見える? 見張り台らしき物も見えた。何で、こんな所に集落が……

 

「もしかして! あれは魔法使いの村かも? 行って見ましょう」

萌木は、急に元気になり駆け出して行く。

自分も駆出し、追い付くと萌木が村の入口で止まっていた。

 

「誰か居ます……」

でもそんなはずは無いと萌木は言う。

魔法使いの村は、霧の魔物が現れた初期の時代に作られ、300年前には各地に存在していた。

当時は地獄から魔物はやって来ると信じられ、作られた防御拠点らしい。

それが今も人が居るとは、信じられないと。

 

「幽霊でしょうか?」

 

もう少し近づいて、見ないと分からないな……

 

意を決して慎重に進む事にする。

近づいて行くと沢山の人が見えるが…… 透けて見える?

 

やはり萌木が言う通り幽霊? それとも魔物か?

 

さらに目を凝らして見ると…… 映像の様にも見える。

この集落一帯が、何かで写し出されているような感じを受ける。

 

「まるで音声が無い記録映像みたいですね。建物は実物見たいですが……」

 

魔法使い達は、急に慌ただしく動き始めた。村の奥の方に人が移動して行く。

 

自分達もその後を追って行く。

すると村の奥側からブルイヤールが5体ほど現れ、魔法使い達と戦っている。

稲妻・炎・雪など沢山の魔法が、魔物に飛んで行き倒していくが、次から次と奥の方から魔物が涌き出て来る!

 

魔法使い達も頑張っているが、魔力は無限では無い……徐々に押され始め、殺される人も出てくる。

 

「く! 見てはいられない!」

助けたいがどうにもならない、目の前の出来事はあくまで幻なのだから……

 

「一体何なんだ! ここは!!」

 

その瞬間、奥の方から急に光りが広がり図書館の時と同じく、辺り一面が光りで包まれる。

 

……目を開けると図書館にいた。しかも、先程の場所だ。

 

隣には、萌木もいる。

 

「今のは…… 夢なのか?」

 

「私も見ましたから夢では無いと思います……」

 

時計を見ると、ここに来た時間と同じだ……

「あの本はどこにある?」

 

2人で探して見るが見つからなかった。

 

役目を果たして消えた? 過去を見せる本?

昔の出来事を見せて何をしろと…… 全く分からなかった。それとも、あの洞窟に何かあるのか?

 

 

□□□

図書館の中庭

 

一旦、気持ちを落ち着かせる為に、萌木を連れ図書館の外にあるテラスへ移動する。

近くにあった自動販売機で、自分のコーヒーと萌木に紅茶を買う。

「こんな物でよければ、どうぞ」萌木に渡す。

 

ベンチに座り、2人で先程の出来について話し合うが、やはり分からない事ばかりだった。

その中で、決めた事は2つ。この事は2人だけの秘密にする事と、本がもし見つかったら開かず自分を呼ぶと言う事だけだった。

 

「この後、どうする?」と萌木に聞いてみる。

 

「そうですね。色々な事があり、少し疲れちゃいました」

「もう少し2人で、このままと言うのはダメですか? 私なんかと居ても楽しく無いと思いますが……」

 

そんな事はない事を伝え、気分転換に図書館の中庭を2人で散歩することにした。

 

夕暮れ前で少し冷たい風が吹く、彼女の長い髪が風で流されていく様がとても綺麗だと思った。

 

萌木は自分の事を大したこと無いと言うが、十分に可愛いと思っている。

控え目で物知りで、本が大好きな純粋な少女。

 

「どうしたんですか? ずっと見られていると恥ずかしいです。な、なにか変ですか?」

 

いつの間にか? ずっと顔を見ていたようだった。

慌てて、目を反らし思わず声にしてしまう。

 

「可愛いなと……」

 

あ!と思ったがすでに言ってしまった後だ……

 

萌木は顔を真っ赤にして

「そ、そ、そんなこと無いです…… でも嬉しいです。 そんな事、言われたの初めてですし……」

 

その後、2人とも気まずくなり黙って一緒に歩き続けた。

 

いつの間にか日が落ち、辺りは暗くなって来ていた。

「そろそろ帰ろうか」

 

「あ、 はい、もう暗くなって来ましたね」

「今日は、不思議は出来事がありましたけど来栖君と知り合えて、凄く時間がたつのが早かったです」

萌木は笑顔で言ってくれる。

 

「自分も凄く楽しかったよ」

また一緒に話をしようと誘う。

 

萌木も嬉しそうに、頷き約束する。

「また、絶対にですよ」

 

明るい光りが照らす図書館に向かいながら2人は並び、歩き始める。

 

END

 




いつもお読み頂きありがとう御座います。

話の最後に少しだけ自分なりのお試しを入れています。
いつか全部、恋愛物を話を書けたらいいなと思っていますので練習中です。

また、図書館の本を通してクロスオーバー、オリジナルの別な世界なども書けたら!とも思っています。
前書きで書いてありますがグリモアのメインストリートから外れ色々試して行きたいです。

2016/10/27 一部修正完了済み

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