私立グリモワール魔法学園~Another story 作:風飛の丘
各専門用語については後書きにて補足
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。
第7次侵攻編 後編です
「少年、これから魔物を討伐するついでに特訓じゃ」
「え? 特訓ですか」
「そうじゃ、色々教えてきたが最後の特訓じゃな。バスターカノンの具現化はもう出来るな?」
「はい、3回に1回ぐらいは上手く出来ない事がありますが可能です」
図書館の出来事でグラビティシェルの個数が増えたのと、バスターカノンの具現化が格段に出来るようになっていた。
「なら問題なかろう」
師匠の説明によると、バスターカノンを具現化する事で、魔力を最大限に使っても壊れない銃を作る。膨大な魔力量を利用して、広範囲の敵に有効な魔法を撃てるように訓練するらしい。
「前線近くじゃ、魔物は沢山おるぞ! しかもこの辺りは妾たちしかおらんから安心して、特訓が出来ると言う訳じゃ」
「では始めるぞ!」
「まずはバスターカノンを具現化して魔力を注ぎ続けるのじゃ、銃の先端に魔力を貯める感じでだ」
師匠に言われた通り、魔力を注ぎ続けながら先端に魔力を集める。
「そこじゃ! グラビディシェルと同じく、銃の先端に球体を作りそれをどんどん大きくするんじゃ」
さらに言われた通りに魔力を注ぎ球体を作り、どんどん大きくする。2メートルぐらい大きくなって来た所で、撃ってと言われ撃つ!
球体が飛んで行き、太い木に当たり空間こど削り取る。
「おお! 少年やるではないか1回で出来よるとは」
「まぁ、今までの応用じゃから出来て当然じゃがな」
せっかく褒められと思ったら…… 落とされた……
「次じゃ、バスターカノンの空間を削り取る力とシェルの制御する力。少年の得意な魔力供給と魔力量これらを全部使うぞ」
さらに詳しい説明を受ける。バスターカノンの削り取る力の威力を上げて、すべての物体を飲み込むようにする。球体がさらに大きくなるので、細かなコントロールは不要。指定した場所に飛べば問題ないらしい。
さらに膨大な魔力を供給しながら、球体をコントロールする。
そして、完成するのは巨大なブラックホール!
魔物をブラックホールの中に取り込み、霧になって移動させないようにする。上手く行けば、2度と魔物はこの世界に現れないと言う。
「もしかしたら、地球上から魔物を排除できるんですか?」
「少年、頼んだぞ! この魔法が完成すればこの世界から魔物が消え、安全で平和な世界になる! 皆が笑って過ごせる日がくるのじゃ」
以前、師匠や宍戸さんに言われて気がする…… 世界を守れる力、変える力があると……
あの時は漠然としか考えなかったけど、今なら出来る気がする。
皆が幸せになれるように、この魔法を完成させる!
「さて、問題は魔力を注ぎ続け、球体を大きくする時間じゃな。どれぐらいかかるものか……」
「よし実践じゃ! 魔物が近寄って来ない様に妾が時間を稼ぐ! その間、少年は魔力を注ぎ続けてみるんじゃ 」
師匠に守られながら、球体を前方に放ちつつ大きくしていき、魔物を数体ほど吸い込む事に成功する。
何度か練習して分かったのは、球体を大きくする時間がもの凄くかかるのと、魔力を注ぎ込んでいる間は何も出来ないと事だ。
「少年、これで終わりじゃ! 形にはなってきたようじゃな、後は人目につかぬように隠れて練習じゃ」
「絶対に見つかるな! 見つかれば敵対勢力に、確実に狙われるぞ!」
「妾は一旦、学園本部へ戻り戦局を確認してくる」
「少年はとうじゃ、一緒に来るか?」
どうするか少し悩んだが、苦戦している所の支援に行くことにした。
□□□
防衛線付近
防衛線近くまで戻り、1番近くのチームの支援に走り出す。
通常、十人一組で魔物と戦っているが、状況に応じて少ない人数で戦う事もある。またそれが上位の魔法使いなら単独で戦えるようだ。
今、目の前で戦っているのは野薔姫のチーム、3人1チームで魔物と戦っている。
特級区でタイコンデロガとも戦った事があるらしいので、実力とコンビネーションは相当高いはずたが…… 急いで駆け寄り姫、自由、刀子の3人にそれぞれ魔力を供給する。
相手は下級の魔物で、魔力も回復し危なげなく魔物を倒していった。
「大丈夫みたいだね?」
「銀河さん、助かりましたわ。魔物自体は強く無いのですが…… 次から次へと押し寄せて来るのでいい加減にして欲しいと思っていましたわ」
「はぁ…… この戦いいつまで続くのかしら……」
確かに終わりが見えない戦いでは精神的に消耗が速い。
「は! い、いけませんわ! 軍はもっと長い間、戦い続けているというのに!」
「軍部の長たる野薔薇が、こんな弱音を吐いてはいけませんわ」
やはり姫は精神的にも疲れているようだ…… 刀子も自由も同じ様な感じだな……
「ですが…… ものには、限度というものがあるでしょうに……」
「姫の言う通り、倒しても倒しても切りが無いのも本当だよね。一向に減った気がしない」
「でも、あまり無理はしない方が良いよ」
「ですが…… ここで頑張って魔物を倒さないと終わりませんわ」
姫の頑張ろうとする気持ちも分かるが敢えて言う。
例えば、姫が無理をして大怪我を負ったとする。
それが命に別状がなくとしても、この戦いでは戦力はマイナス1になる。
復帰できない怪我を負うのは、死ぬと一緒だってことだ。たけど今日を休んで、体力・魔力が回復する。明日には復帰できるなら違うだろう?
魔法使いは、ただでさえ数が少ない。1人ダメになった時の影響は大きい事を教える。
「本気でやばくなったら、休んでいる時も引っ叩かれても連れていかれる。無理はその時にすればいい」
「……確かに銀河さんの言う通りですわ。もっと物事を大局に見なければ行けませんわね」
「うん、分かってくれたならそれでいいよ」
「……では、あちらの危険そうな魔物を倒してから休むとしますわ」
姫に言われ、前方を見ると確かに通常の魔物とは違う雰囲気を感じる魔物が近づいて来る。
緊張した様子で自由が魔物を姿を見ている。
「ちょっとやばい感じっすね」
「あれ、ガロトン亜種っす。ネット見たことある…… タイコンデロガに近い強さらしいっすよ」
姫も注意深く魔物を見つめる。
「不気味ですわね。エラなのか耳なのか分からないてすけど形は人型ですわ! 腕が太く四つん這いで動いています……」
薙刀を構え臨戦体勢をとる。刀子も険しい顔をしていた。
「ーーッ 速い!」
四つん這いの人型ガロトン亜種は、こちらを見つけると物凄い速度で迫って来る!
「姫殿、お下がり下さい! 拙者が引き受けます」
刀子が叫ぶと同時に、もう魔物が距離を詰め襲って来た。
動きが速く、魔法での援護が難しい状態だ。無理して攻撃すると刀子に魔法が当たるかもしれない。
魔法を放つタイミングをつかもうとしている内に、刀子は攻撃を受け次第に傷ついていく。
姫もいつでも魔法を撃てるように準備しているが、やはりタイミングがつかめないでいるようだ。
「刀子、下がりなさい! 魔法を撃ちますわ」
刀子も聞こえいるようだが、ギリギリで攻撃を捌いている為に離れられないでいるようだ。
姫は中距離魔法を諦め、薔薇の鞭で攻撃しようと近付くとこうとすると魔物は急に刀子への攻撃を止め、物凄い速度で姫に向かって行く!
自由が慌てて叫ぶ!
「やばいっす! 先輩、お嬢が!」
「ーー間に合うか!」
全力で走る。その間にも姫の鞭をかわしながら魔物は姫に近づていく。
「これで、どうですか!」
姫は薔薇の鞭で連撃するが、魔物は跳躍することで鞭を回避し、そのままの姫に飛びかかっていく。
「ドガッ!」
姫と魔物の間に飛び込んだのはいいが、魔物の振りかぶった腕の攻撃を受け吹き飛ばされしまう。そのまま近くの木に叩きつけられる!
「銀河さん! 大丈夫ですか?」
「お嬢! 今は魔物を!」
自由は紫色の薔薇を大量に作り出し姫と魔物の間に、薔薇の障壁を作る。
「とりゃー!」
それと同時に、刀子が魔物の後ろから薙刀で攻撃し、魔物の動きを制限させる。
「ぐぅっ…… 許しません!」
姫はその隙に距離をとり、赤・白の薔薇が飛び交う竜巻の魔法を放ち、魔物を竜巻の中に閉じ込める!
「刀子、自由、今ですわ!」
「承知!」
刀子は薙刀に魔力を集め一閃! 斬撃を魔物に叩きつける!
「了解っす!」
自由は雷の魔法で、魔物の頭上から稲妻を落とす!
「逃がしませんわ!」
姫はさらに魔力を込め、薔薇の竜巻を威力を上げ魔物を切り裂いて遂には倒す!
姫は魔物が霧散するのを確認すると……
「銀河さん!」
急いで、倒れている場所に駆けつける。
「銀河さん、大丈夫ですか?」
「刀子は周囲の警戒を! 自由は本部に戻り急いで回復班を連れてきなさい!」
微睡みの中、薔薇の香りが鼻孔をくすぐる。
暖かくて柔らかい感触……
徐々に意識が戻るにつれて、痛みが襲ってくる。
「ーーッ」
痛みと共に徐々に、意識がはっきりとして来た。
状況を確認しようとする……
何故、姫に膝枕されているのだろうか?
しかも、うつ伏せ状態で、膝と膝の間に顔を埋め、両手は姫のお尻をつかんでいた……
「銀河さん、目を覚ましましたか? 安心しましたわ」
「それで…… 特に問題がなければ…… あの掴まないで欲しいのですが……」
「ごめん……」
まだ起き上げれないので、仰向けになりながら状況を聞く。
魔物は倒し、気を失った自分は姫に介護してもらっていたが、痛みなのか? 寝相が悪いか? 膝枕されながら色々と動き回っていたらしい。その時にお尻を掴んだり撫でたり膝の間に顔を埋めたりと……
「どうも…… すみません……」
「し、しかたが無いですわ。それに助けてもらった事ですし……」
「でもよく生きてましたわね? 魔法障壁は使えないのでしょ?」
「それはこれだよ」
服の中から小型の機械を出す。入学した時に支給された自動魔法障壁を生成する機械『ガジェット』だった。
1回だけしか使えず、しかも恐ろしく値段がすると言われ1度も使った事が無かった。
「それがあるから? 飛び込んで来たのですか?」
「いや、完全に忘れたよ。それにそんな考える余裕もなかったし」
「……死んだらどうするのですか? あなたの力はこの世界には必要なのですよ!」
反論は出来ず、姫に説教を受けながら自由が回復班を連れて来るのを待つ。
「お嬢~ 連れてきたっす!」
遠くから自由の声が聞こえて来た……
□□□
防衛線本部
その後、回復班が助けに来てくれて治療を受ける。軽い打撲と切り傷ぐらいだった為、直ぐに動けるようになっていた。
会長から「一度、本部へ戻れ」と伝言を受け、本部へ戻って来ていた。
本部へ戻る途中、烈火の如く師匠に怒られたが……
最後には泣かれてしまった…… もっと命を大事にしろと……
この戦いの後に、様々な人から説教されるとはこの時は思いもよらなかった。
司令室まで来ると、みんな忙がしく動き回っている。
会長がこちらを見つけ
「無事で戻って来たな! その様子では問題無さそうだな」
「はい、おかげ様で何とか動けます」
「呼び戻した理由は、そろそろ侵攻が終わるかも知れん」
「魔物の数が大幅に減って来ている」
「それで現在、情報班に確認してもらっている所だ」
「やっと終わるんですね」
「そうだと良いな」
会長のデバイスが鳴る!データを確認した会長は言う。
「終わったぞ!」
その後、会長から全生徒へ通達!
「第7次侵攻は終わった! 我々の勝利だ~」
第7次侵攻での学園生徒被害、死者0名 重軽傷ほぼ全員
END
いつもお読みいただきありがとうございます。
活動コメントにも記載していますが年末年始で投稿が遅れています。
2016/10/30 一部修正完了済み
用語説明
霧の守り手
国際的な反魔法団体で霧の魔物は進化を促し、魔法使いは進化を否定している。魔物が消えれば魔法使いが人類を支配する時代が来ると言う思想の元に活動している。