私立グリモワール魔法学園~Another story 作:風飛の丘
各専門用語については後書きにて補足
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。
時間が取れず、遅れて掲載しておりますm(__)m
最近、クエストの受ける頻度が高くなって来ている気がする…… しかも専ら、ご指名が多い状況だった。
そして今日のクエストもご指名…… 今回の討伐対象より一緒に行く彼女が気になる…… ある意味、無事に帰れるかが心配だ。
校門の前で待っていると、彼女がやって来た。
「やあ、やっと君と一緒にクエストに出る事が出来たよ」
報道部部長の遊佐鳴子さんだ。
17歳 身長168㎝ 体重56㎏ B88 W56 H87
趣味 ハッキング 特技 クラッキング
細身の体型にショートカット、しかも美人で17歳とは思えない洞察力がある。
クエスト中に、交遊関係など根掘り葉掘り聞かれ、次の日には学園新聞に載っている! とかは本気で勘弁して欲しい……
「君の体質は、たいそう重宝さてれているようだ。順番待ちが長くてね。苦労したよ」
「だが、どうも人気の理由はそれだけじゃないらしいけど、色々と考えて…… あれだね」
「1人の男子に女子が、これだけ群がるのとは考え難いからね」
どういう意味なんだろう?
「そして、虎千代までが君を評価するとなると…… 報道部部長として、俄然興味をそそられる訳さ!」
「今回のクエストも実に僕好みだ! まさに一石二鳥という事だね」
「取材は道中おこなうとして、クエストの確認をしようじゃないか」
やっぱり取材はあるのか……
クエストの内容はデバイスに記載してあるが、遊佐さんが独自の情報を教えてくれる。
「ここ最近、森の外れから赤ん坊の泣き声が聞こえてくるって噂があってね」
「どうも調べたところ、いるはずのない赤ん坊がいるらしい」
「僕も興味があって調べたら…… どうやら幽霊の類だ」
「そう…… 今回はお化け退治だよ!」
□□□
森の中
魔物が現れた付近を捜索している途中に、遊佐さんが今回の赤ん坊の件を教えてくれる。
「事の発端はこうだ! 大昔、この辺りには山神様を信奉する村があった」
「その山神様の怒りとして、土砂崩れや川の氾濫、はたまた悪天候などが山神様の力として、信じられていたみたいだ」
「それでも村人は、山の恵みと一緒に共存していた…… ある年、山での災害が多くあり、村人たちは山神様の怒りに触れた思い…… 生贄を捧げる事にしたらしい」
「山神様と言っても、どうやら大きな白い狼でね…… 柔らかい肉として…… そう、あるものを捧げていたらしい」
「災害が多くある年には、必ずね……」
「それ以来、この地域には犠牲になった赤ん坊たちの霊が彷徨い出て……」
「こう尋ねるんだ! あたなを食べさせて…… って!」
「……おい、転校生君! 君の後ろ……」
「後ろに来ているぞ!」
後ろを恐る恐る振り向くと…… 3メートルぐらいの大きな赤ん坊が四つん這いで、迫って来ていた!
「!!」
驚き慌てて、遊佐さんに抱きついてしまう!
しかも胸の谷間に顔を埋めるような形で…… 両腕は細身の体をしっかり抱きしめていた。
服の上からだが、しっかりとした胸のボリューム感が顔に伝わって来る。
「おいおい! 何をそんなにビックリしているんだい?」
「しかも、この体勢では僕も君も戦えないじゃないか!それとも実はわざとかい?」
「君がそんな大胆だとは思わなかったよ」
「す、すみません」
遊佐さんの胸から顔を離し、抱きしめていた両腕をほどく。
「では、さっそく退治しようじゃないか!」
遊佐さんが手をかざすと、稲妻が迸り赤ん坊型の魔物を一撃で消し去る!
「……」
魔法で倒せた?
「いや~、見事なタイミングで魔物が現れたものだね」
赤ん坊が消え去ったのを見て聞いてみる。
「幽霊には、魔法が効くんですか?」
「……もちろん魔法は効くさ。魔物だからね」
「魔物……?」
「しかし今回は赤ん坊だってさ! ふふ、魔物の生態も驚きに満ちてるね~」
「あれは? 本当に魔物なんですか?」
「……? ああ、魔物だよ? まさかあの話を信じた訳じゃないだろう?」
「え? 幽霊の類いだって……」
「……あれ? ……クッ ……あっはははははは! ごめん、ごめん謝るよ」
「怪談話だよ! 全部、僕の作り話だ! 山神様に赤ん坊を食べさせた事実なんかはない」
「ここに村があったとか、そいうのも知らないし」
「君も見ただろう? 魔物が霧散していくのを」
「確かに見ました……」
騙されたのか…… 本気で信じていたのに……
それから残りの個体を探す為、引続き森の中を探索する事になった。
「ずっと緊張してても仕方がない、雑談でもしようか?」
「君が誰を好きなのか? 凄く興味があるんだけどね」
「それを聞いて記事にするのは、やめて欲しいんですけど……」
「大丈夫だよ、そんな事はしないよ。個人的な興味だよ」
「教えません!」
「なるほど、教えないと言う事は好きな子はいると言う事だね!」
「あ!」
「あはははは、君は本当に面白い人だ」
「からかうのも、ここまでにして……」
「本題は、なぜ? 魔物は赤ん坊を選んだろう」
「どうして、ですかね?」
「赤ん坊は大人の保護下にある。人間に守って欲しからか? それとも……」
「おっと!お出ましだ」
森の開けた場所に、赤ん坊の魔物が2体、そして5メートル位の二足歩行の人型もいるが…… 姿が異常だ……
なぜ、もう1体の魔物は母親の姿をしているんだ……
右手に包丁、左手には鍋の蓋を持っている。そして、鎧ではなくエプロンを装備している…… 意味が分からない!
遊佐さんもかなり驚いているようだが……
「興味深いな、人型でしかも母親の姿をしているとは…… 貴重な存在だ」
「母親に勝るものなし! って事ですか!! あり得ないですけど」
思わず突っ込みを入れてしまった。
「ともかく、我々の任務は討伐だ」
「先に赤ん坊型を倒して、それから母親型を倒そう」
2体いる赤ん坊型を遊佐さんの雷の魔法で、もう1体はバスターカンノの砲撃で消滅させる。
「残りは母親型だけど、多分タイコンデロガ級に間違い無いだろう、赤ん坊を守れる強さとなればね」
遊佐さんは、赤ん坊型を倒した時と同じく雷の魔法で攻撃するが、鍋の蓋で簡単に弾かれてしまった!
しかも代わりに包丁を振り回して攻撃をしてくる。
動き自体は遅いが攻撃力は高い! 簡単に近くにあった太い木を切り裂く。
「やはり予想通り強い! ここは一気に倒さないと厄介だ! 転校生君、魔力を供給し続けてくれ」
「試してみたい魔法があるんだ! 行くぞ!」
遊佐さんの言われた通り、魔力を供給し続ける。
急に空の天候が変わり雷鳴が轟く!
母親型を中心に無数の落雷が降り注ぎ、雷の牢屋を作りだす。
「来たれ! 虚空の雷、薙ぎ払え! 雷の斧よ!」
一直線の太い雷が、母親型を真っ二つに切り裂く。
母親型の魔物は霧散していった……
「お疲れ様、魔法も成功のようだし討伐も完了だ!」
「あとは正規の部隊が、このあたり一帯を調べて回るだけだよ! ご苦労なことだね」
「そうなんですか?」
「聞くのは初めてかい? なら説明しよう」
遊佐さんの話だと、魔物の正体につながるような物がないか? を探す目的と、自分達の仕事に漏れが無いか?確認するらしい。
「僕の目的はそれだよ。魔物はある日、突然現れるようになった!」
「なぜ? いかにして? とても魅力的な謎だと思わないかい」
「人類を脅かす、異形の魔物、その正体やいかに!ってね」
「さて、クエストの完了報告をしに学園に戻ろうじゃないか」
「今日は興味深い体験をありがとう。君が人気がある理由を教えてあげるよ! その人の良さだね」
「その、人の良さが女の子を中心に人気があるんだよ。 君は気づいていないようだけどね」
「後、僕の与太話を信じてくれて楽しかったよ。全部嘘だから忘れてくれ 帰ろうじゃないか」
学園に戻る帰り道も取材は続いていくのであった……
END
いつもお読みいただきありがとうございますm(__)m
最近、忙がしいのとモチベーション低下により掲載ペースが遅くなっております。
次回は2週間後を目安としていますのでよろしくお願いします。
2016/10/31 一部修正完了