私立グリモワール魔法学園~Another story   作:風飛の丘

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独自解釈、独自設定により原作を大切にされている方はご遠慮下さい。主人公はオリ主 不定期投稿
各専門用語については後書きにて補足します。
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。

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グリモア 第19話 双美 心編

朝、学園の校門まで来ると突然声をかけられた。

クラスメイトの双美心だった。

 

16歳 伸長159㎝ 体重48㎏ B79 W54 H78

趣味 バソコン 特技 土下座

クラスメイトなので、彼女の事は良く知っていた。

 

「おはようございます。来栖君」

「突然ですが、わたしクエストを受けました」

「それで、あたなにご一緒して頂ければと思いまして、ここで待っていました」

 

うん? いつもの双美と喋り方や雰囲気が違う?

もう1人の人格の方か?

 

「俺とクエスト? 天文部のみんなは?」

 

「今回は、天文部のメンバーはいません」

「私とあなたの2人だけです」

「他の人を交えず、お話ししたいことがあります」

 

「大事な話なのか?」

 

「内緒の話です…… ようやくデバイスが圏外になる場所のクエストが発令されました」

「この機会を逃すと、しばらく話すチャンスが無いと思います」

 

「その言い方だと、ここや他の場所では話せないって事だよね?」

 

「はい、是非ともあなたの進退にかかわる事ですのでクエストを受けて下さい」

 

「俺に関係する事か? もう1人の君の事では無くて?」

 

「ええ、私の事情ではなくあなたの事情ですから。いいですね!」

「無理にでもきてもらいます! あなたには、心ちゃんや天文部のメンバーがお世話になっていますから」

「よろしく、お願いしますね?」

 

「自分の事なら尚更、断る理由は無いよ」

そう言いながらデバイスを取り出しクエストを受ける。

 

「それでは、よろしくお願いします! クエストへ向かいましょう」

 

 

□□□

山岳部廃墟

 

「所で、今の双美はもしかして……」

 

以前、会った時に【もう1人の心】の存在は内密にする約束をしていたので、迂闊に聞けないのだった。

 

「はい、何度かお会いしていると思いますが、もう1人の双美 心です」

「やはり、疑っていますか? 実は心ちゃんの演技だと思いますか?」

「まぁ どちらでも良いです。私はいずれ消えますから……」

「それより、クエストに付き合って頂いてありがとうございます」

「あの子には、内緒でクエストを受けていますけどね」

「まずは先に進みましょう。普段通りに、振舞う必要があります」

「そして、どこかで監視を避けてお話します」

「途中、心ちゃんと交換するかもしれないので、その時は上手く誤魔化して……」

 

「あれ? 何で私こんな所に……」

 

このタイミングで変わるのか?!

 

「一緒にクエストを受けて欲しくて、誘ったんだけど覚えて無いかな?」

 

「え、あの…… ほ、本当に私クエスト受けたんですよね?」

 

「うん、そうだよ!」

 

「そうですか…… い、いえ 心あたりが無いと言うか……」

 

双美は、デバイスを取り出しクエストを確認する。

 

「ううぅ…… ほ、本当に受けてる…… いつの間に!」

「そ、そうですよね! パートナーに選ばれたんですよね?」

「な、なんでこんな大事なことを忘れちゃうのかな…… あはは……」

「稀にあるんですよね…… 記憶が無い内に……」

 

「そうなんだ、緊張し過ぎるとそうなるのかな?」

 

とりあえず誤魔化さないと……

 

「ご、ご免なさい! 覚えて無くて!」

「だって私、クエストで活躍したこと無いし魔物は怖いし……」

「落第にならない様に、最低限度のクエストしか受けてないのに…… や、やっぱり無理です!」

 

「ご免なさい! あなたと一緒には無理です!」

突然、双美はその場で土下座をする。それは何とも見事な綺麗な土下座だった。

 

「それなのに、無意識に受けて…… は!」

「ま、まさかあなたと、2人きりになりたいなんて思ってませんよ! そんな恐れ多い……」

 

「大丈夫だよ。俺も一緒に戦うから」

 

「そ、そうですか…… こちらも受けてしまった以上は…… ふつつか者ですがよろしくお願いします」

 

「それ、使い方間違っていると……」

 

そんな事を話している内に、廃墟の陰から一匹の魔物が現れる。大きさは2mぐらいの蟷螂の形をしていて、両腕には鋭い鎌が見える。

 

「よし、落ち着いて攻撃して行こう」

バスターカノンの準備をしながら双美に声をかけるが、全然聞こえていないようだった。

 

「魔物が、魔物さんが来てしまいました!」

「ここ、こうなれば、玉砕覚悟で私があなたを守ります!」

「もしもの時は骨は拾って下さいね…… 突撃ぃ!!」

 

「うそ! ちょっと待って!」

急いでバスターカノンを構え、グラビティシェルを魔物に向けて放ち動きを止める。

 

「ええと…… これで! ごめんなさい!」

双美は、高速で携帯パソコンに文字を打ち込む。

すると打ち込んだ文字が、空に大きく【ごめんなさい】と具現化され蟷螂型の魔物に降りかかる。

 

双美の固有魔法か…… ある意味、凄いな。

 

巨大な岩文字のような物が魔物を押し潰し、魔物が霧と化す。

 

「お疲れさま。何とか倒せたじゃないか!」

 

「あ、ああ、死んで無い! 死んでませんよ!」

「生き残ってしまいました…… また、あの恐怖と戦わないといけません」

「ど、どうしましょう! つ、次にあったら絶対クチャッと…… ザクッとされてしまいます」

「そうだ、今の内に遺書を書いておかないと…… ちょっと待って下さい 今、書きますから」

 

どこから突っ込んでいいものやら……

 

「相変わらず、心ちゃんは後ろ向きですね。進歩しません」

突然、声のトーンと話し方が変わる。

 

「ですが、私の大切な主人格です。本物ではない私にとっては……」

 

「彼女は、とてもうらやましい。そして神々しいんですよ」

「すいません。お話しなければいけないのは、あなたの事でしたね」

「ですが、今は辞めておきましょう。もう少し奥に行ってから話します」

 

「一旦、また変わりますがよろしくお願いします」

 

「あれ? 私…… 遺書を書いてたはずじゃ……」

 

「双美、取り敢えずそれは後にして先に進もう」

 

「は、はい」

 

廃墟のホテルに入り奥へ進んで行くと、先程より大きい魔物がロビーの所にいた。

 

「あれがボスかな? 圏外でデバイスが使えないから確認しようがないけど、間違い無いだろう」

 

「だ、大丈夫でしょうか? 私なんか、役に立ちませんから!」

 

「俺が魔物の動きを止めるから、その間にさっきの魔法でダメージを与えて」

 

「わ、分かりました! 今度こそ、当たって砕けて来ます!」

 

「砕けなくていいから!」

バスターカノンのトリガーを引きグラビティシェルを3個展開する。

 

「じゃ、行くよ!」

 

魔物に向けてシェルを放つが、それに気づいた魔物は鎌の付いた腕を強く振る。するとカマイタチのような衝撃波でシェルを打ち消し去ってしまった。

 

「しまった!」

 

双美は魔物に向かって、泣きながら走り出していた後だった。

 

魔物はもう一度、強く腕を振うとカマイタチのような斬撃波で双美を切り裂く!

その勢いで、双美は吹き飛ばされる。

 

「……ッ」

急いで吹き飛ばされた来た双美を受け止める。どうやら気を失っているようだ。

 

「大丈夫か?!」

流石にあのカマイタチで切られたら……

 

双美を良く見ると、戦闘服の一部が切り裂かれているだけで致命傷は無いようだったが……

切り裂かれた戦闘服からは胸があらわになっていた。

 

意外に着痩せするタイプなのか? 思ってたより? 大きいな……

 

双美は突然、目を開ける。

「いつまで見ているのですか? 社会的に抹殺しますよ?」

もう1人の双美が現れる。

 

「す、すみませんでした!!」

すかさず、土下座して謝る。

 

「……先にあの魔物を倒してからにしましょう」

 

双美は胸元を隠しながら起き上がる。

 

流石に気まずいので、魔力を供給して戦闘服を修復させる。

 

「一気に終わらせましょう! 援護射撃よろしく」

 

「任せてくれ!」

 

今度は打ち消されないように4個のシェルを展開し、上下左右からコントロールして魔物の当て動きを止める。

 

「霧になりなさい!」

魔物の頭上に、電源アダプターの先端の様な物が現れる。当時に無数の雷撃が魔物に降り注ぐ!

 

「今です! 消し去ってください」

 

双美の声が聞こえると同時に、バスターカノンのトリガーを引き砲撃を撃つ。

 

弱りきった魔物は回避できずに、黒い球体に吸い込まれて消滅する。

 

「ふぅ、何とかボスを討伐できたな」

 

「ええ、でも心ちゃんを危ない目に会わせないでください!」

「さっきはギリギリの所で、多重防御障壁が間に合ったから良かったものの……」

 

「ごめん、完全に油断していた」

 

「無事だったので不問にします。話さなければならない事もまだですから」

 

「あそこの陰で話します」

「……ここなら大丈夫でしょう」

「デバイスも圏外、通信傍受、国軍の衛星、人による監視も出来ない位置にいます」

 

そんなに重要な話なのか……

 

「この為に、このクエストを受けた様な物です」

「どこからこの会話が漏れるか? 分かりませんので万全を機しました」

「早速ですが先日、学園のデータバンクに侵入しました ! 調べ物をしていた為です」

「あなたに、伝えなければいけないのは1つだけ」

 

「あなたの命が脅かされていると言う事です。そう遠い話ではないです」

 

「【霧の護り手】【ライ魔法師団】【キネテッカ】等々これら複数のテロ組織に、あなたの情報が漏れています」

 

「俺の情報? 何が? どこまで漏れているのか……」

 

「第7次侵攻の時の活躍の為というのも理由ですが…… 私が伝えなければならないのは、そう言うことではありません」

 

「よく聞いてください! あなたの情報をテロ組織にリークした人物がいます」

「誰かはまだ分かりません。もしかしたらと言う人物はいますが……」

「まともに教えてくれないと思いますが、遊佐鳴子に尋ねるのも1つの手です」

「今回、この事に気づいたのも偶然でした。そもそも私が調べているのは、私たちのことですから……」

「なのでこの件に関して、冷たいようですが追跡調査をするつもりはありません」

 

「心ちゃんに何かあったら困りますから……」

「ですがあなたには、心ちゃんも天文部の皆もお世話になっています」

「ですから、手に入れた情報をお伝えしました」

 

俺の情報か…… 無限に近い魔力量、魔力壌渡…… 新しい魔法の事は大丈夫か?

「テロ組織はおそらく、あなたを攫いに来るはずです!」

「これから身辺に気をつけてください! 使えるコネは全て使ってください」

 

「あなたの体質は100万の宝石に勝る…… いつ刺客が現れてもおかしくはないですから」

 

「分かった。忠告ありがとう。十分に注意するよ」

 

「忘れないで下さい! あなたは魔法使いにとって希望であり、そして悪しき者にとっても希望でもあると言うことを」

 

「あぁ、この力は皆の夢が叶うかも知れない物だと理解していたつもりだっだけど、改めて思い知らされたよ」

 

「ありがとう」

 

「では、怪しまれない内にさっさと戻りましょう……」

 

「あれ? 魔物さんは? え! 来栖君と私で倒した?」

 

「ごめんなさい!! また、覚えて無いです!」

双美は俺の足下に滑り込んで来たと思うと、そのまま土下座する。

 

スライディング土下座とでも言うべきか……

 

「土下座はしなくていいよ。でも今度、俺に土下座の仕方を教えてくれ」

 

何故か? 使う事が多い気がしたので、教わる事に決めたのだった。

 

END




いつもお読み頂きありがとうございますm(__)m

物語も中盤あたりまで来ました。

今後もよろしくお願いします。

2016/11/2 一部修正完了済み

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