私立グリモワール魔法学園~Another story 作:風飛の丘
各専門用語については後書きにて補足
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。
時系列は原作とは違います。
奪還作戦編の後編ですがオリ主がメインになります。
大型の魔物を料理部のメンバー、生徒会長と一緒に討伐した後、急いで市外へ向かっていた。
「少年、すぐに場所を決めるぞ!」
急いで魔法の実験が出来そうな場所をデバイスで探す。
「幸い、周万姫の砲撃と妾の魔法の影響で誰にも気づかれんじゃろ」
特に周万姫の魔法は地面にクレーターが出きる程に凄く、その粉塵が空に舞い上がっているので衛星からの監視の目も正常作動するには、今しばらくかかるはずだった。
その間、可能な限り自分達も新しい魔法の実験をしたかったのだった。
「この辺りでどうですか?」
デハイスで地図を出し
「よかろう。後はあやつらに連絡じゃ」
師匠は馴れない手つきで、デバイスを操作し連絡用発信ボタンを押す。
「これで、あやつらが上手くやってくれるはずじゃ」
連絡先は、宍戸結希と双美心への連絡だった。
彼女達には事前に依頼してあり、一時的にデバイスの位置情報、衛星からの監視の目など自分達の痕跡を消す為にジャミングを頼んでいたのだった。
そして先程の大規模魔法の影響も合わさり、余程の事が無ければ自分達の行動は、誰にも知られる事は無さそうだった。
「よし少年、始めるぞ」
師匠は飛行魔法で、空に上り周囲の状況を確認する。
それに合せ自分もバスターカノンを上空に向け、魔力球を作り魔力を流し込む。
「
さらに魔力球に大量の魔力を注ぎ込むと、魔力球はそれに合せ膨張し大きくなって行く。チャージ時間はおよそ10分、魔力を流し込みながら巨大化を継続させる。
「少年、頼んじゃぞ。そして貴様らには邪魔はさせんぞ!」
デバイスを通じて師匠の声が聞こえる。どうやら近くに魔物が現れた様だった。
魔力球を巨大化させている間は何も出来ないので、もし魔物が襲撃して来た場合には、師匠が迎撃する手筈になっていた。
「これぐらいの数、楽勝じゃ 消えろ!」
そして幾度か魔物が現れ、近寄って来ようとしたが近寄る前に師匠が全て討伐して行った。
「少年、そろそろ頃合いじゃ」
10分の時間が到来する。チャージして巨大化した魔力球をバスターカノンの先端から離し、前方の地面ギリギリに展開する。
魔力球は10分のチャージで、約100メートル程に大きくなっていた。
継続すれば更に大きくなるが、今回はここまでの実験だった。
そして巨大化した黒い魔力球は、自分は目の前を塞ぐ形になるので前方がまったく見えない状態だった。
「次じゃ、行くぞ!
師匠の魔法は感覚の一部を共有できる魔法で、今回は視覚を同調して師匠が空からの見ている物が、自分にも見える。
流石に初めて感覚を同調するので、違和感が凄かったが何とかなりそうだった。
「
巨大な魔力球は、ゆっくり前方に進みながら触れる物を全てを呑み込んで行く。
「右側に魔物を多数発見じゃ」
師匠の目を通して、自分も魔物を発見する。
深淵を右にコントロールして進行方向を変える。巨大な魔力球の為、急な方向変更は無理だが方向変更自体は可能だった。右に移動し、木々や岩などを巻き込みながら魔物の群れすら呑み込んで行く。
「次じゃ、そのまま前方へ進んで左じゃ。見えとるか? 後は徘徊している、はぐれの魔物に気をつけるじゃぞ。空からでは見落とすかもしれん」
デバイスを通じて師匠の声が聞こえて来た。
「視覚、問題無いです。敵影もないです」
魔物の群れを呑み込んだ所で、師匠から実験の終わりを告げられる。
「少年、時間じゃ! ばれない内に撤収するぞ」
いつまでもジャミングしている訳にも行かず、約束していた時間が迫っていた。
本当はもっと色々と試してみたかったが、無理も出来なかった。
このオリジナル
□□□
札幌市内
再び、急いで市内に戻った所で緊張感が解けたのか?
体が悲鳴をあげる。
隣を見ると師匠もかなり疲れている様子だった。
流石に大型の魔物を倒して、直ぐに魔法の実験もしたので当然の結果だった。
取り合えず休めそうな広場が、近くに見えたのでそこで休みながら先程の実験の検証を始める。
「魔法自体は問題はないじゃろう。後はもっと大きくしてもコントロール出来るかどうかじゃな」
「後は細かい話をしていたら切りが無いが、数人ほど人手が欲しい所じゃな」
「そうですね。課題は空の目、地上の目、護衛はもっと欲しいです」
先程の実験で感じた課題を伝えた。
空の目としては師匠とリンクしている以外で、もう少し広域情報が欲しい。そして地上からの目は、魔物の位置も含め安全面も兼ねて索敵してくれる人が欲しかった。
何せ、間違ってでも
今回は絶対に人がいない場所で、試せたから良いものの普段は何があるか? 分からないので危険性が伴っていた。
「お主の言わんとする事はもっともじゃな」
「護衛もそうじゃ、今回の魔物の数ぐらいなら問題は無いが…… 妾だけでは限界がある。人数は何人増えても良いぐらいじゃ」
「ん? あれは……」
広場の入り口に犬ぽい? 何かがいる。魔物なのか…… その魔物の背中には機関銃が取り付いていた。
そして最初は1体だけだったのが2体、3体と次々に増えて来た。
「師匠あれは?」
「なんじゃ、今、考えて……
師匠も気がついた様で、心当たりがあるようだったが……
「馬鹿もん! あれは!」
急に機関銃が火を吹き、攻撃して来るが師匠が急いで展開した障壁が弾を受け止める。
「学園生徒が、まだこの辺りに残っていたとはな」
中年の男性がポチ達の後ろから現れると、ポチの攻撃が止まる。
「お前らは…… 対抗戦上位の東雲アイラと噂の転校生だな」
中年の男性はこちらを知っている様子だった。
「……どこかで見た気がするが…… あ!」
「お前は間ヶ岾か?!」
年齢に違いがあるが以前、写真で見た間ヶ岾昭三に似ていた。
「ほう、よく気がついたな。その通りだよ」
「なぜ? お前がここに北海道に居るんだ! 本物なのか?」
「容姿が違うと言いたいんだろう? 私は別世界から来ていてね。そしてなぜここに居るかは、お前達に教える義理はない」
「偶然に出会ってしまったが、邪魔な存在のお前達はここで死んでくれたまえ」
「くっ!1つ答えろ。なぜお前は、世界を壊そうとしているんだ!」
「……貴様らは勘違いをしている。世界などは、とうに終わっているのだよ」
「霧が現れた時点で、そして既に新しい世界が始まっているのだよ」
「それでは、さらばだ」
そう言うと間ヶ岾は背を向け去って行く。
このチャンスに捕まえたかったが、ポチの攻撃が始まり後を追うことが出来なかった。
幸い、攻撃は師匠の障壁で何とかなっているので急いで反撃を開始する。
バスターカノンを具現化させ、砲撃でポチを各個撃破していく。
「これで最後!」
6体ほどに増えていたポチの討伐に成功する。
「く、妾が万全なら逃しはせんだったのに!」
「何故? こんな場所にあいつは居たんでしょうね」
「あやつは真実を隠す為に、いくつも策を仕掛けて来るからさっぱりじゃ」
「念の為、生徒会と風紀委員にでも連絡しておけばよい」
「分かりました。間ヶ岾の事は気になりますが、こちらの例の魔法には気づいていない様でした。もしばれて入ればもっと戦力を投入していた筈です」
「そうじゃな…… 今回はそれでは良しとするか…… しかしあやつめ、魔物をコントロールしておったな」
「科研でもまだ実験段階だった筈じゃ……」
確かに間ヶ岾の指示で魔物は攻撃して来た。裏の世界では既に完成している技術なのか? 疑問に思う事が沢山あるが……
「深淵の実験も出来ましたし、収穫は十分です」
「後は魔法の規模をさらに大きくする為、チャージ時間が短縮が出来れば……」
「流石に今回の様に試せる機会は、そうそう無いだろうから魔力球のコントロールとチャージ時間の短縮を中心に練習をすることじゃな」
最終的に深淵を直径500メートル位まで大きくし、タイコンデロガ級すらを呑み込み、全ての霧の魔物を殲滅出来れば、この世界から霧の魔物を無くす事が出来るはずだった。
「それじゃ、皆の所に戻りましょうか」
END
いつもお読みいただきありがとうございますm(__)m
投稿して1年を何とか迎える事が出来ました。
未だ更新速度は、早く無いですが改めてよろしくお願いします。
この後、各話の修正に入りますので次回の投稿は遅くなります。
用語説明
科研で実験されていた技術。
魔物に近代兵器を搭載し操る事が可能。形態は人型や動物型など様々なタイプがある。