私立グリモワール魔法学園~Another story 作:風飛の丘
各専門用語については後書きにて補足
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。
無理矢理元旦に滑り込みました!初詣編です。
短編1話限定です。今回は彼女に頑張ってもらいました。
今回も勢いだけで書いてありますm(__)m
元旦、新年を迎えるにはちょうど良い青空が見える天気になっていた。
クリスマスに降った雪もすっかり溶けてなくなっていた。
今日は初詣に出かける為、準備をしていた。
当然、袴などは用意していないのでいつも通りラフな冬服にコートを羽織る程度の身支度なので、すぐに出掛ける準備が出来る。
怜も今日は忙がしく、神社の手伝いをしているらしいから後で、訪ねてみようと思っていた。
さて、待ち合わせの場所に行くとするか…… あまり気乗りはしないが……
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校門前
紫の花飾りで髪を1本にまとめ、同系色の本紫の着物姿で待っていたのは…… 氷川紗妃だった。
普段、制服以外の姿は見た事が無いので、新鮮な感じがする。
なぜ? この組み合わせで初詣? に出掛ける事になったかと言うと……
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昨日の出来事
「あ…… あなたち……!」
「ちょっと! 離れなさいっ! 神聖な学び舎で何をしているのですか!」
鬼の形相で、風紀委員の氷川さんが駆け寄ってくる。
天気が良いからと言うことで、噴水付近で白藤と散歩をしていて、白藤が石につまずき転びそうになった所を助けただけなのだが……
「誤解だ!」
駆け寄って来た氷川さんは白藤を無理矢理、自分から引き離す。
「きゃあ! いやや~なにすんの紗紀ちゃん!」
「嘘です! どうみても過度な接触でした!」
「もー、なんやの? 散歩したらあきまへの?」
「散歩はいいですが、破廉恥行為はダメです!」
「破廉恥っていう人が破廉恥なんよ!」
「ウチより、紗紀ちゃんの方が頭がピンクや」
「な、な、なんですって! 風紀委員である私がそんなこと……」
やばい…… これ以上ここに居たら…… 2人の口論に巻き込まれ、最後に補導されそうだ! この場は逃げよう……
こっそりその場を離れて行く……
「あ! いけず…… ダーリン待って、嫌……」
「こら、待ちなさい! 逃げるなんて卑怯ですよ」
氷川さんは追いかけて来た。
捕まる訳には行かない! 全力で逃げる。
10分後…… 捕まってしまった。
氷川さん走るの速すぎ、陸上部にでも入ればいいのに……
「あ、あなたっ! 女子と2人っきりで何をしていたのですか?!」
「転びそうになった所を助けてあげただけで、別に抱き合ってた訳でない!」
「言い訳、無用! 風紀委員として不純異性交遊は認めませんっ」
「風紀委員室へ来なさい! みっちり始末書を書いてもらいますから!」
その後、みっちり始末書を書かされる羽目になるのだった……
理不尽過ぎるだろう…… 何とか書き終わった~
書き終わったので、椅子から立ち上がり帰ろうとすると……
「更正に期待します…… てっ、ちょっと待ちなさい。まだ、終わりではありませんが?!」
「え?」
「不純異性交遊の処罰は厳しいのです! これだけで済む訳はありません」
「罰として学園の奉仕を、風紀委員の仕事を手伝ってもらいます」
この仕事と言うのが、初詣で賑わう神凪神社で学園生徒が騒ぎを起こしたり、事件に巻き込まれないように見廻りをする事だった。
「時間厳守ですので、絶対に遅刻しないようにお願いしますね」
問答無用で、今に至るのだった……
□□□
現在
目の前に居る氷川さんは厳しい人だけど、こうして着物を着ていると改めて可愛いなと思った。
新年の挨拶をする。
「明けまして、おめでとうございます」
「こちらこそ。明けまして、おめでとうございます」
「時間通り来ましたね。良い事です。早速、見廻りに向かいましょう」
「着物姿、すごく似合っていて可愛いいね」
「か、可愛い…… あ、あなたは、すぐそうやって女子に手を出しているのですね!」
そう言うわりには、顔を真っ赤にさせて照れているところは可愛いな~
□□□
神凪神社付近
新年早々、見廻りとかダルいな~ と思いながら歩いていると……
「もうっ! 男ならシャキシャキと歩きなさい! みっともない」
「ほら、もっと速く!」
ううぅ…… 厳しいな…… 後でお祓いでもするかな……
「あっ、ちょっと待ちなさい…… ほら、襟がこんなによれて…… 少し、じっとしてなさい!」
彼女は急に近寄り、襟を直そうと両手を首に回す……
いい香りがしてきて、彼女の顔が間近に迫る。
可愛いんだよな~ 黙っていればだけど……
「学園の生徒として、恥じることの無い振る舞いをよろしくお願いしますよ」
「ん! これでいいでしょう」
「ほら、見えてきましたよ」
参拝所に着くと辺りは、人でごった返していた。
ここから人を探すとなると不可能では無いかと思う。
しかしなぜ、氷川さんは着物姿で来たのか? 気になっていたので聞いてみる。
「学生服だと目立ち過ぎるのです! 制服は学園生徒には有効ですが、一般の方々には物々しく感じられ、恐がられないようにする為です」
「しかし動きづらいのは…… 諦めるしかありません」
「さて、見廻りを始めましょう!」
着物を着たかったんだろうな……
数時間ほど境内や出店、御札販売所などを見廻るが特に問題は無かった。何人かの学園生徒とも出会い、挨拶を済ませていった。
隣を見ると彼女にしては、珍しく疲れているようだった。着なれない着物を着ているからかな? 少し休もうと提案する。
「それにしても、すごい人混だね。何か? 屋台で買って休もうか?」
「そうですね。お昼も過ぎている事ですし…… ちょっと休憩します。気になる所があるので付いてきなさい」
屋台の前についた彼女はさっそく並び、目当ての物を買って戻って来た。
「はい、どうぞ。感謝の印という事で、スコーンを差し上げます。美味しいですよ」
急にどうしたんだ! 優しい? 裏があるのか……
「……私だって鬼ではありません! 罰とはいえ、ご協力いたただいているのですから」
顔に出てしまったのか? 思っていた事がバレた。
「感謝の気持ちとして、お礼をするのは当然です! 見損なわないでください」
そんな優しい? 彼女を見るとツンデレも悪く無いと思うのだった。
そして2人でスコーンを食べながら座っている姿は、端から見たらデートしている様に見えるかな? などと考えていた。
「さて、あと少しです。頑張りましょう」
再び、見廻りをしていると中年の男性が氷川さんにぶつかり、慣れない履き物を履いていた彼女は、こちらに倒れてきた。
「あ!」
その時、庇う為に彼女を抱き締めてしまう……
右手は…… 彼女の着物の中に入り、胸を掴んでしまっていた。
見た目よりもボリュームある?
「ごめん」
すぐに手を着物から抜き謝る。殺される! と思ったが彼女は顔を赤くして何も言ってこない…… 逆に恐い……
「あれ? そういうば、氷川さん、もしもし~ 氷川さん? 手に持っていたポーチは?」
「え?」
彼女も無いことに気づいた様子で、足下を探すが落ちてはいなかった。
「もしかしたら、さっきの男! スリか!」
わざと強くぶつかり、その隙に盗んでいったに違いない。
「くっ! 私とした事が…… 気付かないとは…… 許しません! さっきの男を探して捕まえます!」
やっといつもの彼女に戻ったようだが…… 怒りのオーラが見えた気がした。
後を追う為、逃げていった方角へ探しに行く。
「氷川さんは後から来て! 先に行くから」
彼女の着物姿では、追いつくのは無理だと判断して独りで探すことにする。
人混みをかき分けながら、犯人を探す。
御札販売所まで来ると、巫女姿の怜と出会う。
挨拶もそこそこに、急いで経緯を怜に話す。
「なるほど、分かった。私の方でも探す! 何かあれば連絡する」
相手は一般人だから、手加減しないと危険な事になる事を教えてもらい、再び犯人を探しに行く。
逃げ足速いな~ どこに行った?
逃げられないように鳥居で待ち伏せするか?
あ! もしかすると…… デハイスを取り出しGPSで位置情報を確認する。
氷川さんは、財布とデハイスを一緒のポーチに入れていた事を思い出したのだった。
いた! やはり鳥居の近くまで来ていたようだ。
急いで鳥居に向かい、男を捕まえようとする。
身体強化されているので、普通の人には絶対負けない。
後ろから近づき、男を羽交い締めして捕まえる!
「紗紀の財布返せ!」
勢いで『紗妃』と叫んだが誰も聞いてないだろう。
男の鞄には10個以上の財布やポーチなど、たくさん入っていた。その中から彼女のポーチを探し返してもらう。
怜には連絡を入れておいたので、直ぐに駆けつけて来た。
「銀河君、さすがだ! 早速、神社の防犯対策係に引き渡し、盗まれた人に財布を返さないと行けないな」
「急ぐので、今度このお礼はする! ではまたな」
怜と数人の神社の人に連れられ、男は消えていった。
さて、ポーチも無事に戻ってきた事だし、彼女を探さないとデバイスも持ってないし……見付けるのは大変だなと思った。
探しに行こうとすると、鳥居の陰から氷川さんが出てきた。
「いつから、そこに……」
「犯人が逃げるならこの鳥居から外に出ると思い、 見張っていました」
「いつから? と言う質問ですが、最初からいました! あなたが、私を呼び捨てにした時からです!」
「あなたが急に私の名前を叫ぶから…… 恥ずかしくて…… 」
「な、なんでもありません! 出遅れだけです!」
またもや顔を赤くして照れている。
「はい、これ」
彼女のポーチを差し出す。
「あ、ありがとうございます。それであの……」
「大捕物ものみたいで、少しカッコよかったです! それに私の為に頑張ってくれて…… 特別に、わたしの事は紗妃と呼び捨てして構いませんから!」
彼女は気軽に呼んで欲しいと…… 嫌とは言えないので了承する。
参拝のピークも過ぎ始めているので、見廻りも終わりの時間を迎える。
「紗妃、そろそろ見廻りを終わりにしよう」
「それで、改めて自分と参拝しないか?」
彼女を誘ってみた。
「……分かりました。一緒に参拝させていただきます」
その後、2人で参拝したり絵馬を買ったりして楽しい正月を過ごした。
こんな初詣も悪くは無いなと思った。
□□□
正月明け
掲示板に貼り出されていた学園新聞を見ると……
見出しは…… 熱愛発覚!
自分と紗妃が抱き合っている様な写真があった。
ああぁ…… あの時か! 襟がよれてて、直してもらった時だ!
特定の角度から見れば、紗紀が自分に抱きついているように見えるな。やられたな…… いつの間にと思っていると紗妃が走って来る。
「ゆ、遊佐鳴子を見ませんでしたか?!」
「くっ! この記事を見ましたか……」
「学園新聞に、このような事を記事にするとは校則違反です! 反省文では足りません! 懲罰房行きです!」
「銀河君も手伝いなさい! あなたも関係しているのですから! 相手は忍者だと思って探しなさい」
すごく怒っている紗妃だが…… 自分と一緒に居ると、また噂されと思うけど…… まぁ、いいか。
二人で仲良く駆け出して行く。
END
さて、本編の修正作業中で時間が取れないと思いましたが何とか勢いで書ききりました。
本当は宍戸編になる予定でしたが、紗妃ちゃんに急遽変更して書いてみました。
また今回の彼女には、オリ主と徐々に仲良くなって行き恋する一歩手前をイメージして書いてみました。
いつもお読み頂きありがとうございますm(__)m
本年もよろしくお願いいたします。
2016/11/4 一部加筆、修正済み
登場人物
白藤 香ノ葉
16歳 身長156㎝ 体重47㎏ B78 W57 H78
趣味 可愛いもの集め 特技 アプローチ 好きな物 羊羹
氷川 紗妃
16歳 身長159㎝ 体重57㎏ B83 W57 H86
趣味 規則正しい生活 特技 観察 好きな物 スコーン