私立グリモワール魔法学園~Another story 作:風飛の丘
各専門用語については後書きにて補足
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。
バレンタイン編
短編1話限定の恋愛物語
今回も誰にするか? 悩みましたが彼女に頑張ってもらうことにしました。
ではどうぞ~
2月に入ると女性達の話が、バレンタインデーをどうするか? 的な話が多くなってきていた。
そう、今年のバレンタインデーは日曜日なのだ。
それで大半の話が、いつ渡すのが良いか? などの話しになっているようだった。
そして、明後日の14日は【St Valentine Day】
しかし、自分には関係無いと思っている。なにせ今までもらった数はたかが知れている…… しかも全て義理チョコだった!
そんな中、訓練所に向かうため廊下を歩いていると1人の女性から声を掛けられる。
「あ、いましたいました~ こんにちは~」
「あの~ いまから少しお時間を頂いてもよいですか?」
声をかけてきたのは、同じクラスの海老名あやせだった。
17歳 身長167㎝ 体重59㎏ B90 W62 H92
趣味 おしゃべり 特技 学園の噂収集
おっとりした喋り方に、少し天然が入っているが大人の女性で魅力的な人だ。
特に胸が…… 服の上からでも分かるぐらい凄いのだ。
「どうしたの?」
「えっと…… 恋愛相談に乗っていただきたくて~」
「その、私では的確なアドバイスができなそうになくて……」
「俺?」
「男性の方の意見を聞きたいな~と思い。あなたを探していたんです~」
「俺に恋愛相談なんて、無理じゃないかな?」
自分で言うのもあれだが、今まで付き合った事なんて無いぞ……
「だって歓談の部活中、アイラちゃんやエミリアちゃん ずっと話してますよ~」
「あなたの事ばかり、それもとびっきりの笑顔で~」
ちょっ! 俺が居ない時にあの二人は何の話をしているんだよ……
「とても仲が良いのですね~」
「あの2人が信頼している方ですから、間違い無いです! お願いします。お手伝いして下さいませんか?」
「うん~ 出来るか? 分からないけど手伝うよ」
その後、海老名さんと一緒にある女性の所で、恋愛相談に乗るが…… 我々では役に立つアドバイスは出来なかった…… はっきり言って経験不足だった。
「ごめん、良いアドバイスが出来なかった……」
役にたてず海老名さんに謝る。
「これもひとえにわたしのせいです! 私に恋愛経験がないから……」
「恋愛の事は分からないです…… そのせいで……」
「はぁ…… とても残念です……」
「……あ! そうです! 私、いいこと思いつきました」
「恋愛の経験がなければ、恋愛の経験を積めばいいです!」
「どうでしょうか? いいアイディアだとは思いませんか?」
「それはそうだけど…… 誰か好きな人でも居るの?」
「あっ! いえいえ、実際に彼氏なんて作りませんし、作れませんよ~」
「えっと…… なんといいいますか…… あなたにお願いできないかな~と思っているんです」
「うん? 俺?」
「私の彼氏になってください!」
「その…… 少しの間だけで構わないので……」
俺達の偽恋物語の始まりだった。
□□□
2月14日 風飛市内
「ごめん 遅くなった。待った?」
「いえ、わたしもいま来たところですよ~」
「……こう言うと男性は嬉しいですよね? きちんと勉強してきましたから!」
苦笑いで誤魔化すが…… 健気で可愛いな~と思った。
「ふふ、おはようございます。私服姿もお似合いですよ」
「海老名さんの私服姿も可愛いです」
「……わたしですか? そう言って頂けると嬉しいですね」
「あと、私の事は『あやせ』と呼び捨てにして下さい 彼女ですから~」
「分かった。俺の事も銀河でいいよ」
「さあ、それではいきましょうか~」
「私たちの初デートに♪」
風飛市内はバレンタインデー当日という事もあり、賑やかでチョコレートの店頭販売や凝った装飾が色々と飾られていた。町中、バレンタイン一色!
「さて、恋人らしくと言いながら何をしましょうか~」
「ブティックやデパートといった所でウィンドショッピングして見ようか?」
「はい~ では失礼して」
突然、あやせは俺の腕をとり自分の腕を絡めてくる。
「彼女なら当然ですよね?」
あやせも照れているようで、顔をほんのり赤く染めていた。
そして、あやせの胸のボリュームが凄い…… 腕が胸の谷間に挟まる…… 柔らかい……
その後、2人で色々と店を見て回り、今は有名なチョコレート売り場に来ていた。
「凄いですね~ チョコレートが色々あって、しかもどれも美味しそうですね~」
男性にプレゼントと言う事もあり、工具セット型や車のタイヤ型をした物などもあった。
「銀河君は女の子からチョコレートたくさん貰えるんですよね?」
「え? どうだろう? たくさんかどうか分からないけど貰えたら嬉しいかな~」
「皆、銀河君の噂してましたよ~ 貰えると思いますよ」
「あ! でも今日は、私が独占してしまってますね……ごめんね」
誰に向けて謝っているか? 気になるがあやせは両手を合わせ謝っていた。
「あははは、大丈夫だよ! そんな人いないと思うから」
あやせはこっちを見ながら、ため息をついていた。
まるで分かっていなとばかりに……
□□□
お昼を軽く済ませて、次の目的地に来ていた。
汐浜ファンタジーランド! 遊園地だ。
「デートの定番は、やはり遊園地ですね~」
あやせは手を擦りながら寒そう辺りを見ていた。
「そう言う訳では無いけど、あれを見せたくて」
展望台を指さす。
「取り敢えず行って見よう。凄い物あるから」
展望台に着くと、そこには3Dプロジェクションマッピングが広々と展開されていた。
最近の流行りで一度見たいと思っていたので、この機会にあやせにも見て欲しく連れて来たのだった。
展望台からは現実の海が見え、海の上に様々な魚が写し出される。時折、空が変わりオーロラや空から差し込む七色の光などは、天使が舞い降りて来そうな風景だった。
現実と3Dの融合風景が幻想的だった。
「ふふ、凄いですね~ 幻想的な雰囲気と現実が混ざりあってとても神秘的です~」
あやせが喜んでくれてたので嬉しかった。
あやせは聞くのも話すのも上手く、会話が弾んでいく。
話に夢中になっている内に風が強くなってきて、展望台に風が吹き抜ける。
「ううぅ この場所は風が冷たいですね~」
展望台の上、しかも海が近くあるので風が余計に冷たく感じるのだろう。
「……ふぇっくち! くしゅん!」
「ふぁ~ さ、さむぅ…… 真冬に外での立ち話はきついですね~」
「ごめん!」
「違うんです! 手足が冷たいんです…… わたし、冷え性で……」
「ひとまず、カフェにでも行こう! 風邪でも引いたら大変だ」
園内のカフェで珈琲と紅茶を頼み、冷えた体を温める。
「わたし、秋口から春先までずっとおこたに入っているんですよ」
「え、そんなに?」
「流石に部室や教室には、おこたはないですからいつも寒くて……」
「冬なんかは足が冷たくて寝れないですし」
「本当に、ほんっーーーとに冷たいですよ~」
「試してみますか?」
「え?」
あやせは急に手を握り、指を絡めてきた!
「ほら~ どうすでか? 本当に冷たいでしょう?」
確かに想像していたより手が冷たい…… こうも手をしっかり握られると照れる。
「銀河君、すごくあったいですわ~」
「温まるまで、もう少し握っていていいですか?」
「良いよ」
あやせの体が暖まったら、もう少し遊園地を回って見ようと思う。
その後、なるべく外のアトラクションは避けて、園内のテナントで買い物したりしてデートを楽しんだ。
「さて、最後にあれに乗ろうか」
観覧車に向かい歩き出す。もちろんあやせが寒く無いように手をしっかり握ってあげる。
「綺麗ですね~」
夕暮れ近くで、海に日が沈もうとしているのが観覧車から見える。
「今日はバレンタインデーなのに、お世話になってばかりですね」
「海外の方では、バレンタインデーは恋人同士で過ごすみたいだから気にする事は無いよ」
「そうですね…… でもそう言う訳には行かないのでこれをどうぞ!」
あやせが銀色の鍵を渡してくる。持つところがハート型になっていて可愛い感じだった。
「私からのプレゼントです~ 今日のお礼も兼ねていますけどね~」
「帰りに園内のイベントブースにコインロッカーがあるのでそこで使って下さい」
「分かった。後で使ってみるよ」
観覧車が回り終わろうとしていた。
「ふぅ、今日は楽しかったです~ これもあなたのおかげですね」
「色々と恋愛について分かった気がします!」
「好きな人と一緒にいれば、買い物でも何気ない会話でもどんな場所でも楽しいと思える……」
「これがデートですね……」
「想像していたのとは違ったらごめん! 俺も初めてでよく分からなくて……」
「いえいえ、デートとは楽しいものだなと、改めて実感していただけですよ」
「今日はありがとうございました~ とても楽しかったです」
日が沈むと同じく、観覧車もちょうど終わり二人とも降りる。
「さて帰りましょうか、私は先に学園に帰ります」
「銀河君はプレゼント忘れ無いように~」
あやせは今までずっと握っていた手を急に離す。
「これで、私たちの恋人関係も終わりですね。少しだけという約束でしたから……」
辺りが薄暗く、あやせの表情がよく見えなかった。
そう言うと、あやせは俺に背を向けて出口に向かって歩き始める。素っ気ない感じを受け、急に寂しくなっていたがあやせの背中を見送りつつ、イベントコーナーに向かう。
イベントコーナーには、沢山のコインロッカーが並んでいた。
それぞれ鍵の型にあったロッカーがあり、そこに鍵を差し込みプレゼントを取り出す仕組みらしい。
プレゼントを直接渡すのではなく、演出として渡す仕組みなのか……
渡された鍵の型に合うハートのロッカーを探す。
「あった。ここか!」
鍵を差して回すとロッカーが開き、中にはプレゼントと手紙が入っていた。
手紙を手に取り開ける。
しかし、いつの間に手紙なんか書いたんだろう?
手紙に書かれていたのは……
デートのお礼と俺がすごく優しい人だったと……
本当は歓談部のみんなが嬉しそうに話しているので、どんな人か? ずっと前から気になって遠くから見ていたと……
実際、会って話してみると楽しかったと……
みんなが、噂する理由も分かったと……
そして、いつの間にか好きになっていたと……
でも、俺は皆から好かれていて、独占してはいけない人だと書かれてあった。
読んでいる内に胸の奥が熱くなってきた…… 今日のデートの事が思い出される…… あやせの笑顔……仕草…… 楽しかった自分がいる。
「言わないと……」
あやせを探しに、急いで遊園地の外に出るが姿は見当たらない。
バス停か…… まだ間に合うはず!
体内に魔力を流し体を活性化させる。肉体強化の魔法を使い全力で走りだす!
「いた、あやせ!」
あやせはバスを来るのを待っていた。
「銀河君…… どうして来たの…… 平常時の魔法行使は校則違反ですよ……」
街灯の光で今度は、あやせの顔がはっきり見える…… 涙を流しながら立っていた。
「そんな事はどうでもいい!」
あやせを無理やり抱き締める。
「あやせのことが好きだ! 本当の彼女になって欲しい!」
「……手紙に書いた通りですよ~ 皆の銀河君ですから~ 私が独占する訳にはいかないです」
「俺は、あやせじゃなきゃ嫌だ! 他の誰でもない! あやせがいいんだ」
「銀河君……」
それでもあやせは悩んでいるようだった。
「ああぁ~ もう! どうして伝わらないかな!」
抱き締めていたあやせを離し、貰ったプレゼントを開ける。
袋の中には、ハート型チョコレート数個入っているBOXタイプだった。
一粒、取りだし口に中に入れる。
そしてもう一度、あやせを抱き締めて…… 強引にキスをする。
そのままチョコレートを口移しする……
しばらく2人はチョコレートの甘さと、キスに身を任せた……
「あやせ! 俺はあやせと、このチョコレートより甘い関係になりたい!」
「強引ですよ…… しかもキスまでされて…… 断る訳にいかないじゃないですか~」
「……はい、私を本当の彼女にして下さい」
ヘッドライトの光が二人を包み、バスが到着を知らせる。
二人とも学園に着くまで、しっかり手を握り離さないでいた。
END
ミニ話 カット編
夏海
「は! ネタの臭いがする!」
廊下の角からこっそり顔をだすと…… 転校生と海老名あやせが仲良く話している。明後日のバレンタインデーに関係あるのか?
スクープだ!!
見出しは……『転校生に彼女が出来る!!』
週明けにどうなったか? 取材しよっと~
週明け速攻で、あやせとの関係かバレるのだった……
もも
「美味しいチョコレートはいかがでしょうか~」
チョコの店頭販売のアルバイトしている。
「チョコレートはいかが…… あれ?」
あそこを歩いているのは先輩?
「先輩~ ッ……」腕を組んで歩いている隣の女性は?
あやせ先輩だ…… 二人は恋人関係なのかな?
「羨ましいな…… 先輩の隣……」
エミリア
「今日はチョコドーナッツをたくさん買ってしまいました…… はぁ~、ついついこんなに…… 食べきれるかな?」
「そうだ、歓談部の皆に分けてあげようかな~」
「あれ? あそこに居るのはあやせさん?」
カフェテリアで食事をしている…… 向かい側の男性は誰だろう? 後ろ姿で分からない。
「お邪魔しては悪いから明日、聞いてみよう。彼氏さんかな?」
次の日、あやせが口を滑らせて付き合っているのが速攻でバレるのだった。
氷川紗妃
美味しいチョコスコーンを買って、学園に戻ろうとするとデバイスに反応が現れる!
「誰か? 近くで魔法を使いましたね!」
「校則違反です! 確か…… この辺りだと思いますが……」
「ッ…… ハレンチな……」
辺りが暗い上に遠目なので、はっきり分からないが男女が抱き合いキスをしている様に見える。
「学園の生徒でしょうか?…… 間違えたら恥ずかしいですが…… ここは意を決して行きます!」
「もし学園の生徒なら速攻で、懲罰房行き確定です!」
信号待ちをしている内に、二人はバスに乗ってしまった。
「く!逃がしましたか……」
等々、まだ沢山のありますが長文なる為、カットしたお話一部でした。
いつもお読みいただきありがとうございますm(__)m
番外も増えてきました。メインストーリーとは別に色々と試しているので楽しんで下さい。
次回の番外編もよろしくお願いします。
2016/11/4 一部加筆、修正済み