私立グリモワール魔法学園~Another story   作:風飛の丘

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独自解釈、独自設定により原作を大切にされている方はご遠慮下さい。主人公はオリ主。
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。

1話短編恋愛物語
番外編

今回は彼女に頑張ってもらいました。

ではどうぞ~



グリモア 番外5 エイプリルフール 編

いつものように学園へ登校し、下駄箱を開けると1通の薄青色の手紙が入っていた。

 

これは…… もしや伝説のラブレターか?

 

周りに誰もいない事を確認し、すぐさま制服の内ポケット入れ校舎裏で手紙を開けて見る。

 

携帯電話がある時代に、古風だなと思いながら少し期待している自分がいた。

 

慎重に手紙を開く……

手紙の内容は、昼休みに屋上に来て欲しい。大事な話があるとだけ書かれてあった。

差出人は不明だ。

 

期待してたのは、誰かからのラブレターで「好きです!」とか書いてあるのかと思ったのだ……

 

そんなマンガの様な出来事は無い…… と思いながら昼休みに屋上へ向かうのだった。

 

屋上に行くとそこには…… 朱鷺坂チトセがいた。

 

「ごめんなさい。手紙で呼び出したのは私よ」

「ちょっと大事な話があって、他の人には見られたくないから屋上を指定したのよ」

 

「だって来栖君、人気ものなんだもん」

 

「そうなのかな? そんな事は無いと思うけど?」

 

「分かってないわね…… 意外と鈍いのかな?」

 

「酷い言われようだけど、大事な話って?」

 

「ええ、それなんだけど……」

 

 

「来栖君の事が好きなの! 付き合って欲しいな~」

 

 

「……え?」

本当にマンガみたいな展開で言われ、驚いてしまう。

 

「だから、好きなの! 付き合って欲しいの!」

「恥ずかしいから何度も言わせないでよ……」

チトセは顔を赤らめながら言う。

 

「ええっと…… 嘘だよね? 冗談?」

 

「結構、勇気出して言ったつもりだったんだけどな~」

 

チトセは拗ねたような顔をして、俺の顔を覗き込んできた。

 

「いえ、そんな事はありません。素直に嬉しいです」

つい敬語で答えてしまう。

 

「なら、来栖君の返事は?」

 

「喜んで、俺も前から好きでした」

勢いで言ってしまったが、実は前から美人で大人の女性? お姉さんぽい雰囲気を出しているチトセに惹かれていたのだった。

 

「……」

「へ~ そうなんだ。意外な事実が発覚したわ」

「ちょと、からかうつもりだったんだけどな~」

「ごめんなさい。嘘です。付き合えないわ」

 

速攻で振られてしまった…… と言うかチトセから言ってきたのに!

 

「エイプリルフールだから…… まさか本気にするなんて思わなくて、ごめんなさい」

 

「へ~ でもそんな風に私を見ていたのね」

 

「い、いや…… 俺もエイプリルフールだと思って冗談で返事したつもりだから!」

 

完全に忘れていた…… 今日は4月1日だった!

 

くそー、 本気にしてしまったとは言えない

 

「あら? なら私も騙されたと言う事ね。ならお互い様と言うことでいいかな?」

 

「でも、私が騙したお詫びと言う事で、放課後に私とデートしない? これは嘘じゃないからね。どうかな?」

 

チトセを疑いの眼差しで見るが、特に用事も無いのでOKする。

 

「良かった。放課後、校門の前で待ってるわ」

 

その後、教室戻るとクラスで騙し合が繰り広げられていた。

どうやらみんなは午前中だと警戒され、だまされないと考え、午前中は普段通りに振る舞っていたらしい。

 

みんな…… そんな本気にならなくても…… 怖いな。

 

□□□

放課後、校門前

 

「さて、行きましょうか。バスの時間あるかな~」

 

時刻表を見るとちょうど良い時間のが無く、次のバスは1時間後になっていた。

 

「それなら、私の自転車で行きましょう」

「乗せて上げるわ」

 

「え? 大丈夫なの」

 

「平気、平気、山道の下り坂だから大丈夫だよ」

そう言ってチトセは自転車を取りに行ってしまう。

 

すると学園内から越水ソフィアが車でやって来た。

あれ? あの車は……

 

「はろー、来栖さん。これが昼に言っていた、新型のお風呂です!」

 

「え? 嘘じゃ無いんだ……」

昼休みにソフィアと会い、新型の車型お風呂を完成したと言っていたが……

 

「にゅーましんです」

「JGJ開発のフォルクスダーゲンバス! キャンプ、ドライブ、BBQなどに最適、最大8人まで入浴出来るすぐれ物です」

 

確かに良く見ると、車の後ろはすべて風呂になっている……

 

「来栖さん、今度一緒に入りましょうね」

「それでは、他の人にも見せるので、しーゆー」

ソフィアは校庭の方へ向かっていた。

 

 

何が本当で、何が嘘か分からなくなってきた……

 

 

「お待たせ。あら? どうかしたの?」

 

「いや…… 何でもない。ちょっと凄いものを見ただけだから……」

 

「ほら、早く後ろに乗って乗って」

 

「俺が後ろでいいの? 前に乗ろうか?」

 

「気にしないで私の自転車だし」

 

仕方がないので、言われるがままに後ろに乗る。

 

「そんなんじゃ、落ちるから私にしがみついていいよ」

 

チトセはさらっと言うが、女の子に密着する訳にはいかない。

 

「早く、行きましょう?」

 

催促されてるし、変に意識するとあれなので気にしないようして、チトセの体に手を回す。

チトセは温かく柔らかかった。長い髪からは甘い香りしてきて、危なく本気で後ろから抱き締めてしまいそうになる。

 

□□□

風飛市内

 

「今日、デートに誘ったのはケータイ買おうと思って、私の1人だと何が良いか? 分からないし」

「持ってないと不便な事に気づいたのよ。今日だって手紙を書いて連絡したしね。ケータイがあればメールとか電話出来るでしょ?」

 

「選ぶの手伝って欲しいな~」

 

「学園のデバイスでいいんじゃない?」

素朴な疑問を聞いてみる。

 

「君だって個人のケータイもってるでしょ。まあ、君の場合は女の子と電話する為に持ってるような物だと思うけど」

「そうえいば、結構な女たらしだって聞いてるよ?」

 

「だ、誰がそんな事を……」

 

「ええと、誰だったかな…… 風紀委員の氷川さん!」

「あなたには注意するように指導されたわよ」

「この学園は女の子が多いから、来栖君は女たらしに見えるのね」

 

氷川…… 後で覚えてろよ。

 

 

「じゃあ、探しに行こう」

 

2人で携帯SHOPに行き、あれこれとみて回る。

選ぶのに時間が掛かったが、何とかチトセが気に入ったのを見つける事ができ、今は近くのコーヒーSHOPに来ていた。

 

「疲れた~ あんなに種類あるとは思わなかったわ」

「しかも見た目や機能はそんなに変わらないしね」

 

「それじゃ、早速メールアドレス交換しましょう」

 

「え?」

想い人からアドレス交換を希望され一瞬驚いてしまう。

 

「いいじゃない。どうせ、いっぱい女の子の入っているんでしょ? 1人増えるぐらい、問題ないでしょ?」

 

「あと、これ電話番号ね」

 

「え?」

そんなに簡単に男子に教えていいの?

 

「それとも何? お目当ての子がいるの?」

「それなら邪魔しないようにするわ」

 

「そんな人はいません!」

 

「なら問題なし! じゃあ、何かあったら連絡するわ」

 

その後、チトセと一緒に街でウインドショッピングしたりして楽しく過ごした。

 

「ふぅ~ 久々に楽しい1日だったわ」

夕暮れになりそろそろ学園に帰ろうとしていた。

 

「俺もだよ。最近クエストばっかりしてたからな~ 全然、遊んでなかったかも」

 

「いつもご苦労様です」

「それじゃ、学園に戻りましょう。今度は来栖君が自転車を運転してね」

 

「了解~」

来た時とは逆に、チトセが俺にしがみついて来る。

 

しばらく2人は黙って帰路についていたが、突然チトセが背中越しに話しかけてきた。

 

「来栖君、私と付き合って欲しいの…… 貴方のことが好き」

後ろにチトセが乗っているので、表情はわからないが

 

「俺もチトセが好きだから両想いだね。嬉しいよ」

エイプリルフールだから気軽に答える。

2度も同じ嘘では、騙されない。

 

「来栖君、自転車止めて!」

自転車を止め後ろを振り返るとチトセと目が合う。

 

「私は本気で言ってるんだよ!」

 

「もう、その手のウソには騙されないよ」

 

「やっぱり、信じてくれないんだ……」

「もういい! 1人で帰る!」

チトセは怒りながら、飛行魔法を使い学園の方へ飛んでいった。

 

「何だよ…… 何が本当で、何が嘘か分からないじゃないか……」

 

夕暮れ時、自転車乗りなから学園に戻る。

 

さて、チトセを怒らせてしまったが、どうしようと考える。

 

1人、屋上に行きメールを打ち送信する。

 

【チトセに会って話たい事があるから、屋上で待っている】

 

しばらく間、1人で黄昏ているとチトセが屋上にやって来た。

 

「何のようかしら?」

まだ怒っているようだったが一気に伝える。

 

「チトセの事が好きだ! 俺と付き合って欲しい」

本気で告白する。

 

「何それ? 昼間の仕返しのつもり?」

チトセは頭に血がのぼっていているのか? まったく話を聞いてくれなかった。

 

「仕方がない……」

「今日はエイプリルフール。お互い何を言っても嘘に聞こえるから魔法を使わせてもらうよ」

 

「え?」

 

大して魔法を使えない俺が魔法を使う。

 

 

チトセに近づき、強引に抱き締めてキスをする。

 

「これが本当の気持ち! こうでもしないと伝わらないと思って…… 強引でごめん」

 

「それとこれを」

先程、市内でこっそり買っていた物をチトセに渡す。

 

「今日、チトセとデート出来たから記念のプレゼントだよ」

 

「開けてもいい?」

 

袋の中身はシルバーアクセサリーのネックレス。十字架がアクセントになっている代物だった。

 

「……私こそ、ごめんなさい。こんな日に告白するなんて……」

「でも貴方の回りには、素敵な女性が多くいるから…… 私じゃ釣り合わないかなと思って……」

 

「それで今日なら告白して、駄目なら嘘で誤魔化せるかなと考えたの……」

「お昼時も、付き合って欲しいと言われて嬉しかったけど、急に怖くなって誤魔化しちゃった。私が幸せになっていいのかなって考えちゃって……」

 

「でも、今はすごく嬉しい。プレゼントありがとう」

 

「私も魔法を使うわ」

今度は、チトセの方からキスをしてくる。

 

「これが返事…… 私も本当に、君の事が好きだよ」

 

エイプリルフールですれ違っていた気持ちは、何とか1つになることが出来た。

END




いつもお読み頂きありがとうございますm(__)m

エイプリルフールに告白は駄目ですよ!と言う物語でした。

番外編は、また何かのイベント際には書いて行きたいと思います。

2016/11/5 一部加筆、修正済み

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