私立グリモワール魔法学園~Another story   作:風飛の丘

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独自解釈、独自設定により原作を大切にされている方はご遠慮下さい。主人公はオリ主、不定期投稿、各専門用語については後書きにて補足。
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。

2017.1.1
今年、最初の投稿です。
本年も何とか続けて書いて行きたいと思いますので、よろしくお願い致します。

1話限定、恋愛物語
定番の彼女に頑張ってもらいました。
では、どうぞ~



グリモア 番外10 初詣 2017 編

トンネルを抜けると、自分の席から見える窓の外には、海が広がり反対側の窓からは山々が見えて来る。間もなく予定の駅に着くはずだった。

そして目の前の席には神凪 怜が、姿勢正しく座り海の方を眺めていた。

 

神凪 怜

17歳 身長165㎝ 体重54㎏ B85 W56 H82 特技:剣技

 

「そろそろ到着だ。駅からバスで山の方へ向かうと目的の神社がある。うちの姉妹神社だ」

 

怜と一緒に、元旦から神社を手伝うクエストを受けていたのだった。クエストと言っても、学園から出ている正式なクエストでは無く、神凪神社の神主、怜のお父さんからの個人的な依頼だった。

 

曰く。怜を姉妹神社の応援に行かせるのは良いが、一人で遠くまで行かせるのは心配で、付き添いがてら先方の神社でアルバイトしてくれる人を探していたと。そして俺に白羽の矢が立ったらしい。

神凪神社が魔物に襲われた際に色々とあり、神主と面識もあった為、指名されたのだろう。

 

断る事も出来たが、正月早々に片想いの人とデート?が出来るなら断る理由は、全く無かったのだった。

 

「今日の仕事は夕方からだよな? 下見を兼ねて、参拝しながら神社を見てみないか?」

 

「そうだな。私も毎年、神凪神社で手伝いをしていて、一般客の様に参拝をした事が無いから丁度良い。新鮮な気持ちで参拝出来そうだよ」

怜は心良く、了承してくれる。

 

そして、このチャンスに怜に思いきって告白しようと思っているのだった。

 

□□□

バス停

「やっと到着だな。結構、山の奥の方まで来たな~」

それなりの時間をバスで過ごし、体が固くなっていた。

 

「すまんな。元旦から手伝いとは…… 父が無理なお願いをしてしまって…… 本来、断っても良かったんだぞ」

 

「そんな事は無いよ。予定があった訳でも無いから平気なんだ」

 

「なら良いんだが…… 私としては嬉し…… 助かったのだが。まずは、新年のお参りと行こう」

 

バス停から上を見上げると、長い石畳の階段がなかり上まで続く。そして人の混雑が凄かった。

 

「流石は元旦、初日だけあって混んでるな……」

怜は俺の隣を歩いていたが、人混みの多さでどんどん近寄ってきて、肩が触れる位まで近寄って来ていた。

 

「怜、混んで来たからはぐれないように手を繋いでもいいか?」

勇気を出して言ってみた。

 

「は、破廉恥な…… しかし、致し方が無いな…… よし、手を繋ごう!」

怜の手を取り二人で長い階段を登って行く。そして、怜の手の温かさとこの瞬間の幸せを実感していた。

 

「ふぅ、なんとか着いたな」

 

「確かに人混みでこれ程、体力を消耗するとは…… 普段、経験出来ない事だな。皆、こうした思いで参拝に来るものだったとは……」

 

「我々もさっそく参拝をしよう。来栖君、参拝の作法は分かるのか?」

 

「何となくしか、分からないかも……」

 

「なら、私の真似をすれば良い。最初はあれだ」

指を指す先には、水舎があった。

 

「右手に柄杓を持って水をすくい、まずは左手に水をかける。その次は……」

流れる様な仕草と怜の横顔に思わず見惚れてしまう。

 

「あ、あんまりじっと見ないでくれ! は、恥ずかしいじゃないか……」

 

「ご、ごめん。つい」

見惚れてた!とは言えなかった。

 

「次は境内の方だが…… 混んでるな」

怜の言う通り混んでいたが、列に沿って順番を待つことにした。

 

「怜、寒くは無いか?」

 

「大丈夫だ! て、手が温かいから体も温かくなっている!!」

顔を真っ赤にしている怜がとても可愛かった。余程、手を繋ぐのが恥ずかしいのだろう。

 

待っている間、他愛も無い話を二人で話しているとあっという間に自分達の番が回って来た。

 

「合掌、お辞儀、鈴を鳴らして二礼二拍一礼する。私の動きを見て真似をしてくれ」

 

怜の動作を良く見ながら真似をする。

 

「ほら、作法に気を取られて祈願を忘れないようにな」

 

危ない、危ない忘れる所だった。

 

今日の告白が上手くいきますように……

 

「よし、後はおみぐしを引いて今年の運勢を占ってみよう」

怜に促されて、おみくじを買ってみることにした。

 

「中吉……」

あまり良い事は書いていないが、悪い事も書かれていなかった。自分の努力次第と言う事か……

 

「私は…… 大吉だ。まぁ、大吉が一番多いからな…… 他の人には秘密だぞ」

「しかし、だからと言って良い事ばかり書いてある訳ではない。大事なのは書かれている事を見て、正しく生きる事が大事なのだ」

 

「さて、私の方は……こ、これは…… 貴方の側にいる人こそ、幸福を与えるか……」

 

「うん? 今何か言った?」

怜の呟くような声が聞こえたので尋ねてみた。

「ば、ばか!来るな。何でもない!」

酷い言われようだった。何が不味い事でも書いてあったのだろうか……

 

「わ、わかった。気にしない! それよりお腹が空いて来たから屋台で何か食べよう!」

 

「……そうだな。それがいいな」

 

再び、怜に手を差し伸べる。それに答えるように手を握り返してくれる。もう、最初の恥ずかしさは二人とも無かった。ごく自然に手を繋ぎ屋台に向かう。

 

屋台は所狭しと並んでいて、ここにも沢山の人が集まっていた。それでも然程、並ぶ事なくたこ焼きや焼きそば等を買って二人で仲良く食べた。

 

「何か飲み物を買って来るから待ってて」

急いで目的の物を買いに行く。先程、見かけて買おうと思っていた物があるのだった。

 

「すみません。これ2つ下さい」

 

買ってきたのは、縁結びにご利益のある御守りだった。

ここの神社には、有名な縁結びの神様を祀ってあるらしい。

 

「はい、お待たせ」

怜に買って来た甘酒を渡す。

 

「すまない。ありがとう…… これは甘酒か? そう言えば内の神社でも売っているが、飲んだ事が無かったな」

怜は一口飲んだ後、さらに二口目、三口目と飲んで行く。

「これは…… 凄く美味しい上に体が温まるな」

更にどんどん飲んで行くにつれて、先程と違う意味で顔が赤くなっていた。

 

「大丈夫なのか?」

 

「…………」

怜はこちらをジーと見つめていたと思ったら急に飛び掛かる様に、腕にしがみ付いて来た。

 

怜の柔らかい胸が腕に押し付けらる。見た目よりボリュームがあった。

 

「怜、当たってる!胸が……」

 

「照れて…… 可愛いな…… すごーく、楽しい気分だ」

「あれ? 銀河君が二人に見えるぞ!? 服部から忍法でも教わったのか?? 私にも教えて欲しい……」

 

駄目だ完全、酔ってるな…… まさか、甘酒で酔うとは思いもよらなかった。

 

「これを飲むんだ!」

持ち歩いていた水のペットボトルを渡す。

 

「落ち着くまで待つか……」

 

その後、酔いが冷めるまで怜は腕を離してくれなかった。

 

後日、神主に聞いた所、以前に飲ませてた事があるらしいが危険だった為それ以来、飲ませ無い様にしていたらしい。

 

□□□

 

「夕方まで時間があるな…… どうしようか?」

すっかり目が覚めた怜に何か?あるか聞いてみる。

 

「そうだな…… 神社脇の道路を登ると開けた広場に出る。本来は初日の出を見る所だが、海と街が一望出来るぞ。行ってみるか?」

 

「それは楽しみだ。行ってみよう」

 

□□□

展望広場

 

「流石に、この時間だと下の神社よりは空いているな……」

「凄くいい景色で、気持ちが落ち着くな~」

怜の言う通り広い海と街が一望する事が出来た。

 

「そうだろう。私もこちらに用事がある時は、必ず寄るんだ。来栖君にも見て欲しかったんだ」

 

二人で海を見つめながら世間話をして行く。

 

このタイミングしか無いな……

 

「怜、話を聞いて欲しい事があるんだ」

 

「なんだ? 急に改まって」

 

「ずっと前から怜の事が好きなんだ。俺と付き合って欲しい」

 

「な、な、何を言っているんだ! 校則違反!……違反では無いな…… しかし……」

 

「怜の優しい所、皆を守りたいと言う心に惹かれたんだ」

 

「わ、私で良いのだろうか……」

 

「怜しかいないんだ!」

 

「そうか…… 私もお前の事が気になっていた。これからよろしく頼む」

 

「良かったぁ~。駄目かと思っていたから…… 今日の記念に、これをプレゼントするよ」

先程、買っていた御守りを渡す。

 

「これは、縁結びの御守りか…… 有り難くいただく事にする」

 

「そ、それで晴れて来栖君の彼女になった訳だが…… 何をしたら良いのか? まったく分からん。何せ、私はこう言う事は疎くてな……」

 

「無理して、何か特別な事をする必要性は無いよ」

 

「普段、通りで良いのか?」

 

「うんうん。でもせっかくだから…… 目をつぶって動かないで欲しい」

 

「うん? こうか?」

 

目を閉じた怜に近寄り、唇にそっとキスをする。

 

「え?! と、突然何をする! こんな公衆の面前で…… は、恥ずかしくは無いのか……」

 

「駄目だったかな?」

 

「だ、駄目では無いが……いや、駄目だ! するなら人の見ていない所で…… 頼む」

顔を真っ赤にさせながら怜は言う。キスをする事は駄目では無いようだった。

 

「もう少ししたら神社の手伝いに行こう。それまではこの辺りを散策を続けよう」

 

「分かった。それでは腕を借りるぞ……」

 

怜の巫女姿に期待しながら今度は腕を組んで散歩して行く。

 

END

 




いつもお読みいただきありがとう御座います。

昨年同様のペースで、掲載出来たらいいなと思いながら今年も頑張って行きますm(__)m



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