私立グリモワール魔法学園~Another story   作:風飛の丘

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独自解釈、独自設定により原作を大切にされている方はご遠慮下さい。主人公はオリ主、不定期投稿、各専門用語については後書きにて補足。
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。

多忙で中々、投稿出来ていませんが何とか番外編を投稿しました。
今年のValentineは彼女にしました。

では、どうぞ~


グリモア 番外11 Valentine 2017 編

2017年Valentine

 

「うん? どうかした?」

 

「いえ! な、なんでも無いです」

 

「なら…… いいんだけど……」

さっきからこちらの方を何度も見ていたので、聞いて見たが何もないと言われるとこれ以上、追求しても仕方がない。

 

「クエストお疲れ様。この後、予定とかある?」

 

「特に予定は無いです。部屋に戻って本でも読もうかなと思ってましたが……」

 

「もし良かったら水族館に行って見ない?」

 

「水族館ですか? い、行きます! 私、行った事が無いので行って見たいです」

 

「よし、決まりだ! 一端、寮に戻って支度してから出掛けよう」

 

「は、はい。よろしくお願いします」

 

今日のクエストは霧塚 萌木と一緒で、学園近くに出現した魔物の討伐だったが、魔物が弱く簡単に終わってしまい、その結果かなり時間が余ってしまったのだった。

 

勿論、それだけでは無く以前から気になっていた萌木と一緒にデートをしたかったのだった。

 

霧塚萌木 15歳 身長154㎝ 体重45g B77 W54 H78

趣味 読書 人見知りで、普段からおとなしく本が大好きな彼女だった。

 

 

□□□

水族館

 

平日と言う事もあり、来場客は少なく水族館はほぼ貸切状態だった。

 

「さて、何から見て回るかな……」

 

「来栖君、あ、あれ見てください! 大きな鮫です」

萌木が指差す方を見ると、大きな回遊水槽の中に小さな魚から大きな魚など様々な魚達が流れるプールの様な所で仲良く泳いでいた。

 

「鮫か…… 何であの小さな魚達は無事なんだろうな? 食べられたりしないのか?」

ふと疑問に思った事を口にする。

 

「鮫は肉食系ですけど、種類によっては通常、プランクトンやカニ、貝等を食べるんですよ。でも弱っている魚は食べられちゃったりしますけどね」

 

「流石だな、何でも知ってるんだな」

改めて萌木の知識の広さに驚く。

 

「そ、そんな事は無いです。たまたま本を読んで、知っていただけですから……」

 

顔を真っ赤にしながら照れている萌木は可愛な……

 

 

さて、次は何を見ようかな…… あれは? 1枚のポスターを見つけ書かれている内容を読んでみる。

 

バレンタイン限定企画! 二人で仲良く魚達に、餌をプレゼントしよう!と書かれていた。どうやら体験型イベントの様だった。

 

「萌木、次はここに行って見よう」

ポスターを指差しながら萌木を誘って見る。

 

「バ、バレンタイン!? 企画」

 

萌木は驚いていたが、魚達に餌をあげて見たいと言う事で一緒に体験してみる事にした。

行って見ると、小さな水槽の中には色鮮やかなエンジェルフィッシュが泳いでいて、それに餌をあげる簡単な企画だったが、バレンタイン企画なので餌がピンク色のハートの形をしていた。

 

 

「萌木、入れるぞ!」

 

「は、はい。ゆっくりお願いします……」

 

「あ、やっぱり、ちょっと待って下さい」

 

「え、駄目なのか?」

 

「タイミングが…… 難しいです」

 

 

ハート型の餌を二人で掴みながらエンジェルフィッシュを驚かせない様に、そっと水槽の中に落とす。

 

「ふぅー、なんとか出来たな」

 

「はい。泳いでいるから難しかったですけど、なんとか出来ました。あ、餌を食べ始めましたよ」

餌を食べている姿を二人で眺めながら、まったりとした時間が流れて行った。

 

「よし、次はトンネルの方に行ってみようか」

 

「はい」

 

水槽の下を潜るようにトンネルがあり、水槽の中が一望出来る様になっていた。気づくと魚達が間近に迫っていて迫力があった。

 

「来栖君、あそこを見て下さい。クラゲです!」

 

「ハート形をしているクラゲ?!」

そこには、沢山のハートの形をしたクラゲがユラユラと泳いでいた。そして、その姿がライトアップされていて幻想的な雰囲気を見ることが出来た。

そして、隣を見ると萌木は真剣にクラゲを眺めていた。

 

今日は、上手く萌木をデートに誘う事が出来きただけで嬉しいけど、本当は萌木からチョコレートをもらえたら嬉しいな…… 最初に出会った時よりは大分、仲良くなっていると思うんだけど…… まぁ、それは贅沢と言う物だと思いながら萌木の横顔を眺めていた。

 

 

「く、来栖君! 私の顔に何か? 付いてますか?!」

「ずっと私を見ている様で…… あ、勘違いだったらごめんなさい」

 

「可愛なぁと……」

しまった!! 思わず声に出してしまった!

 

「え? あ! クラゲ達、可愛いですよね」

 

「あ、あぁ、そうだね!!」

 

危なかった…… 萌木の勘違いで事なきを得たが萌木は案外、鈍い所があった。

 

その後、ベンギンのパレード等を見たり館内を色々と回って二人だけの時間を楽しんで行った。時折、萌木は俺の方を見て何か言いたげだったが、特別何も言って来なかった。

不思議に思いながら楽しい時間も終わりが迫って来ていた。

残念だがあまり遅くなるのも問題なので、萌木に声をかけバスに乗って学園に帰る事にした。

 

「今日はとても楽しかったです。いつもは室内で本を読んでる事が多いので、新鮮な1日でした」

 

「なら良かった。誘った甲斐があったよ。また今度、二人で出掛けよう」

今後も普通に誘える様に勇気を出して言ってみた。

 

「はい、私で良ければ誘って下さい」

萌木は心良く許諾してくれた。

 

心の中で、これでいつでも誘える理由が出来たと思いつつ、バレンタインにデートに誘って断られないと言う事は、一歩前進したかな? と思った。

 

バスが到着し、楽しかったデートも終わりに近づく。

 

学園前のバス停に着く頃には、既に日が落ち辺りは暗くなっていた。

 

「今日はありがとう御座います。凄く楽しかったです」

 

「俺も凄く楽しかったよ」

「さて、寮に戻ろう。あんまり遅いと風紀委員に怒られる」

俺はまだ一緒に居たかったが、萌木を巻き添えにするつもりはなかった。

 

「は、はい……」

ふと気がつくと萌木は俺の事を見ていた。やはり何か言いたい事があるのだろうか?

 

「どうかした?」

 

「な、何でも無いです。帰りましょう」

 

 

□□□

 

部屋に戻り、デートの余韻に浸りながらくつろいでいるとデバイスにメールが届く。メールを確認すると萌木からだった。

 

【今から校門前に来て下さい。可能なら急いで下さい】

 

短い文書が書かれていた。

 

何かあったのか? 心配になり急いで着替え、校門前に向かう。

 

校門前まで走って来ると、既に萌木が待っていた。

 

「萌木、何かあったのか?」

急いで声をかける。

 

「来栖君、ご、ごめんない! 急に呼び出してしまって……」

 

「そんな事は気にしなくても良いけど、大丈夫? こんな夜更けに、風紀委員にでも見つかったら大変だよ」

学園の時計台の針は、間もなく0時を指そうとしていた。

 

「こ、こ、これを! 今日はバレンタインです」

綺麗にラッピングされたA4サイズの袋紙を渡される。

 

「あ、ありがとう。開けて見てもいいかな?」

萌木は顔を赤くしながら頷く。

 

袋紙を開けて見ると、絵本と可愛いハート型のチョコレートが入っていた。

 

「絵本は私のオススメです。後で読んで見て下さい」

「チ、チョコレートは昨日の内に作って、クエストに行く前に渡そうと思っていたけど……」

さらに顔を赤くした萌木は黙ってしまった。

 

「恥ずかしくて渡せなかった?」

萌木は頷く。

 

「それで、日が変わる前に渡そうとした?」

再び萌木は頷く。

 

「ありがとう。萌木から貰えて嬉しいよ」

 

今日、一日何度も俺の方を見て何か言いたげだったのは、これの事だと理解した。

 

暗闇でも分かるぐらい顔を赤くした萌木は顔を上げて、真剣に見つめて来る。

 

「来栖君、好きです。私とお付き合いして下さい」

 

その時、時計台から鐘の音が鳴る。日が変わる瞬間だった。

 

「はい、お姫様。そのお願い慎んでお受け致します」

絵本などて見て覚えていた、騎士風の礼をする。

 

「ほ、本当にいいですか?!」

自分から告白していて…… それはと思ったが……

 

「萌木の事は前から好きだった。俺の方こそよろしく頼む。凄く嬉しいよ」

 

彼女に近付き、腰に手を回し引寄せる。そしてキスをする。

最初は慌て動いていた萌木は、すぐに大人しくなり二人で長いキスを交わした。

 

「私も嬉しいです」

緊張感から解放されたのか? 萌木は、その場に座り込んでしまった。

 

「大丈夫か?」

 

「えへへ」

 

その時、暗闇から突然、声をかけられる。

 

「そこに誰か居るのですか? 門限は既に過ぎていますよ!」

 

まずい、風紀委員だ。暗闇でまだ俺達だとは気付いていないはず! しかしこのままだと確実に拘束されてしまう。

 

「逃げるぞ! あと、ごめん」

小声で萌木に声をかけ、座り込んでいた彼女をお姫様抱っこで抱える。

 

「え?! ひゃ!」

萌木は驚いてたが、逃げる為には仕方がない。

その場から萌木を抱え全力で逃げる!

 

「あなたち待ちなさい!」

風紀委員から制止の声が掛かるが無視する。

 

「あ、靴が……」

後ろを振り向くと萌木の片方の靴が落ちていたが、立ち止まる訳には行かずそのまま逃げ続ける。何とか風紀委員を撒いて、無事にそれぞれ自分達の部屋に戻る事が出来た。

 

最後はドタバタだったが、メールで萌木に彼女になってくれてうれしかった事とお休み挨拶をして寝るつもりだったが…… 嬉しくて中々、寝付けなかった。

 

□□□

翌日

 

朝、寝不足のまま登校すると、萌木が校門の前で待っていてくれた。

 

昨日、この場所で萌木とキスをしたのか……

などと思いながら一緒に登校し廊下を歩いていると、掲示板の所に人集りがあった。

 

掲示板を見ると……

 

風紀委員より連絡事項

昨晩、校門付近で逢い引きをしていたと思われる人物の片靴を拾いました。返却するので風紀委員室まで取りに来るように! また、心辺りの方は通報を待っています

と書かれていた。

 

「シンデレラ見たいですね」

萌木は苦笑しながら言う。

 

「それではお姫様。行きましょう」

掲示板の件は無視する事にしてその場を後にする。

 

END




いつもお読み頂きありがとうございますm(__)m

2月も多忙でまったく話を考えていないので、次回も投稿が遅れるかも知れませんがよろしくお願いします。

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