私立グリモワール魔法学園~Another story   作:風飛の丘

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独自解釈、独自設定により原作を大切にされている方はご遠慮下さい。主人公はオリ主、不定期投稿、各専門用語については後書きにて補足。
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。

夏も本番に突入! 7月が誕生日の彼女に、今回は決めました。
では、どうぞ~



グリモア 番外14 summer festival 編

毎日、照りつける太陽の日差しと蝉の鳴き声が一段と強くなって来ていた。間もなく夏休みがやって来る。

この夏、なんとか彼女と一緒に過ごせたらいいなと思いある計画を立てていた。

 

しかし、その彼女は皆からも好かれる高嶺の花だった。

そんな彼女をデートに誘う為、昼休み教室から出て来た彼女に声をかける。

 

「純、今いいか?」

 

「うん? 良いけど人目があるから屋上に来て。先に行ってるから」

ファッションモデルをしている彼女は、注目の的であり変な噂が立たないように常に注意しているので、いつも学園内では素っ気がなかった。

 

鳴海 純 165㎝ 体重49g B82 W55 H79

趣味:ゲーセン通い 特技:目押し

雑誌の表紙等を飾るトップモデルの一人だった。

 

□□□

屋上

 

「ごめんね。ここなら人目を気にせず話せるからさぁ」

「で、なに? ゲーセンの誘いとか?」

先程とは違い人目が無い時は、かなりフランクに接してくれる。

また、ストレス発散の為に一緒にゲーセンに行く仲でもあった。

 

「もうすぐ夏休みだろう? 外に出れる数少ないチャンスだから一緒に夏祭りでも行かないか? と思って。純は仕事で学園から出る機会が多いから、あまりそうは思わないかも知れないけど、どうかな?」

 

「いつもストレス発散に付き合ってもらってるからお礼を兼ねていいよ。もちろん仕事が入って無ければ、だけどさ」

 

想像してたよりあっさりOKを貰えた。人目があるから駄目とか言われるのも覚悟していたが……

 

「仕事が無い事を祈るよ。これも息抜きだと思って一緒に楽しんで来よう」

 

□□□

 

風飛市外で待ち合わせし、二人でバスに揺られながら港まで来ていた。

勿論、市外を待ち合わせにしてバスで移動したのも人目に付かない様に行動した結果だった。

念の為、純は帽子をかぶりサングラスをかけて、ちょっとした変装をしていた。

 

「さて、到着だ!」

 

「到着なのはいいけど…… この港、祭りぽいの何も無いよ? まさか場所、間違えたとかじゃないよね?」

純は辺りを見渡しながら尋ねて来る。

 

「ここで大丈夫だよ。こっちに来て」

 

少し歩くと船着場が見え、そこには大きな豪華客船が停まっていた。

 

「あれに乗るよ」

 

「ええぇー。大丈夫なの? 豪華そうだけど……? 入れるの?」

 

この日の為に、学園で仲が良い神宮寺初音に頼んで特別にチケットを手配してもらったのだった。

チケットを係の人に見せ、船内に入って行き改めて船内にある受付で搭乗の手続きを済ませる。

その後、純と俺は別々の部屋を係の人に案内されていた。

 

「お持たせ! ど、どうかな?」

少し照れた顔をした純が聞いて来る。

 

「浴衣姿、似合ってるよ。流石はモデルさん! 何着ても様になるね」

浴衣の色は個性的な印象を受ける黒を基調にカラフルな菊の花が描かれているタイプでいつもの純より大人びて見えた。

 

「ありがとう。銀河の甚平姿も様になってるじゃん」

 

夏限定イベントで、利用客に浴衣のレンタルサービスをしているのを事前に調べ知っていた。純を驚かせようと企んでいたのだった。

もっとも…… 1番の目的は、純の浴衣姿を見たい!と思っていたのもあるが、普段から外だと純が人目を気にしてしまうから気兼ね無く遊べて、変装する必要が無いこの場所を選んだのだった。

 

「この船、凄いね。浴衣のレンタルもそうだけど甲板に屋台もあるんだ」

 

「夏祭りらしくなって来たでしょ?」

 

「最初はどこに行くのか? 心配だったけど、こんなサプライズが待ってるとは…… あんた、やるじゃん!」

 

「喜んでもらえたらなら良かった。屋台の方に行ってみよう」

 

甲板の方に出ると、海の香りがはっきりと感じられる。

 

「何か食べる?」

移動や着替えに時間を取られ、既にお昼は過ぎている時間帯だった。

 

「うーん…… 先にあれ! あれにチャレンジして見たいんだけといいかな? 一度やって見たかったんだ」

純の指を差す方を見ると、沢山の屋台の中に色々な景品を並べてある射的の屋台があった。

 

□□□

射的

 

「何か欲しい景品とかある?」

コルク銃に弾のコルクを込めながら何気に聞いてみた。

 

「景品とかにあんまり興味無いけどさぁ。狙うならあの景品だよ」

純の言う景品とは、レトルゲームなのか? ジャイロファイトと書かれてあった。絵から想像するに格闘ゲームの様だった。

 

「よーし! 気合入れますか!」

純は狙いを定めて、一発目のコルク弾を打ち出すが景品には当たらなかった。

 

「うーん。これでどうかな?!」

二発目、三発目、四発目も惜しい所まで飛んで行くが景品には当たらなかった。

 

「あちゃー。後、一発かぁ ギリギリまで近づか無いと駄目かな……」

そう言うと純は急に射的台の上に座り、片腕を伸ばせるだけ伸ばし銃を景品に向けギリギリまで近づける。

 

「気をつけて、落ちるないでくれよ」

落ちないか? 心配で純を見ると…… 浴衣の裾から綺麗な長い脚が見え、胸元からは青色の下着が見え隠れてしていた。そんな純から目を離せないでいると……

 

「やったー! 当たった! 見た? 見た?」

景品を見事に落とした純が喜んでいた。

 

「う、うん…… 確かに見たよ」

生返事で答えると、純も俺の目線で気付いたのか? 自分の浴衣姿を見る…… 急に顔が赤くなり此方を睨む様に言う。

 

「エッチ! スケベ!」

 

本気で怒っている様子はなかったので、ひと安心だが次から気をつけようと思いつつ、自分も射的にチャレンジしてある物を狙った。

 

その後、色々な屋台を見て回りながら夏祭り特有のたこ焼き、焼きそば、わたあめなどを食べてお腹を満たしていった。

 

「何だかさぁ~ 久々に思いっきり楽しんだ気がする。人目を気にしなくても良いし。最高の気分だよ」

 

「ストレス発散にもなった様だね。なら次は船内に戻って星でも見よう」

 

「え? 星? まだ明るいし……」

 

□□□

船内

 

「凄い~ 凄すぎ! 本当に夜空の星みたいじゃん」

 

船内にあるホールを夏限定で改装し、天井360度には夜空に輝く無数の星をイメージ出来る様に青色のLEDで装飾されていた。

その中には、天の川を白色のLEDで再現。その天の川を挟んで赤色の織姫、白色の彦星まで輝いていた。

 

「確かに…… これは凄い」

ネットで事前に調べてはいたが、純の言う通り現物はさらに凄かった。

 

「七夕かぁ~。何かいいよね」

純は星を見ながら感動していた。

 

「そうだね…… 純、話があるんだ」

このチャンスに告白しようと決める。

 

「なに?」

 

「純の事が前からずっと好きだったんだ。俺と付き合って欲しい」

 

「え? 本気で言ってるの? 冗談とかじゃなくて?」

 

「あぁ、本気で言ってる。一緒に何度か遊んでいる内に気軽に何でも話せて…… 楽しくて、いつの間にか好きになっていた」

 

「そうなんだ…… 七夕ってさぁ」

純は俺への返事では無く、世間話でもする様に話を始める。

 

「織姫と彦星が年1回、7月7日に会える話だよね。その話の原因が二人ともラブラブ過ぎて、働かなくなってそれを見た神様が怒ってしまい。二人を天の川を挟んで引き離してしまった話だっけかな?」

 

「何となく分かるかも……」

「私もさぁ。基本、モデルの仕事している時以外は、私生活はダメダメだから。恋愛なんかしたらもっとダメになりそうで怖いんだ……」

 

遠回しに付き合うのを断ってるのか?

 

「多分、大丈夫じゃないか? 純はモデルの仕事で忙しいし、俺もクエストで忙しい。ある程度の距離感は俺も必要だと思うから、お互い恋愛に現を抜かす事はないんじゃないかな?」

 

「でも本当は毎日、純とラブラブしてみたいけどね」

 

「あんたって、本当は馬鹿でしょ……」

「でも、あんたの言う通りかも。それなりの距離感を保てばいいかな…… 他の人には、ばれないようにしなきゃいけないのもあるからね。特に事務所にはね」

 

「いいよ。付き合ってあげる」

「実は私もさぁ。仕事が上手く行かない時、ストレス発散の時、一人でいるのが寂しい時、あんたを連れ回している内に何でも話せる様になって…… 多分、好きになっていたんだと思う。それで何度も誘う様になって…… お人好しで優しい所が好き」

 

「嬉しいよ。そうだ、これを!」

小箱を取り出しプレゼントを渡す。

純が射的で当てた格ゲーで遊んでいる間に、射的で当てた物だった。

 

「なに、なに? 私にプレゼント? 開けてもいい?」

小箱を開けると中からは、さっき射的で当てたプラスチックの赤いダイヤモンドの指輪が出てくる。しかもオモチャの指輪なので、不自然にダイヤモンド部分が大きい!本物だとしたらしたらいったい幾らするのやら……

 

「あははは、なに? これ。トップモデルを落とすには安すぎじゃない? あんたってやっばり馬鹿だ。面白すぎだよ」

「面白いし、今日の記念にもらってあげる」

ツボにはまったらしく純は笑い続けていた。

 

「夏祭りぽくっていいかな? と思って。ちゃんとしたのは今度、別に贈らせてもらうよ」

 

「純、好きだ」

そう言いながら純の細い腰に手を回し、強引に彼女を引き寄せそのまま長いキスをする。

 

「……」

 

「あ、あんたってこう言う時は、本当に強引なんだから…… 普段、格ゲーやってる時なんかは慎重な癖に……」

顔を赤くした彼女に軽く怒られる。

 

「こんな時でも無いと…… 人目がある所ではしないから。改めてよろしく」

 

「これから彼氏としてよろしくね」

 

「誰も知ってる人はいないから手を繋いで歩こう」

彼女の手を取り、帰るまで二人だけの時間を思いっきり楽しんだ。

 

明日からは、またいつも通りに接して、でもいつも通りとは違う関係をずっと大切にしたいと思った。

END




いつもお読みいただきありがとうございますm(__)m
夏に突入にしたので、夏祭り?で番外編を投稿しました。
また次回も時間かかるかも知れませんが次回もよろしくお願いします。

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