私立グリモワール魔法学園~Another story 作:風飛の丘
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。
今年のバレンタインは彼女にしました~
では、どうぞ~
「待ちに待った、この日がやって来たわ。どれだけ待ち望んだ事か……」
小柄な女の子は小刻みに体を震わせながら歓喜していた。
守谷月詠 13歳 身長145㎝ 体重36㎏ B69 W50 H70
趣味:人をこき使うこと 特技:将棋
「この時期は、色々なチョコレートが発売されるからツクは大好き。購買部で売ってるチョコも捨て難いけどね」
「でも今年は…… いざ、出撃!!」
□□□
「花梨~ お待たせ。準備してきたわ」
今年は手作りチョコにチャレンジするつもりで、事前に自分の好きなチョコレートを買って用意していたのだった。
「市販の物も良いけど、自分の食べたい様に作れる所が手作りの良さよね」
色々な妄想を広げながらこの日を楽しみにしていたのだった。
「んだば、さっそく始めるべぇ」
料理部の花梨からレクチャーを受けながら調理を始める。
「まずは、買って来たチョコを包丁で切るんだべさぁ」
「了解よ! 包丁でザクザクと♪」
「切ったチョコを鍋に入れ溶かしてっと…… これ、あっという間に溶けるわね。ちょと楽しいかも」
鍋にお気に入りのチョコレートを入れ溶かし始める。
「守谷、それはダメだべぇ……」
他の材料取りに行って、戻って来た花梨に注意される。
「え、なんで? きちんと溶かしてるわよ?」
「鍋のチョコを箸で触ってみるべさぁ」
花梨言われ、鍋のチョコを触れてみるとブツブツ音を立てながらチョコが油?と分離してしまった」
「ええぇ? 何これ! どうなってるのよ……」
「湯煎して溶かさねばぁ、まぁそうなるべぇ」
「お気に入りのチョコだったのに……」
「まぁ、仕方がねぇ。後で何とかするべぇ。先にチョコレートの方を作ってしまわねばぁ」
「今度は間違い無く湯煎して、ゆっくりかき混ぜてと……」
花梨に言われた通りの手順で作って行く。
「あ! 少しお湯が入っちゃったけど、大丈夫よね?」
独り言の様に言いながら、かき混ぜて行くとチョコがクランチ状の何か違う物になってしまった……
「か、花梨! これどうなってるの? 変なの出来たわよ!」
「あちゃー、これはダメだべぇ…… お湯か? 水が入ったべぇ」
「う、うん……間違えて、かき混ぜている時に……」
二つ目のお気に入りのチョコをダメにしてしまった…… チョコレート作りなんて、ツクに掛かれば簡単!などと思ってしまった事を後悔し始めていた。
その後も悪戦苦闘しながら、手作りチョコレートを完成させる。
「か、花梨。ありがとう…… 何とか出来たけど、結構小さくなる物なのね……」
チョコを溶かしても、総容量に変化はあまり無いらしいが、溶かして新たに型を作るとどうしても小さく感じてしまうのだった。
「取り敢えず、何とか完成はしたわね。自分の分とアイツの分は出来たし…… 早速、連絡しないと……」
□□□
風飛市内
「ちょっと、どう言う事なのツクを3分も待たせるなんて! 良い度胸してるじゃない」
「おい、ちょっと待て。急に人を、ここまで呼んでおいてそれは無いだろう……」
月詠に電話で呼び出されて、急いで来たもののいきなり酷い扱いを受ける。
「ツクが街に来るの久々なの、あんたなら毎回クエストの度に来てそうだから案内して欲しいのよ!」
「仕方が無いな…… 何か目的はあるのか?」
「もちろん。チョコを買うのよ!」
「あ! 勘違いしないでよ! ツクの食べる分を買うんだからね。この時期にしか売ってない限定商品が多いんだから!」
今日はバレンタインデーで、少しは期待しないでも無かったが、そこまではっきりと言われるとヘコむものがあった。
月詠は口は悪い方だが、あれはあれで照れ隠しであんな喋り方になるのだと思っていた。またそれとは別に、努力家で何事にも果敢にチャレンジしていく姿は凄いと思っていた。
「最近、出来た施設があってそこならチョコを売ってると思うから行くぞ」
「了解。任せたわ」
□□□
商業施設の中に、期間限定でチョコ専門店が複数オープンしていた。
「ちょっとこれ見て、凄いく美味しそうなんだけど」
指を指す方を見ると、どうやらチョコレートスティックとカップがセットになっていて、カップ入っている紅芋のクリームを付けて食べる様になってるタイプだった。
「あれも、これも、どれも目移りしそうだわ」
月詠が無邪気に、はしゃいでる姿は可愛いなぁ~と眺めていた。
しかし、本当に色々なチョコレートが並べてある。
工具型、車、ゴルフボール、たこ焼き?!など一風変わった型のチョコレートまであった。なので見るだけでも楽しく二人で色々と見て回る。
月詠は様々なチョコを買う事が出来て、上機嫌の様子だった。
「せっかく街に来たんだから、もう少し歩いてみるか?」
「まだ時間もあるし、いいわよ。あんたに付き合ってあけるわ」
市内を歩きながら街の雰囲気を楽しんでいく。バレンタインデーらしく、どこの店も可愛いいハート型の飾りやチョコを模った飾り物があちらこちらにあった。
「ち、ちょっと…… ま、待ちなさいよ……」
後ろを振り向くと、息を切らした月詠が立ち止まっていた。
「あんた、もう少し男女の体力差を考えなさいよ…… 歩くの速いんだら……」
男女の体力差と言うより、月詠の体力が無いことを忘れていた。
「ごめん。取り敢えずそこの公園で休んで行こう」
近くにあった公園のベンチに座り休憩する事にしたが、まだ2月半ば冷たい風が公園を吹き抜けていた。
「月詠、寒く無いか?」
黒のミニスカート姿は流石に寒いと思った。
「少しだけ、寒いかも」
「なら、これを着てろ」
自分の着ていたハーフコートを差し出す。小柄な月詠からすれば、サイズが大きいので足下まで隠れる。
「ありがとう…… って! あんたが寒くなるじゃない! 馬鹿なの! そうやって、すぐ優しくするんたから……」
最後の方は、小声になり聞き取り難かったがコートを着て貰えたので安心した。
「そうだ! お礼に、これをあんたにあげる」
背負っていた鞄から水筒を取り出し、白い液体をコップに注ぎ渡して来た。
「これは……」
「いいから早く飲みなさいよ!」
言われた通り飲んで見ると、口の中にホワイトチョコとミルクの味が広がる。
「美味しいし、体が暖まるよ」
「でしょ。 高いチョコレート使ってるんだから当然ね」
「どうしたんだこれ?」
「う、それは…… ツクの手作り特製チョコドリンクよ。感謝しなさいよ!」
後日、花梨から聞いた話では失敗したチョコレートを利用して、ホットドリンクの作り方を教えたらしい。
「それと、ちょっとコップを寄こしなさい」
言われた通り飲みかけていたコップを渡すと、そのまま自分で作ったドリンクを飲み込む。
「うん。自分で言うのはなんだけど…… これ、美味しいわね」
飲んでいるコップを見つめているのに気付いた月詠は、急に顔を真っ赤にさせ下を向く。間接キスになってしまった事に気付いた様だった。
「おーい、月詠? 大丈夫か?」
下を向いたまま、顔を上げないので心配になってしまった。こんな事で、照れてしまう彼女はとても可愛いと思った。
「ツクは、銀河君の事が好きなの…… いつも不意討ちで優しくするし…… いつの間にか好きになってた…… 付き合って下さい……」
急に顔を上げたと思ったら、告白されてしまった。月詠のことは前から可愛いと思っていたし、今日も一緒に居て楽しかった。何より素直に好きって言って貰えて、愛おしく感じた。
「俺も月詠のこと好きだよ。こちらこそ、付き合って下さい」
「ほ、本当に?! 後で嘘とか言わないでよ!」
「信じて無いのか…… ならこれでどうだ」
月詠の両肩に手を置きながら顔を近付けて唇を重ねる。
先程、飲んだホワイトチョコとミルクの味を感じた。
「これで、信じてもらえるかな?」
返事を待っていたが、月詠は完全に固まってしまい声を出せないでいた。
「ば、馬鹿なの! 急にキ、キスなんて…… でも凄く嬉しい。もちろん信じるているからね」
「俺も本気だからキスした」
少し強引な気もしたが、自分の気持ちを伝えたつもりだった。
そして、ホットドリンクのお陰なのか? キスしたせいなのか? 体の方はかなり暖まったように感じた。
「そろそろ、戻ろうか」
□□□
バス停
学園前のバス停に到着し、お互い手を繋ぎ合いながらバスを降りる。
「今日は、色々とありがとう」
「うん。でもまだ礼を言うのは早いわよ!」
「え?」
「今日はバレンタインだから…… まだチョコあけで無いでしょ? これあげるから」
綺麗にラッピングされた小さな箱を差し出され、それを受け取る。
「ツクも同じの持ってるから後で食べてみる。銀河君は後で感想を聞かせなさいよ。それと中のチョコが、小さいからって文句言わず大切に食べなさいよ! 頑張って作ったんだから……」
「さっきのホットドリンクがプレゼントだと思っていたけど、改めて貰えてると凄く嬉しい。ありがとう」
「ホワイトデーは期待してて。それとは別にお礼をしないとね」
「大好きだよ」
少し前屈みになり、不意討ちで二度目のキスする。
「もう、するならするって言ってよ! ツクも銀河君のこと大好き。今日は幸せ過ぎて、寝れないかもしれないじゃないの!」
「あはは、風紀委員に見つからない内にお互い部屋に戻ろう」
年下の可愛い彼女が出来て、今年は幸せなバレンタインデーになった。
END
いつもお読みいただきありがとうございます
m(_ _)m
三回目のバレンタインの話になりましたが、そろそろネタが無くなり苦戦中です。その為、今回は1日で書き上げる羽目になりました(T_T)
さて、次回はホワイトデー編になりそうです。その際はまたよろしくお願いします。