私立グリモワール魔法学園~Another story   作:風飛の丘

58 / 65
独自解釈、独自設定により原作を大切にされている方はご遠慮下さい。主人公はオリ主、不定期投稿、各専門用語については後書きにて補足。
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。

4回目のWhitedayを迎えました!

1話限定恋物語の番外編
基本、番外編はハッピーエンドしかありませんが今回は如何に?

では、どうぞ~



グリモア番外24 2019 White day

春先になり、暖かい日が多くなって来たこの時期、あの日がついに来週やって来る。

Whiteday! このチャンスに彼女をデートに誘い、プレゼントを渡して…… 告白、出来たらいいなと思っていたのだった。

告白したい相手はヤヨイ・ロカだった。

 

ヤヨイ・ロカ

16歳 身長159㎝ 体重49㎏ B90 W58 H88

趣味:暗号解読 特技:絶対音感

 

自分より数ヶ月遅れで転校して来た彼女に、色々と日本文化や学園の事などを教えている内に、いつの間にか好きになっていて、その気持ちがどんどん強くなって来ていた。しかも、先月のバレンタイン時には、智花に教えてもらったらしくバレンタインチョコを貰える事が出来た。

心の中で、幾度も智花には感謝の言葉を贈った。

 

そしてこの日の為、普段通りを装いながら自然に彼女をデートに誘えるよう何度も練習したのだった。

 

「頑張るぞー!」

気合いを入れ、足早に学園に向かった。

 

□□□

学園内

早速、休み時間にサンフラワーの教室に向かうとロカの姿が見当たらない。

 

「あれ、銀河君どうしたの? 誰か探してる?」

教室の入口近くにいた松島みちるに声を掛けられる。

 

「ちょと、ロカに用事があったんだけど……」

 

「ヤヨイちゃんなら授業終わった瞬間に、教室から出ていったよ?」

 

「そうなんだ。分かった。教えてありがとう」

休み時間の間、学園内を当ても無く探してみたがロカの姿は見当たらなかった。

その後も何度か、教室に行ってみたが会えなかった。

 

「ロカのヤツ、どこに行ってるんだ……」

 

□□□

翌日、休み時間になると同時にダッシュしてサンフラワーの教室に向かう途中、廊下でロカの後ろ姿を見つける。声を掛ける為、急いで追いかけるが角を曲がった所でロカの姿は消えていた。

 

辺りを見渡すと、ガラス窓の一つが開いていた…… ここら出て行ったのか? ここ2階だぞ! ロカなら大丈夫か……

 

結局、今日も話し掛ける事は出来なかった。

 

そして、次の日もその次の日も会えなかった。デバイスから連絡しても良いのだが、どうしても直接会って誘いたかった。

 

□□□

数日後

 

ついに、前日の13日になってもロカに会えなかった。授業には出ているらしいが休み時間や放課後になると、急いでどこかに行ってしまい、会えないでいた。

当日、会えないのは避けたいので、仕方が無いが電話を掛ける…… が電波の届かない所にいるらしく電話も駄目…… メールで明日、会えないか? と連絡を入れて返事を待つ状態になってしまった。

 

実は嫌われて避けられているのか? などと考えてしまう……

そんな事を考えながら放課後、帰り支度を済ませ、2階の教室の窓から何気に外を見ると、中庭にロカの姿を見つけた!

 

神様が最後のチャンスをくれた?!のかもしれない。

急いで中庭に向かおうとすると、ロカの前に1人の男子生徒が近付いて行く。

 

何やら楽しそうに話している? 遠くて良く分からない…… ロカにあんな親しい人が居たのか?……

活発で明るく、誰とでも仲良くなれる彼女なら不思議では無いが……

 

その状況に動けずただ見ていていると、そのまま男子生徒と一緒にどこかに行ってしまった。

 

「くっ……」

どうしたらいいとか? 分からないが兎に角、走り出す。

 

中庭に着きロカ達が歩いて行った方へ向かうと、遠目にロカと男子生徒の後ろ姿が見えた。どうやらバラ園の隣にある、建物に向かっているようだった。

 

この辺りは学園の端にあり、人が往来する場所では無かった。

 

陰に隠れながらその後を追う。

以前、無理矢理、夏海につき合わされてスクープを探す羽目になったが、それが今、役にたっていた。

夏海、グッジョブ!

 

前を歩いている二人は、そのままガラス張りの建物の中に入って行った。

 

自分も気づかれない様に、こっそり扉を開け、中に入り様子を覗う。

 

 

「……好きなんだ」

 

「……私も好きだよ」

「嬉しいな~」

 

「---ッ」

二人の声が聞こえて来た。そうだったのか……

ロカには好きな人が居たのか…… 休み時間の度にここで会って居たのかもしれない。

これ以上は無理だ…… 心がもたない。今にも泣きそうになるのをこらえ、その場から逃げる様に立ち去り気付いたら自分の部屋に戻って来ていた。

 

「……」

どうしたものか…… 既にプレゼントも買ってあり、渡すつもりだったが渡せそうも無いな……

 

その時、デバイスのメール音が鳴る。

手に取りメール画面を開くと、ロカからの返信だった。

 

明日、何かあった? 放課後でも良かったら会えると書いてあった。

本当なら喜んで、急いでメールに返信している所だが…… どうしたらいいか? 分からないでいた。

 

自分の想いは別として、チョコのお返しはしないといけないと思い、プレゼントとは別に買ってあるクッキーだけは渡そう……

 

メールで明日の放課後、あまり人の目が無い例の建物の前を指定して会う事にした。

 

気が重い……

 

□□□

ホワイトデー当日

 

指定したガラス張りの建物の前でロカを待つ。

 

「銀河兄さん! 遅れてごめん」

約束の時間より少し遅れてロカが現れた。

 

「今日はどうしたの? こんな場所に呼び出したりして、何かあったの?」

 

「特に何も無いけど…… 先月、チョコもらったからそのお返しをしたくて。はい、これお返しだよ」

小さな袋の中には色々な形をしたクッキーが入っている。

 

「わー! 銀河兄さん。ありがとう! 智花姉さんに聞いた! バレンタインでプレゼントしたらお返しをもらえる日があるって! 今日がそうなんだね」

どうやらホワイトデーの事は知っている様だったが、日にちまでは知らない様子だった。

 

「凄く嬉しいよ」

ロカが凄く喜んでくれたので良かったが、その姿を見ると心が痛くなった……

 

「どうしたの? 様子がいつもと違う気がするけど……」

心配されてしまった。そんなに顔に出ていたのか……

 

「昨日ここで、何をしてたの……」

不味い! つい口に出してしまった。聞くつもりは無かったのに!

 

「あれ、何で知ってるの? 見てたの?」

今すぐ走り出して、逃げ出たい衝動に駆られる。

 

 

「昨日、初めて会った人なんだけど、南半球に生息する植物の成長具合を見て欲しいと頼まれたんだよ。彼も植物や花が好きみたいで、この植物園の中にあるんだ」

 

ガラス張りの建物の中は、植物園なのは知っている……

 

「汚染されて無い状態で育っていて、好きな花もあったんだ~ 久々に見れて嬉しかったよ」

 

「うん?」

ロカの言葉に思考がついて行かない…… あれ? 俺は勘違いをしていたのか…… 昨日の事を冷静に考えてみる。

 

「……」

 

「この花が好きなんだ」

 

「この花、私も好きだよ」

 

「嬉しいな~」

久々に好きな花を見れて嬉しい?

そんな流れだったのか……

 

 

「最近休み時間なると、どこにかに行っている様だったけど……」

 

「それも知ってるんだ。昨日はクエストで学園の近くにある洞窟の調査をしてて、それ以外は学園の周辺に設置してある罠の一斉点検をしてたんだ~」

 

どうやら全て自分の思い過ごしだった事に気付いた……

 

一気に力が抜けその場に崩れ落ちる。

 

「銀河兄さん! 大丈夫?!」

 

「大丈夫だ。な、何でも無いから!」

何とか立ち上がり、鞄からもう一つのプレゼントを取り出し、彼女に渡す。

 

「これも、もらえるの? 開けてもいい?」

頷いて返事をすると、ロカは小さな箱からアクセサリーを取り出す。

 

プレゼントしたのはシルバーアクセサリーのネッレスで先端は白銀仕上げの羽型。また羽の上部に小さな宝石が嵌めてあるタイプ(フェザーネッレス)だった。

 

「これ…… 凄く素敵だけど、もらってもいいの?」

 

「今日、ホワイトデーと言う事もあるんだけど、実はロカに伝えたい事があるんだ」

意を決して気持ちを言葉にする。

 

「俺は、ロカの事が好きだ! 付き合って欲しい!」

他の誰にも渡したくない。自分の想いを思い切って伝えた。

 

「銀河兄さん…… 嬉しいよ。アタシも兄さんの事が好き!」

本当に嬉しそうな顔をした、彼女を見る事が出来た。

 

「良かった…… これからヤヨイって呼んでもいいかな?」

「うん。アタシもそう呼んでもらえたら嬉しい!」

 

「うん。後、そのネッレス貸して付けてあける」

 

ヤヨイから受け取りネッレスを付ける為、近寄る。

そのままネッレス付けた後、顔を近付けてヤヨイの唇にキスをする。

 

「銀河兄さんって大胆だね…… 今日は沢山の素敵なプレゼントありがとう」

顔を真っ赤にさせ、照れた様子で言われる。

 

「せっかくだからこのまま風飛市で遊ぼうか? 色々と案内するよ」

 

「うんうん。それじゃ、レッツゴーだよ」

ヤヨイの手を取り二人で街へ向かう。

                 END

 

 




いつもお読みいただきありがとう御座います。

未だ多忙につき作品を慌てて投稿している状態です。
次回まで、また期間が空くかも知れませんが、その時はよろしくお願いしますm(_ _)m

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。