私立グリモワール魔法学園~Another story 作:風飛の丘
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。
またまた、この時期がやって来ました。
今年は、登場していなかった彼女に決めました~
完全に忘れてた……
1話限定恋物語の番外編
では、どうぞ~
本格的に寒くなって来た12月下旬。この時期に行われる毎年恒例の大きなイベント! クリスマスが近づいて来ている。しかし残念な事に自分に彼女はいなかった…… でも好きな人はいて、今年のクリスマスは一緒に過ごしたいと考えていた。
特別な段取りをしている訳でも無いが、漠然と上手く誘えたらいいなと思いながらコートの袖口に手を通し学園に登校する為、寮を出る。
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通学路
登校途中に声を掛けられる。
「銀河、おはよう! 今日も寒いね」
声を掛けて来たのは、小柄なツインテールの女の子。岸田夏海だった。
「おはよう。どんどん寒くなって来てるよな~」
「うんうん。コート無しで外を歩くのは無理ね」
そんな他愛も無い世間話をしながら一緒に登校して行く。
「最近、何か面白い事あった? 記事のネタにでもするからさぁ」
会う度に聞かれるので、実はこのタイミングを待っていたのだった。
「ちょっと気になっている所があって、取材を兼ねて一緒に行ってみないか?」
「なになに、面白そうなところ?!」
「クリスマスの期間限定で、イベントしてる所があるんだ。24日、暇なら一緒に行ってみないか?」
取材にかこつけて、思い切って誘ってみた。
「うん。分かった! 記事のネタ無くて困ってたし、この時期の取材対象としては、バッチリだもんね」
特に断られること無く、OKしてもらえた。
「了解。後で詳細はメールするよ」
内心、上手く誘えて滅茶苦茶、喜んでいる自分がいるがこの場で声を上げて、喜ぶわけには行かなかった。
「OK! 期待してるわよ」
上手くクリスマスに誘う事が出来たので、後は当日のプランを考え、楽しいクリスマスデートが出来たらいいなと思いながら登校していった。
□□□
24日クリスマスイブ
風飛市の駅で待ち合わせして、そこから郊外にある目的の施設までバスで移動する予定だった。
「ごめん。待たせた?」
赤のポンチョ風のコートを着た夏海が小走りにやって来る。
「俺も今、来たところだよ。サンタぽい格好だね」
「もちろん。せっかくのクリスマスイブだし、楽しみたいじゃん」
「それとも…… 変だったかな?」
「いやいや、全然、可愛いよ」
慌てて彼女を褒める。
「そ、良かった」
彼女は顔をこっそり横に向けたが、顔が赤くなっているのを見た。
「ほ、ほら、早く行くわよ。エスコートよろしく!」
「了解。エスコートさせていただきます」
今日、一緒に居られる事を幸せに感じながら目的地へ向かう。
□□□
郊外施設
着いた場所は、郊外にあるフラワーパーク。期間限定でクリスマスを彩る。
その中で目玉なのは、イルミネーションによる超難解な「サークル迷路」をはじめ、欧風の宮殿や街並みが登場する。
特に「サークル迷路」は見るだけでは無く、イルミネーションによる光の壁に囲まれる空間を進んで行くアトラクションだった。
「どこも綺麗なイルミネーションで凄い! 園内撮影OKなの?」
夏海はキョロキョロ辺りを見渡しながら聞いて来た。
ワククワしているのだろうか? メッチャ喜んでくれているからこっちも楽しくなって来た。
「パンフレットには、撮影OKって書いてあるよ」
「了解。早速、取材開始よ!」
「まずは、ここに行ってみよう」
パンフレットを指さし最初の向かう場所を示す。
□□□
イルミネーション迷路
この施設の最大のイベントで、イルミネーションで壁を作り光る巨大な迷路は圧巻で、そして綺麗だった。
立て看板に書かれているのを読むと…… 迷いながらゴールへ進むワクワク感が楽しめ、8つのエリアにあるスタンプをゲット。無事迷路から脱出できれば景品が貰える様な事が書かれていた。
「銀河、スタンプを全部集めるわよ!」
気合い十分の声が聞こえる。
「よし。それじゃ、スタートだ!」
二人で迷路の中へ進んで行く。
その後、右に曲がったり、左に曲がったり進んで行くと最初のポイントが見えて来る。
「割と簡単に見つかったな」
「最初のポイントは、きっとサービスポイントよ。これからが難しくなって来るんじゃない? 私は騙されないわよ」
「なるほど、それは一理あるかも」
「で、これは…… トナカイ人形だな。しかも実寸大か?! 名前が書いてあるよ。ええと【ダッシャー】だって」
「取り敢えず、スタンプを押そう。夏海が押していいよ」
トナカイの人形の近くに台座がありスタンプを押せる様になっていた。
「何これ?!」
夏海がカードに押したスタンプをこちらに見せて来た。
丸い円の中に【突進者】って書いてあった。
「どう言う意味だろうか…… 夏海にピッタリ?」
「なんでよ!」
「いつも特ダネだ!って言って突進して行くじゃん」
「あぁぁ、なるほど!ってそんな事してないわよ!」
そんな事は無いと、内心では思いながら夏海をなだめ、次のチェックポイントを探し始める。
次に現れたトナカイの名前は【プランサー】
そして押したスタンプには【跳ね回る】と書かれていた。
「これも夏海にピッタリじゃないのか?」
「あのねぇ…… なんでも結びつけないでよ。私、そんな事してない!」
夏海は口を尖らせて抗議して来た。
「取材している時に、人垣で前が見えないとその後ろでぴょんぴょんと跳ねてるぞ」
「くっ、よく見てるわね…… 身長が低いから仕方が無いのよ!!」
まぁ、好きな人だから自然と目で追っているから当然だったが、そんな事は言えなかった。
その後、更に奥に進んで行くと行き止まりの場所や同じ場所に戻って来たりと、夏海の予想した通り迷路の難易度が上がって来ている様な気がして来た。
「さて、このトナカイの名前は……【ダンサー】だってよ。スタンプは【躍る者】だって」
「流石に、これは私に当てはまらないわよ」
「それは分かってる。さっきまでは偶然だよ。面白かったけど」
笑いながら夏海に答える。
「しかし、変わった名前よね? もっといいのあると思うけど…… ここの関係者、センスないのかしら?」
「……多分、違うと思う。俺、分かったよ」
これまでのトナカイの名前を思い出すと、分かった事が一つあった。
「何か意味があるの?」
夏海は不思議な顔をして尋ねて来た。
「うん。順番は別として…… 残りのトナカイは……
【ヴィクセン】口やかましい
【コメット】彗星
【キューピッド】恋の神
【ドンダー】雷
【ブリッツェン】稲光
最後は……
【ルドルフ】だね!」
「あぁぁぁ! ルドルフ! 真っ赤な鼻のトナカイ!!」
夏海も気付いたらしい。
サンタクロースのソリをひいている8頭+1のトナカイの名前と意味だった。
「言われてみればそうね。先頭を走るルドルフの役は、曲の歌詞で触れられている通り。真っ暗な夜道を照らすために“赤い鼻”のルドルフが先頭となって聖夜を駆け抜けるだったかしら?」
「流石、ジャーナリスト志望、そこは知ってるんだ」
夏海をいじって遊んで見る。
「ジャーナリストじゃ無くても知ってるわよ! 馬鹿!」
「それじゃ、残りの迷路を突破してお昼にでもしよう」
「……了解。お腹空いてきたし、一気に行くわよ!」
□□□
園内レストラン
西洋風の建物中にあるレストランへ向かい食事を取る事にした。
「これ、どうかな? クリスマスコースって書いてある割には、お手軽な値段だし」
お互いメニュー表を睨めっこしていたが、悩んだ末にクリスマスらしいのに決めた。
「うーん。せっかくのクリスマスだしね。それにしよう」
夏海も同じのを選択する。
世間話を話しながら待っていると、料理が運ばれて来る。
料理の一つ目のサラダは、クリスマスリース型で鮮やかなトマトやパプリカなどで作られていて鮮やかだった。もちろん、メインの肉もボリュームがあるローストビーフとローストチキンが出て来た。
「改めてこういう料理を見ると、クリスマスだねぇ~って思うわよね」
「あ、可愛いから先に撮影するね。休み明け記事に早速、載せるわ」
ランチメニューの割には、しかっりクリスマスの演出された品々に感心しながら二人で食事とクリスマス雰囲気を楽しんでいった。
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西洋風建物
美味しい食事を食べ満足した所で、他のイルミネーションを見て回る事にした。
迷路以外にもイルミネーションで飾られたアニマルエリアやおとぎの国エリアがあり、それぞれ見て回るだけて楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。
そして最後に夏海を連れて行きた場所は、西洋風の建物に沢山のイルミネーション飾られ、その建物の前には複数の巨大な門柱が左右に立ち並び壮大だった。しかもその門柱もイルミネーションで飾られ、その姿はまるでシャンパングラスに見えた。
「ここ、凄いね~ 来た甲斐があったわ。今日は案内してくれてありがとう。バッチリ写真も撮れたし!」
「それは、良かったね」
「……夏海、実は聞いて欲しい事があるんだ」
「何? 急に真面目な顔をして? 何か企んでるの?!」
「今日は、デートに付き合ってくれてありがとう」
今日一日、ずっと夏海と一緒に過ごせて幸せだった気持ちをそのまま伝える。
「デ、デ、デートだったの?!」
「まぁ…… 確かに、二人でこうしてたら誰が見てもデートよね……」
驚き、そして納得してくれた様子だった。
「デートって言うと断られる気がして……」
「へぇー 私とデートしたかったのかぁ~」
そう言ったものの、その声は動揺を隠しきれていなかった。
「もんろん。好きな人とデートしたい。クリスマスを一緒に過ごしたいと思っていた!」
「夏海の事が好きなんだ! 俺の彼女になって欲しい」
「え?! なに? 新手のジョーク? 悪戯なの?」
顔を赤くしながら慌てる夏海だった。
「本気なんだ! ずっと前から好きなんだ」
「ちょっ、ちょっと待って! 今、落ち着くから……」
俺に背を向け、大きな深呼吸して落ち着かせているようだった。
確かに急だよな…… 焦り過ぎたかな……
「OK! 大丈夫。ちょっと驚いただけ」
夏海は振り向き、俺を真っ直ぐ見て来る。
「わ、わたしも今日は楽しかった。それで…… 私も銀河の事が好き。ずっと前から好きなのも一緒よ」
「そして返事はOK。これからは彼女としてよろしくね」
顔を真っ赤させ、恥じらう彼女が更に可愛く見える。
「しかし、銀河は物好きだね。私なんかで良いなんて、学園にはもっと可愛い子が沢山いるのに……」
照れ隠しなのか? 急に自虐的な事を言って来た。
「確かに多いな…… 夏海もその中の一人だと思ってる」
そう伝えて彼女を強引に抱き寄せる。
「一番、好きだよ」
そのまま、彼女の唇にキスをする。
「……」
そっと唇を離すと夏海は固まったままだった。
「大丈夫か?」
動かない夏海を心配し、肩を揺らす。
「ば、ば、馬鹿じゃないの!! 急に! 心の準備が出来てないでしょ! でも、別に嫌じゃないから……」
そっと彼女の手を取り、イルミネーションの中に連れ出す。
「ここからは恋人としての時間を楽しもう」
「うん。全力で楽しむわよ!」
二人で時間いっぱいクリスマスを楽しんでいった。
END
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おまけ編
週明け
「ち、ちょっと! 誰なの? この記事、書いたのは!」
遠くの方から夏海の声が聞こえて来たので、急いで駆け寄る。
「夏海、どうしたんだ?!」
「これよ、これよ!」
学園の掲示板の方をみると……
熱愛!! サンタはクリスマスに恋に落ちる!
タイトルの下には先週、告白して抱き寄せた場面の写真が貼られいた。確かに夏美の私服はサンタぽかったよな……
「先週の取材した記事を貼ろうと思って来たら、この記事が貼られていたのよ!」
まさか見られていたとは…… しかも写真を撮られた事にも気付かなかった。
「そろそろ皆が登校して来る時間だわ! 早く剥がさないと……」
「夏海、もう遅いかも……」
「え?」
剥がそうとしていた夏海が振り向くと、そこには二人の学園生が立っていた。
「へぇー、夏海ちゃん。どう言う事か? 説明してくれるかな!」
「なるほど、以前から怪しいと思っていたが…… まさかそうだとは……」
「ふ、二人ともこれは違うの!」
振り向いた先にいたのは、南智花と神凪怜だった。
「その辺も含めて聞こうかな! 夏海ちゃん」
二人に腕を捕まれて、引きずるように連れて行かれてしまった。
ハッ! 誰かに見られてる?! 今度は気付いた。
急いで辺りを見渡すと……
校舎の柱の陰から報道部、部長の遊佐鳴子の姿が見えたと思ったら、もうその場から消えていた。
気のせいか? 取り敢えず他の人に見られない内に剥がそう……
「そうですか…… 不純異性交友ですか…… じっくり話を聞きましょうか?」
後ろから声が聞こえ慌てて振り返る…… 風紀委員の氷川紗妃が仁王立ちしていた。
「さて、風紀委員室に行きましょうか」
「い、行きません…… 証拠さえ無ければ!」
目の前の記事を破り剥がす様に取り、そのままダッシュで逃げる。
「ちょっ、ちょっと待ちなさい!」
鬼の形相で氷川が追い掛けて来るが、そのまま全力で逃亡する。
「待ちなさいってば! 止まりなさい!」
これからも大変になりそうだけど、夏海が一緒なら問題ないと思いながらひたすら逃げ続ける。
END
いつもお読みいただき、ありがとうごさいます。
m(_ _)m
モチベーションが上がらず停滞していますが、お正月編が間に合えば…… その時は、またよろしくお願いします。