私立グリモワール魔法学園~Another story 作:風飛の丘
各専門用語については後書きにて補足
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。
□□□
校門前
今日も朝から日差しが強いが、もうすぐ秋が近いのだろうか? 少し冷たい風は気持ちが良い。
校門前まで来ると金髪縦髪ロールの女性が、駆け寄って来る。
「来栖さん、来栖さん!」
「大変ですわ! こんなところで、何をぐずぐずしているのですか? さぁ、行きますわ」
「え? どうしたの?」
クラスメイトの野薔薇 姫が慌てて駆け寄って来た。
「あ! すみません。いま登校した所でしたか? 私とした事がすみませんでしたわ」
姫はだいぶ焦っているようだけど……
「私は毎日、朝早くにバラ園のお手入れをしているのですが…… あろう事か、バラ園に霧の魔物が現れたのです!」
「よりにもよってなぜ! バラ園に……」
学園内に魔物が出る? そんな事があるのか?
「さぁ、行きましょう。刀子も自由も準備が出来ました! 来栖さんも行きますわよ」
「え、まだクエスト発動されてないよね?」
「クエスト発動など待ってはいられませんわ!」
「校則違反になるんじゃ…… 少し待てば……」
後ろから駆け寄ってきた自由が教えてくれる。
「お嬢様っー クエスト発動されましたよー 申請しておくっす!」
「これで後々、面倒な事にならないですみそうですわ」
「では、私のバラ園を取り戻しに行きますわよ!」
半ば強引だが学園内に、魔物が現れたなら猶予は無い、自分もクエストを受けて向かう事にする。
バラ園に向かう途中、刀子と自由の会話が聞こえてくる。
「しかし学園に魔物が現れるなどと、聞いたことが無いぞ」
刀子が自由に確認する。
「希にあるらしいっすよ。大規模侵攻の前には大体起きるとか」
「ネット情報ですけど、第6侵攻の時もあったらしいっす」
成る程 そういう事なのか…… なら第7次侵攻は近いと言う事を意味しているのか?
移動しながらデバイスでクエストを確認する。流石に学園内に魔物が現れたので、クエスト規定人数は全部埋まっている。
魔物の位置不明、数不明、名称ローズバトラー
緊急クエストだけに魔物規模が不明だった。
ここで討ち漏らしたら大変だ。確実に倒さないと!
彼女達のデータも合わせて確認する。3人共、クラスメイトで面識はあり、何度か話した事はあるのだがいつも3人一緒なので、なかなか話かけに難いのだった。
先頭を走っている赤、白の薔薇の衣装とでも言うべき姿は……
野薔薇 姫 15歳 身長157㎝ 体重49㎏ B83 W56 H85 趣味 薔薇の観賞 特技 テイスティング
その後ろを守る武士風の支倉 刀子 16歳 身長166 体重56㎏ B85 W56 H81 趣味 大河ドラマ観賞 特技 薙刀
紫の薔薇をイーメージさせるメイド服を着ている。
小鳥遊 自由 16歳 身長157㎝ 体重49㎏ B83 W56 H85 趣味 ゲーム 特技 ボーリング
趣味に共通点が全く無いが、クラスでは一緒にいる事が多い。
詳しくは聞いた事は無いが、野薔薇家の姫を護衛しているのが刀子と自由らしい。
□□□
バラ園入口
「緊急クエストで敵にマーキングがありません! 魔物の位置も不明、バラ園を捜索しながら見つけ次第、討伐しますわ」
「承知!」「了解っす~」
護衛役の二人が返事する。
門をくぐると、すぐそこに薔薇の魔物がいた! どうやら園外へ出ようとしている所で出くわした様だった。
魔物は薔薇の触手を振り回し、根の部分が足の代わりになっている。動き自体は遅いみたいだ。こちらに気付き向かって来る。
「来ますわ! 攻撃開始、来栖さんは後ろで援護をして下さい」
「了解!」手短に答える。
姫が先陣を務め、やや後ろ左側に支倉、右側に小鳥遊が続く。
自分も援護の準備をすべくバスターカノンを構え、3個の黒い球体を銃口から次々に出し展開させる。
新しい魔法グラビティシェル! 特訓の成果を試してみるチャンスだ!
幸い、前衛が揃っているし指揮は姫が出している。ここは魔力供給と援護に徹した方がいいな。
いつでも援護を出来るように周囲に気を配る。
「美しく散りなさい!」
掛け声と共に姫が薔薇の鞭で、魔物を攻撃しダメージを与える。
「せい!」姫を攻撃しようとする薔薇の触手を刀子が薙刀で切っていく。
しかし触手は直ぐに生えてきて、お互いに手数勝負になって来ていた。
そこに、中距離から小鳥遊が『とりゃー』と叫びながら紫色の薔薇を複数出現させて魔物に向かって放つ!
魔物に当たると、薔薇は破裂音と共に爆発してダメージを与える。
自分も援護する為、黒い球体3個をコントロールして魔物の頭上から花弁の部分を狙い攻撃する。
バスターカノンの攻撃とは違い、一撃の威力は無いが重力波が付与してあり、1個ごとに1秒の時間停止が可能になっている。
3個で3秒は動きを停止、出来るはず!
「動きが止まりましたわ! 今です!」
薔薇の鞭と薙刀の攻撃を同時に受けた、魔物は霧散して行った。
「まずは1体ですわ! この調子で倒して行きましょう」
姫達のバランスの取れたコンビネーションは流石だな。
引き続き、魔物を探しながら園内を移動する。
辺りを見渡しながら、姫が話し掛けてくる。
「中々、魔物が見つかりませんわね」
「これほど巨大になるまで、なぜ誰も気づかなかったなんて……」
「いえ、違いますわね。少なくとも私と刀子は毎日、薔薇園を見てますから……」
「成長が異常に速かったのでしょうね。およそ1日で!
街での魔物も強かったと聞いています。成長速度が速くなってきているのでしょうか?」
「街に出た魔物もいつの間にか成長していて、強かったよ。魔物が進化して来ているのかも知れないな……」
「そうですか、色々あるかも知れませんが私が完全に魔物を消し去る! これに変わりはありませんわ」
「来栖さんは引き続きサポートを! 皆に魔力を供給して下さい」
その時、学園スピーカーから声が聞こえる。
生徒会長の武田虎千代より学園生に通達がある。
生徒会から? 珍しい?
クエストに行ってない生徒は、作業を止め聞いてくれ!
現在、学園の薔薇園に霧の魔物が現れて、多数の生徒が討伐に向かっている。
人数制限の為、もどかしい思いをしている者もいるだろう。だが事態はそれをはるかに越えつつある!
ここに、第7次侵攻の発生を宣言する!
生徒会長が言うのだから間違いは無いだろう……
予想はしていたけど、来るべき侵攻は避けられないようだ。
隣を見ると姫、刀子、自由も驚いていた。
「……ですが、私達は目の前の魔物を退治する事に、専念いたしましょう!」
前方から人の形をした薔薇の魔物が、雑魚2体を連れてこちらに近づいて来る。
「人の形を真似た形のボスのようだ! 注意して」
雑魚は巨大な薔薇の様な形だったが、この一回り大きいボスは花びら、蔦、根の部分を束ね上げ、人を真似ている姿をしている!
「人型に注意しながら、雑魚を優先して倒しますわ!」
「刀子と自由はそれぞれ1対1で雑魚を! その後、こちらに合流しなさい! 私と来栖さんはボスを牽制しながら合流を待って攻撃しますわ!」
「姫殿、直ぐに倒して援護に参ります!」
「面倒っすけど、一丁頑張りますか~」
全員、役割を果たすべく行動を開始する。
先程とは違い、姫は中距離から白と赤の花びらを数百枚ほど、出現させたかと思うと花びらが渦を巻き始め、薔薇の竜巻を形成して行く。
薔薇の竜巻が、人型の魔物を襲い切り裂いていく。
花びらの1枚1枚が刃物と化して、ダメージを与えているようだ。
刀子、自由の方を確認すると、自由は遠距離から雷の魔法で魔物にダメージを与えている様だが、魔力消耗が早いのか? 肩で息をしていた。
魔力切れになる前に魔力を供給する。
すると一瞬、自由がこちらを見て笑う。
もう一方
刀子も同じく、魔物から離れた位置で薙刀に、魔力を込め薙刀を高速回転させて行く!
すると竜巻が形成され、魔物に向かいダメージを与えている。
自由とは違い、まだ魔力には余裕がある様だ。
危険な単独戦闘も、彼女達は離れた位置から確実にダメージを与え戦っているので、危なくも無く安定していた。
連帯も個人戦闘も上手いなと関心する。
念の為、彼女達にさらに魔力供給して、全力で攻撃出来るようにフォローする。
これなら直ぐに、こちらの援護に来れそうだ。
問題は人型の魔物だ。薔薇の竜巻を突破して来たボスは、姫と接近戦を繰り広げていた。人型のパンチを潜り抜けながら薔薇の鞭で的確にダメージを与えるが、一撃が軽く思うようダメージを与えられない様だった。
援護する為、カノンを構えようとすると……
度重なる魔物の
その窪みに、姫が足を取られバランスを崩したタイミングで攻撃を受けてしまう。
魔法障壁があると言え、地面に穴が出来る程の威力なので、姫は吹き飛ばされこちらに飛んで来た。
「ドン!」
受け止めた衝撃で、後ろに引きずられながらも後ろ向きに飛んで来た姫をなんとか、受け止める事が出来た。
「痛たっっー これ程の威力とは侮れないですわ!」
「え?! 何ですの? ちょっと……」
うん? 何? 薔薇の香りと柔らかい感触が両手にある……
吹き飛ばされて来た、姫を後ろから抱きつく様な形で受け止めてしまった為、両手で姫の胸をしっかり掴んでしまったようだ!
柔らかいし、見た目より大きい?などと思ってしまった。
「ちょっと! こ、こ、こんな人前で! ハレンチな事を!」
「いつまで掴んでいるつもりですか? 痛いですわよ!」
慌てて抱きしめていた腕と掴んでいた手を離すが、柔らかな弾力と姫の薔薇の香りが心に残る。
「これは、何がなんでも! わたくしの婿となって頂かなければ! 野薔薇の男として完璧になって頂きますわ!」
ええぇー 婿ってなに? 胸は揉んだけど…… 結婚しないとダメなの?
「このお話は後で! その前に、あちらの不細工な魔物を倒しましょう」
姫は顔を真っ赤にしながら言う。
自由と刀子もやって来る。雑魚は倒したようたっだ。
「お嬢~ 顔が真っ赤っすよ。どうしたんすっか?」
ニヤニヤしながらな自由が声をかけてくる。
どうやら、自由はさっきの出来事を見ていた様だ。
「な、なんでもありませんわ。行きますよ!」
「魔物の攻撃力が高い! 魔力供給をするから皆は遠距離から全力で魔法攻撃をして!」
「分かりましたわ! 刀子、自由」
3人同時に、それぞれの遠距離魔法を準備をして攻撃開始する!
人型の魔物も3人同時の魔法攻撃を受け、かなりのダメージを受けたようだ。
バスターカノンを構え追撃する! 砲撃が命中した魔物は空間ごと呑み込み、一撃で消滅させる!
何とかボスを倒す事が出来た。
同時にクエスト完了アラームが鳴り、周囲に存在していた残りの魔物も討伐が完了した様だ。
「姫、刀子、自由 やったな~! お疲れさん」
「そんなに喜ぶ事ではありません。 私が出たのだから当然ですわ」
「勝って兜の緒を締めよと申しますし、気を緩めている場合ではありません」
「それが野薔薇姫の在り方ですわ!」
クエスト完了のアラームは鳴ったが念の為、まだ残っていないか? 巡回しながら薔薇園の被害状況を見ると姫が言い出す。
討ち漏らしがあったら、大変だと言うこともあり最後まで頑張る事にしたのだが……
この後、巡回しながら姫に野薔薇の男になるには! を延々と聞かされる羽目になるのだった。
END
いつもお読み頂きありがとう御座います。
次話の予定は学園生活編で、まだ出ていないキャラを出して行きます。
2016/10/25 一部修正完了済み
用語
野薔薇家は軍事の中心部で、権力がある家系。冷泉家は政治、神宮寺家は軍事産業の代表など様々な家系がある。
オリ主魔法
グラビティシェル
現在、3個まで同時に制御出来るが、訓練次第ではまだ個数が増えます。また一撃の威力はバスターカノン程ありませんがシェルに重力波が付与されており相手の動きを止める事が出来るようになっています。