テスト前日に投稿します、最近寒い。
花火を見よう2
梨花Side
「・・・ただいま」
「あ、エレナさん。おかえり」
「長かったですね、エレナさん。たこ焼き持ちますね」
私は戻ってきたエレナさんからたこ焼きを受け取ってはやての隣に立つ。
エレナさんがたこ焼きを買いに行って30分。
はやてとの金魚すくいも終わってヨーヨーすくいをしていました。
「6つもとれたで!」
「すごいね、はやては」
「梨花ちゃんもやれば良かったんや。どうしてやらなかったん?」
「私は見てるだけで良いよ、はやてが楽しいならね」
「むぅ・・・それなら梨花ちゃん!2つのヨーヨーをプレゼントや。エレナさんにも」
「でも、それを取ったのは、はやてだよ?」
「なんや、梨花ちゃん。私のプレゼントを受け取ってくれないん?」
「・・・・・・」
エレナさんは無言で受け取る。
「はやてが良いと言うなら、貰うよ」
「うん!素直が一番や」
その後、ヨーヨーを片手に車いすを押すのはエレナさん。
私は何処かに落ち付いてたこ焼きを食べれる所が無いか探してる。
沢山の人が来ているからなかなか落ち着ける所が見つからない。
「梨花ちゃん、浴衣どう?」
その時はやてが話しかけてきた。
私は探す事に集中していてそれに気付くのが遅れたんだ。
「あ、ごめん。何かな、はやて?」
「梨花ちゃん、人の話はきちんと聞かなあかんで。でも、梨花ちゃんだから許す。それで、浴衣はどうなん?」
「え、浴衣?」
言われて、初めて私は自分が来ている浴衣を見た。
私の浴衣は白を中心にした黒い花が一つ書かれている綺麗なもの。
サイズがぴったりなのは偶然なんだろうな。
「綺麗だよ、浴衣。私にはもったいない位に」
「梨花ちゃん、それは無いで。梨花ちゃんの方が綺麗や」
そんな風に言ってくれるはやて、でもやっぱり私なんかには勿体ないと思う。
「ありがとう、はやて」
それでも、褒めてくれたはやてに本音を言うのはいけないね。
私達は適当に座れる所を見つけてたこ焼きを食べる。
エレナさんが車いすの後ろの方のポケットからお箸を取り出して渡したり、はやてが爪楊枝を使って食べるべきと意見したり。
「お箸、使いなさい」
「爪楊枝をたこ焼きに突き刺すんや」
「お箸」
「爪楊枝や」
「お箸」
「爪楊枝」
「爪楊枝」
「は・・・! 爪楊枝や」
「・・・ハァ。・・・梨花」
好きな方を使えば良いのに、どっちも。
「私はお箸かな」
「梨花ちゃん!?」 「ふぅ、よかった」
爪楊枝を使ってモノを食べるイメージが全く分からないんだ。
私はお箸とスプーン、フォークでしかモノを食べた覚えが無いから。
お祭りに行くのも今日が初めてだったりする。
周りの人は食べながら歩いているけど、私が座る場所を探していたのは食べながら歩くという経験が無いから。
こんな風に夜に外を出歩く事も少なかったから、はやてとエレナさんが楽しめるようにしないと。
「仕方無いなぁ。それじゃあ、私だけ爪楊枝や。でも、2人とも一回だけ爪楊枝で食べるように」
「・・・分かった」
「わかったよ、はやて。ならそろそろ食べようか」
「うん、食べよ」
『いただきます』
一つ目のたこ焼きを口に入れる。
外はカラッとしていて中はふわふわで温かい。
ソースとマヨネーズの味もとても合っていておいしい。
「・・・おいしい」
エレナさんにも好評価の様だ。
私達はたこ焼きのおいしさに驚きながら20分くらい過ごした。
はやてSide
「エレナさん、まっとってな。梨花ちゃんと少し回ってくる」
「エレナさん、30分くらいしたら帰ってきますから」
私と梨花ちゃんはエレナさんに荷物を頼んで屋台を回る。
最初に目についたのは
「梨花ちゃん、かき氷あるで」
「・・・かき氷食べようか」
梨花ちゃんはそう言うとすぐにかき氷屋の前まで行く。
屋台のおばちゃんにお金を払うと何もかかっていないかき氷を渡される
ここのかき氷の味は種類が幾つかあって、自分でシロップをかける事が出来る様だ。
「なに味が良い?はやて」
「ブルーハワイ」
「はい、了解しました」
梨花ちゃんは私にブルーハワイのシロップが入った容器を渡し、シロップがかけやすいようにかき氷を目の前に持ってきてくれた。
その時、私は目の前にかき氷と一緒に梨花ちゃんの手がある事に気が付いた。
これは・・・手に間違ってシロップがかかって謝りながら舐めるチャンス、か。
梨花ちゃんならきっと許してくれるはず・・・。
いや、まった。ここは冷静になるんや。
確かに舐めれたら嬉しい、とっても嬉しい。けど、梨花ちゃんは?
表には出さなくても心の中では嫌がるかもしれんな。
私は梨花ちゃんの事をとても大切に思っているのに嫌がる事をするのはいただけない。
梨花ちゃんは優しいから許してくれるだろう、でも梨花ちゃんの心の中の私の評価が下がるかも。
それだけは絶対に嫌だ。
・・・よし、ならこれで我慢や。
「あ、梨花ちゃんごめん。手にかかって」
「良いよ、これ位。少し行儀が悪いけど舐めれば」
少し恥ずかしそうにぺろりと自分の手を舐める梨花ちゃん。
ペロペロしたいけど、これはこれでいい!
・・・可愛いな、梨花ちゃん
「梨花ちゃんはかき氷どれにするん?」
「私はいいよ、たこ焼きでお腹いっぱいだから」
梨花ちゃんはそう言うと私の車いすを押し始めた。
「あ、自分で押すから」
「でもはやてはかき氷を食べてるから、私が押す方が良いでしょ。それに食べながら車いすを動かすなんて危ないよ。いいね」
「うん、わかった。それじゃあ次は的当てに行くで」
「はいはい。それじゃあ行くよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「梨花ちゃんすごいな!」
「そんなこと無いよ、はやても練習すればできるよ」
私が5回撃っても倒れなかった景品が梨花ちゃんに託した最後の一発で両隣の景品を巻き込んで倒してくれた。
合計3つの景品を手に入れた私達は次に焼き鳥の屋台に訪れていた。
「お、譲ちゃん達。ホムラの焼き術、七色の炎で焼かれた焼き鳥食べていかないか?」
「七色?面白そうやね。梨花ちゃんこの焼き鳥」
「食べてみようか」
「うん!」
焼鳥屋のおっちゃんが焼く所を見る事になった。
緑や青、黄色といういろんな色の火が付いて綺麗やな。
まるで花火のよう・・・花火?
「あ!忘れてた」
「ん?どうしたのはやて。大きな声を出して」
「花火や、花火!せっかくよく見える所を事前に調べておいたのに。急いでエレナさんのとこに戻るで。その後、とある場所に行くんや」
今から作っておきたい、2人に私を忘れられないように。
はやてSide out
エレナSide
お祭りになんて初めて来た。
お父さんとお母さんはお仕事で忙しかったから遠くへ出かける事が無かったし、私は学校が終わると寄り道をせずに家に帰って料理や洗濯をしていたから。
たこ焼きはあんな風に買わないといけないなんて初めて知った。
この世界の事はまだまだ分からない事がたくさんあるから勉強になった。
「あぁぁ!泥棒だ!誰か捕まえてくれ!!!」
この声はさっきのたこ焼き屋のおじさん。
「邪魔だ邪魔だ!ドケェ」
前方からは左手に紫の布袋を持って走ってくる男、右手にはナイフを持っている。
「・・・ふぅ」
「助かったぜ、危うく売り上げ全部パクられるところだったからな。お礼に一つサービスだ。ありがとな、姉ちゃん」
おじさんに紫の布袋を渡したら、たこ焼きを一つもらった。
「それにしても見事な投げ技だったな。周りの奴らも思わず拍手してたぜ。姉ちゃん、大胆なことするな、ハハハ」
おじさんは私の頭を手でポンポンとする。
「・・・別に大胆じゃない。それに困っている人を助けるのは当たり前。おじさんに怪我はないようだからもう行く」
「そっか、頑張れよ。それじゃあな」
私ははやて達との集合場所に戻るために歩きだす。
あ、一つ忘れてた。
「おじさん」
「なんだ?」
「たこ焼きおいしかった、ありがとう」
「そっか、それは良かったな」
集合場所に戻るとはやて達が先に居た。
何故だろう、時間まではまだある筈なのに。
「エレナさん、遅い!どこ行ってたんや」
「・・・どうしたの?」
「エレナさん、はやてが行きたい場所があるらしくて」
行きたい場所・・・?
「なにはともかく、そろった事やし行こか」
はやての案内で移動する事になる。
はやて、仲がいい友達が1人だけ出来て良かった。
本当に・・・良かった
エレナSide out
梨花、はやて、エレナの3人ははやてが調べた花火が綺麗に見える場所へと向かっていた。
「―――それでな、梨花ちゃん。その時のエレナさんの顔が」
「そうなんだ面白いね、はやて」
梨花とはやては相変わらず仲が良い、エレナはいつも通りの無言。
はやてが話し梨花が笑う、エレナが見守るまるで本当の家族の様で。
周りのすれ違う人達の心の中を自然と温かくしている。
これがいつもの光景、変わらない日常。
「エレナさん、私のお父さんの事なんですが・・・」
はやてに聞こえないような小さな声で話しかける梨花。
「・・・梨花?」
「大けがで入院してしまって、家族がバラバラに―――」
「・・・それは誰も悪くない、梨花も家族も誰一人として悪い人はいない。何もしなくても誰かが我慢すればいつかは丸く収まるかもしれない事。でも、あなたが家族の笑顔を望むならこれから帰って話し合うべき。何もせずに過ぎた時間を後悔するより何かして失敗した事を後悔する方が何倍もいいことなのだから」
いつかは終わりを迎えるであろう日常、でもそれは後ほんの少しだけ先の話。
お祭りが終わり、エレナとはやてと別れた梨花は帰宅していた。
「一体こんな時間までどこで何をしていたんだ、梨花!」
「恭ちゃん、そんなに怒鳴ったら梨花がかわいそうだよ」
「美由希、お前は黙ってろ」
そこで現れたのは梨花の兄である恭也と姉の美由希だった。
恭也は梨花を怒鳴る、美由希は梨花を庇う。
梨花は2人を見て言う。
「友達と遊んでた」
「こんな時間までか!」
「確かに、9時まで何の連絡も入れずにいた梨花も悪いけど怒鳴らないで恭ちゃん」
恭也の怒りは収まらずにまた怒鳴る。
「みんなどれだけ心配したと思ってるんだ。父さんが入院して大変だって時に、どうしてこんな事をしたんだ梨花!」
「恭ちゃん!」
「それだよ、お兄ちゃん。お父さんが入院したから、そう言って皆まともに話を聞いてくれなくなったんだよ」
梨花が、抑揚のない声でそう言った。
「・・・そんなこと無い、ちゃんと聞いてるさ」
一瞬言葉が詰まる恭也。
梨花の言葉に恭也は少し冷静さを取り戻したのだ。
「それじゃあ、昨日なのはが言ってた事覚えてる?」
「・・・あ、えっと。あれだ、あれ」
「覚えてないでしょ、何も言ってないんだよ」
「・・・え」
「なのはは、自分が邪魔だとか思って何も喋らずに我慢してるんだ。1人寂しくね」
「・・・梨花、恭ちゃん」
「ごめんなさい、心配かけてしまったのにこんな勝手なこと言って。でも、私の事はいいから、なのはには悲しい思いをさせないで欲しい。なのはの悲しい顔なんて見たくないから。お願いします」
梨花は深く頭を下げた。
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数日後、高町家には楽しそうに遊ぶ4人の兄妹の姿があった。
家族には笑顔でいつまでもいて欲しい、たとえどんなに辛くても笑顔さえ忘れなければきっと幸せは訪れるはずなのだから。
小話
たこ焼き屋前のエレナ
「おじさん、たこ焼き3こ」
「べっぴんな姉ちゃんだな、たこ焼き3つで1500円だ」
「・・・300円ではないの?」
「へ?1つ500円だぜ、姉ちゃん」
「1こ100円では無いの?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「1こ、100円で売っているはず?」
「いいかい姉ちゃん、うちの店は5個入り1つで500円だ・・・ハハハ、姉ちゃん面白い事言うな!なるほど確かに1こ100円だ。俺の説明が悪かったな」
「???」
「つまり姉ちゃんは食べる人数×5個入り1パック500円を買えばいいのさ。うちのたこ焼きは旨いから後悔はさせないぜ、ハハハ」
お祭りでの買い物にオロオロしてしまうエレナさんでした。
浴衣紹介
梨花
白い浴衣で帯は黒。袖には黒い花が書いてある。
はやて
茶色の浴衣。狸が描かれている。
エレナ
水色と白のグラデーションが綺麗な浴衣。
今回は祭りの話です。タイトルに花火と書いてあるにもかかわらず、肝心な花火シーンをあえて抜いて見ました。
ちなみにこのはやては大事な家族であるエレナさんと大切な友達である梨花にかなり依存しています。また、はやては少々変態的ですが梨花と手を繋いだ事が無いちょっと奥手な少女です。はやての梨花への思いが友達としてのもので無いと、気が付くのはまだ少し先です。