世間ではクリスマスやらサンタクロースと言った名称で浮かれている今日。八神家もその例に漏れずクリスマス気分だった。車いすに座り星型の飾りを持ってソワソワしているのはこの家の主の女の子、八神はやてだった。はやての視線の先には脚立を使ってツリーにクリスマスの飾りつけをしているエレナ・ソロジーとテーブルに料理を並べていく高町 梨花の姿。これはまだ、八神家に素敵な騎士が訪れる前の話。
「今日は2回目のクリスマスや」
リビングに貼られているカレンダーを見て、はやてはそう言った。今日は12月25日、クリスマスである。
「梨花ちゃんと出会って2回目のクリスマス・・・それにしても、寒いな」
今日は早くに目が覚めたはやては、外に雪が降り積もっておりリビングが寒くなっている事に気が付き、大切な家族と友達の為に暖房機を点けに来た。そのついでに今の時間を見た、はたして5時35分だった。
「エレナさんは6時半ごろ、いつもおるから。それまでにあれを完成させるんや」
エレナが起きるまで後一時間を切っていた。はやては客室の前を通り友達の寝ている姿を確認して自分の部屋に入る。机に置いてある鎖で縛られた本を手にとってベットの上に移動した。
「むぅ、梨花ちゃんは喜んでくれるやろか」
ベットの上には完成直前のマフラーが置かれている。本を自分の右横に置いてマフラーを手に取る。マフラーを見て少し悩んだが“一番大事なのは心なんだから”と自分を納得させて完成させようと作業を開始した。
去年のクリスマスは梨花にプレゼントを上げる事が出来なかった。それには、梨花とちゃんと仲良くなったのがクリスマス近くでクリスマスの事を考えていなかったからだけれど、実はもう一つ理由がある。家族であるエレナ以外とクリスマスを過ごした事が無かったはやては友達にどんな物をプレゼントしていいか分からなかった。ちなみに梨花からは服を貰った。
「よし出来た。今回のクリスマスはしっかりと用意できた。・・・喜んでくれるやろか」
そんな過去を思い出しながらもマフラーを完成させたはやて。時間は6時を過ぎた所だった。エレナにプレゼントする物はすでに用意してあり、暇になってしまったはやて。何をしようかと迷っていた所に右隣に置いてある本を見て、まだ読んでいない本がある事を思い出し暇つぶしに読むことにした。
6時半を過ぎた。エレナはベットから出てリビングに行く。外は雪が降っているのにリビングが温かい事に気が付いた。
「・・・暖房機が動いてる。誰が?」
考えればすぐに分かった。おそらく付けたのははやてだ、梨花が寒くないようにと考えたはやての優しさだろう。そう思い至ったエレナのその後の行動は、早かった。キッチンに行き冷蔵庫から野菜を取り出し切っていく。今日の朝食のメニューはみそ汁と焼しゃけそれとご飯とサラダ。7時頃には出来るだろう。
携帯電話の7時を告げるアラームが鳴った。はやては本から顔を上げアラームを止めた。もう一時間が過ぎたのかとはやては驚いた。
(いつもは6時半くらいに足がつった様に痛くなるのに。神様のサービスかいな、こんなサービスよりも健康な身体が欲しかった)
ダメだ、どうにもネガティブに考えてしまう。はやてはパジャマから着替える事にした。ベットの下の大切に包装されている箱を取り出す。その箱には『梨花ちゃんから』と活字で大きく書かれている。どうせなら去年のクリスマスに梨花から貰ったあの服を着よう。梨花に包まれているような感覚になれるあの服なら明るくなれるだろう。はやてはそう思った。
「あぁ、梨花ちゃん。私は幸せなんよ、あなたに出会えた奇跡だけで」
はやてはリビングへと向かった。お味噌汁のいいにおいがした。
高町 梨花が目を覚ますとすぐに野菜を切っているような音が聞こえた。ここは八神家の客室。
(あ、雪が降ってる。初めてのホワイトクリスマスだ)
昨日の内にツリー以外の飾りつけは済ましている。料理はエレナが事前に予約している。プレゼントはもう用意している。
(今日はもう何もやる事は無い。とりあえず布団を片付けておこう)
梨花は布団を押し入れの中に片付けたあと、何もすること無く身じろぎせず正座していた。その姿はまるで人形のようだった。はやてが客室にやって来るまで正座は続いた。
夜、はやてが最後に梨花と一緒にツリーに星型の飾りを付けクリスマスパーティーが始まった。最初にプレゼント交換を済ませて食事をする。
「梨花ちゃん、こんな高そうな物いいんか?」
「梨花、正直申し訳ない。こんなに貰ったと言うのに」
・・・・・・・・・
「ありがとう、はやて。嬉しいよ、このマフラー大事にするね」
「ちょっと不格好になんやけど・・・。」
「頑張って作ってくれたんだよね。分かるよ」
「梨花ちゃん・・・良かったぁ」
・・・・・・・・・
「エレナさんに料理を担当してもらった方が正解やったで」
「エレナさんの料理はおいしいからね。私もそう思います」
「・・・褒めすぎ。このローストチキンもおいしい」
「そんなこと無いで。エレナさんの料理で肥えた私の舌が言ってるんや!エレナさんが作るべきやったと」
・・・・・・・・・
「エレナさん、このケーキはさっき作ってた物ですか?」
「・・・そう。一応は自信作」
「お!それは楽しみや。エレナさんが自分から自信作なんて言うってことは相当やな」
「それじゃあ、いただきます」
「どうぞ、お食べください」
「どうや梨花ちゃん?」
「・・・・・・」
「・・・り、梨花?」
「ま、まさか。おいしくなかったんか!?」
「・・・とっても美味しいですよ。イチゴの甘酸っぱさと生クリームがとても合っていて。スポンジの方もふわふわしていますし」
エレナはパーティーの後片付けをしている。はやてはソファーに座っている梨花の隣に行く。目を閉じて梨花へと寄り掛かるはやて。心臓がバクバク言っているのが分かる、もしかしたら梨花にそれがばれてしまうのではないかという緊張から更にバクバクしている。
「ん?どうしたのはやて」
「ちょ、ちょっとなぁ。このままの体制で居させてください」
緊張のせいで思わず敬語になってしまうはやて。だが、何時までもそれではいけないと一度深呼吸をした。少し緊張をほぐしたはやては改めて梨花に話したい事を頭の中でまとめる。
(今日は楽しかったとか、梨花ちゃんはどうだったとかいろいろと話したい事はある。けど・・・)
はやてが話したい事はそんな事ではない。実は、今日はずっと足の痛みが無かった。毎日朝起きた時や食事中お風呂に入っている時など必ず足がつったような痛みがあったのに今日に限っては一切それが無かった。はやてにとってそれは良い事だったが同時に異常な事だった。まるでこの足が、私の身体が治ってくれると勘違いしてしまうほどに。
「梨花ちゃんは運命は変えられると思うか?」
「え?それはどういう」
「私はな、足に障害を持って生まれてきた。それはやがて体を蝕んでいくと思う。病院の先生は頑張ればいつか良くなるって言っとるけど、おそらく治らない。どんなに頑張ってもいつか訪れるその日を遅らせる事しか出来ないと思う」
「はやてそれは」
「でもな、今日は足が痛くなかったんよ。毎日来る慣れてしまった痛みが今日は無かったんや。初めてなんよこんなの。嬉しかった、そのおかげで今日は梨花ちゃんと一日中何も気にせずに楽しく過ごせたから。治るのかもって思ったりもしたんや」
「ならどうして」
「どうしてそんなにネガティブなんかって?・・・分かってしまうんよ。今日のこれはまやかし、一瞬の奇跡。明日になればまた足が痛くなるって・・・分かってしまうんよ。私はきっとこの病気で死んでしまう運命なんやって。それは変わらないんやって。なぁ、梨花ちゃん。梨花ちゃんは運命は変えられると思うか?」
はやては梨花に対してずるいと思った。こんな質問に梨花は答える事は出来ないとはやては分かっているのに。でも、この質問の相手が梨花だからこそ本音を漏らしてしまったのだ。
「変わるよ、運命は変えられる。どんな運命だって変える事は出来るんだよ」
「え?」
梨花は即答だった。変えられるとハッキリと言っていた。まさか即答されるとは思わなかったはやては思わず上体を起こし梨花の方を向いた。
「はやてが諦めさえしなければそんな運命は絶対に変える事が出来るんだよ」
今度は目をしっかり見て梨花が言った。はやては無責任だと思った。そんな事を言って励まそうとしても全くの無責任だと。
(でも、何でやろうか。梨花ちゃんにそう言われると悪くない気分や)
はやては自分の膝の上に手を置いた。その手の上から梨花の手が置かれた。
(例えこの足が治らなくても、いやおそらく治らない。それでも今だけは言葉にして言っておきたい)
「・・・そうかもしれんな。うん、そうなんや!治る治る、絶対に」
「うん、絶対に治るよ」
(何で弱音を吐いてるんや私は。それよりももっと大事なものがあるやろ)
はやては言った。“今日は川の字で寝よう”と。
「「「おやすみなさい」」」
今日の八神家は川の字で眠りました。
MerryChristmas!!
はやて「そう言えばしれっと梨花ちゃんと手を繋いでたんやな//////」
おそらくサンタさんは多分イケメンのお爺ちゃんだと思う・・・。
なのはの世界の人って大体が精神年齢高いですよね(いや私が低いだけなんだが)
川の字で寝るって仲良し家族の見本だと思っている私です。
メリークリスマス、メリークリスマス!
↑今の気持ちを三行で書いてみた。私って何も考えていないってことが分かりました。
それでは今回はここまで