冥凰神話   作:吟遊詩人

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まさかの連日投稿。ただ今回は幕間なので短いです。

今回、あちらの世界に言っている他の冥闘士全員登場します。まぁ、名前が出るのは一人だけですが…多分、わかる人には誰が誰だかわかるかと。

感想お待ちしています。


幕間 冥闘士胎動

 冥界――玉座の間…この場所では焔輝達をあの世界に送り出したハーデスが、焔輝達冥闘士の近況を映像を通して見ていた。

 

「ふむ…僕が(・・)送り出した冥闘士達はちゃんと役目を果たしてくれてるみたいだね」

 

 ハーデスの視線の先の映像には焔輝とシャムの他にも複数の冥闘士達の姿も存在していた。彼等はあちらの世界での立ち位置は各々異なるが、一部を除きハーデスが転生させた冥闘士達である。

 

「順調のようね、旦那様?」

 

 そんなハーデスに一人の女性が話しかける。美しい緑色の髪と、その髪色に相応しく美しい容姿をした女性…彼女こそこの冥界に置いてハーデスに次ぐ地位に居る女神だった。その名は…

 

「ペルセポネか、捕えた邪神達は口を割ったかい?」

 

 ハーデスの問いに首を横に振って応えるペルセポネ。何故邪神達が転生者達を転生させたのか…その目的をハーデスは邪神達自身から聞こうとしていたのだが…どうにも上手く行っていないらしい。

 

「…そうか…一刻も早く邪神達から情報を聞き出そう。何か…嫌な予感がするんだ」

 

「そうね…もしかしたら、冥闘士達の身にも危険が及ぶかもしれないし…」

 

 心配そうな視線を映像の向こうの冥闘士達に向ける。

 

「できれば、万が一に備えてもう少し戦力を向こうに送りたいんだけどね…ままならないものさ」

 

 玉座から立ち上がったハーデス。その視線の先にあるのはいくつかすでに無くなっているものの、まだ百以上の数が残されている冥闘士のための冥衣であった。

 

 

 

 

 

 

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「はぁ…はぁ…ひぃ…!?」

 

 ミッドチルダ郊外に存在するザンクト・ヒルデ魔法学院――次元世界でも最大の規模を誇る宗教組織「聖王(せいおう)教会」が経営するミッションスクールである――の近隣の存在する森林の中、そこで一人の男性が恐怖に染まった顔をしていた。

 

「っ!?…また、身体が勝手に…!?」

 

眼鏡をかけ、髪型をオールバックにした理知的な男性…彼の身体はまるで見えない糸(・・・・・)にでも操られているかのように関節が本来曲がらない方向へと動き始めている。

 

「ふふ、これで貴方の身体は私の思いのまま…」

 

 一方、男性の正面に立つのは一つの小柄な人影。美しいブロンドの髪に非常に整った美しい容姿の人物だった。その身には翼の生えた闇色の鎧――冥衣を身に纏っている。

 

「くぅ…わ、私が何をしたと言うのだ!?私はこのSt.ヒルデの教師として真面目な日々を送っていたのに!?」

 

「…はぁ…いったいどの口が言うのか…ネロ?」

 

「はい」

 

 さらに一人…その身に冥衣を纏い、右手に鞭を、左手に巨大な本を持った人物が現れる。ネロと呼ばれたその人物は茶色いセミロングの髪に切れ長の目をした整った顔立ちの人物だった。

 

「アリウス・エストランド…ベルカ自治領の名家の生まれ。自ら希望して教職を志し、ザンクト・ヒルデ魔法学院の教職の座に就く。その後も品行方正、理解しやすい授業で生徒や同僚教師、シスターからも深い信頼を獲得する」

 

 ネロは淡々と、目の前の男性――アリウスの過去に関する情報を口にしていく。その内容は大よそ汚点のない、輝かしい経歴であった。

 

「そ、そうだ!こ、こんな仕打ちを受けるいわれは「ですが…」」

 

 ネロはアリウスの言葉を遮る。

 

「その裏で生徒達や同僚教師、シスターの弱みを握っては身体を要求している。普段の態度が良いので誰も不思議に思わないし、訴えがあっても信用しないようですがね」

 

 アリウスの普段の生活に隠れて数多の女性達の身体を味わい尽くしていたのだ。そんな彼に対し、ネロは「隠し事をしても無駄だ」とでも言うかの如き視線を向ける。

 

「…っ…!?それの何処が悪い!私には力がある!家の力も私自身の力も!だから…がぁっ!?」

 

 自分は悪くないと喚きたてるアリウスの腕が可笑しな方向に曲がる。その瞬間、鈍い音が響き渡りアリウスの顔が苦悶の表情に変化した。

 

「そう、なら私が其れ以上の力で蹂躙しても悪くはないよね?」

 

 もう一人の人物が右手の指を動かす。すると、アリウスの首と腰が180度曲がり始める。

 

「や、やめ…私はヴィヴィオやアインハルトをこの手に…!?」

 

 最後まで言い切る前に、森林の中に大量の鈍い音が響き渡る。そして、それと同時にアリウスの断末魔の悲鳴が響いたのだった。

 

 

 

 

 

 

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「が…けほっ…かほっ…」

 

 本来、人の姿が確認できない無人世界…そこに存在する廃墟の中にはすでに虫の息となっている人間と屍が何体か横たわっていた。

 

「ふん…転生者と言ってもこの程度か…」

 

 その中に立つ人影…巨大な翼と角を有する冥衣を纏った冥闘士がそれらを見下ろしていた。

 

「な、んで…なんであんた達がこの世界に…!?」

 

 虫の息の女性が血だらけの形相で冥闘士を睨む。だが、所詮は死にぞこないの眼光。そんなものに冥闘士が怯むはずがなかった。

 

「…貴様等を冥界に送り返すため…其れが俺の使命だ」

 

「此方は片付きました」

 

 そこに、別の冥闘士が現れた。その冥闘士の出現に彼は満足げに鼻を鳴らす。

 

「そうか…なら、後はこいつを始末すれば終わりだな」

 

 屍の中に立つ冥闘士は唯一の生き残りである女性に拳を振り上げる。

 

「ひぃ!?や、やめて!た、助け…!」

 

 女性が最後まで言葉を紡ぐことなく、拳がその身体を貫いた。

 

「一先ず…此処は終わりましたね」

 

「あぁ…ミッドでなくともいるものだな」

 

「やはりミッドチルダは管理局の御膝元ですからね。離れた方がやりやすいという者もいるでしょう」

 

「そうだな…」

 

 そんな会話の後、二人の冥闘士はその世界を後にした。残った数多の死骸は誰に発見されることもなく、原生生物達によって喰い散らかされるのだった。

 

 

 

 

 

 

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「くっくくくくくくっ…」

 

 とある管理世界…そこにある街を一望できる丘の上に一人、胡坐をかいて座っている男が一人いた。

 

「面白いなぁ…冥王から使わされた俺達冥闘士に、各々の考えに従って行動する転生者達…まだ覚醒していない魔星の宿命…」

 

 シルクハットを被ってタキシードを纏い、金色の癖毛をした男性は右手の指を曲げながら実に愉快そうに笑う。

 

「先代さんよ、此の世界も…中々に面白いみたいだぜ?」

 

 次元世界の各地で、冥闘士達は様々な行動に出ていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




名前
 アリウス・エストランド
年齢
 二十三歳
容姿
 茶髪のオールバック、インテリ眼鏡。優しげで整った風貌
魔導師ランク
 古代ベルカ式空戦SSランク
詳細
 邪神達によって転生させられた転生者の一人。ベルカ自治領の名家の生まれで現在は聖王教会系列のザンクト・ヒルデ魔法学院の教師をしている。
 容姿端麗に加えて品行方正、高い魔導師ランクに解りやすい授業で生徒や同僚教師、学院で働くシスターにも信頼されている。表向きは完璧な教師。
 一方で裏では弱みを握っては生徒、教師、シスター問わず女性の身体を食い物にしてきたまさに下種の極み。
 本人は後に学院に入って来るであろうヴィヴィオやアインハルトを我が物にしようと考えていたものの、その前にハーデスの命を受けた冥闘士の襲撃を受ける。
 当の本人はコウキと同じく冥闘士に関する知識はなかったらしく、最終的に全身の骨を砕かれて死亡。その後、遺体は変死体として処理されたらしい。
 死後、冥闘士達によって回収されたデバイスから犯行の証拠が持ち出されて一気に信頼は失墜。生家も没落して葬式すら行われなかったらしい。


名前
 リリーサ・アルストロイ
年齢
 二十歳
容姿
 赤いロングヘアーで整った顔立ちの美人
魔導師ランク
 空戦S+ランク
詳細
 本編で名前が出てこなかった冥闘士に殺された女性転生者。他の転生者と違って管理局には入らずにテロリストとして活動していた。その理由は好き勝手に金や服を奪って生きるため。
 とある無人世界にアジトを作って活動していたが、其処に二人組の冥闘士の襲撃を受けて壊滅。本人は冥闘士への知識は持っていたものの、結局歯が立たずに殺された。
 死後、遺体は無人世界に住んでいた原生生物に食い散らかされて跡形もなくなった。
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