冥凰神話   作:吟遊詩人

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一年以上もお待たせして誠に申し訳ありません。

去年は私生活の中でトラブルの連続で投稿する時間が全然取れませんでした。もう、呪われてるんじゃないかと思ったくらいです。もともと、去年は厄年だったのですがあそこまで厄が来るとは思ってもいませんでした。

とにかく、これから頑張って更新しますのでまた読んでくれると幸いです。


第四幕 修行と研究

「は~い、じゃあ今日も小宇宙の修業始めるよ~」

 

 気の抜けた声がスカリエッティの研究所内にある訓練室に響く。声の発生源はランニングシャツに短パンを履いたシャムだった。その前には現在稼働しているナンバーズの面々、ウーノ、トーレ、クアットロ、チンク、セイン、ディエチとゼスト、クイント、メガーヌの姿がある。

 

「じゃあまずはおさらいから…小宇宙は誰もが体内に持つ宇宙的エネルギーで、これを燃焼させることで莫大な威力を発揮する」

 

 シャムの説明に各々、頷きながらしっかりと頭の中で確認する。シャムと焔輝がスカリエッティの下で厄介になり始めてから早数週間、ゼスト達が回復したのを見計らって小宇宙の解説と修業が開始されていた

 

「はいはい質問!小宇宙が凄い破壊力があるのは解るけどさ、焔輝のアレはどうやってんの?」

 

 そんな中、セインがシャムに質問を投げかける。「焔輝のアレ」と言うのは焔輝が操る黒炎のことだ。

 

「小宇宙には幾つもの応用技があってね。焔輝の黒炎もそうだけど、小宇宙を利用することで炎を生み出したり風を発生させたり、凍気を操ってものを凍らせることもできるんだよ」

 

「それはいったいどうやるんだ?」

 

 シャムが説明する小宇宙を用いた技術に対してチンクが質問する。

 

「それはね~…」

 

 すると、シャムがチラリと焔輝の方を見る。彼はこの質問の答えを炎を操る冥闘士である焔輝自身に求めたのだ。もっとも、それとは別に少しでも焔輝を馴染ませようと言う考えもある。

 

「…ふん、小宇宙にすら目覚めていない貴様等が知ったところ無意味だ」

 

 鼻を鳴らした焔輝は背を向けてその場を去っていく。その姿にシャムは何度目になるか解らない溜息を洩らした。

 

「(もう~、焔輝はもうちょっと馴染もうとは思わないのかな~?)」

 

 これはこの数週間、シャムが試みていることだった。何かと孤立しがちな焔輝を少しでもナンバーズたちと馴染ませようと言う彼の考え。だが、それは全て失敗に終わっている。と言うのも、焔輝の方に明らかに馴染むつもりがないのだ。

 

 実際、今現在のシャムと焔輝の恰好にしてもそれが如実に表れている。シャムはこうして研究所の中で過ごすときは冥衣を脱いで私服姿で過ごしているのに対し、焔輝は常に冥衣を纏い、眠るときも宛がわれた部屋で座った状態で常時警戒しながら睡眠をとるのである。

 

「むぅ…」

 

 そんな焔輝の態度に感情表現が豊かなセインは頬を膨らませ、他のナンバーズも全員不快感を露わにしている。社交的なシャムはナンバーズにも友好的に接せられているが、焔輝はまったく逆であった。

 

「相変わらず…嫌な感じだねぇ、焔輝は」

 

「確かに、あそこまで拒絶されては…な」

 

 セインの言葉にチンクが頷きで返す。最初の内はナンバーズ――特にフレンドリーなセインは率先して焔輝に接近していたがその無愛想で馴染む気の一切ない態度にもう馴染むのを諦めていた。

 

「まぁ良いんじゃありませんの?神様の戦士様はワタクシ達と馴染む気なんてないのでしょうし」

 

「クアットロ!」

 

 クアットロの悪態にトーレが声を荒げる。実を言うと、友好的でないのはナンバーズ側にも存在していた。それがナンバーズの一人であるクアットロだった。彼女は何かと焔輝やシャム、果てはゼスト達にも突っかかるような言動を繰り返していた。

 

「ふん」

 

 トーレの叱責にもクアットロは不機嫌そうな返事を返すだけだった。

 

「すまんな、シャム」

 

「あはは、気にしないでよ。焔輝が馴染もうとしないのにも問題があるんだからさ」

 

 トーレの謝罪にシャムも笑顔で返す。

 

「さて、さっきの質問の続きだけど…この世の全ての物質は全部原子でできている。そして小宇宙を使用した攻撃は全部この原子に関するものだ。小宇宙を用いて原子を砕くこと、それが小宇宙を使う上での基本的な戦い方になるんだよ

 そして、小宇宙にはそれ以外にも色々な応用法があるんだ。相手の脳に作用させて幻覚を見せたり、操ったり。異次元を操ったりね。炎や凍気を操るのもそう言った原子を操作する応用さ」

 

 そう説明すると、シャムはその場から立ち上がる。

 

「まぁ、でも応用は小宇宙に目覚めてから考えることだしね。まずは小宇宙に目覚めることが先決だよ。じゃあ、早速訓練を初めよっか」

 

 そしてシャムによる小宇宙覚醒訓練(Ver聖闘士)が開始され、ほどなくしてナンバーズの悲鳴が聞こえてきたと言う。

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 一方、訓練場を出た焔輝はその足で研究所の外へと向かっていた。

 

「やぁ、焔輝。授業はどうしたんだい?」

 

 その焔輝の前にスカリエッティが歩いてくる。

 

「…貴様か、小宇宙の指導などシャムが居れば足りるだろう。第一、俺は貴様等がどうなろうが知ったことじゃない」

 

 焔輝はそれだけ言うとそのまま歩を進めていく。

 

「ふむ、君ももう少し馴染んでくれると私としても嬉しいのだがね?」

 

「…俺は貴様等と馴れ合う気はない。そう言うのはシャムとだけしていろ」

 

 取り付く暇もなく焔輝は歩を進める。だが、そこでふと焔輝は足を止めた。

 

「俺に馴染めと言うよりも先に、あの四番目の女に言うことだ。奴の敵意に満ちた視線は目障りだ」

 

 焔輝自身、クアットロの視線が自分だけでなくシャムやゼスト達にも向けられていることは理解していた。

 

「むぅ、痛いところを突いてくるね。彼女は何処か通常の人間を下に見るところがあってね」

 

「ふん、貴様の親としての能力もたかが知れるな」

 

 呆れた声を出すと、焔輝は再び歩きはじめる。

 

「精々あの性格をどうにかすることだな。でなければ、いつかあの女は貴様等にも牙を剥くかもしれんぞ」

 

 その焔輝の言葉にスカリエッティは眼を見開いた。その理由は焔輝の言葉にあった。

 

「ふふ、心配してくれているのかい?」

 

「…ふん、単なる戯言だ」

 

 そのまま焔輝は歩を進め、スカリエッティの前から去って行く。

 

「くっくっく、素直ではないな。さて、私は残りの娘達を目覚めさせねばな」

 

 スカリエッティはそのまま、未だ目覚めぬナンバーズが眠る研究室に入って行く。

 

「ドクター」

 

 その研究室にはウーノが残るナンバーズの姉妹達の経過をチェックしていた。

 

「やぁ、ウーノ。彼女達の調子はどうだい?」

 

「問題ありません、順調です」

 

 スカリエッティは現在、ナンバーズの調整に自身の医療研究の作業。そして焔輝が持ち帰ったレクサスの解析等、手広く作業を行っていた。結果、特に気を付けるべきナンバーズに対してはもっとも信頼できるウーノに任せることもあった。

 

「ドクター、あのデバイス…レクサスの解析の方はどうなっていますか?」

 

「あぁ、正直かなり難航しているね」

 

 コウキの使用していたデバイス、レクサス。その性能の高さに解析してみたスカリエッティは驚愕した。一応、局員の魔導師が使用するデバイスは管理局のデータベースに登録されているが、レクサスは管理局に登録されているデータよりも遥かに高い性能を持っていた。恐らく、レクサス自体がハッキングして変に目立ちすぎないようにデータを改竄していたのだろう。

 

「流石は…神が造ったデバイスと言ったところだね」

 

 だが、焔輝達の話を聞いてその性能の高さにもスカリエッティは納得していた。聞けば、あのデバイスはコウキを転生させた邪神が造りだしたものである可能性が高いと言う。故に、解析の邪魔をするプロテクトはスカリエッティの頭脳をもってしてもそう簡単に突破できるものではなかった。

 

「それに、彼女の性格も色々と問題が多いしね。解析よりもそっちの罵声で心が折れそうだよ」

 

 そう、レクサスにはもう一つの問題があった。それはレクサス自身の性格の悪さである。持ち主であるコウキ以外には辛辣で非常に口が悪く、解析を進めようとするスカリエッティを罵倒し続けて彼を辟易させていた。昔から、悪口を言われ馴れているスカリエッティをウンザリさせていることから相当なのだろう。

 

「いやぁ、頭が狂ってるだなんだは言われたことがあったけど変態だの色魔だのは初めて言われたよ」

 

 恐らく、レクサスの人格データが女性だからなのだろう。自身の解析をするスカリエッティに対し、痴漢だ変態だと罵倒を続けていたのだ。

 

「どちらかと言えば、コウキ・キリシマの方が遥かに色魔だと思いますが…」

 

「はっはっは、私もそう思うよ」

 

 ウーノの言葉にスカリエッティは笑って頷く。おまけに、プロテクトが硬くてAIを停止できないものだから罵倒される中で解析を続けなければならないのだ。

 

「だが、あのデバイスの解析を完成させれば騎士ゼスト達とガジェットの連携もしやすくなる」

 

 レクサスの中にはAMFを中和する術式が組み込まれており、他にも様々な術式が存在しているかもしれない。何より、神が造ったデバイスを解析できればより優れた技術を得られるかもしれないと言う考えがスカリエッティにはあった。

 

「それに何より、神が造りだしたデバイスを完全に解析する…それはある意味で私が神を超えたことになるとは思わないかい?そう考えるとやる気が沸いてくると言うものだよ。ふふふふふふ…」

 

 そう語るスカリエッティの姿にウーノは、例え研究するものが変わってもマッドサイエンティストなところは変わらないなぁ――と、内心で思うのだった。

 

「(まぁ、デバイスの解析はドクターに任せて…私は妹達が目覚めるまでしっかり世話をしないとね)」

 

 ウーノの視線の先には、次に目覚めるであろう赤い髪のナンバーズの姿が映る。その目の前の少女がこれから先、一人の男の未来を変えることになるのだが…それはまだ誰も予想できない未来であった。

 

 

 

 

 

 




以上、第四幕でした。最後に出てきた赤髪少女は次回登場予定のヒロインです。まぁ、タグを見れば誰だかわかりますけど(笑)

では次回も頑張って更新しますので読んでいただけたら幸いです。
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