今回はヒロイン登場回です。まぁ、一応タグにも書いてありますが。
では感想お待ちしています。
とある無人世界…其処にはあるテロ組織のアジトがあった。様々なロストロギアや質量兵器を集めて打倒管理局を目指す彼等――だが――
「が…は…」
「ふん…」
その組織は今、壊滅の憂き目にあっていた。
「な、な、なんで…なんでお前が…」
一人の男が恐怖に慄き、身体を震わせる。彼は邪神に転生させられた転生者の一人だった。此の世界に転生した彼はオーバーSランクの魔導師ランクを手にし、原作知識と様々なロストロギアや質量兵器を手にすることで管理局を討ち倒して自分の欲望を満たそうとしていた。狙い目はJS事件による最終決戦の時。管理局とスカリエッティ側が共に疲弊したところを狙う算段だった。
だが、その企みはもろくも崩れさていた。今、目の前に現れた一人の冥闘士――天暴星ベヌゥの焔輝の手によって。
「貴様如きがそれを知る必要はない」
焔輝の手の中に漆黒の黒炎が生まれる。男は知っていた、冥闘士――とりわけ、ベヌウの冥闘士の力…その強大さを。故に悟る、自らの末路を…
「コロナブラスト…」
「あ…」
焔輝の放った黒炎は男の身体を焼きつくし、後には何も残らなかった。こうしてまた一人、転生者が冥闘士の手によって葬られた。
「やぁ、一週間ぶりだね」
研究所の入り口に到着したところでスカリエッティが歩いてくる。彼の研究所を拠点とするようになってから早いもので既に二年が経過していた。この二年間、スカリエッティの研究所に襲来する転生者は皆無だった。しかし、スカリエッティのもたらす情報によって焔輝はテロリストのアジトを襲撃して壊滅させていた。そして、その中にも僅かだが転生者は居たのだ。
「今回も上手く壊滅できたようだね?」
「…ふん」
もっとも、焔輝は転生者が居ようが居まいがテロリストを見逃すつもりはなかった。結果、この二年間で管理局が追っていたテロリストの多くが壊滅していた。
「あぁ、そうだ。君に紹介したい子が居るんだ」
研究所の中に入ったスカリエッティはそう語り、次いで通信で誰かを呼び出す。それから数分とせずに奥から二つの人影が歩いてきた。
「あら、帰ってきたのね?」
一人は二年前に焔輝に助けられたクイント。だが、もう一人は焔輝には見覚えのない少女だった。
「誰だ、お前」
少女は焔輝を睨みつける。赤いショートの髪に金色の瞳、釣り目で気の強そうな印象ながら可愛らしい顔立ちの少女だった。
「ほら、説明したでしょ?もう一人の冥闘士の焔輝よ」
クイントはそんな少女に対して焔輝を紹介する。
「彼女は君が居ない内に目覚めたナンバーズでね。名前はノーヴェと言うんだ。彼女はクイント君の遺伝子を使っていてね、彼女に教育役をお願いしているんだよ」
「…そうか…」
スカリエッティの紹介にそれだけ呟くと焔輝はすぐにその場を立ち去ろうとする。
「おい!そんだけかよ!」
そんな焔輝の態度にノーヴェが噛みついた。自身の生みの親であるスカリエッティと、母として慕うクイントへの素っ気ない焔輝の態度が幼く短気な彼女には耐えられなかった。
「…ふん、よろしくとでも言って手でも差し出せば満足だったか?生憎だが、俺は貴様等と馴れ合うつもりはない。そう言うのはシャムとだけしていろ」
「この野郎!!」
「ノーヴェ!?」
素っ気なく突き放す焔輝にノーヴェは犬歯を剥き出しにし、そのまま感情に任せて拳を振るう。
「………」
しかし、焔輝は素早く動くと指で突進してくるノーヴェの額を軽く小突いた。
「ぐっ!」
額を小突かれたノーヴェはバランスを崩して後方に倒れる。
「まずは相手との力量差を量れるようになれ。敵わない相手に向かうのは…」
其処まで語って…焔輝の脳裏に自分の過去が浮かぶ。血だまりに倒れる自分と、眼前で泣き叫ぶ…
「っ…!?」
脳裏に浮かんだ過去を振り払うように顔を顰める。
「?どうか、したのか?」
急に動きを止めた焔輝に対して、ノーヴェは疑問の声を浮かべるが焔輝は答えない。
「…お前には関係ない。とにかく、敵わない相手に向かうのはどうしても退けない時だけだ」
それだけ口にすると、焔輝は三人に背を向けて歩き出す。その後ろ姿を三人はただ見つめていた。
「いったい、どうしたのかしら?」
一瞬、様子がおかしくなった焔輝にクイントは心配そうな表情になる。
「さてね…彼にも、過去に何かあったんだろうね。もっとも、それを知らない我々には何かを言うことはできないけどね」
焔輝の心配をするスカリエッティとクイント。だが、一方でノーヴェの方は未だ怒りが治まらないでいた。
「くっそー!!すかしやがって、あの野郎!おかーさん!すぐに稽古付けてくれよ!ぜってーぎゃふんと言わしてやる!」
明らかに少女が口にする台詞ではない。
「(ん~、やる気があるのは良いけど…この口の悪さはどうすればいいかしら?)」
女の子らしさのかけらもない言葉遣いにクイントは内心で頭を抱える。彼女にはノーヴェと同じような娘が二人いるが此処まで口が悪くなかった。同じ自分の遺伝子を使われているのに此処まで違うのは何故だろうと本気で考えてしまった。
「はいはい、その前にシャムの小宇宙講座を受けてからね。小宇宙を身に付けなきゃ焔輝をぎゃふんと言わせることなんてできないわよ~」
クイントはノーヴェを宥めながら訓練所に向かっていった。
「さて、私も研究を進めるかな」
一方でスカリエッティも自身の研究を進めるべく自身の研究室に戻って行く。
互いに…と言うよりノーヴェにとって最悪ともいえる二人の出会い。これが、永遠に切れることのない絆の始まりだとは誰も想像していなかった。